相続税申告内容が間違っていた場合の対応方法とは【訂正申告・修正申告】
相続で財産を引き継いだ場合、相続財産の総額によっては相続税が生じます。相続税が生じる場合、税務署に対して相続税の申告と納付が必要です。
この相続税の申告と納付の期限は「被相続人が亡くなったこと・自信が相続人であることを知ってから10ヵ月以内(ほとんどの場合では、相続開始日と同じになります)」です。もし、期限内に手続きを済ませないと、ペナルティとして加算税や延滞税を追徴税として払うことになります。
また、申告と納付が期限内であっても、その内容が間違っているケースがあります。申告した額が本来の相続税の金額よりも大きければ、納税者が税金を多く負担しただけですから、問題ありません。
しかし、少ない金額で申告してしまった場合は、申告をやり直さなくてはいけません。
相続税申告は間違いが起こりやすい
そもそも一般の方が相続税の申告をする場合、申告内容を間違えがちです。
というのも、相続税の計算には各財産を調査し、それぞれの財産を正しく評価します。その上で、相続税額が算出されますが、一連の作業には専門知識が必要です。
逆に知識がなければ、非常に難しく、申告額に誤りが生じやすいのです。
やり直しが期限内であれば、訂正申告
もしも、すでに提出した申告書の間違いに気づいた場合はどうすれば良いのでしょうか。
間違いに気づいたのが申告の期限内であるなら、単純に申告書を作りなおして再提出すれば良いです。
相続税法でも、申告期限内に相続税の申告書を提出した方が、さらに、同期限内に、その申告にかかる課税価額、相続税額もしくは贈与税額を修正した申告書を提出した場合、国税通則法第19条第1項の修正申告書とはせずに「期限内申告書として取り扱われる」とされています。
つまり、後に再び出した申告書であっても、「期限内に出された正しい申告書」として処理されます。よって、間違いに気づいた場合は、急いで申告を出し直した方が良いでしょう。
期限内の提出なので、もちろんペナルティはありません。
期限後であれば修正申告となる
もし、期限後に申告の間違いに気づいた場合、申告内容を訂正する手続きは「修正申告」となります。修正申告では、相続税の本来の納付期限を守っていないため、「過少申告加算税」と「延滞税」を負担しなければなりません。
過少申告加算税の課税率は修正申告をどのタイミングでするかで異なります。
- 「税務署の調査を受けた後」に修正申告書する場合、納付すべき税額に対して10%(追加納付する税額が期限内申告をした税額または50万円のどちらか多い金額を超える部分に対しては15%)が過少申告加算税として加算されます
- 修正申告書の提出が、税務調査の通知以前であることに加えて調査による更正を予知してされたものでない場合、課税はありません
- 税務調査の事前通知後の場合、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税がかかります
過少申告加算税は、調査の通知が来るまでに修正申告をしないと、課税されてしまいます。
延滞税は従来の納期限日から修正申告をした日(この日が修正した相続税の納期限となります)までの期間に、年「7.3%」もしくは「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合が適用されます。
2カ月を超えると、
年14.6%か「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合が適用されます。
令和6年の場合、2カ月内なら2.4%、2カ月を超えると8.7%となっています。
修正申告はどうすれば良いのか
修正申告の場合でも、申告書や添付書類は国税庁のホームページからダウンロードできます。
書類を正しく記入したら、速やかに税務署に提出しましょう。
修正申告書の提出は、管轄の税務署窓口に直接持って行っても良いですし、郵送や、e-Taxを利用した電子申告でも構いません。
相続税の修正申告については既に述べた通り、遅れれば遅れるほど延滞税が課せられていくシステムです。また、加算税の負担率も上がるので、早めに出しましょう。
相続税申告後に新たな財産が見つかった場合も対応が必要
相続税の申告後に新しい財産が発見される場合もあります。
発見された財産が高価なもので、相続税額に影響する場合には、申告と納付をやり直す必要があります。
こちらの場合も、やり直しが申告期限内であれば、新たな財産を含めたものに作成しなおした申告書を提出し、納税すれば、問題ありません。
期限後であれば、修正申告となり、調査通知前に自主的に修正申告をする場合には加算税は課されませんが、延滞税はかかります。
なお、無申告の状態で、法定期限後に修正申告をする場合、調査通知前に自主的に修正申告をしても、加算税の割合は5%となります。
まとめ
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内で、納付の期限も同じです。
この期限は思ったより早くやってきます。相続では必要な手続きがたくさんあるからです。
各手続きは一つ一つ時間がかかり、すぐには終わりません。よって、申告のための作業は早期に取り掛かる必要があります。
早めに手続きをしていれば、もし間違いに気づいた場合、申告期限内に申告書を提出できる可能性も高くなります。期限内であれば、ペナルティを受けることはありません。早めに手続きをするのは、このように大きなメリットがあるのです。
もし、手続きが難しいと感じるのであれば、相続税専門の税理士に手続きを代行してもらいましょう。報酬はかかりますが、余計な手間や不安がなくなるため、お勧めです。
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平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。