相続財産の中には現金・預貯金だけでなく、被相続人の住宅や別荘地等の不動産が含まれる場合もあります。

相続税算出における不動産評価は買った時の価格でもなければ、相続開始時の時価となるわけでもありません。
土地と不動産それぞれの評価方法について、本コラムでご説明いたします。

 

土地の相続税評価方法

相続財産に土地がある場合、相続税評価方法としては「路線価方式」と「倍率方式」の二つのどちらかになります。

基本的には路線価方式を採用し、路線価が設定されていない土地については倍率方式を使います
 

(1)路線価方式

 
路線価は、国税庁が決めた土地価格であり、相続や贈与で取得した土地の評価に適用します。毎年1月1日に価格が更新され、8月頃にHP内で公表されています。

この方式による相続税評価額は以下の数式で算出します。

相続時の土地評価額=正面路線価×奥行価格補正率×土地の面積

 
路線価が40万円、奥行価格補正率が1.0、面積が500㎡の土地なら40万円×1.0×500㎡=2億円となります。

 

(2)倍率方式

 
路線価が設定されていない土地もあります。その際は倍率方式によって価格を算出します。

倍率方式による相続税評価額算出は以下の通りです。

相続時の土地評価額=固定資産税評価額×倍率

 
固定資産税評価額が1,000万円で、倍率が1.2の土地なら1,000万円×1.2=1,200万です。

路線価と評価倍率は国税庁公式HPから確認しましょう。

★参考:国税庁HP 路線価図・評価倍率表

 

建物の相続税評価方法

建物の相続税額評価は固定資産税評価額を基に、建物の「利用状況」によって設定された利率をかけます。利用状況とは個人利用なのか、人に貸していたかに分かれます。

各計算式は以下の通りです。

 
相続不動産が被相続人の住宅であったなら、相続税評価額は固定資産税評価額とイコールになります。別荘の場合も同様です。

固定資産税評価額は4月ごろに各市区町村役場から送付される納税通知書を見ましょう。通知書を失くした場合は、役所にある固定資産税台帳で価格を調べましょう。

貸していた場合や、賃貸物件として運用していたなら、借家権割合や賃貸割合によって評価額は下がります。

借家権とは「賃借人として建物を利用する権利」であり、割合は全国一律で30%です。賃貸割合とは「貸し出されている部屋の床面積の割合」です。多く貸し出されているなら、その分、安くなります。(そもそも、借家権割合が30%もあるので、個人利用でないなら固定資産税評価額よりも3割は価格が下がります。)

注意点としては、無償で貸している場合は個人利用と同じ扱いになることです。賃料をもらっていたとしても、固定資産税程度しか払われていない場合も同様となります。

 

建設中の建物の評価方法

建設中の建物は固定資産税評価額が決まっていないので、相続開始までの費用原価を基に評価額を計算します。

建築中の建物の相続税評価額=建物の費用原価×0.7

 
建物の費用原価は以下の通りになります。
建物の費用原価=請負金額×工事進捗率
 
工事進捗率の確認は工事担当の建設会社から「進捗率証明書」を発行してもらいましょう。

 

土地・不動産共に相続税評価額は時価よりも安い

不動産の時価とは、実際の取引における価格ですが、相続税評価額は時価よりも低いものとなります

土地であれば、路線価方式および倍率方式で算出した価格はおよそ20~30%は安くなります。建物の場合でも、固定資産税評価額は課税目的の不動産評価ですから、時価よりも低い価格設定がされています。

このように土地・不動産共に相続税評価額は時価よりも低くなります。そのために、この仕組みを利用した相続税対策もあります。

具体的には、現金や預貯金を不動産に変えておく方法です。現金を不動産に変えるので、多少の手間や売却リスクは生じますが、「小規模宅地等の特例」等の控除制度も使えるので、上手く活用すれば、大幅に税金を安くすることも可能です。

 

まとめ

相続不動産の評価方法について解説いたしました。

相続不動産の評価はご自身でもできますが、できれば専門の税理士に依頼しましょう。というのも、税理士に不動産評価を依頼することで、煩雑さもなくせますし、自身で評価するよりも評価額が下がる可能性もあります。

というのも、土地評価には価値を下げる減価補正に関する取扱いが規定されているからです。(不整形地や敷地内に高低差がある土地は通常の土地よりも減額となります。)

税理士に相談することで、節税対策もできますので、是非検討してください。

 

 


 
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ご家族が亡くなると相続が生じますが、その相続で取得する財産が一定額以上になると、税務署に対して相続税の申告と納付をしなければなりません。

手続き期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。

もし、10か月以内に申告や納付をしなかったり、申告額が間違えてしまった場合は罰として、追加の税金を支払うことになります

 

相続税の申告と納付の期限

冒頭でも述べたように手続き期限は、「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

「相続の開始を知る」のは多くの場合、相続開始日と同じタイミングですから、「相続開始を知った日=相続開始日」となります。しかし、被相続人やその周囲と長い間連絡を取らず、海外に住んでいる等のケースでは、被相続人の死亡日と相続開始を知った日がずれる可能性もあります。

最終的には相続開始を知った日がいつかは税務署が行いますが、相続開始日起算の相続税申告期限に間に合わない場合は、その事実を税務署に知らせるために、申告書の書き方を工夫するか、証拠の郵便物やメール等を添付した方が良いでしょう。

 

相続税はどのような場合に発生するか

相続税は「取得する遺産の総額が基礎控除額を超えた場合」に発生します。

相続税には基礎控除が設定されており、これは「一定額までは税金の支払いをしなくても良い」というボーダーラインです。
相続税は遺産総額から基礎控除額を差し引いた部分にのみ課税されます。

従って、遺産総額がこの基礎控除額を1円でも上回ったなら、相続税の申告および納付が必要です

なお、基礎控除を上回らなくても、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」等の相続税控除の特例制度を適用する場合、申告は必須です

 

申告や納付に関わる罰則は状況によって異なる

相続税の申告や納付を正しく行わない場合、追加の税金として「加算税」と「延滞税」を払うことになります。

追徴課税の金額はケースごとで異なりますが、場合によっては高額の税金を支払うこともあります

 

(1)申告が無かった場合

 
必要なのに期限までに申告しなかった場合、「無申告加算税」が課されます。1日遅れただけでも課されるので注意しましょう。

課税率は以下の通り。

 
税務調査の通知が入る前、事前通知後で税務調査が入る前、税務調査を受けた後、どこで期限後申告を行ったかで税率は変わります。

 

(2)申告額が少なかった場合

 
期限内に申告を完了しても、本来の納税額より少なく申告していると、「過少申告加算税」がかかります。過少申告加算税は、本来の税額と最初に支払った税額との差分についてかけられます。

課税率は以下の通りです。

 
申告の誤りに気づき、法定期限までに再度申告をやり直せば、過少申告加算税はかかりません。

 

(3)相続税の納付期限を守らなかった場合

 
納付期限後に相続税を納付した場合、期限の翌日から納付日までの日数に応じて、利息に相当する金額が「延滞税」として課税されます。

延滞税=追加で納める税額×延滞税の税率×日数÷365

 
税率は、相続税の納付期限の翌日から2ヶ月までは年2.4%でそれを過ぎると年8.7%が課されます。(税率は令和4年1月1日から12月31日までの期間のものです。)

2ヶ月という括りは

となります。

 

(4)故意の隠蔽や詐欺など悪質だと見られる場合

 
相続財産を隠したり、故意に相続税を低く見せようとする悪質な場合には「重加算税」が課されます。

課される税率も以下のように相当に重いものとなります。

 
罰則対象は相続財産を意図的に隠して申告しなかった場合等です。申告をうっかり忘れていた場合には基本的には、この「意図的に」と言う部分に該当しないため重加算税はかかりません。

 

まとめ

相続税がかかる財産の範囲はとても広く、加えて評価方法も違うため、相続税額を算出するのも困難です。

よって、誤った金額で申告を行ってしまい、結果的に加算税や延滞税を課せられるというケースも多いのです。

場合によっては高額の税金を払うリスクもあるので、相続税の申告は専門の税理士へ相談した方が良いでしょう。

 

 


 
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相続放棄は、法定相続人がその権利を手放し、被相続人の残した財産の相続をしないことです。(相続財産の中のプラスの財産はもちろん、借金などのマイナスの財産も受け取らないということを意味します。)

財産を一切受け取らないので、相続放棄をした人は相続税を支払わなくて良くなります。

しかし、相続放棄をしても死亡保険金などを受け取るケースもありますので、その場合は相続税が生じる可能性があります

このページでは相続放棄が相続税にどんな影響を与えるのか、まとめています。是非参考にしてください。

 

死亡保険金や死亡退職金を受け取る場合は相続税を払う

死亡保険金や死亡退職金は税法上で「みなし相続財産」となり、相続税の課税対象です。みなし相続財産は、相続放棄をしても受け取れますが、受け取った金額に対して相続税が課税されるのです

また、死亡保険金や死亡退職金には非課税枠「500万円×法定相続人の数」が設けられていますが、相続放棄した人には適用されません。非課税枠はあくまで相続人に対して設けられている制度だからです。

 

基礎控除額には影響なし

相続放棄をすると、その相続人はいなかったものとなりますが、基礎控除の計算では相続放棄した人も法定相続人数に加えます

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出します。

例えば、法定相続人が被相続人の配偶者と子供二人の計三人で、子供の一人が相続放棄したとすると、基礎控除額は3,000万円+600万円×3=4,800万円となり、相続放棄がなかった時と同じ金額になります。

つまり、特定の誰かが意図的に相続放棄を行って基礎控除を増やしたりもできませんし、逆に基礎控除が減って相続税額が不当に高くなるといったこともないのです。

 

死亡保険金への影響

前述したように死亡保険金や死亡退職金は相続放棄をしていても取得できます。(受取人に指定されていればですが。)

これらには「500万円×法定相続人の数」という非課税枠がありますが、基礎控除と同様に相続放棄をした方も法定相続人の数に加えます

こちらも、相続放棄によって非課税額が変わることはないのです。

しかし、受取人が相続放棄をした方だと、非課税枠は適用されません

 

未成年者控除・障害者控除への影響

相続人が未成年者や障害者である場合、特定要件を満たせば、相続税を控除できます。

未成年者控除=(20歳−相続人の年齢)×10万円

障害者控除(一般障害者)=(85歳-相続開始時の満年齢)×10万円
障害者控除(特別障害者)=(85歳-相続開始時の満年齢)×20万円

相続人が相続放棄をしていても相続税の計算上はなかったものとして考えます。よって、遺贈や死亡保険金取得等にかかる相続税については、未成年者控除や障害者控除を組み入れられることになります。

 

配偶者控除への影響

配偶者が相続人であれば、「1億6,000万円か配偶者の法定相続分額」のうちどちらか大きい金額までを非課税にする配偶者控除が適用可能です。金額を超える場合は、控除分を差し引いて相続税が課税されます。

もし、配偶者が相続放棄をしていて、死亡保険金などのみなし相続財産や遺贈による財産を受け取っている場合、この税額軽減を適用することができます。

これは相続放棄をしても被相続人の配偶者であることは変わらないからです。

 

債務控除への影響

被相続人の借金や未払いの固定資産税など、いわゆるマイナス財産は通常、債務控除として相続財産の金額から差し引きます。
相続放棄をした場合、債務控除の対象となりません。(相続放棄をした時点でプラスの財産もマイナスの財産も引き継がないからです。)

ただし、葬儀などの社会通念上相当な費用を負担していた場合には、相続放棄をしていても、相続財産からその葬式費用分を差し引くことができます。

 

相次相続控除

相次相続とは10年以内に立て続けに起きる相続で、相次相続控除とは2次以降の相続で課税される相続税から一定額を控除するものです。

相次相続控除は適用が相続人に限定されるので、相続放棄をした場合は適用できません。

 

まとめ

今回の内容をまとめると

となります。

細かい説明が必要な場合は、相続を専門とする税理士に相談してください。

 

 


 
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相続では、全てのケースで遺産がプラスになるとは限りません。

相続財産には被相続人の負債も含まれますが、その金額が金銭や不動産などの合計額を上回る可能性もあります。そのまま相続すれば、相続人に支払い義務が発生します。(負債のみ受け取らないという選択はできません。)

中には、負債額が大きく、相続後に返済ができず自己破産をしなければならなくなってしまうこともあります。

このように、相続によって不利益を被ることが明らかな場合には「相続放棄」を検討します。相続放棄とは相続人としての資格を手放し、財産取得をしないことです。

この相続放棄は期間内に家庭裁判所(被相続人の最後の住所地の裁判所)に必要書類を提出して手続します。書類が受理されて相続放棄が成立すると、撤回はできません

 

相続放棄を選択できる期限

相続放棄ができるのは「熟慮期間」内です。熟慮期間とは被相続人が亡くなり、自身が相続人であることを知ってから3ヶ月以内となります。

期限を過ぎてしまうと、自動的に相続を「単純承認」したという扱いになり、原則として相続放棄ができません。(単純承認とは、全て遺産を相続するということです。)

相続放棄は熟慮期間内に必ず手続きしなければなりませんが、不動産や株式等の遺産評価に時間がかかる、被相続人の債務状況の整理が終わらない等、相応の事情がある場合、3ヶ月の期限延長をすることもできます。

ただし、期限の延長が認められるかどうかは家庭裁判所の判断に委ねられ、必ず延長できる保証もありません。そのため、相続放棄の判断は熟慮期間内にできるようにしておきましょう。

 

相続放棄の撤回はできない

相続放棄の申述を裁判所が受理してしまうと、それを撤回することは不可能です。相続放棄の撤回ができてしまえば、債権者や他の相続人にも影響が出てしまうからです。

相続人の人数が多い場合には手続きが複雑となってしまうこともあり、そういった支障が出ることを防ぐための取り決めでもあります。

よって、相続放棄の判断は慎重に行うべきなのです。

 

相続放棄の取り消しが認められる例外もある

 
ポイントは「本意ではないまま相続放棄を選択したか(されたか)」「判断能力に問題のある人が単独で選択したか」です。

それらのポイントを証明できるようなケースであれば、家庭裁判所に「相続放棄取り消しの申述」を行って手続きをします。申し立てが受理されれば、取り消しが成立します。

 

相続放棄のメリットとデメリット

相続放棄を選択するのであれば、そのメリットとデメリットを把握しておくべきです。

 

(1)メリット

 

 
相続財産に被相続人の借金が含まれる場合、相続放棄をすることで引き継がなくても良くなります。借金には返済の遅延による遅延損害金も含まれますが、全て放棄できるので煩わしさから解放されます。

また、相続放棄をすれば、相続手続きからも解放されるので、遺産分割協議にも参加しなくて良くなります。分割協議では揉め事が発生する可能性も高いので、そういったことに関わりたくない場合にはとても有効です。

 

(2)相続放棄のデメリット

 

相続放棄では預貯金・不動産のみを相続するというようなことはできません。被相続人が住んでいた自宅や、形見の宝石を受け取ることもできません。

また、相続放棄をすると相続の権利が次の順位の方に移ります。

例えば、被相続人の子供が相続放棄すると、被相続人の両親に権利が移ります。両親は遺産の借金のことを知らないままに相続財産を引き継いでしまうリスクもあり、相続トラブルを生み出す原因となる可能性があります。

相続放棄を行う場合は、周囲との調整も大切です。

 

まとめ

相続手続き時に、遺産を相続するか相続放棄を行うかの判断について絶対の正解はなく、各ケースの状況によります。相続放棄は一回しか活用できないので、慎重な判断が求められます。

財産調査や周囲との関係調整をしっかりと行ってから、答えを出すようにしましょう。

 

 


 
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相続が起こると相続財産の総額によって相続税が発生しますが、その相続税を減額できる控除制度がいくつかあります。

最も有名なものが基礎控除です。これは法定相続人の人数に応じて控除額が変わる制度で、全ての相続で利用できます。

基礎控除は無条件で利用できますが、適用要件を満たすことで利用可能な減額制度がいくつかあります。その中の一つに「障害者控除」という制度がありますが、これは相続人の中に障害者がいる場合にその方にかかる相続税を減額するものです。

控除の対象者は、障害者手帳を持っていたり要介護認定を受けている等、一定条件に該当する方です。要件をクリアすれば、相続開始時の満年齢に応じて相続税が減額されます。

 

相続税の障害者控除とは

相続税の障害者控除は、相続人が障害者の場合、相続税の納税額から一定の金額が差し引かれる制度です。

同制度は、障害を持って今後生活しなければならない相続人のために、遺産取得後の負担を軽減してあげるという目的があります。

そのため、被相続人が障害者であっても控除がされるわけではありません。
あくまで、「相続人」が障害者の場合に適用されるので注意しましょう。

また、控除額は相続財産の総額から差し引くのではなく、相続人(制度適用者)が払う相続税から直接減額されます。数式にすると「対象者の相続税額−障害者控除額=納税額」になるわけです。(遺産総額から一定額を差し引く基礎控除とは計算方法が異なります。)

なお、未成年者控除と同じように控除枠が余る場合(=該当相続人の相続税が控除額を下回る場合)、制度適用者の親や兄弟といった扶養義務者が払う相続税から余剰分を差し引くことが可能です

扶養義務者は、本人の配偶者・直系血族・兄弟姉妹の他、3親等内の親族で裁判所から扶養義務者と認められた方です。(ただし、実務では、三親等内の親族で生計を一にするような者がいれば、家庭裁判所の審判がない場合であっても扶養義務者に該当するものとして取り扱っています。)
 

★参考記事:相続における未成年控除【扶養義務者の相続税も減額できる】

 

控除額の仕組み

障害者控除における控除額は以下の条件によって変わります。

 
控除額の計算式は以下となります。

特別障害者とは、日常生活で常に介護が必要なほど重度の障害を持つ方が該当します。一般障害者の方よりも控除額は高くなります。

各控除額は、障害者が85歳になるまでの年数に10万円もしくは20万円を掛けて計算します。
満年齢でカウントするので、相続開始時点で60歳10ヶ月であった場合には60で計算します。

先ほど述べましたが、控除額が障害者の相続税額を上回る場合には、他の扶養義務者である相続人の相続税額からも控除できます。

なお、扶養義務者が複数人いる場合、いずれかで控除額を振り分けます。

 

計算方法

障害者控除の計算方法について、具体例を示しながら説明いたします。

もし、制度の適用者が40歳3ヶ月の一般障害者なら、計算は次のようになります。
【10万円×(85歳−40歳)=450万円】

特別障害者の場合だと以下になります。
【20万円×(85歳−40歳)=800万円】

 

制度要件

制度適用には相続人が障害者であること以外にも満たすべき要件があります。

 
もし、日本国内に住所がない場合、以下の両方を満たします。

 

障害者に該当するかの判定基準

そもそも、障害者控除適用者の要件には「財産取得時に障害者であること」とあります。
「財産取得時」とは「相続開始時期」であると相続税法によって決まっていますから、被相続人が亡くなって相続が発生した段階と判断します。

この段階で障害者手帳を持っていれば制度適用者となりますが、障害者手帳の交付を受けていなくても医師の診断書があれば証拠書類として認められる場合があります。
 

上記の全てに該当していれば、障害者控除を利用できるので、制度利用を諦めなくて大丈夫です。

 

まとめ

相続税の障害者控除についての制度要件や控除額について解説しました。
相続税の障害者控除は節税効果の高い制度です。

もし、要件に該当するのであれば、相続税申告を行う際に忘れずに適用しましょう。申告方法がわからない場合は、相続税に強い税理士に相談した方が良いでしょう。

 

 


 
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人の死は予想できません。母親と父親が同時期に亡くなり、「立て続けに相続が発生する」といったケースも起こり得ます。

この一定期間内に、相続が起きることを「相次相続」と言います。

相続財産の引継ぎをする場合は遺産総額次第で相続税が課税されます。課税は相続ごとに行われるので、本来なら2回分の税金を支払わないといけません。

しかし、短期間で相続税の支払いを行うとなると、二重の税金がかかるため、相続人の負担も相当のものになってしまいます。

そのため、相続の制度では、2度目の相続において相続税を軽減する「相次相続控除」が設けられています。

本コラムでは相次相続控除の概要や制度要件、控除額の計算方法について述べていきます。

 

相次相続について

冒頭でも言いましたが、相次相続とは立て続けに発生する相続を指しますが、具体的には前の相続から10年以内に起きる相続を指します。

例えば、ある家庭で父親が亡くなり、相続で母親とその息子兄弟が財産を取得したとします(1次相続)。後に、母親が亡くなれば、兄弟間で遺産を分割することになります(2次相続)。

母親が亡くなったのが、父親の相続から10年以内であれば、相次相続となります。

なお、父親と母親が同時に死亡した場合は相次相続になりません。どちらが先に死亡したか不明な場合も同時死亡と推定されます。

 

相次相続控除制度とは

(1)概要

 
相次相続控除は、相次相続(10年以内に連続で起こる相続)について、後に起きた相続(2次相続)にかかる相続税額から一定額を控除するものです

短期間で立て続けに相続税を支払えば、相続人の今後の生活に支障をきたす怖れがあります。

相次相続控除は、そういった相続人負担を軽減する目的で設けられた制度なのです。

 

(2)要件

 
制度適用には以下の項目を満たす必要があります。

 
相続人が対象のため、相続放棄や相続廃除・欠格などで相続資格を失っている場合は対象外です

また相続権を持たない方(被相続人の血縁関係以外)が遺贈で財産を取得しても、相次相続控除を利用できないので注意してください

 

相次相続控除での節税効果

相次相続控除では、1次相続での相続税のうち、1年ごとに10%の割合で減額したものを2次相続から控除します。

計算式は以下の通り。

各相続人の相次相続控除額=A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10
※A×C/(B-A)で算出した割合が100/100を超える時は、100/100とする。

 
A:2次相続の被相続人が1次相続で課税された相続税額
※相続時精算課税等の贈与税額控除後の金額で、延滞税などの加算税額は含みません。

B:被相続人が1次相続で取得した純資産価額
※「取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務および葬式費用の金額」で計算。

C:2次相続で財産を取得した相続人全ての純資産価額合計
※遺贈・相続税課税対象の贈与も含む。

D:2次相続におけるその相続人の純資産価額

E:前の相続から今回の相続までの年数
※1年未満は切り捨てとなります。

 

相次相続控除の手続き方法

(1)手続きのタイミング

 
相次相続控除は、2次相続で相続税申告を行う際に手続きをします。

そのため、相続税申告と同様に「相続開始を知った翌日から10か月以内」に手続きをします。手続きをする場所は、2次相続の被相続人住所地を管轄する税務署です。

 

(2)提出書類

 
2次相続での書類に加え、1次相続で提出した書類も用意します。

★参考:国税庁HP 相次相続控除額の計算書

 

1次相続の書類は申告に使った書類のコピーで大丈夫です。

 

注意すべきこと

(1)控除額は各相続人で振り分けられない

 
控除額は1次相続で課税された金額を元に計算します。そのため、相続人同士で控除額を振り分けることはできません。

 

(2)更正の請求や修正申告でも適用可能

 
相次相続控除の申請は2次相続の相続税申告時に手続きをしますが、修正申告や更正の請求の際に手続きをしても大丈夫です。

 

(3)遺産分割が未完了でも適用できる

 
相次相続控除は遺産分割協議が終わっていなくても適用可能です。

その場合は、法定相続分通りに分配したものと仮定して、相続税を算出します。

 

まとめ

短期間のうちに連続で相続が起こると、相続税負担も二重となり、税金の支払いが大変な負担となります。

しかし、相次相続控除を使えば、相続税額を抑えることができますので、是非申請しましょう。

もし、やり方がわからないといった場合は、相続専門の税理士へ相談しましょう。

税理士は申告の代行もできますから、節税相談に加えて手続きの代行も依頼すれば、期限に遅れずに、安心して相続を終えることができます。

 

 


 
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紙・ペン・印鑑さえあれば、1人で作成できる「自筆証書遺言書」。費用もかからず、手軽に作成できるメリットがありますが、反面、一定の要件を満たさないと形式不備となり効力が無効になってしまいます。

また、自宅で保管する際に紛失したり、第三者が内容を改ざんするリスクも出てきます。

自筆証書遺言のこのような部分を解消するため、法務局では「自筆証書遺言書保管制度」をスタートさせています。

同制度では全国にある「遺言書保管所」で自筆証書遺言書を保管してくれます。

 

自筆証書遺言書保管制度とは

冒頭でも述べましたが、自筆証書遺言書保管制度は遺言書における保管の問題を解消してくれる制度です。各地方にある法務局で手続きをすれば、遺言書の原本と画像データを保存してくれます。

相続人は遺言者の死後に初めて遺言書の閲覧が可能となります。
逆に言えば、遺言者が生きている間は遺言書を閲覧できませんから、内容を知られることはありません。

 

自筆証書遺言書保管制度のメリットとデメリット

(1)メリット

最大のメリットは紛失や偽造・改ざんのリスクが無くなることです。自筆証書遺言書における最も悩ましい部分が解消されることは非常に良いと言えます。また、法務局の担当者が遺言の形式チェックを行うので、形式不備による遺言書無効も起こりません。

相続人が遺言書を閲覧できるのは、遺言者死亡後です。閲覧だけでなく、写しの交付を請求することも可能です。

相続人の一人が遺言書情報証明書の交付を請求したり、原本の閲覧をした場合、他の相続人にも遺言書保管の事実が通知されます。このように、遺言者だけでなく、相続人にとっても利便性のある制度と言えるでしょう。

裁判所での検認手続きも不要になる点も相続人側にとっては良い点と言えるでしょう。

 

(2)デメリット

申請は遺言者本人が遺言保管所で行います。出張サービスはしていませんので、必ず窓口に行く必要があります

また、遺言者が亡くなっても法務局から遺族に遺言書保管の事実を連絡することはありません。なので、遺言書が生前に遺言保管をしていることを相続人に伝えておくか、相続人が遺言保管所に問い合わせなければ、遺言発見がしにくくなります。なお、相続人の一人が遺言書の閲覧や写しの請求を行った場合は、他の相続人にも保管の通知がなされます。

これも注意点になりますが、法務局職員は遺言の様式はチェックするものの、内容にはノータッチです。なので、財産情報が正しく書かれているか、遺留分を侵害していないかといったことは作成者の自己責任です。

 

申請の流れ

(1)遺言書の作成

遺言は自筆証書遺言書作成のルールに従いますが、保管制度を利用する場合は、下記の要件も満たさなければなりません。

データ化することが前提なので、ホッチキス留めなどはNGです。

★参考:法務省HP 遺言書の様式等についての注意事項

 

(2)管轄の法務局を調べる

法務局は上記三つより選択します。

全国の法務局が遺言保管をしているわけではないので、手続きができるのか事前に専用サイトで調べておきましょう。

★参考:法務省HP 遺言書保管所一覧

 

(3)書類準備・予約

保管申請書は法務省のHPよりダウンロードできます。手書きでもパソコン入力でも構いません。

★参考:法務省HP 自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等

 
書類が揃ったら、申請予約を取ります。専用のHPか、法務局へ直接電話して予約を取りましょう。(予約なしでの手続きは受け付けていません。)

★参考:法務局手続案内予約サービス

 

(4)申請を行う

申請は予約した法務局の窓口で、遺言者本人が行います。

手数料は収入印紙を手数料納付用紙に貼って提出します。法務局の多くは印紙売り場を設けているので、もし買い忘れても大丈夫です。

書類不備がなければ、当日中に「遺言書保管証」が交付されます。なお、保管された遺言書は、相続開始まで遺言者しか閲覧できません。

 

まとめ

遺言書は自身の死後に財産分割を円滑にさせる大切な書類です。苦労して作ったものでも、きちんと遺族に届かなければ意味がありません。

紛失などのリスクを回避するなら公正証書遺言を作成するか、当記事で説明いたしました自筆証書遺言書保管制度を利用しましょう。

 

 


 
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故人の自宅などから遺言書が出てくるケースがありますが、その際に遺言書を勝手に開封してはいけません。なぜなら、遺言書開封には、家庭裁判所での「検認」手続きが必要だからです。

検認は、相続人全員に遺言書があることと、その内容を認知させる手続きです。遺言書の偽造や改ざんを防止する意味もあります。

本コラムでは、検認の手続き方法について説明いたします。

 

検認が必要な遺言書とは

遺言には一般的なものが三種類ありますが、検認手続きが必要なものは以下になります。

逆に不要なのは以下です。

 
検認手続きが不要かどうかは、偽造・改ざんのリスクがあるかどうかで分かれます。

公正証書遺言は原本が公証役場に保存されるので、そのようなリスクはありません。したがって、検認手続きは不要となります。

自筆証書遺言も通常であれば、検認が必要となりますが、法務局の保管制度を利用した場合、原本が遺言保管所にて保存されるため、検認が不要となります。

この制度は「自筆証書遺言の保管制度」といいます。同制度を利用すると、紛失や破棄のリスクがなくなる上、相続発生後の「検認手続き」も不要になるメリットもあります。

各遺言書の特徴については、以前のコラムを参考にしてください。

★参考記事:遺言書の種類について

 

遺言書の確認手続きとは

遺言書には特別方式遺言というものもあります。特別方式遺言は遺言者の死期が迫っているなど、普通方式による遺言が作成できない場合に限って認められるものです。

こちらの場合、検認でなく裁判所での「確認」が必要となります。

確認は、遺言が「遺言者の真意に出たものかどうか」を判定するものです。期限内に証人または利害関係人から、申立てを行います。

 

遺言書の開封はしないこと

遺言書を開封する場合、客観性や公正性がなければなりません。そのため、家庭裁判所で相続人全員の立会いの中で行われる検認作業が必要となるのです。

もしも、自筆証書遺言を勝手に開封した場合は、5万円以下の過料を科される可能性があります

過料とは、行政上、軽い禁令を犯した場合に支払わされる金銭罰です。刑事罰である罰金と違って、過料は行政上の罰則となります。

ただ、実際のところ、遺言書を開けてしまったからといって、過料を課されるケースは少ないと言えます。検認手続きが一般の方には広く認知されておらず、誤って開封する方も多いからです。

もし、間違って開封をした場合には、早急に家庭裁判所に相談し、検認手続きを進めましょう。

 

破棄や改ざんをした場合

見つけた遺言書を破棄したり、改ざんした場合は相続人資格を失うことになります。民法においては、遺言書を偽造・変造・破棄、もしくは隠匿した者は相続人となることができないと定められています。

相続人資格を失えば、財産を引き継ぐこともできません。

改ざんを疑われるリスクを避けるためにも、遺言書は開かない方が良いのです。

 

検認の手続き

遺言書の保管を任されている方がいる場合、相続開始を知った後に遅滞なく、検認の申し立てをします。保管者がいない場合は、遺言者が亡くなった後に遺言書を発見した方が、検認の申し立てを行います。

申し立てを行うのは、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

検認手続きでは、全ての相続人の立ち会いを求められますが、参加の有無は相続人個人の判断で決定します。(遠方に住んでいる方が無理に参加しなくても大丈夫です。)

申し立てには以下の書類が必要です

検認手続きが完了すると、検認済証明書を添えて遺言書が返されます。

検認手続きを終えたことで、遺言に従った財産分割が可能となります。(ただし、相続人全員・遺言執行者・受遺者の同意があれば遺言書の指定とは異なる分割を進めても構いません。)

 

まとめ

検認が必要な遺言書が見つかったときは、早いうちに裁判所での手続きをしましょう。

検認には1か月程度かかるので、その間は相続手続きがストップしてしまいます。他の手続きの期限は延長されないので注意しましょう。

 

 


 
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本来遺産を取得するはずの相続人が不慮の事故や病気によって亡くなっているケースもあります。そのような場合、その相続人の子どもが代わりに遺産を相続することになります。

これは「代襲相続」といわれる制度ですが、相続人が亡くなる他にも、一定の事情で生じる制度です。言い換えれば、条件を満たさなければ代襲相続は起きません。

 

代襲相続とは

本来、相続権を持つはずだった方(推定相続人)が死亡等によって相続権を失くしている場合、その相続人に代わって相続権を割り当てられる制度を「代襲相続」と言います。

例えば、被相続人の子供がすでに死亡している場合、遺産の取得権はその子供の子供(=被相続人にとって孫に当たる人物)が承継することになります。

代襲相続が起きた場合、代襲相続人の財産取得分(法定相続分)は、代襲される被代襲相続人と同じです。例えば、元々の相続人が被相続人の妻・長男の二人で長男が死亡していたケースを考えると、代襲相続人として長男の子供(被相続人の孫)が受け取る相続財産分は2分の1となります。

配偶者と子どもの法定相続分
配偶者:1/2
子ども:1/2(代襲相続者も同じ1/2)

 

代襲相続の要件

(1)相続人が相続権を失っている

 
代襲相続の要件の一つに、本来の相続人が一定の理由で相続権を失っていることがあります。これは、「死亡」だけでなく、「相続欠格や相続廃除」であった場合にも認められます。

相続欠格は欠格事由に該当して相続権を失うことであり、相続廃除は被相続人の意思によって相続人の権利を剥奪する制度です。

 

(2)被代襲者が被相続人の子どもや兄弟姉妹

 
被代襲者になれるのは、被相続人の子どもや兄弟姉妹の関係にあたる相続人です。配偶者や父母等の直系尊属が亡くなっていても代襲相続は起こりません。

 

(3)代襲者が被代襲者の直系卑属である

 
代襲者は被代襲者の子供です。なお、被代襲者が被相続人の子どもなら、代襲相続は何代に渡って行えます。

例えば、子どもの子ども(=被相続人の孫)も亡くなっていた場合、被相続人のひ孫が代襲相続することとなります。これは「再代襲」と言われ、代襲相続と同じ条件で相続が行われます。

ただし、再代襲ができるのは、被代襲者が被相続人の子どもの場合に限られます。兄弟姉妹が被代襲者の場合、代襲相続は兄弟姉妹の子どもである被相続人の甥や姪までとなります。

 

代襲相続における注意点

(1)相続放棄では代襲相続不可

 
相続放棄とは、相続人自ら相続権を手放す行為です。相続放棄すれば最初から相続権を持たなかったことになるので、代襲相続も生じません

なお、相続権は次の順位の方に移ります。

 

(2)法定相続人の人数が増える場合もある

 
被代襲者に子どもが複数いる場合、法定相続人が増えます

法定相続人が増えれば、相続税の基礎控除額や死亡保険金の非課税限度額を算出する上での法定相続人数も増えます。相続税の申告を間違えないように注意しましょう。

 

(3)養子縁組との関係

 
養子縁組が行われていた場合、被相続人の養子も被代襲者になります。ただし、養子の子どもが代襲者になるかどうかは、その出生時期が縁組の前か後かで変わってきます。

養子の子が養子縁組前に生まれていたなら、養親とは親族関係とならないので代襲相続人になりません

 

まとめ

代襲相続が起きると、主に被相続人の孫やひ孫、甥・姪が相続人となります。相続分は代襲相続が起きる前と変わりません。

しかし、被代襲者に子どもが複数いる場合は法定相続人が増えます。

法定相続人が増えれば、相続税の基礎控除額や死亡保険金の非課税限度額も変わります。これらは相続税の申告額に影響するので、注意しましょう。

代襲相続が発生する場合は、誰が相続人になるかを事前に把握しておきましょう。

 

 


 
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