北本市で身近な相続手続き|親の急逝で慌てないための「預貯金の仮払い制度」と税理士への相談

「家族が亡くなり、悲しみに暮れる間もなく、慌ただしい中で葬儀の準備や役所の手続きに追われている……」今まさに、そのような大変なシチュエーションに直面し、不安を感じていらっしゃる方は多くいらっしゃいます。何から手をつければいいのか分からず、一人で不安を抱え込んでしまいがちですよね。
そんな中で、多くのご遺族が直面するのが「亡くなった親の銀行口座が凍結されてしまい、お金が一切引き出せなくなった」というトラブルです。「親の財産なのだから、いざとなれば家族が代わりに引き出して葬儀費用に充てればいい」と考える方が多くいらっしゃいますが、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。
銀行口座が凍結されると、葬儀費用や当面の生活費、さらには実家の光熱費の引き落としまでストップしてしまいます。「手元の現金だけでは足りないけれど、どうすればいいの?」という疑問が浮かぶかもしれません。
そこで今回は、遺産分割協議が成立する前であっても、一定の金額を凍結口座から引き出すことができる「預貯金の仮払い制度」について分かりやすく解説します。北本市周辺にお住まいの皆様が、もしもの時に慌てず安心して手続きを進めるためのヒントにしていただければ幸いです。
銀行口座はなぜ凍結される?知っておきたい相続の基本ルール
そもそも、なぜ人が亡くなると銀行口座が凍結されてしまうのでしょうか。まずはその基本的な仕組みについて確認しておきましょう。
人が亡くなると、その方の遺産(預貯金、不動産など)は、亡くなった瞬間に相続人全員の「共有財産」になります。これを誰がどのように分けるかを決めるのが「遺産分割協議」です。銀行などの金融機関は、遺産の分け方が正式に決まるまでの間、一部の相続人が勝手にお金を引き出して使い込んでしまうといったトラブルを防ぐために、口座を「凍結」して一切の取引を停止させます。
【参考】
認知症による「口座凍結」を防ぐ!新しい生前対策「家族信託」とは
https://souzoku-sanguu.com/2026/05/20/1388/
一度口座が凍結されてしまうと、窓口やATMでの現金の引き出しはもちろん、公共料金(電気・ガス・水道)の自動引き落としもできなくなってしまいます。遺産分割協議は、原則として「法定相続人全員」が参加し、全員が納得して合意しなければ成立しません。もし一人でも反対する人がいたり、話し合いが長引いたりすると、何ヶ月もお口座からお金を動かせなくなってしまうのです。
【参考】
遺産は誰のもの?「相続人」となる人とは[法定相続人の順位と範囲]
https://souzoku-sanguu.com/2026/01/07/1280/
遺産分割前にお金が下ろせる!「預貯金の仮払い制度」の仕組み
このように、口座凍結によって残された家族が葬儀費用の支払いや日々の生活費に困窮してしまう事態を防ぐために新設されたのが「預貯金の仮払い制度」です。
この制度を利用すれば、遺産分割協議の成立を待たなくても、また、他の兄弟などの同意を得られなくても、各相続人が「単独で」一定額までの払い戻しを銀行に請求することができます。利用する方法は、主に「金融機関の窓口で直接請求する方法」となります。
窓口で直接引き出せる上限額は、以下の計算式によって決まります。
【計算式】死亡時の預貯金残高×3分の1×請求する相続人の法定相続分
【参考】
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)|法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
ただし、この計算で出た金額がいくら高くても、「1つの金融機関につき最大150万円まで」という制限ルールがあります。
【具体的なシミュレーション例】
- 亡くなった父親のA銀行の口座に900万円の預金がある。
- 相続人は子ども2人(長男・次男)のケース(法定相続分は各2分の1)。
- 長男が単独で仮払い手続きを行う場合:
900万円×1/3×1/2=150万円となります。長男はA銀行の窓口から150万円を単独で引き出すことができます。もしA銀行に1,800万円あったとしても、「150万円まで」の制限があるため、引き出せるのは150万円となります。
仮払い制度のメリットと潜んでいる「落とし穴」
仮払い制度には大きなメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。
(1)他の相続人の同意が不要
連絡が取れない兄弟がいても、自分一人の判断で「手続き」を進められます。手元の貯金を切り崩すことなく、親の財産からスムーズに葬儀費用などを支払うことができます。
(2)「相続を認めた(単純承認)」とみなされるリスク
引き出したお金を葬儀費用などの正当な用途以外(自分のために使ってしまうなど)に利用すると、法律上「すべての遺産を引き継ぐことを承認した(単純承認)」とみなされてしまいます。もし、亡くなった親に後から多額の借金があることが分かったとしても、もう「相続放棄」ができなくなってしまうという大きな落とし穴があります。
(3)親族間トラブルの種になる
無断でお金を引き出したことで、他の兄弟から「遺産を勝手に使い込んだ」と疑われ、その後の話し合いが泥沼化してしまうケースがあります。利用する際は必ず領収書を保管し、他の相続人へ事前に伝えておくという点には注意が必要です。
まとめ|一人で抱え込まず、まずは北本市の相続専門の税理士までご相談ください
今回は、ご家族が亡くなった際の大切な「手続き」の一つである、銀行口座の凍結と「預貯金の仮払い制度」について解説しました。
仮払い制度を正しく使えば、葬儀費用の支払いの不安を解消できる大きなメリットがあります。しかし、引き出す金額の計算や必要書類の収集を怠ると、親族間でのトラブルに発展したり、後々の相続税申告の際に税務署から厳しくチェックされたりするリスクもあります。
引き出した預貯金も含めて、亡くなった方の財産の全体像を正しく評価・把握し、漏れのない相続税申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。
【参考】
相続税申告代行にかかる税理士費用はいくら?【税理士の選び方も解説】
https://souzoku-sanguu.com/2025/11/19/1235/
「親の口座が止まってしまい、何から手をつけていいか分からない」「自分のケースで相続税はかかるの?」など、疑問や不安を抱えている方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が親身に対応させていただきます。初回の相談は無料となっておりますので、どうぞ安心してご利用ください。
よくある質問
Q:仮払い制度の手続きに必要な書類は何ですか?事前に準備できますか?
A:通常、被相続人の除籍謄本(または死亡診断書の写し)、相続関係を証明する戸籍
謄本、申請する相続人の印鑑証明書・本人確認書類が必要です。必要書類は金融機関
により異なるため、事前に取引銀行の窓口またはホームページで確認することをお勧めします。
Q:口座が凍結されるのはいつですか?死亡届を提出した直後ですか?
A:口座凍結は死亡届の提出と直接連動しているわけではなく、金融機関が口座名義人の死亡を把握した時点で行われます。ご遺族や親族が銀行窓口での手続き時に伝えた場合や、訃報広告等で金融機関が知った時点で凍結されることが多いです。
Q:相続放棄を検討している場合、仮払い制度を使っても大丈夫ですか?
A:制度上は利用可能ですが、引き出したお金を生活費や葬儀費用以外の目的で消費した
場合、「法定単純承認(民法921条)」とみなされ相続放棄ができなくなる可能性が
あります。相続放棄の申述期限は「知った日から3か月以内」ですので、検討中の方は
必ず先に専門家へご相談ください。
Q:複数の銀行に口座がある場合、それぞれの銀行で仮払いの申請ができますか?
A:はい、複数の金融機関それぞれで申請が可能です。「1金融機関あたり150万円まで」
という上限はあくまで銀行ごとの制限ですので、A銀行で150万円・B銀行でも別途
計算した上限額まで単独で申請することができます。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。