遺産の中に「マンション」が含まれているケースは増えています。かつて「相続不動産」といえば戸建てのイメージが一般的でしたが、現在は都心部を中心にマンションの相続が主流になりつつあります。

マンションの相続は戸建てとはルールが少々異なります。加えて高層マンションについては2024年からの新ルールがあるため、通常の低階層のマンションよりは税金が高額になる可能性があります。

マンションを相続したら必ず相続税がかかるのか

「マンションを相続したら、相続税を払わなきゃいけない」とお考えの方もいますが、マンションがあるからといって、必ずしも相続税がかかるわけではありません。

なぜなら、相続税には「基礎控除」という仕組みがあるからです。
相続税の「基礎控除」とは、どんな相続でも使える非課税の枠であり、3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)で算出します。

例えば、お父様が亡くなり、相続人がお母様とお子さん2人の合計3人だった場合、基礎控除額は「4,800万円」となります。

もし、亡くなった方の遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税は1円もかかりませんし、税務署への申告も不要です。

これまでのマンション評価の仕組み

マンションは預貯金と違って、相続での価値を「評価」しなければなりません。評価額は、大きく分けて「建物」と「土地」の2つを合計して計算します。

(1)建物(専有部)の評価

建物の評価は簡単で、毎年4月〜5月ごろに市役所から送られてくる「固定資産税の納税通知書(課税明細書)」に書かれています。

記載されている「固定資産税評価額」という金額が、そのまま相続税の評価額になります。

(2)土地(敷地)の評価

マンションは一棟の建物をみんなで分けて使っています。土地も同じで、マンションが建っている大きな敷地を、住戸の広さに応じて少しずつ持ち合っています。これを「敷地権」と言います。

土地評価は、以下のステップで計算します。
敷地全体の価値を出す:道路ごとに決められた「路線価」を使って、土地全体の値段を計算します。
自分の持ち分をかける:全体の価値に、自分の部屋が持っている「敷地権の割合」を掛けます。

これまでの「タワマン節税」は使えなくなった

マンションは以前は節税に使われることがありました。いわゆる「タワマン節税」です。

例えば、タワーマンションの「2階」と「50階」の部屋があったとします。前述の計算方法を見ればわかりますが、「床面積が同じなら、相続税の評価額はほぼ同じ」になります。

しかし、実際に売却する場合はどうでしょうか。50階の方が眺望も良く、市場価値も高いので、圧倒的に高く売れてしまいます。

この「市場で売れる価格」は高いのに、「税金の計算上の価値」は低いという仕組みを利用して、現金でタワマンを買い、相続税を大幅に安く済ませる手法があったのです。

しかしながら、この不公平感をなくすために2024年から「区分所有補正」という新ルールが導入されました。これは「市場価格と評価額が離れすぎている場合は、評価額を引き上げる」という仕組みです。

新ルール「区分所有補正」で計算はどう変わったのか

新しいルールでは、これまでの計算結果に「補正率」を掛け算することになります。

新しい評価額=(これまでの建物評価+これまでの土地評価)×区分所有補正率

この「補正率」は、以下の4つの要素から複雑な計算式で算出されます。
・築年数(新しいほど評価が上がる)
・総階数(タワーマンションなど高い建物ほど評価が上がる)
・自分の部屋が何階か(上層階ほど評価が上がる)
・敷地の持分比率(土地に対して建物が豪華なほど評価が上がる)

この制度で特に影響が大きいのは、以下のようなケースです。
・都心のタワーマンションの高層階:評価額が1.5倍〜2倍近くに跳ね上がるケースもあります。
・築浅の分譲マンション:タワマンでなくても、市場価値が高い物件は軒並み評価額がアップします。

マンション相続で損をしないためのアドバイス

区分所有補正の登場により、マンションの評価は複雑化しました。そのため、ご自身で計算した金額が、後から税務署に指摘されるケースも増えました。

よって、マンションの相続をしたら、専門家に相談し、適正な評価額を算出してもらった方が良いでしょう。専門の税理士であれば、節税方法についても詳しく教えてもらえます。

相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。「まだ先だ」と思っていても、遺産分割協議が難航したり、名義変更の手続きに時間がかかったりすると、あっという間に期限が来ます。

そのため、相談も早めにしておきましょう。

まとめ

マンションの相続は現在では「単なる不動産の引き継ぎ」から「複雑な税務判断が必要なタスク」へと変わりました。

ご自身で「大丈夫だろう」と判断せず、一度専門家に現状を整理してもらうことをおすすめします。「相続税がかかるのか?」といった素朴な疑問からで構いません。まずは、お気軽にご相談ください。

 

 


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不動産を相続すると、その所有権については引き継いだ方の名義に変更しなければなりません。この名義変更手続きは「相続登記」と言い、現在では義務化されています。
手続きを怠ると、罰則(10万円以下の過料)もあります。
とは言っても、「親戚同士で話し合いがまとまらず、手続きが止まっている」「何代にも渡って、手続きをしていなかったので、権利関係を整理したい」という理由ですぐに手続きができないという方も多いでしょう。

そこで、活用したいのが、義務化とセットで新設された「相続人申告登記」という制度です。

今回は、この「相続人申告登記」の仕組みから活用法、注意点まで分かりやすく解説します。

 

「相続人申告登記」って何?

相続人申告登記とは、相続不動産について、相続人が自分が相続人である旨を法務局に申し出ることによって、登記官がその相続人の住所・氏名などを職権で登記記録に登記することをいいます。
もっとわかりやすくいうと、正式な名義変更ができるまでの間、ひとまず『私が相続人です』と国に届け出ることで、相続登記の義務を果たしたことにしてもらう制度です。

本来、不動産を相続したら「3年以内」に正式な相続登記(名義変更)を完了させなければなりません。
しかし、遺産の分け方で揉めていたり、書類が集まらなかったりして、3年なんてあっという間に過ぎてしまうこともあります。

そんな時に、「今はまだ正式な名義変更はできないけれど、放置しているわけではありませんよ」という意思表示をするための手続きが、この「相続人申告登記」なのです。

国としては、国内の「誰のものか分からない土地」を減らしたい目的があるため、相続登記を義務化しました。
しかし、無理に「3年以内に名義を決めて」と急かしても、家族間の事情でどうしても進まないケースがあります。
そこで、「せめて誰が相続人なのかだけでも教えてくれれば、罰金は科しませんよ」という歩み寄りのルールとして、この制度は作られました。

 

相続人申告登記のメリット

(1)相続人一人だけで手続きができる

 
通常の名義変更は、相続人全員が署名した「遺産分割協議書」などが必要です。しかし、相続人申告登記は、相続人のうち誰か一人が、自分の分だけ(あるいは全員分をまとめて)単独で申請できます。

「他の兄弟と連絡が取れない」「話し合いに応じてもらえない」という状況でも、自分一人の判断で罰則を回避できるのが大きな強みです。
 

(2)遺産分割が未完了でも良い

 
「誰がこの土地をもらうか」が決まっていなくても申請できます。必要なのは「自分が相続人であること」の証明だけです。
 

(3)手続きのコストがほとんどかからない

 
通常の名義変更では、不動産の価値に応じた「登録免許税」という税金がかかります。

しかし、相続人申告登記の手数料は無料です。戸籍謄本などの取得費用だけで済むため、お金の心配は不要です。
 

「相続登記」と「相続人申告登記」はどう違う

相続人申告登記は「一時的な回避方法」のようなものです。
嵐(罰則)が過ぎるのを待つためには有効ですが、そこにずっと住み続ける(不動産を活用し続ける)ことはできません。
 

3つの注意点

(1)「手続きをした本人」しか救われない

 
例えば兄弟3人の相続で、長男だけが自分の所有分を申告した場合、次男と三男は依然として「義務を果たしていない」状態のままです。

もし兄弟全員を救いたいのであれば、長男が「他の兄弟の分もまとめて申告する」という形をとる必要があります。
 

(2)結局「二度手間」になる

 
相続人申告登記をした後、最終的に遺産分割がまとまったら、改めて「正式な相続登記」をしなければなりません。
 

(3)不動産業者から連絡が来るかも

 
申告登記をすると、不動産の登記簿にあなたの氏名と住所が載ります。
登記簿は誰でも見ることができるため、「この土地、活用しませんか?」という不動産業者からのダイレクトメールが届きやすくなる可能性があることは、頭の隅に置いておきましょう。
 

相続人申告登記の手続きの流れ

「難しそう」と思われがちですが、必要書類は意外とシンプルです。

必要書類を揃えて法務局へ申請:

・被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(死亡が確認できるもの)
・申出人(あなた)の戸籍謄本(相続人だと確認できるもの)
・住民票

上記の書類を揃え、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。郵送やオンラインでの申請も可能です。

完了後の確認:

手続きが終わると、登記簿にあなたの情報が記載されます。
手続きに迷ったら、まずは専門家にご相談ください。
 

まとめ

相続登記の義務化は、これまで手続きを後回しにしてきた方々にとって大きなプレッシャーかもしれません。しかし、今回解説した「相続人申告登記」を使えば、ひとまず罰則の心配からは解放されます。

「とりあえず罰則を避けるために申告登記をして、その間にじっくりと家族で話し合いを進める」これが、これからの相続の賢い進め方です。

もしも、相続手続きにおいて「何から手をつけていいか分からない」「自分のケースで相続税はかかるの?」などと疑問や不安がわいたら、どうぞ遠慮なく相談してください。
 


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ご両親が高齢になり、「もし認知症になってしまったら、実家の管理や生活費はどうなるのだろう…」と不安を抱えるご家族が増えています。
「親の財産なのだから、いざとなれば家族が代わりに引き出したり、家を売却したりすればいい」と考える方が多くいらっしゃいます。

しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。
親本人の判断能力が低下し、認知症と診断されてしまうと、銀行口座は凍結され、実家の売却や大規模な修繕といった法的な手続きが一切できなくなってしまうのです。
これを「資産凍結」と呼びます。

今回は、こうした資産凍結のリスクを回避し、ご家族の安心を守るための新しい生前対策である「家族信託」について分かりやすく解説します。

 

認知症対策の新たな選択肢「家族信託」とは?

本人の判断能力が失われた後に財産を管理する方法として、従来は「成年後見制度」が利用されてきました。
しかし、成年後見制度は家庭裁判所の監督下に入るため、財産の使い道が厳しく制限され、「施設入所費用のために実家を売却したい」といったご家族の柔軟な希望が通りにくいという難点がありました。また、専門家への報酬が継続的に発生するなどのデメリットもあります。

そこで近年注目されているのが「家族信託」です。
家族信託とは、親(委託者)が元気で判断能力があるうちに、信頼できる家族(受託者)に対して、ご自身の預貯金や不動産などの財産の管理・処分権限を託す仕組みのことです
財産を託された家族は、あらかじめ決めておいた目的に従って、親のために柔軟に財産を管理・運用することができます。

 

家族信託のメリット・デメリットと注意点

家族信託には多くのメリットがありますが、同時に気をつけなければならない点もあります。

 

家族信託のメリット

 

●認知症になっても柔軟な財産管理・処分が可能

 

最大のメリットは、親が認知症を発症した後でも、口座が凍結されることなく、託された家族の権限でスムーズに生活費を引き出したり、必要に応じて不動産を売却したりできる点です。

成年後見制度のように家庭裁判所の許可をいちいち得る必要がないため、ご家族の負担が大幅に軽減されます

 

●遺言書の代わりとして遺産分割の道筋をつけられる

 

家族信託の契約の中で、「親が亡くなった後は、残った財産を誰に引き継ぐか」をあらかじめ決めておくことができます。
これにより、遺言書と同じような機能を持たせることができ、亡くなった後の遺産分割協議での親族間トラブルを未然に防ぐ効果があります

 

家族信託のデメリット・注意点

 

●身上保護(身上監護)の権限はないという点には注意が必要

 

家族信託は、あくまで「財産の管理や処分」に関する権限を託すものです。
したがって、親の介護施設への入所契約や、病院での医療・入院に関する同意など、身上保護(身上監護)に関する法律行為を代理で行う権限はありません
ここをカバーするためには、任意後見制度などと組み合わせて利用するなどの工夫が必要です。

 

●相続税の節税対策になるわけではありません

 

家族信託は非常に便利な制度ですが、これを利用したからといって直接的に相続税が減額されるわけではありません
財産の管理権限は家族に移りますが、実質的な利益(財産的価値)は親が持ったままであるため、親が亡くなった際には通常の相続と同様に、基礎控除を超える部分に対しては相続税申告と納税が必要となります。
生前贈与や生命保険の活用など、他の節税対策と併せて検討しなければなりません。

参考:相続税申告代行にかかる税理士費用はいくら?【税理士の選び方も解説】

 

まとめ

ご両親が認知症になってからでは、銀行口座の解約や不動産の売却など、あらゆる法的な手続きができなくなってしまいます。
大切なご家族の生活を守るためには、親が元気で判断能力があるうちに「家族信託」などの生前対策について話し合っておくことが重要です

ただし、家族信託の契約は非常に複雑であり、将来の遺産分割協議や相続税申告まで見据えた緻密な設計が必要です。
「うちの場合は家族信託が向いているのか?」「ペナルティ(加算税・延滞税)を受けない正しい対策を知りたい」とお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。

参考:相続税で一番怖いペナルティで「重加算税」とは 【追加負担35~40%】

 

 


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近年、生涯独身の方や、配偶者に先立たれてお子様がいらっしゃらないなど、いわゆる「おひとりさま」として老後を過ごされる方が増えています。
ご自身の老後や亡くなった後のことを考えたとき、「もし自分に何かあったら、この一生懸命築いた財産は一体どうなるの?」という疑問が浮かぶかもしれません。

身寄りがないのだから、複雑な相続手続きは必要ないだろう、と考える方が多くいらっしゃいます。
しかし、身寄りがない方だからこそ、生前の準備を怠ると、ご自身の望まない形で財産が処分されてしまう可能性があります

今回は、おひとりさまの相続手続きがどうなるのか、そしてご自身の想いを形にする生前対策について分かりやすく解説します。

 

身寄りがない方の財産は最終的に「国庫」へ

人が亡くなると、その方の財産(預貯金や不動産など)は、法律で定められた「法定相続人」に引き継がれるのが基本ルールです。
法定相続人になれるのは、配偶者、子ども、親、兄弟姉妹に限られています。しかし、これらの親族が誰もいない場合、ご自身の財産はどうなるのでしょうか。

参考:遺産は誰のもの?「相続人」となる人とは[法定相続人の順位と範囲]|(株)FP財産総合研究所

法定相続人が誰もいない場合、家庭裁判所によって「相続財産清算人(旧:相続財産管理人)」という専門家が選任されます。
この清算人が、故人の借金などの未払金を清算し、それでも残ったプラスの財産は、最終的に「国庫(国)」に帰属することになります。
つまり、何も対策をしなければ、長年ご自身で築き上げた大切な財産は、すべて国のものになってしまうのです

 

おひとりさまが考えておくべき生前対策と注意点

ご自身の財産を国に納めるのではなく、「お世話になった人に譲りたい」「応援している団体に寄付したい」と考える場合は、元気なうちに対策をしておかなければなりません。

 

(1)自分の想いを確実に形にする「遺言書」の作成

 

特定の個人や団体に財産を譲ることを「遺贈」と呼びます。
法定相続人がいないおひとりさまにとって、この遺贈を行うための「遺言書」の作成は最も重要で確実な生前対策となります

遺言書を残しておけば、長年介護をしてくれた友人や、内縁のパートナー、お世話になった慈善団体など、ご自身が選んだ相手に自由に財産を託すことができます。
ただし、遺言書は法律で定められた厳格なルール通りに作成しないと無効になってしまうという点には注意が必要です。

確実性を高めるためには、公証役場で作成する「公正証書遺言」をお勧めします

 

(2)「特別縁故者」の申し立てには高いハードルがある

 

遺言書がない場合でも、生前に故人と生計を共にしていたり、献身的に療養看護に努めたりした人は「特別縁故者」として財産を受け取れる可能性があります
しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。

特別縁故者として認められるためには、家庭裁判所に申し立てを行い、故人との特別な関係性を客観的な証拠を用いて証明しなければなりません。
これは非常に時間と労力がかかる大変な手続きです。

お世話になった方に負担をかけないためにも、やはり遺言書を準備しておくことが優しさと言えるでしょう。

 

(3)亡くなった直後の手続きを託す「死後事務委任契約」

 

遺言書はあくまで「財産の分け方」を決めるものです。
亡くなった直後の葬儀の手配や、病院代の精算、アパートの退去手続きなどを任せたい場合は、生前に信頼できる第三者や専門家と「死後事務委任契約」を結んでおく必要があります

 

まとめ

身寄りがない「おひとりさま」の財産は、何も対策をしないと最終的に国庫へ納められてしまいます
ご自身の生きた証である大切な財産を、希望する相手や社会のために役立てるためには、生前のうちから遺言書を作成するなどの準備が欠かせません。

遺言書の作成や、正しい財産の評価、そして将来的な相続税申告を見据えた対策を行うためには、専門的な知識が不可欠です
「自分にはどんな対策が必要なのか」「何から始めればいいか分からない」と一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。
北本市で相続手続きの支援実績が豊富な相続専門の税理士が、皆様の不安に寄り添い、安心できる老後と的確な生前対策をサポートいたします。

 

 


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人が亡くなると、その人の財産は配偶者や子供などへ相続されることになります。

そして、相続によって財産を取得すると相続税が生じるので(遺産の金額によっては発生しない場合もあります)、税務署へ申告をしなければなりません。

申告には、当然ながら期限が決まっています。期限を守れない場合にはペナルティーが科せられるので、注意が必要です。

 

相続税の申告期限

相続税の申告期限は、「相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

例えば、被相続人が1月1日に亡くなり同日に相続の開始を知った場合、11月1日が期限になります。仮にその日が土日・祝日などだった場合、翌日が期限となります。

なお、相続税の納付期限も同じく相続開始を知った翌日から10ヶ月以内です。納付方法は現金での一括支払いが原則です。

 

相続の開始日とは

相続開始日とは「被相続人が亡くなった日」です。

死亡の判断は、医師作成の死亡診断書に従うケースが大半ですが、失踪期間が長かったり、遺体が見つからない状況で死亡が認定される場合もあります。

死亡の判断がされれば、相続開始日が決まり、各種の相続手続きができるようになります。

 

相続開始を知った日とは

「相続の開始を知る」というのは、「被相続人の死亡と自身が相続人であるという事実を認識すること」です。

多くの場合、その二つの事実を認識するのは相続開始日と同タイミングであるので、「相続開始日=相続開始を知った日」になります。

しかしながら、法定相続人の順位が2位以下となる被相続人の父母や兄弟姉妹は、被相続人の死亡を知っても、先順位の相続人(被相続人の子供)が相続放棄等を行わないと、自分が相続人であると認識できません。そのため、必ずしも被相続人の死亡=相続開始を知った日にはならないのです。

また、長い間音信不通で遠方に住んでいたり、長期の海外旅行に出かけている場合、連絡が取れないケースがあるので、被相続人の死亡日と相続開始を知った日は同日になりません。

なお、相続開始日とそれを知った日にズレがあるかどうかの最終判断は税務署が行います。

もし相続開始日とそれを知った日にズレがあり、相続開始日起算の相続税申告期限に間に合わない場合は、その事実を税務署に知らせるために、申告書の書き方を工夫するか、証拠の郵便物やメール等を添付する方法を取ります。

 

特別な理由がある場合、期限延長も可能

相続税申告期限は、原則として延長できません。簡単に延長を認めてしまうと、様々なケースで申告期限がバラバラとなってしまい、不都合な事例が生じるからです。

しかし、特別な事情がある場合には、例外として最大2ヶ月間の期限延長ができます。

特別な事情とは以下の四項目です。

の4つです

相続人の異動とは、相続人の人数が変わることです。相続人の人数が変わると、各相続人の取り分が変化し、相続税の計算をし直す必要が出るからです。

他にも自己の最低限の財産取り分を主張する「遺留分の侵害額請求」があった場合には、取り分の確保が審議に時間を要するため、相続税の申告期限の延長が認められています。

 

申告期限を過ぎたら、多くのペナルティがある

相続税申告の期限を破ると、ペナルティーが科せられます。具体的には「申告が正しくされなかったことへの追徴課税」「納税が遅れたことへの追徴課税」の二つです。

 

(1)延滞税

延滞税とは、納付が遅れた相続税に対して法定納期限の翌日から課税されます。年率で課税されるので、納税が後になればなるほど、税率は高くなります。

たとえば、令和3年1月1日から12月31日の場合、「申告期限から2か月以内は年2.5%」「申告期限から2か月経過以降は年8.8%」です。

※ 延滞税の税率は原則として、納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合、2ヶ月以後については「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となる。令和3年1月1日以降の特例基準割合は1.5%となっている。

 

(2)加算税

加算税とは、申告が適正にされなかった場合に課せられる税金です。相続税に関しては以下の三つのペナルティーがあります。

 

まとめ

相続税の申告にも期限があり、期限内にきちんと申告と納税を済ませておかないと、延滞税と加算税を払わなくてはなりません。

「10ヶ月もある」と考える方もいますが、他の相続手続きや遺族同士の話し合いにも時間がかかるのであっという間に過ぎてしまいます。

慣れない手続きにはどうしても時間がかかるもの。不安な場合には、相続専門の税理士などに手続きを代行してもらうのも良いでしょう。

 

 


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口座凍結とは「銀行口座から、現金を下ろすことはもちろん、引き落としや振込なども一切できなくなる状態」を指します。

被相続人の銀行口座についても、相続トラブルを避ける目的で、凍結され、原則的に取引ができなくなります。

 

何故、凍結されるのか

相続時に被相続人の口座が凍結されるのには理由があります。

口座に入っている預貯金は相続財産であり、遺産分割が行われるまでは、法定相続人同士の共同所有物となります。

遺族であっても自由に引き出せる状態だと、相続人間でのトラブルを引き起こす可能性があります。そのため、口座凍結の処置が行われるのです。

 

凍結されるタイミング

口座凍結は相続開始後すぐにされるわけではありません。死亡届が市町村役場に提出されても、役場から金融機関に連絡がされることはないからです。

金融機関は以下の方法で名義人の死亡を確認してから、口座凍結を行います。

中には名義人の死亡が確認されないため、口座がそのままになっているケースもあります。

引きおろせる状態にあえてしておくのも良いですが、色々なリスクを考えれば、名義人が亡くなった時点で、遺族側から銀行に連絡を入れた方が良いでしょう。

 

相続開始後の手続き

凍結された口座を再度利用するには、名義の変更を行います。必要な書類等は金融機関によって若干異なるので、事前確認が必要です。

書類に不備がなければ1~2週間程度で凍結が解除されます。
 

(1)遺言書がある場合

遺言書で預貯金の取得者が指定されているなら、遺産分割協議が不要となるので、凍結解除は簡易に行えます。

手続きに必要な主な書類は以下の通りです。

 

(2)遺言書がない場合

遺言書がなければ、遺産分割協議で相続人全員が財産分割に同意する必要があります。同意がなければ、口座の凍結解除は不可能です。

手続きに必要なものは以下の通りです。

 

相続開始前にしておくべき対策

口座の凍結解除には簡単ではないので、お金を引き出すまでに時間がかかります。

被相続人の死後にある程度の現金が必要になる場合、凍結されてから困らないように、被相続人が存命のうちから対策をしておくべきです。

(1)口座からお金を引き出しておく

葬儀費用や生活費が必要なら、相続開始前にいくらか引き出しておきましょう。
引き出す時は、トラブル防止のために推定相続人全員の承諾を得ましょう。
 

(2)生命保険など死亡保険金等に加入しておく

死亡保険金は被保険者の死後に手続きを行えばすぐにお金を受け取れます。
手間がかからないので、相続開始直後の手元資金を増やす方法としてお勧めです。
 

(3)遺言書を作成しておく

遺言書がある場合、口座凍結解除の手続きも円滑に進みます。

遺言書がなければ遺産分割協議を行わなければならず、協議が長引けば凍結解除の手続きもできません。

 

(4)口座を整理しておく

故人の口座数が多いと管理や手続きが大変になるので、生前にできる限りまとめておいた方が良いでしょう。

外国の金融口座を所有している場合は、言語の違いから手続きも面倒になるので、できる限り解約をしておきましょう。

 

預貯金の仮払い制度とは

凍結口座が行われると、出金および振込や引き落としができませんが、実は一定限度までであれば遺産分割前でも出金が可能です。

この制度は、「預貯金の仮払い制度」と言って、近年の法律改正によってできました。

この制度を利用すれば、相続人たちは出金したお金で葬儀を出したり生活費を補ったりできます。引き出せるのは、以下の二項目のうち低い金額に該当するものです。

上限額は金融機関単位なので、金融機関を跨って複数の口座がある場合は、出金可能な金額も増えます。

なお、この金額ではお金が足りないという場合、家庭裁判所で「仮処分」の手続きを行なえば、上限額を増やすことができます。

ただ、裁判所の認可をもらうには、必要性や妥当性を提示しなければならず、仮処分の決定を受けるまでのハードルは高いと言えます。

 

払戻しに必要な書類

各金融機関ごとに手続きや必要書類は異なりますが、以下の書類は必須です。

 

注意点

故人の口座から預貯金を引き出して使用すれば、相続財産を処理したことになり、「単純承認」が成立します。単純承認は財産を相続したことになるので、相続放棄はできません。

ただし、預貯金の仮払い制度を利用して払い戻したお金の使用先が葬儀代等であれば単純承認とはなりません。生活費など自身のために使用すれば、成立します。

もし、相続放棄を検討しているなら、安易に預金の仮払いを利用するのは避けましょう。

また、制度利用には他の相続人の同意を得る必要はありませんが、遺産分割協議時にもめごとにならないよう、できる限り利用前に事前に連絡をしておくべきでしょう。
 
 

まとめ

相続した預金口座が凍結されてしまうと、お金は引き下ろせません。

預貯金の仮払い制度を使うのも良いですが、相続放棄ができなくなる可能性もあるので、慎重な対応が必要です。迷った場合は専門家に相談することをお勧めいたします。

 

 


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