相続において、もし相続人が一人だけだった場合は、その方が手続きをします。しかし、相続人が数名いる場合、各相続人が協力して手続きを進めていく必要があります。

とは言っても、各相続人は大抵の場合、違う地域に住んでいます。特に遠方に住んでいると、レスポンスが遅くなる可能性が出てきます。

手続きの中には期限付きのものもあるので、先延ばしにしてしまうと大きなリスクとなります。よって、可能な限り、取り掛かれるものから早めに手をつけたいところです。

実は、相続手続きの中には相続人単独でできるものもあります。ここで言う単独でできるものとは、他の相続人の許可が不要なものです。

よって、動ける人がそれらの手続きを進めたほうが良いのです。

 

単独でできる相続の手続きその1:遺言書の確認

遺言書があるかないかで手続きは大きく変わります。そのため、相続ではまず故人が遺言書を残していないか確認しなければなりません。

この遺言の確認については他の相続人の同意を得る必要はありません。ただし、遺言書は形式によって、探し方も異なります。
 

(1)公正証書遺言・秘密証書遺言の場合

 
公正証書遺言・秘密証書遺言の場合、作成の過程で公証役場を通します。そのため、「遺言検索システム」で照会が可能です。

遺言検索システムは、全国の公証役場で利用できます。基本的に相続人であればシステムを使えますが、遺言者との関係を証明する以下の書類が必要です。

代理人であってもシステムを利用できますが、その場合、先ほどの書類に加えて相続人の実印で押印した委任状等が必要となるので注意しましょう。

検索した結果、公正証書遺言があると分かったときには、内容を確認しましょう。内容の確認は原本が保管されている公証役場にて手続きをします。(郵送での請求も可能です。)

なお、公正証書遺言は原本が役場に保管されていますが、秘密証書遺言は、原本が遺言者の管理となります。つまり、秘密証書遺言はシステムによって遺言書の有無だけの確認となります

原本は遺言者の自宅などから直接探し出さなければなりません。原本が見つからなければ、内容がわからず、遺言書の効力も生じません

 

(2)自筆証書遺言で法務局の保管制度を利用している場合

 
自筆証書遺言では、法務局で原本を保管できます。遺言者がその保管制度を利用していた場合は、法務局に行きましょう。

相続人や受遺者であれば相続開始後に全国の遺言書保管所にてモニターで遺言書の閲覧が可能です。ただし、原本閲覧は遺言書が保管されている遺言書保管所だけです。

閲覧請求には以下の書類を用意します。

相続人や受遺者が遺言書の閲覧をした場合、遺言書保管所の方から他の相続人に遺言書を保管している旨を連絡してくれます。

遺言者が保管制度を利用していたかどうかが不明でも、請求をすれば遺言書保管の有無は分かります。証明書の請求は全国の遺言書保管所で可能です。

 

(3)自筆証書遺言を自己保管している場合

 
自筆証書遺言で保管制度を利用していない場合、遺言書は遺言者本人が管理しています。その場合、実物を見つけ出す以外に方法がありません。

自宅に置いている場合もあれば、知人に預けている場合もあります。当然ですが、原本が見つからなければ、遺言書の効力は生じません

 

単独でできる相続の手続きその2:財産調査

財産調査は、相続財産の引き継ぎ方法を選択する上でも、相続税の申告においても重要な作業です。

相続人が知らない財産は意外と多いのです。銀行口座はもちろん、不動産、有価証券、生命保険や損害保険、車、他人に貸し借りしたお金についてまで、調べなければなりません。

この相続財産の調査は相続人単独でできます。

財産調査にあたり、最低限必要な書類は以下です。

遺産全容を明らかにする財産調査はとても重要です。しかし、時間も手間もかかるため、早急に取り掛かりましょう。時間が取れない場合は、専門家に任せましょう。

 

単独でできる相続の手続きその3:相続放棄

相続放棄は相続権を手放すことです。相続権がなくなるので財産取得はできません。

相続では全てのケースでプラスの財産が上回るわけではありません。被相続人が生前に多額の借金を抱えていた場合、そのまま財産を引き継いでしまうと相続人が返済に苦しむことになります。

そのようなケースにおいて、相続放棄が選択される場合もあります。

相続放棄については、各相続人が自分の意思で選択の判断をするので、他相続人の許可は不要です。

相続放棄をする場合、以下の書類を用意し、家庭裁判所に申し立てをします。

相続放棄は、自身が相続開始を知ってからから3ヶ月以内にしなければなりません(熟慮期間内)。

「財産調査が進んでいない」といった、相応の理由がある場合には、期間延長の申請も可能ですが、原則として期限を過ぎないように注意しましょう。

 

まとめ

相続人が単独でできる手続きはご紹介したように三つあります。相続の手続きには期限付きのものもあるので、できることから取りかかった方が良いでしょう。

ただし、故人の葬儀や法要で忙しく、なかなか手続きに取り掛かれない場合もあります。そんな方は、相続専門の税理士に手続きを代行してもらうことを検討しましょう。

報酬はかかってしまいますが、手続きを放置するとリスクが大きくなります。

また、相続のプロが手続きをした方が、相続人本人の負担もありませんし、手続き上のミスも起こりません。特に相続税の申告はミスをすると追徴課税となってしまうので、税理士に代行を頼んだ方が安心です。

なお、相続税の代理申告は税理士の専業ですので注意しましょう。

 

 


 
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相続人が受け継ぐ故人の財産は「遺産」や「相続財産」と呼ばれますが、どこまでが遺産の範囲なのかご存知でしょうか。被相続人の預貯金や現金、不動産はもちろん遺産ですが、借金といったマイナスの財産も遺産に含まれます。

相続財産とは、被相続人が亡くなった時点で所有していたものだけでなく、権利義務も対象だからです。借金は債権者にお金を返す義務があり、これも相続人に引き継がれるのです。

要するに、経済的な価値があるものは大方相続財産に含まれると考えれば良いでしょう。

相続財産の把握は、分割協議を進めるだけでなく、相続税申告の点でも大切です。ですから、何が相続財産に該当するのか、しっかりと理解しておきましょう。

 

相続の対象となる財産

(1)プラスの相続財産

※会員権については規約に「会員死亡時に失効する」との記載がある場合、相続対象になりません。

 

(2)マイナスの相続財産

被相続人の借金やローンも、マイナスの財産として相続人が引き受けます。

相続税額を算出する過程として、まず遺産総額から「基礎控除」を引きます。そして、被相続人に借金などの「債務」があった場合は、これも差し引きます。遺産総額が減れば、相続税額も減るので当然ながら税負担が軽減されます。

この仕組みは「債務控除」と言います。

債務控除に当てはまるものとしては、「相続時に存在」かつ、「確実と認められるもの」に限定されます。わかりやすいもので言えば、被相続人の借金やローンがありますが、支払われていない税金や、光熱費も対象となります。

債務控除は以下のコラムで詳しく解説していますので、一読ください。

★参考記事:債務は相続財産から控除可能 債務控除の対象とそうでないもの

 

相続財産に該当しないものとは

(1)遺族給付

 
遺族給付は、被相続人と一定の関係がある人に対して給付されるものです。これは遺族が受け取るものであり、「固有の権利」であるため、相続財産には含まれません。

遺族給付には遺族基礎年金、遺族厚生年金などがあります。

 

(2)賃貸物件の家賃

 
被相続人の財産に賃貸物件がある場合、相続時やその後も賃料が発生します。これら相続財産から発生した収益は相続財産には含まれません。

ただし、「誰が受け取るのか」については遺産分割協議の中で取り決めることが多いです。

 

(3)株式の配当

 
株式の配当も相続財産から発生した収益になるので遺産ではありません。配当については遺産分割協議の中で取り分を決めます。もし、相続人の一人が独占しているような場合には、訴訟で返還を請求することも可能です。

 

(4)一身専属的な権利・義務

 
故人の一身専属な権利・義務は相続財産とはなりません。一身専属的な権利・義務は、その本人のみに認められた特別なもののため、他の方への譲渡・相続はできないからです。

下記のものが当てはまります。

 

相続財産であっても、分割の対象にならないものとは

相続財産なのに遺産分割の対象とならない財産は以下の通りです。

(1)債務

 
被相続人の債務については、遺産分割の対象にはなりません。

各相続人が法定相続分に応じて相続し、相続後はそれぞれが債権者に対して返済義務を負うことになります。

ただし、相続人全員の合意がある場合、遺産分割協議で一部の相続人に相続債務を負担させることもできます。

 

(2)生命保険金

 
生命保険金は契約や約款で受取人が指定されており、支払われるお金は受取人固有のものなので、遺産分割の対象にはなりません。

ただし、受取人未指定の場合や受取人が被相続人だった場合は、遺産分割の対象となります。

 

(3)可分債権

 
可分債権とは、その性質上、分割可能な債権です。

貸金債権や過払い金などの不当利得債権、事故における損害賠償債権などがあります。

いずれも法定相続分に従って相続するので、各自が法定相続分に相当する割合について請求することが可能です。よって、遺産分割の対象とはなりません。

 

まとめ

相続の手続きを進めるとき、何が相続財産かわからないと遺産分割協議はおろか、相続税申告の準備もできません。

今回紹介したように、何が相続財産に該当するか、分割対象となる財産は何なのかをきっちりと押さえておきましょう。

ご自身だけでは難しいと判断された場合は、相続専門の税理士のサポートを受けることをおすすめします。負担なく、相続税の申告も可能となります。

申告の間違いはもちろん、節税アドバイスも受けられるので、是非お気軽にご相談ください。

 

 


 
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金の値上がりを受けて、資産運用や財産の分散を目的として、金を購入する方がいます。

金や純金は価値のあるものであり、相続税の課税対象です。よって、故人の財産に含まれているのであれば、個別に評価額を計算し、申告と納付をしなければなりません。

では、金の相続税の計算方法はどのようになるのか。また、金を相続税対策に利用することの注意点についても解説いたします。

 

相続税の課税対象となる金

金というとゴールドバーが思い浮かびやすいですが、金貨や、仏像、時計、金印など、様々なものがあります。これらは、金の製造業者や、貴金属を取り扱う店舗で購入できます。また、純金積み立てと言って毎月一定額を積み立てる投資もあります。

これらは、相続時に全てが相続税の課税対象になります

金はそれ自体が価値のあるものですから、どんな形をしていても相続税の課税対象に含まれるのです。

 

仏像仏具であっても課税対象

仏像や仏具などは「祭祀財産」とされ、相続財産ではありません。そのため、相続税対象でもありません。

祭祀とは、神や祖先を祀ることで、その祭祀に関する財産のことを祭祀財産と言います。祖先を祀るもしくは礼拝用に供されるためのもので、仏壇や仏像、神棚、位牌等があります。(基本的に祭祀に必要であるもの全てが当てはまります。)

しかし、注意したいのは、祭祀財産が「その価値が社会通念上認められるもの」に限られる点です

つまり、金でできていると相続税の課税対象となります。純金製の高価なものについては、祭祀財産ではなく、投資用の財産であると税務署が判断します。

 

金の相続税評価とは

相続税評価額の計算方法は、以下の通りです。
金の相続税評価額 = 相続開始日の業者買取価格(税込) × 保有g数

金地金の買取価格は1gあたりの金額で公表されています。買取価格は金の買取専門業者に連絡するか、ホームページを参考にしましょう。

なお、買取価格とは「業者の買取価格」であって、業者から一般消費者に売る価格(小売価格)ではないので注意してください。

骨董品となる金の美術品、アンティーク金貨は、「骨董品としての価値」を相続開始時の時価で評価します。そのため、専門の買い取り業者に直接査定をしてもらう方が良いでしょう。

なお、複数の業者に査定してもらった場合、納税者の判断で採用する買取業者価格を選択しても構いません。

 

金は節税対策に向いている?

金は安定資産として価値の保存に優れていますが、節税の観点から言えば効果はあまりありません。

ただし、不動産と違って換金性には優れているので、遺産分割には適しています。あらかじめ金地金を小分けにして相続人の数ずつ用意しておくことも可能です。

 

金を隠すことは不可能

「金は預金と違って、税務署にバレない」と思っている方は要注意です。

金は価値が高いことから、しばしば脱税の道具にもされるので、税務署も丹念な調査をしています。金が必ず税務署に見つかる理由は以下の通りです。
 

(1)購入時の取引記録

 
現在の日本では、法律によって、金の購入時に本人確認及び売買を記録することが業者に義務付けられています。

この取引記録の法定保存期間は7年です。よって、期間内に税務署が金の販売業者に対して調査すれば、購入の事実が出ます

 

(2)売却時の記録

 
取引価格が200万円を超える金地金や金貨の売買が行われると、取引業者から税務署に支払調書と呼ばれる書類が提出されます。

そのため、支払調書から売買関係者が明らかになります

また、200万円以下でも、業者は「古物営業法」規定に準じて本人確認と取引の記録をしているので、支払調書が提出されなくても、記録は残っているのです。

つまり、購入時の金の所有が見つからなかったとしても、その金を売却する際に発覚することになります。

 

まとめ

金の相続税の計算方法について述べました。金は相続税対策にはあまり向いていないと言えます。よって、節税としては別の方法を取るべきです。

なお、財産隠しは絶対にしないこと。

税務署サイドは、被相続人および相続人のすべての金融機関の履歴を調べます。よって、相続税の申告内容が少しでも怪しいと感じたら、毎月のお金の流れを細かくチェックし、使途不明金の詳細を調べます。

申告書に記載がないような入出金を見つければ、税務調査がされます。そこで財産隠しが指摘されれば、厳しいペナルティーが課せられます。

そのため、もし金や純金が相続財産にある場合は、必ず評価額を算出し、正しく相続税申告をしてください。

 

 


 
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相続で財産を取得したら、その財産額に応じて相続税額を算出し、申告と納付をしなければなりません。

相続税の申告は、連名で提出できますが、納付の方は原則として相続人ごとにします。そのため、相続財産を取得する方はその支払い方法について理解しておく必要があります。

 

相続税を支払わなければならないケース

相続税は基本的に「取得した遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えた場合」に生じます

「基礎控除」とは、一定の金額まで、税金の支払いが免れるボーダーラインです。遺産の総額からこの基礎控除額を差し引いた財産にのみ相続税が課税されるのです。遺産総額が基礎控除内におさまっていれば、相続税は払わなくて良いのです。

基礎控除は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の数式で算出します。

なお、遺産総額が基礎控除額を上回った場合でも、相続税が0円となるケースがあります。相続では要件を満たすことで利用できる基礎控除以外の控除制度があるからです。

ただし、それらの特例を利用する場合、申告は必要となります。(利用要件に申告が必須となっているからです。)

 

納付の期限は相続税の申告と同じ

相続税の納付期限は申告と同じです。相続人が相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

10ヶ月となると長そうな気もしますが、相続では、被相続人の通夜・葬儀、戸籍の収集、相続財産の調査、準確定申告など、やることがたくさんあります。それらに気を取られて期限を破らないように注意してください

納付が遅れると、「延滞税」というペナルティーが生じ、本来よりも高い税金を払うことになります

なお、多くの場合、相続税の納付は申告の後にされますが、納付を先にしても構いません。期限内であれば、納付のタイミングはいつでも良いのです。

ご自身が払う税額がしっかりと計算できていて、問題ないのであれば、申告書の提出前に相続税を払っても大丈夫です。

 

納付は現金での一括納付が原則

相続税は原則として、納付書と共に、現金一括で支払うことになっています。

支払いは税務署でも良いですし、銀行、信用金庫などの金融機関でも可能です。なお、税額が少額であるなら、コンビニで支払うこともできます。

 

相続税はまとめて支払っても良い(注意事項あり)

冒頭でも説明しましたが、相続税の納付は原則として、相続財産を取得した相続人もしくは遺言によって財産を受け取る受遺者本人が納付します。

ただし、相続税を相続人の代表者がまとめて支払うことも問題はありません。各相続人がそれぞれ払うのは面倒だからという便宜上の理由で、代表の相続人が納付期限内に立替払いをしても良いのです。

相続税を支払わない相続人がいれば、他の相続人にその分の相続税の納付義務が生じます。これは連帯納付義務と言いますが、それを回避するため、該当の相続人には相続税分を差し引いた預金を渡して、相続人代表者がその人の分の相続税もまとめて払うケースもあります。

なお、相続税を立替で払う場合、清算は速やかにすることが重要です放置していると、「相続税を肩代わりしてあげた」と税務署に判断され、「みなし贈与」として贈与税が課されてしまいます

 

納付書について

相続税の納付では納付書が必須です。各相続人で納付書を作成します。

納付書は税務署の窓口に直接出向いて取得します。税務署の窓口にて相続税の支払いである旨と管轄の税務署、納付手段を伝えれば、専用の納付書がもらえます。

納付書は全国どこの税務署でも配布しています。

なお、インターネットを利用したクレジットカードでの支払いであれば、納付書の作成は不要となります。

 

相続税の納付手段

(1)金融機関での支払い

 
地方銀行や信用金庫、郵便局などの金融機関で支払いが可能です。

たまにですが、支払いに対応していない場合もあるので、電話で該当の金融機関に確認してから手続きをしましょう。

 

(2)税務署での支払い

 
税務署の窓口でも納付できますが、相続税の申告書を提出する税務署に限られます。つまり、被相続人の住所地を所轄する税務署のみです。

 

(3)コンビニでの支払い

 
コンビニでも納付が可能です。ただし、その場合は納付額が30万円以下となります。
事前に納付書を税務署に持っていき、バーコード付の納付書を発行してもらいましょう。

 

(4)インターネット利用

 
平成29年よりインターネットを利用したクレジットカードでの納税が可能となりました。

自宅で納付ができるので便利ですが、納税額が1,000万円未満に限られること、領収証書は発行されない、決済手数料が生じるといったデメリットがあります。

利用する場合、「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし手続きをします。

★参考:国税クレジットカードお支払サイト

 

まとめ

相続税の納付は原則として相続人ごとにします。

納付書を作成の上、金融機関や税務署で納付をしましょう。少額であればコンビニでも納付は可能です。

 

 


 
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相続では、遺産はいったん相続人全員の共有となります。相続人間で遺産を分けるためには、遺産分割の方法を決めなくてはいけません。遺産分割の方法は四つありますが、それぞれの方法にはメリットもデメリットもあるため、どの方法にするかは慎重に検討しましょう。

前回のコラムでは現物分割と代償分割は前編で解説しましたので、本件では「換価分割」「共有分割」の二つの方法について解説します。

★参考記事:遺産の分割方法とは 各分割方法の違いとは 前編【 現物分割・代償分割 】

 

換価分割

換価分割とは財産を一度売却し、その売ったお金を相続人間で分割する方法です

財産がお金に換えられるので、公平な分割方法と言えます。また、現金が手に入るため、納税の資金を確保できるメリットもあります。相続税は原則として現金納付なので、相続する財産が不動産等に偏っていて、現金が少ない場合に便利です。

また、活用する予定のない土地や建物を相続した場合、固定資産税や維持管理費がかかります。使わない以上、それらは無駄な負担金になりますから、換価分割によって処分してしまう方が良いとも言えます。

 

(1)メリット

 

 
換価分割は財産を現金化するため、相続税の納税資金として活用することもできます。

相続税の納付は現金での納付が原則です。例えば、相続財産の中身が土地や建物しかなく、遺族の方に十分な資金がない場合、相続税の支払いが遺族にとって大きな負担になるケースもあります。

その点、換価分割は分割過程で現金化されるので、そのお金を納税資金にできます。

また、財産を現金化するので、分配は1円単位で可能です。よって、公平性のある分配方法とも言えるでしょう。

 

(2)デメリット

 

 
換価分割では、財産を一度売却しなければならないので、そのまま残すことはできません。住宅や形見の品など、売りたくないものは換価分割すべきではありません。

なお、売るにしても売却価格が希望値で売れる保証もありません。駅から遠かったり、使い勝手の悪い土地であれば、売値も下がります。

また、相続税の納付期限までに売れない場合もあります。そうなれば、納税資金が確保できない可能性もあります。

加えて、注意したい点として、不動産の売却については、手数料などの諸々の費用がかかりますし、税金が課される可能性もあります。

不動産は売却価格から利益がでれば課税所得として所得税の対象になるからです。譲渡所得税が生じれば、換価後の現金を受け取った相続人全員が確定申告をする必要があり、同時に住民税も増額となります。

 

共有分割

相続における共有分割とは、故人の土地や建物を複数の相続人で共同所有する(共有名義とする)方法です。

法定相続分に応じ、それぞれの持分を決めて、名義変更(相続登記)をするのが基本のパターンです。例えば、相続人が長男と次男の2人なら、それぞれ2分の1ずつの共有名義とします。
 

(1)メリット

 

 
共有分割におけるメリットは公平性です。不動産は分割が難しい財産ですが、共有すれば平等な遺産分割となります。また、換価分割とは違って、該当の財産を売らずに残せることも大きなメリットです。

取得する不動産が賃貸用の物件であれば、家賃収入についても持分に応じて平等に分配が可能です。

 

(2)デメリット

 

 
通常では相続が起きる度に、遺産は分割されていきます。不動産で考えると、その所有の権利も細かく分配されていきます。となれば、権利関係者が増えて、内容が複雑になってしまいます。

例えば、一次相続で長男と次男が土地を半分ずつ共有したとします。その後、どちらかが亡くなると配偶者や次世代の子供達(被相続人にとって孫)で持分を分割することになります。それが数回繰り返されれば、共有者が増えていきます。

共有者は多ければ多いほど、権利関係を複雑なものにしてしまいます。
不動産の売却には名義者全員の同意が必要になりますが、関係者の数が多いと、まとまらずにトラブルに発展しやすいのです。

自身の持ち分を売却する「一部売却」も可能ですが。不動産全部を売却するよりも、土地利用などがしにくくなるので、買い手が見つけにくいという欠点があります。そして、売却が成立しても相場より安くなりやすいのです。

分割の後に、単独所有に変更したくても、その際には結局共同所有者全員の同意を得なければなりません。そうなれば、遺産分割協議をやり直すことにもなるので、相当な手間です。

共有分割はデメリットの部分が大きいので、基本的には選択せずにほかの分割方法を検討することをお勧めします

 

まとめ

2部に渡って、遺産相続における分割方法を解説いたしました。

どの分割方法が最適なのかは、相続人の人数や家族構成、他の遺産状況によるので、不安な方は相続手続きの専門家にご相談してください。

専門の税理士であれば、相続税の節税対策や代理申告も可能ですから、色々と便利です。

 

 


 
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相続において、遺産を分割する場合、現金であれば自由に好きな配分で分けられます。(法定相続分に従っても良いし、遺産分割協議で配分を決めることも出来ます。)

しかし、遺産のなかに不動産や自動車などの動産があると話が違います。これらは現金と違って物理的に分けられないからです。特に不動産は一個当たりの価値が高く、遺産価値において高い割合を占めす場合が多いので、処分や分割を巡って相続人間で揉めやすくなります。

実は不動産であっても公平に分けられる方法はあります。分割方法は遺言書が無ければ、相続人同士での遺産分割協議によって決められます。

今回は、相続手続きにおける遺産分割の方法についてご紹介します。是非、参考にしてください。
なお、本コラムは前編と後編の2部にしてあります。

 

現物分割

現物分割は「そのまま」の状態で遺産を相続する方法です。例えば、遺産に自宅と別荘と預貯金金があるのなら、配偶者が自宅を、長男は別荘を、次男は現金を相続する場合が該当します。

また、他にも土地を分筆して、各相続人に相続させる場合も該当します。分筆とは、登記簿上の一つの土地を複数に分割して登記する手続きです。(分筆された土地をそのまま引き継げば、相続人の単独所有となり、活用も売却も自由にできます。)

現物分割は、とても明解かつ簡単ですが、現物分割された財産が他のものと価値が釣り合わないことが多いので、不公平が生じやすいと言えます。
 

(1)メリット

 
現物分割のメリットについては以下の二点があります。

 
例えば、現物分割で不動産を相続すれば、基本的にその名義人は相続人単独のものとなるので遺産分割協議後の名義変更の手続きも簡単になります。名義変更後の売却処分も、相続人の自由にできます。

また、不動産等は財産評価の方法が複数あるので、評価額でトラブルに発展しやすいと言えます。それを考慮すると、現物分割は不動産をそのまま取得するので、評価額を厳密に決める必要性も薄く、トラブル発生率も低いのです。

 

(2)デメリット

 

 
現物分割は、公平な分配がしにくいというデメリットがあります。不動産自体は価値が高く、それ以外の遺産で同額を揃えようとすると大変です。そもそも、同じ程度の財産が揃っているというケースも少ないでしょう。

そのため、相続人間で完全な平等分配を目指すのであれば、現物分割は向いていません。

また、現物分割で土地を分筆した場合、土地の価値が下がってしまう可能性があります。分筆によって土地が細分化されると、用途が限られたり、道路に面しない片側の土地の価値が下がることがあるからです。

評価額が下がると売却額も少なくなってしまいます。

 

代償分割

代償分割は特定の相続人に法定相続分を超える遺産を相続させ、超過分の代替として他の相続人に金銭等を渡す方法です。不動産は母親が引き継ぎ、子供には相続分を母親が後に現金で払うというケースです。

細かい調整ができるので、最終的に相続人全員が同額に近い財産を得ることになります。

不公平感はありませんが、相続後に金銭を支払う相続人にある程度の資力が求められます。支払いが遅れると他の相続人から支払いを求める訴訟を起こされるリスクもあります。
 

(1)メリット

 

 
代償分割を利用すると、該当の財産を相続した方が、他の相続人に法定相続分に応じたお金を払うので不公平感は小さくなります。

相続人間での不満がなければ、円滑に遺産分割を進められます。
同じ公平性のある分割方法に換価分割があります。これは不動産を売却し、そのお金を分割する方法です。

しかし、売却が前提なので、不動産は手元から失われます。「父親が住んでいた家なので、できれば売りたくない」といった場合は、代償分割が良いでしょう。

 

(2)デメリット

 

 
代償分割の1番のネックとなるのが、不動産を相続する相続人に代償金を支払う資力が必求められることです。

他の相続人に代償金を支払えない場合は、代償分割の利用ができません。
また、対象財産の評価をどうするかも問題になります。

代償金を支払う相続人は低く見積もるために相続税評価と同じにしたいところですが、代償金を受け取る相続人は高く見積もりたいので、時価を採用したいでしょう。そのため、評価額の決定で揉める可能性があります。

なお、代償分割の際、支払う代償金額が多すぎると代償金を受け取った相続人に「贈与税」が発生する可能性があります。

相続によって取得する金額よりも、他の相続人に支払う代償金が高くならないように注意する必要があります。

また、遺産分割協議書に代償分割である記載もしておきましょう。(遺産分割協議書に代償分割の記載がなければ、税務署が贈与と判断する可能性があります。)

 

まとめ

遺産相続における分割方法について、解説いたしました。

次回は今回の続きとして、残りの二つの分割方法について述べていきます。

 

 


 
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被相続人が亡くなった際に、遺産に株式が含まれる場合は決められた方法に従い、相続税価格を評価する必要があります。

本コラムでは、「非上場株式」における相続税評価の方法について解説いたします。

 

非上場株式とは

東京証券取引所など、証券取引所に上場していない企業の株式を指します。証券取引所で公開されていないため、一般の投資家が安易に売買できないものです。

多くのケースでは株式は会社のオーナー経営者や役員が保有しています。

 

非上場株式の評価方法

非上場株式は一般公開されないので、取引価格はありません。

そのため、株価は原則的に管理会社の財務状況から評価する必要があります。この点が、上場株式と比べて評価が難しいとされる点です。

具体的には三つの評価方法があります。
 

(1)類似業種比準方式

これは業種が同じか形態の近い上場企業の株価・配当金額・利益・純資産を参考にする評価方法です。基準となる数値のデータは国税庁が公表しています。

評価額は以下の通りに算出します。
類似した上場企業の株価 × 比準割合 × 調整率

比準割合は次の算式で計算します。
比準割合={(評価対象会社の1株当たりの配当金額/類似業種の1株当たりの配当金額)+(評価対象会社の1株当たりの年利益金額/類似業種の1株当たりの年利益金額)+(評価対象会社の1株当たりの純資産価格/類似業種の1株当たりの純資産価格)}/3

調整率は会社規模によって数値が以下のように異なります。
大会社は70%、中会社は60%、小会社は50%

 

(2)純資産価額方式

相続税評価額で求めた会社の純資産額から、評価の差額に対する税額を差し引いて評価する方法です。

数式は以下の通りです。
(資産の相続税評価額の合計 - 負債の相続税評価額の合計 - 評価差額に対する法人税等相当額)/発行済株式数

評価差額に対する法人税等相当額 =(相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37%

 

(3)配当還元方式

被相続人が少数株主、もしくは会社の経営陣に属する人以外の方を対象とした評価方法です。
この方法は、類似業種比準方式や純資産価額方式よりも株式の評価は低くなります。

配当還元価額 =(1株あたりの年間配当額/10%)×(1株あたりの資本金等の額/50円)

 

株を相続する際の注意点

(1)準確定申告を忘れないこと

故人に一定の所得があった場合、故人に代わって相続人が確定申告をしなければなりません。これは準確定申告と言います。通常の確定申告とは異なり、相続開始日から4ヶ月までの期限となります。

被相続人が生前に株式の運用を特定口座もしくは一般口座で行っていたなら、所得税の準確定申告が必要です。

相続税申告よりも先に期限がきますので、こちらの手続きを忘れないようにしましょう。

 

(2)相続した株式の売却には譲渡所得税がかかる

相続した株式を売却する場合、売却益に税金がかかります。株式譲渡でもたらされた所得は単独で所得額を計算し、一律の税率を乗じて税額を算出しなければなりません。

納税額は以下の通りです
{売却代金-(取得費+手数料)}×20.315%※
※所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%

ここの取得費は相続した時の金額ではなく、被相続人が株式を購入した際の価額になります。価格は取引報告書などで確認できると良いのですが、購入がかなり過去のものであると価額が分からない場合も多いでしょう。

その場合、取得費は「売却代金×5%」で計算します。しかしこの計算方法ですと、大半のケースにおいて利益が多額となって、高い税金を支払うことになるので注意が必要です。

なお、相続税の申告期限より3年以内の売却だった場合、納付した相続税の一部を所得税の計算上でマイナスにすることができます。これは相続税の「取得費加算の特例」といいます。

要するに相続税として支払った税金があるので、その分を考慮できるのです。取得費を上げることができれば、課税金額である譲渡所得を少なくできるので、かかる税金も安くなります。

取得費として加算する額は、以下の通りに算出します。
取得費加算総額=その者の相続税額×譲渡した資産の相続税評価額/その者の相続税の課税価格(債務控除前)

特例は要件を満たさないと適用できません。ご自身での申請が難しい場合は、専門家に相談した上で申請を代行してもらいましょう。

 

株の相続での節税相談は税理士へ

株式は上場株式と非上場株式では算出方法が異なります。特に今回説明した非上場株式ですと、算出方法が複雑のため、申告作業がとても大変になります。

評価が難しい場合は、相続専門の税理士への相談をお勧めいたします。

税理士に相談した場合、財産の状況や配当政策などを見直すことで、株の評価額を下げられる可能性もあります。(もちろん、できる対策は会社ごとに違いますが。)

上場株式の場合でも、相続税を減らすことができます。こちらも状況によって、取れる対策は変わってきますので、できれば相続が発生する前の早い段階から、相談した方が良いでしょう。

 

まとめ

今回は、「非上場株式」における相続税評価の方法について解説いたしました。

証券取引所で公開されていない非上場株式では取引価格が存在しないため、相続税評価が難しくなります。

難しいと思ったら、迷わず税理士を頼ってください。報酬はかかってしまいますが、複雑な税務をすぐに終わらせることができ、節税対策にもなるのでメリットは大きいでしょう。

 

 


 
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被相続人が亡くなった際に、相続人へ継承される遺産は現金や預貯金だけではありません。

特に多いのは、土地や建物といった不動産、株式などです。これらは現金とは異なり、それぞれ定められた方法に従い、相続税価格を評価しなければなりません。

本コラムでは、「株式」における、相続税評価の方法や対応について解説いたします。

 

相続財産の株で抑えるポイント

株式にも種類がありますが、相続税評価で大事なのはそれが「上場」であるか、「非上場」であるかです。

上場株式とは、証券取引所(株式市場)で取引できるものを指します。株式を公開すれば経営資金が集めやすくなるメリットがあるため、規模の大きい会社では上場している場合も多いです。

非上場株式とは取引所で公開取引がなされていないものです。公開されていないため、株式はオーナー経営者や役員が株式の多くを保有しているケースが大半です。

この上場株式と、非上場株式では相続税の評価方法が違いますので、相続では抑えるべきポイントになります。

 

株式はどうやって見つけるのか

故人が株を持っていたかどうか確認する方法を説明します。

まず、上場株式の場合、証券会社に開設された口座で管理されていることがほとんどです。証券会社は定期的に株主へ「取引報告書」を郵送しているので、故人宛に郵便物が届いていないか探しましょう。

ネット証券の場合ですと、郵送物が届かない場合もあるので、故人のメールからその手がかりを探すことになります。

郵便物が見つからない場合は、銀行の通帳を見ましょう。通帳の履歴に配当金の入金や証券口座との入出金の記録があれば、株を持っていることになるからです。

証券口座のある証券会社や支店を把握したら、今後の手続きのために相続開始日の「取引残高報告書」の発行を請求しておきましょう。

非上場会社の場合では、株券や株主の名前と持株数が記載された書類が発行されている可能性があります。それらを自宅などから探し、株管理の会社情報を取得しましょう。

なお、非上場会社は、相続人に対して株式の売渡請求を行うことが認められています。そのため、相続後に売渡請求をされる場合もあります。

相続人は、会社からの売渡請求を受けた場合、売却するかどうかは本人の意思で決定できます。

 

株がある場合の相続手続き

(1)上場株式の場合

上場株式の場合、証券会社など取引のあった会社で名義変更を行います。

手続きに必要な書類は被相続人の戸籍謄本・住民票の除票や相続人の戸籍謄本・印鑑証明書などです。遺産分割協議があった場合、遺産分割協議書も必要となります。

上場株式の手続きは証券会社ごとに内容が異なるので、事前に証券会社等に確認すると良いでしょう。

 

(2)非上場株式の場合

非上場株式の場合、株主管理は、株式発行会社がしています。

そのため、株式を発行している会社に連絡をしてから、指示に沿って手続きをすると良いでしょう。

 

上場株式の相続税評価方法

上場株式における相続税評価額は原則として「最終価格」が基準になります。最終価格とは、該当日の最後の取引でついた株価を指します。

以下の4つの価格のうち、「最も低い金額」が相続税評価額となります。

 
もし、相続の発生した日が土日や祝日の場合、取引所が休みのため最終価格が出ません。その際は「相続発生日に最も近い日」の最終価格を採用します。

例えば、土曜日が相続発生日だとすれば、金曜日の最終価格が採用されます。3連休の中日が相続発生日の場合は、連休前と連休後の各日の最終価格の平均額が採用されます。

 

最終価格と平均額の調査方法

最終価格を調べるには下記の方法があります。

 
新聞はアナログ的な手法のため、少々面倒です。最終価格のみ知りたいなら、Yahoo!ファイナンスなどのファイナンスサイトが便利です。
調べたい銘柄の株価表示をソートした後、該当日の日付を指定すれば、その日の終値がわかるので、簡単です。

平均額は、日本証券取引所のページの月間相場表を見れば、金額がわかります。

証券会社に残高証明書を発行してもらう場合は、手数料がかかります。しかし、証明書の情報は間違いのない情報ですから、メリットはあります。

 

新株割当てや配当支払いがある場合

株式は購入日の3営業日後に受け渡しがあります。よって、新株割当てや配当支払いを受ける権利を得るには基準日の3営業日前に株式を購入する必要があります。

3営業日前の購入でないと、権利確定に間に合わず、配当を受ける権利を有しません。これは「権利落ち」の状態です。

通常、上場株式の新株の割当てがある場合、株式数の増加や配当の支払いが行われることを見込んで、株価は下がります。

相続開始日が権利落ちの日から基準日までの間にある場合、前述の評価方法を採用してしまうと、実質的な株価は権利落ちの前と変わっていないのに、不当に低く評価される恐れがあります。

そのため、相続開始日が権利落ちの日から基準日までの間にある場合は、権利落ちの日の前日以前の終値を採用します

 

まとめ

株式投資を行っている方や中小企業の経営者が亡くなった場合、株式が遺産に含まれる可能性は高いでしょう。

株式は上場か非上場かで相続税評価も異なるので注意が必要です。

今回は上場株式の評価方法を解説しました。次回のコラムでは非上場株式の評価方法についても説明いたします。

 

 


 
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相続では配偶者と子供が法定相続人となり財産を受け取るケースが多い。しかし、遺言次第では法定相続人以外を受遺者に指定し、財産の一部を渡すこともできる。

このような遺産の譲渡を「遺贈」と言いますが、財産を取得した方は相続人と同じく相続税を支払わなければなりません。

この時に注意したいのが、相続税の納税額について受遺者は被相続人の配偶者や子供と違って多めになってしまうという点です。

どうして受遺者は相続税が高くなってしまうのか。それには「相続税の2割加算」というルールがあるからです。

 

遺贈について

遺贈は、遺言等によって被相続人の財産(全部もしくは一部)を、指定した受遺者へ無償で譲渡することです。受遺者は誰でも構いません。法定相続人以外の、知人や恩師、企業でも大丈夫です。

相続と遺贈は似ていますが、少し異なります。

相続については故人とその遺族の間で自動的に発生するものです。法定相続人は故人との関係の中で順位に従いその権利が得られます。法定相続人になった方のみが、相続によって財産を取得します。

要するに、相続は被相続人の財産を「法定相続人のみ」に取得させることです。それに対して、遺贈とは遺言等によって財産を「法定相続人以外」にも取得させるものです。

 

遺贈の方法

遺贈のやり方については以下の二つの方法があります。
 

(1)包括遺贈

 
包括遺贈とは渡す財産を指定しない遺贈のことです。遺産全体からの割合を指定して、財産を譲渡します。

具体的には、遺言書に「全財産の4分の1をBに遺贈する」といった内容を書いていれば、包括遺贈となります。

ただし、包括遺贈ではプラスの資産だけでなく借金などのマイナスの資産も指定された割合に応じて取得しなければなりません

また、包括遺贈が指定されている場合、受遺者は他の相続人と同様に遺産分割協議に参加する必要があります。財産をどうやって分けるか決めるためです。財産の全てが預貯金等であれば良いですが、不動産などが含まれる場合は、協議は難航します。

そして、指定された割合が法定相続人の最低取得分(遺留分)を侵害するようなものだった場合には基本的に分割は成立しません。これは一部の法定相続人に遺留分権が認められるからです。

 

(2)特定遺贈

 
特定遺贈とは譲渡とする財産の内容を指定する方法です。
例えば、「自宅をAに遺贈する」「株式は全てBに譲る」といった内容の遺言書があれば、特定遺贈が成立します。

特定遺贈は包括遺贈と違って、負債等まで取得する必要がありません。(遺言書に指定があった場合は取得しなければなりません。)

なお、指定された財産合計額が他の法定相続人の最低取得分(遺留分)を侵害するようなものだった場合には、申し立てによって不足分を戻すようになる可能性があります

 

相続税2割加算というルール

遺贈で財産を取得した場合、相続税が高くなります。何故かというと、相続には「相続税の2割加算」というルールがあるからです

この取り決めは、配偶者や一親等の血族(被相続人の子供・両親)以外が相続財産を取得する場合、本来の相続税より2割分多く払うというものです。

どうしてこんな制度があるのか、それは財産を受け取る方が、被相続人との血縁関係が近い人と遠い人、さらには血縁関係のない人で相続税が同じなのは不自然だと考えられているからです。

相続財産はそもそも残された遺族が生活に困らないように、様々な控除制度が用意されています。血縁の遠い方や友人の場合、たまたま遺産を手にしたのであって、同じ控除を適用して、同じ税額にする必要はないからです。

また、被相続人の孫が財産を取得した場合は世代跨ぎによって相続税を1回免れることもあり、相続税負担の調整を図る意味でも2割加算が適用されます。

 

2割加算の対象者と非対象者を分けると以下の様になります。

 
上記の通り、被相続人と血縁関係が遠い方が遺贈によって相続財産を引き継いだ場合は、従来の相続税の1.2倍分を払うこととなります。
そのため、受遺者は通常よりも高額の相続税を払うことになります。

なお、法定相続人であっても、被相続人の兄弟姉妹は2割加算の対象者です
法定相続人=2割加算の非対象者ではないので注意しましょう。

 

死亡保険金の非課税枠は法定相続人にしか適用されない

死亡保険金や死亡退職金は民法上では相続財産に当てはまりませんが、税法上では「みなし相続財産」となり、相続税が課税されます

死亡保険金には特別な控除枠として「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。しかし、受取人が法定相続人以外に設定されている場合、この非課税枠が適用されません

つまり、法定相続人以外の受遺者だと、保険金にかかる相続税も高くなるわけです。よって、死亡保険金についても、遺贈だと相続税が高くなると言えます。

 

まとめ

相続税の2割加算があるため、遺贈によって相続財産を受け取る場合は相続税が高くなります。
相続税を減らしたいのであれば、生前贈与で財産を渡す等、相続税対策が必要です。詳しく知りたい方は弊所までご相談ください。

相続税をシミュレーションした上で、最適な相続税対策をご提示いたします。

 

 


 
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