被相続人が亡くなった際に、遺産に株式が含まれる場合は決められた方法に従い、相続税価格を評価する必要があります。

本コラムでは、「非上場株式」における相続税評価の方法について解説いたします。

 

非上場株式とは

東京証券取引所など、証券取引所に上場していない企業の株式を指します。証券取引所で公開されていないため、一般の投資家が安易に売買できないものです。

多くのケースでは株式は会社のオーナー経営者や役員が保有しています。

 

非上場株式の評価方法

非上場株式は一般公開されないので、取引価格はありません。

そのため、株価は原則的に管理会社の財務状況から評価する必要があります。この点が、上場株式と比べて評価が難しいとされる点です。

具体的には三つの評価方法があります。
 

(1)類似業種比準方式

これは業種が同じか形態の近い上場企業の株価・配当金額・利益・純資産を参考にする評価方法です。基準となる数値のデータは国税庁が公表しています。

評価額は以下の通りに算出します。
類似した上場企業の株価 × 比準割合 × 調整率

比準割合は次の算式で計算します。
比準割合={(評価対象会社の1株当たりの配当金額/類似業種の1株当たりの配当金額)+(評価対象会社の1株当たりの年利益金額/類似業種の1株当たりの年利益金額)+(評価対象会社の1株当たりの純資産価格/類似業種の1株当たりの純資産価格)}/3

調整率は会社規模によって数値が以下のように異なります。
大会社は70%、中会社は60%、小会社は50%

 

(2)純資産価額方式

相続税評価額で求めた会社の純資産額から、評価の差額に対する税額を差し引いて評価する方法です。

数式は以下の通りです。
(資産の相続税評価額の合計 - 負債の相続税評価額の合計 - 評価差額に対する法人税等相当額)/発行済株式数

評価差額に対する法人税等相当額 =(相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37%

 

(3)配当還元方式

被相続人が少数株主、もしくは会社の経営陣に属する人以外の方を対象とした評価方法です。
この方法は、類似業種比準方式や純資産価額方式よりも株式の評価は低くなります。

配当還元価額 =(1株あたりの年間配当額/10%)×(1株あたりの資本金等の額/50円)

 

株を相続する際の注意点

(1)準確定申告を忘れないこと

故人に一定の所得があった場合、故人に代わって相続人が確定申告をしなければなりません。これは準確定申告と言います。通常の確定申告とは異なり、相続開始日から4ヶ月までの期限となります。

被相続人が生前に株式の運用を特定口座もしくは一般口座で行っていたなら、所得税の準確定申告が必要です。

相続税申告よりも先に期限がきますので、こちらの手続きを忘れないようにしましょう。

 

(2)相続した株式の売却には譲渡所得税がかかる

相続した株式を売却する場合、売却益に税金がかかります。株式譲渡でもたらされた所得は単独で所得額を計算し、一律の税率を乗じて税額を算出しなければなりません。

納税額は以下の通りです
{売却代金-(取得費+手数料)}×20.315%※
※所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%

ここの取得費は相続した時の金額ではなく、被相続人が株式を購入した際の価額になります。価格は取引報告書などで確認できると良いのですが、購入がかなり過去のものであると価額が分からない場合も多いでしょう。

その場合、取得費は「売却代金×5%」で計算します。しかしこの計算方法ですと、大半のケースにおいて利益が多額となって、高い税金を支払うことになるので注意が必要です。

なお、相続税の申告期限より3年以内の売却だった場合、納付した相続税の一部を所得税の計算上でマイナスにすることができます。これは相続税の「取得費加算の特例」といいます。

要するに相続税として支払った税金があるので、その分を考慮できるのです。取得費を上げることができれば、課税金額である譲渡所得を少なくできるので、かかる税金も安くなります。

取得費として加算する額は、以下の通りに算出します。
取得費加算総額=その者の相続税額×譲渡した資産の相続税評価額/その者の相続税の課税価格(債務控除前)

特例は要件を満たさないと適用できません。ご自身での申請が難しい場合は、専門家に相談した上で申請を代行してもらいましょう。

 

株の相続での節税相談は税理士へ

株式は上場株式と非上場株式では算出方法が異なります。特に今回説明した非上場株式ですと、算出方法が複雑のため、申告作業がとても大変になります。

評価が難しい場合は、相続専門の税理士への相談をお勧めいたします。

税理士に相談した場合、財産の状況や配当政策などを見直すことで、株の評価額を下げられる可能性もあります。(もちろん、できる対策は会社ごとに違いますが。)

上場株式の場合でも、相続税を減らすことができます。こちらも状況によって、取れる対策は変わってきますので、できれば相続が発生する前の早い段階から、相談した方が良いでしょう。

 

まとめ

今回は、「非上場株式」における相続税評価の方法について解説いたしました。

証券取引所で公開されていない非上場株式では取引価格が存在しないため、相続税評価が難しくなります。

難しいと思ったら、迷わず税理士を頼ってください。報酬はかかってしまいますが、複雑な税務をすぐに終わらせることができ、節税対策にもなるのでメリットは大きいでしょう。

 

 


 
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被相続人が亡くなった際に、相続人へ継承される遺産は現金や預貯金だけではありません。

特に多いのは、土地や建物といった不動産、株式などです。これらは現金とは異なり、それぞれ定められた方法に従い、相続税価格を評価しなければなりません。

本コラムでは、「株式」における、相続税評価の方法や対応について解説いたします。

 

相続財産の株で抑えるポイント

株式にも種類がありますが、相続税評価で大事なのはそれが「上場」であるか、「非上場」であるかです。

上場株式とは、証券取引所(株式市場)で取引できるものを指します。株式を公開すれば経営資金が集めやすくなるメリットがあるため、規模の大きい会社では上場している場合も多いです。

非上場株式とは取引所で公開取引がなされていないものです。公開されていないため、株式はオーナー経営者や役員が株式の多くを保有しているケースが大半です。

この上場株式と、非上場株式では相続税の評価方法が違いますので、相続では抑えるべきポイントになります。

 

株式はどうやって見つけるのか

故人が株を持っていたかどうか確認する方法を説明します。

まず、上場株式の場合、証券会社に開設された口座で管理されていることがほとんどです。証券会社は定期的に株主へ「取引報告書」を郵送しているので、故人宛に郵便物が届いていないか探しましょう。

ネット証券の場合ですと、郵送物が届かない場合もあるので、故人のメールからその手がかりを探すことになります。

郵便物が見つからない場合は、銀行の通帳を見ましょう。通帳の履歴に配当金の入金や証券口座との入出金の記録があれば、株を持っていることになるからです。

証券口座のある証券会社や支店を把握したら、今後の手続きのために相続開始日の「取引残高報告書」の発行を請求しておきましょう。

非上場会社の場合では、株券や株主の名前と持株数が記載された書類が発行されている可能性があります。それらを自宅などから探し、株管理の会社情報を取得しましょう。

なお、非上場会社は、相続人に対して株式の売渡請求を行うことが認められています。そのため、相続後に売渡請求をされる場合もあります。

相続人は、会社からの売渡請求を受けた場合、売却するかどうかは本人の意思で決定できます。

 

株がある場合の相続手続き

(1)上場株式の場合

上場株式の場合、証券会社など取引のあった会社で名義変更を行います。

手続きに必要な書類は被相続人の戸籍謄本・住民票の除票や相続人の戸籍謄本・印鑑証明書などです。遺産分割協議があった場合、遺産分割協議書も必要となります。

上場株式の手続きは証券会社ごとに内容が異なるので、事前に証券会社等に確認すると良いでしょう。

 

(2)非上場株式の場合

非上場株式の場合、株主管理は、株式発行会社がしています。

そのため、株式を発行している会社に連絡をしてから、指示に沿って手続きをすると良いでしょう。

 

上場株式の相続税評価方法

上場株式における相続税評価額は原則として「最終価格」が基準になります。最終価格とは、該当日の最後の取引でついた株価を指します。

以下の4つの価格のうち、「最も低い金額」が相続税評価額となります。

 
もし、相続の発生した日が土日や祝日の場合、取引所が休みのため最終価格が出ません。その際は「相続発生日に最も近い日」の最終価格を採用します。

例えば、土曜日が相続発生日だとすれば、金曜日の最終価格が採用されます。3連休の中日が相続発生日の場合は、連休前と連休後の各日の最終価格の平均額が採用されます。

 

最終価格と平均額の調査方法

最終価格を調べるには下記の方法があります。

 
新聞はアナログ的な手法のため、少々面倒です。最終価格のみ知りたいなら、Yahoo!ファイナンスなどのファイナンスサイトが便利です。
調べたい銘柄の株価表示をソートした後、該当日の日付を指定すれば、その日の終値がわかるので、簡単です。

平均額は、日本証券取引所のページの月間相場表を見れば、金額がわかります。

証券会社に残高証明書を発行してもらう場合は、手数料がかかります。しかし、証明書の情報は間違いのない情報ですから、メリットはあります。

 

新株割当てや配当支払いがある場合

株式は購入日の3営業日後に受け渡しがあります。よって、新株割当てや配当支払いを受ける権利を得るには基準日の3営業日前に株式を購入する必要があります。

3営業日前の購入でないと、権利確定に間に合わず、配当を受ける権利を有しません。これは「権利落ち」の状態です。

通常、上場株式の新株の割当てがある場合、株式数の増加や配当の支払いが行われることを見込んで、株価は下がります。

相続開始日が権利落ちの日から基準日までの間にある場合、前述の評価方法を採用してしまうと、実質的な株価は権利落ちの前と変わっていないのに、不当に低く評価される恐れがあります。

そのため、相続開始日が権利落ちの日から基準日までの間にある場合は、権利落ちの日の前日以前の終値を採用します

 

まとめ

株式投資を行っている方や中小企業の経営者が亡くなった場合、株式が遺産に含まれる可能性は高いでしょう。

株式は上場か非上場かで相続税評価も異なるので注意が必要です。

今回は上場株式の評価方法を解説しました。次回のコラムでは非上場株式の評価方法についても説明いたします。

 

 


 
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相続では配偶者と子供が法定相続人となり財産を受け取るケースが多い。しかし、遺言次第では法定相続人以外を受遺者に指定し、財産の一部を渡すこともできる。

このような遺産の譲渡を「遺贈」と言いますが、財産を取得した方は相続人と同じく相続税を支払わなければなりません。

この時に注意したいのが、相続税の納税額について受遺者は被相続人の配偶者や子供と違って多めになってしまうという点です。

どうして受遺者は相続税が高くなってしまうのか。それには「相続税の2割加算」というルールがあるからです。

 

遺贈について

遺贈は、遺言等によって被相続人の財産(全部もしくは一部)を、指定した受遺者へ無償で譲渡することです。受遺者は誰でも構いません。法定相続人以外の、知人や恩師、企業でも大丈夫です。

相続と遺贈は似ていますが、少し異なります。

相続については故人とその遺族の間で自動的に発生するものです。法定相続人は故人との関係の中で順位に従いその権利が得られます。法定相続人になった方のみが、相続によって財産を取得します。

要するに、相続は被相続人の財産を「法定相続人のみ」に取得させることです。それに対して、遺贈とは遺言等によって財産を「法定相続人以外」にも取得させるものです。

 

遺贈の方法

遺贈のやり方については以下の二つの方法があります。
 

(1)包括遺贈

 
包括遺贈とは渡す財産を指定しない遺贈のことです。遺産全体からの割合を指定して、財産を譲渡します。

具体的には、遺言書に「全財産の4分の1をBに遺贈する」といった内容を書いていれば、包括遺贈となります。

ただし、包括遺贈ではプラスの資産だけでなく借金などのマイナスの資産も指定された割合に応じて取得しなければなりません

また、包括遺贈が指定されている場合、受遺者は他の相続人と同様に遺産分割協議に参加する必要があります。財産をどうやって分けるか決めるためです。財産の全てが預貯金等であれば良いですが、不動産などが含まれる場合は、協議は難航します。

そして、指定された割合が法定相続人の最低取得分(遺留分)を侵害するようなものだった場合には基本的に分割は成立しません。これは一部の法定相続人に遺留分権が認められるからです。

 

(2)特定遺贈

 
特定遺贈とは譲渡とする財産の内容を指定する方法です。
例えば、「自宅をAに遺贈する」「株式は全てBに譲る」といった内容の遺言書があれば、特定遺贈が成立します。

特定遺贈は包括遺贈と違って、負債等まで取得する必要がありません。(遺言書に指定があった場合は取得しなければなりません。)

なお、指定された財産合計額が他の法定相続人の最低取得分(遺留分)を侵害するようなものだった場合には、申し立てによって不足分を戻すようになる可能性があります

 

相続税2割加算というルール

遺贈で財産を取得した場合、相続税が高くなります。何故かというと、相続には「相続税の2割加算」というルールがあるからです

この取り決めは、配偶者や一親等の血族(被相続人の子供・両親)以外が相続財産を取得する場合、本来の相続税より2割分多く払うというものです。

どうしてこんな制度があるのか、それは財産を受け取る方が、被相続人との血縁関係が近い人と遠い人、さらには血縁関係のない人で相続税が同じなのは不自然だと考えられているからです。

相続財産はそもそも残された遺族が生活に困らないように、様々な控除制度が用意されています。血縁の遠い方や友人の場合、たまたま遺産を手にしたのであって、同じ控除を適用して、同じ税額にする必要はないからです。

また、被相続人の孫が財産を取得した場合は世代跨ぎによって相続税を1回免れることもあり、相続税負担の調整を図る意味でも2割加算が適用されます。

 

2割加算の対象者と非対象者を分けると以下の様になります。

 
上記の通り、被相続人と血縁関係が遠い方が遺贈によって相続財産を引き継いだ場合は、従来の相続税の1.2倍分を払うこととなります。
そのため、受遺者は通常よりも高額の相続税を払うことになります。

なお、法定相続人であっても、被相続人の兄弟姉妹は2割加算の対象者です
法定相続人=2割加算の非対象者ではないので注意しましょう。

 

死亡保険金の非課税枠は法定相続人にしか適用されない

死亡保険金や死亡退職金は民法上では相続財産に当てはまりませんが、税法上では「みなし相続財産」となり、相続税が課税されます

死亡保険金には特別な控除枠として「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。しかし、受取人が法定相続人以外に設定されている場合、この非課税枠が適用されません

つまり、法定相続人以外の受遺者だと、保険金にかかる相続税も高くなるわけです。よって、死亡保険金についても、遺贈だと相続税が高くなると言えます。

 

まとめ

相続税の2割加算があるため、遺贈によって相続財産を受け取る場合は相続税が高くなります。
相続税を減らしたいのであれば、生前贈与で財産を渡す等、相続税対策が必要です。詳しく知りたい方は弊所までご相談ください。

相続税をシミュレーションした上で、最適な相続税対策をご提示いたします。

 

 


 
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遺言書で遺産分割内容等が指定されていない場合、法定相続人同士で「遺産分割協議」をして各相続人の取得分の決定をします。

この遺産分割協議は一定期間禁止にすることもできます。

 

遺産分割の禁止とは

民法では、5年を超えない範囲で遺産分割をさせなくすることができます

相続ではすぐに遺産分割協議をすることで、特定の相続人にとって不都合になるケースも存在します。そんな場合では、「遺産分割の禁止」によってトラブルを回避することができます。

例えば、法定相続人に未成年者がいるケースです。未成年者の場合、本人は分割協議に参加できないので、代理人を選任しなくてはなりません。しかし、特別代理人を交えての遺産分割協議はまとまらない可能性が高く、手続き自体も面倒です。

また、被相続人の中には「代理人を立てずに本人が成人した上で自身の判断で遺産分割協議に加わって欲しい」と考える方もいます。そのような場合、遺産分割の禁止は有効な手段となります。

加えて、遺産分割をすぐにさせないことで、遺された遺族に対してクールダウン効果が望めます。
期間を置けば、気持ちも落ち着くので遺産分割で揉めるリスクが軽減される可能性もあります。

 

遺産分割を禁止する方法

(1)遺言による禁止

 
遺言では財産の分割内容や方法を指定できますが、遺産分割自体を禁止することもできます。
この遺言による遺産分割の禁止は民法第908条で定められています。

遺言によって遺産分割を禁止する場合、期間は最大で相続開始から5年以内です。

 

(2)相続人間の合意による禁止

 
遺言書に指定されていなくても、相続人全員の合意がある場合は、遺産分割を禁止することができます。

分割未完了の相続財産は、相続人全員で共有している状態です。そのため、共有者全員の合意があれば、その処分を決定できるからです。

相続人全員の合意で遺産分割を禁止する場合にも、期間は最大で相続開始から5年以内です。ただし、期間満了時に更新することが認められています。(これにも全員の合意が必要です。)

 

遺産分割禁止のメリット

遺言によって遺産分割を禁止する行為のメリットは二点あります。一つは遺言者としての遺志が反映されるという点

もう一つは、相続人間のトラブルを軽減する点です

前述したように、遺産分割を相続開始から数年間しないことによって、心情的にも落ち着き、分割協議がまとまりやすくなります。

また、未成年者の場合は数年の間に成年となれば、本人が分割協議に参加できるようになります。

 

デメリット

遺産分割禁止がもたらすデメリットに、相続税の申告や納付があります。

というのも、相続税申告はいかなる理由があっても、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」の期限どおりにする必要があるからです。(納付についても申告同様です。)

相続税申告の期間制限を過ぎた場合には、加算税・延滞税等の追徴課税が生じてしまいます

遺産分割禁止により、期限内に遺産分割が完了しない場合、法定相続分に従って分割をしたと仮定し、仮の申告をします。
遺産分割の禁止解除後に、正式に遺産分割が完了したら、更正の請求または修正申告をします。

なお、遺産分割禁止がある場合、相続税の仮申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出しましょう。分割見込書を出さないと、配偶者控除や小規模宅地等の特例などの控除制度が受けられないからです。

なお、申告期限後3年以内に遺産分割が完了しない場合は、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出して、承認を得れば、特例適用を受けられます。

 

まとめ

遺産分割の禁止は遺族へのクールダウン効果があります。分割協議で揉めそうな場合には、利用するのも良いですが、実際のところ、遺言によって遺産分割が禁止されたり相続人間で禁止に同意したりするケースはあまりありません。

なお、分割禁止となった場合は、税務上の手続きが変わってきます。そのため、相続税の申告や納付の期限切れや、必要な申請書類に注意しましょう。

 

 


 
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人が亡くなった時、その故人が所有されていた財産は遺族=法定相続人同士で分割されて引き継がれます。

しかし、中には独身で兄弟もいない、両親も既に他界している等、法定相続人が全くいないケースもあります。そのような場合では、遺産は一体どうなるのでしょうか。

 

法定相続人や受遺者が存在しないケースとは

(1)身寄りが全くいない

 
法定相続人となる親族の範囲と順位は民法で決められています。

ですが、被相続人が独身者で、兄弟姉妹もおらず、両親も他界しているなら、法定相続人はいないことになります。

 

(2)法定相続人が全員相続放棄をした

 
相続放棄をすればその相続人は最初からいなかったことになります。また、相続放棄をすると、その相続人の子供に相続権が移る代襲相続はできません。

よって、法定相続人となれる範囲の方全員が相続放棄をした場合、相続人は不在となります。

 

(3)遺言書がない

 
身寄りが全くおらず、遺言書によって財産の渡し相手を指定していないのであれば、受遺者も存在しません。

なお、受遺者は遺言者が自由に選べるので、家族以外の知人や恩師、法人でも指定が可能です。

 

(4)法定相続人が行方不明の場合

 
法定相続人と全く連絡が取れず居場所もわからない場合、不在者財産管理人を立てて相続手続きをすることになります。不在者財産管理人は、行方不明者の財産を本人に代わって管理する方のことで、家庭裁判所への申し立てで選任されます。

7年以上といった長期的に行方がわからない場合や、災害に遭っている場合は、死亡の可能性が高いために家庭裁判所に失踪宣告を申し立てます。失踪宣告が認められれば、該当者は死亡したことになります。

そのため、他に法定相続人がいなければ相続人不存在になります。

 

遺産は最終的に国庫に帰属

相続人が全くいないことが確認されれば、相続財産の管理のために「相続財産管理人」が選定されます。これは家庭裁判所によって選定されますが、大抵は地域の弁護士が担当します。

この相続財産管理人が相続人や相続債権者が本当にいないか改めて捜索します。捜索しても見つからなければ、相続財産は最終的に国庫に帰属することになります

もし、捜索中に相続人が名乗り出た場合は、手続き後に財産が引き継がれます。

 

特別縁故者の存在

法定相続人や受遺者でなくても、一定要件を満たせば遺産を取得できる場合があります。

というのも、相続人がいない場合では、被相続人の身の回りの世話をしていた等の「特別縁故者」に相続財産を与えることが認められるからです。

特別縁故者に該当するかどうかは家庭裁判所の判断に委ねられますが、下記のいずれかの要件を満たしていることが必要です。

 
特別縁故者がいる場合、債権者や受遺者に遺産を精算した後に、遺産が分け与えられます。

ただし、特別縁故者が遺産をもらうためには、相続人不在確定後の3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続財産分与の申し立て」をしなければなりません

 

故人の遺体は市区町村で埋葬

身寄りがない場合、故人の遺体は住所を管轄する市区町村が引き取って、埋葬を行います。法務局長の許可を得た後に、戸籍に死亡の記載が行われます。

諸々の費用は、遺産の一部から割当てられますが、不足分は市区町村が一時的に立て替え、最終的に都道府県が負担します。

 

相続手続きは誰がするのか

通常は相続が発生すると、法定相続人が手続きを進めます。しかし、相続人がいない場合はどうでしょうか。

相続人不在の場合は相続財産管理人が相続手続きをします。前述したように相続財産管理人とは遺産管理と清算を行う方です。また、清算後に残った財産を国庫に帰属させる役割もあります。

国庫に帰属するまで、被相続人の債権者や特別縁故者が見つかれば、その方々に財産を分配します。

 

遺言書の必要性

法定相続人がいない場合、基本的に遺産は国庫のものとなります。そのため、身寄りがいなくても友人やお世話になった方に財産を渡したいと考えるなら、遺言書の作成をすべきです

前述したように受遺者の指定は遺言者の自由です。つまり、遺言書があれば、親族でなくても受遺者として財産を受け取れるのです。

被相続人の療養看護に務めていた「特別縁故者」であれば、財産を受け取れなくもないですが、遺言書がある方が遺産受け取りの手続きは遥かにスムーズになります。

 

 


 
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不動産は持っているだけで、税金や維持管理費が生じます。また、古い空き家等の場合は倒壊による損害賠償のリスクもあります。よって、相続財産に不要な不動産が含まれる場合は、売却等、早急な対策を取るべきです。

借金などマイナスの財産が多い、他に欲しい財産もないといったケースであれば、相続放棄をする選択もありますが、相続放棄には注意点があります。

相続放棄すると相続権がなくなるので相続財産は取得できなくなりますが、全ての相続人が相続放棄をすると、不動産管理をする方がいなくなります。

そのため、民法では、「相続放棄者は、ほかの相続人等が相続財産の管理を始めることができるようになるまで、自己の財産と同一の注意をもって財産の管理を継続しなければならない。」とも定めています。

つまり、相続放棄をしたからといって相続財産の管理義務から解放されるわけではないということです。

 

不動産所有にかかる費用

(1)固定資産税、都市計画税がかかる

 
未使用の空き地でも、所有していれば毎年税金が課税されます
課税される税金は「固定資産税」と「都市計画税」で、各税額は下記数式にて算出されます。

固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
都市計画税=固定資産税評価額×0.3%

 
もし、固定資産税評価額が2,000万円の空き地を所有していた場合は
固定資産税 2,000万円×1.4%=28万円
都市計画税 2,000万円×0.3%=6万円
となり毎年34万円もの税金を支払うことになります。

また所有している空き地が更地であれば、「非住宅用地」に該当するので「住宅用地」よりも固定資産税が高くなります。

 

(2)維持費用がかかる

 
不動産の維持には当然費用がかかります。

清掃等の費用がかかってくる他、不法投棄の被害にあった場合、その処分費用を負担しなければならない可能性もあります。

 

(3)近隣トラブルの原因となる

 
空き家や空き地の放置によって害虫が発生したり、天災が原因で建物が倒壊して隣地に損害を与えたりした場合、損害賠償が発生する可能性があります。

 

相続放棄とは

相続放棄とは遺産を引き継ぐ権利を手放す行為です。財産の中に借金が多く含まれるケースによく使われますが、他の財産も取得できなくなるので、扱いには慎重さが求められます。

手続きは相続開始を知ってから3ヶ月以内の熟慮期間内に行います。申し立てをすれば原則取り消しできません。

財産内容は関係ないので、相続財産に不動産があっても相続放棄はできます。

 

全員の相続放棄は要注意

不動産が財産に含まれるケースで全員が相続放棄をした場合は注意が必要です。

相続人全員が相続放棄をし、財産を誰も引き継がない場合、その財産は最終的に国庫に帰属します。しかし、不動産は「相続財産管理人(相続財産清算人)」が選任されるまで、相続人にその不動産を管理する義務が残ります

不動産の持ち主ではないので、固定資産税は支払わなくても良いのですが、管理責任があるので建物が倒壊などしないようにしなければなりません。

ただし、2023年のルール改正により、相続放棄の管理義務の対象者が明確になりました

これまでは全員が相続放棄した場合、最後に相続放棄した相続人が遺産を管理しなければなりませんでしたが、現行では「現に占有している」実態があった相続人に、管理責任が伴います

「現に占有」とは例えば、被相続人の自宅に、被相続人と一緒に暮らしていた相続人です。または事務所として建物を借りていた等の場合は、相続財産である不動産を「現に占有」していたと言えるため、次に管理する人が見つかる間までに管理義務が生じます。

 

相続不動産の管理を免れるには

前述した通り、現行(2023年4月以降)は、相続放棄をした場合、現に占有している者でない場合には管理責任が免れることになっています。もし、占有していた場合、管理責任が残るので家庭裁判所で「相続財産管理人」を選任してもらわないといけません

相続財産管理人は、相続人がいない場合に相続財産を管理・清算する存在で、申し立てを行うと、裁判所が弁護士などから選任してくれます。

ただし、選任には数十万円~100万円程度の予納金がかかってきますので、大きな負担となります。

現に占有する者が誰もいない空き家を、相続人すべてが相続放棄した場合、利害関係者(債権者など)や検察官が、清算人の選任申立てを行います。清算後、残った財産は国庫に帰属します。

 

相続放棄は慎重に

管理責任の問題が出てくるので、不要な不動産が財産に含まれているからといって、安易に相続放棄を選択するのはお勧めしません。

相続放棄は基本的に取り消しが効かないので、慎重に検討しましょう。

不動産が相続で問題になる場合は、できるだけ早いうちから対策をしておくべきです。

 

 


 
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相続にも色々なケースがあります。多いのは、法定相続人が故人(被相続人)の配偶者と子供というパターンですが、家族構成次第では故人の兄弟姉妹が相続人となる場合もあります。

法定相続人に兄弟姉妹が含まれる場合、遺産配分の目安となる法定相続分や、手続きの内容が若干異なってくるので注意が必要です。

 

故人の兄弟姉妹は相続順位の第3順位

法定相続人においては民法の中で優先順位が定められています。つまり、故人の血縁者全員が相続人になれるわけではありません。

この優先順位は「相続順位」と言われます。

まず、配偶者は必ず法定相続人になります。そして、他の血縁者は以下の順位に従って法定相続人の権利を有することになります。

第1順位…子供(孫・ひ孫)
第2順位…両親(祖父母)
第3順位…兄弟姉妹(甥・姪)

 
上の順位の方が1人でもいるなら、下位の方に相続権は与えられません。順位の移動は、その順位の方が亡くなっているか、相続放棄などがあった場合です。

なお、該当順位の相続人が亡くなっていてもその子供がいる場合は「代襲相続」が起こるので、順位は変わりません。被相続人の子供が先に亡くなっている場合は、その子供(被相続人にとっての孫)が代わりに相続人となります。

故人の兄弟姉妹は第3順位となるので、故人に子供がおらず、両親・祖父母も亡くなっている場合に、相続権を持つことになります。

 

兄弟姉妹の法定相続分

兄弟姉妹が法定相続人になるのは、前述したように順位がありますから、相続人が「配偶者と兄弟姉妹」もしくは「兄弟姉妹のみ」のケースになります。

それぞれのケースにおける、相続財産の割合は、以下の通りです。

※兄弟姉妹が複数人いる場合は、取得分は人数で等分割します。

 

法定相続人が兄弟姉妹となる際の注意点

(1)兄弟姉妹に遺留分は認められていない

 
遺留分は最低分の遺産を取得する権利です。この権利があるのは、故人の配偶者と子供、両親だけで、兄弟姉妹には認められていません。(故人との関係性を考慮した上での取り決めです。)

そのため、遺言書によって『遺産の全額を配偶者に渡す』等の記載があった場合は、兄弟姉妹は全く受け取れません。

逆に考えると、遺言書を上手く活用しないと相続トラブルにつながる可能性が高くなるとも言えます。争いを生まないためにも、遺言書を準備しておいた方が良いでしょう。

 

(2)代襲相続は一代のみ

 
代襲相続について、故人の子供であれば、ひ孫・玄孫(やしゃご)等、直系卑属の場合、何代でも代襲ができます。

しかし、兄弟姉妹は、その子供である甥・姪までの一代のみしか許されません。

代襲相続は相続放棄だと不可です。相続人自身が相続権を手放す相続放棄ですと、最初からその方は相続権を持たなかったこととされるので、代襲相続が起こらないのです。

相続放棄があり、同順位に他の方がいなければ、相続権の順位は次に移ります。

 

(3)相続税は2割加算となる

 
相続財産の総額が基礎控除の金額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税が発生します。

相続税は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に所定の税務署に申告し、税金を納付しなければなりません。

この時、故人の兄弟姉妹が相続人の場合、通常の相続税額の2割に相当する額を加算した金額を納めなければなりません。相続税には「2割加算」のルールがあるからです。

2割加算が適用される理由としては、被相続人との血縁関係が薄いからです。兄弟姉妹が相続財産の取得をすることは、偶発的であると考えられるためです。

なお、故人の孫が相続財産を取得する場合でも、この2割加算の適用対象です。孫が財産を取得する場合、1世代分跨いで財産が移動するので、相続税課税を1回分免れるからです。

税金は公平に負担するべきという考えから、故人の孫にも相続税が通常よりも多めに加算されるのです。

 

(4)通常よりも戸籍謄本を集めなければならない

 
通常の相続手続きの場合、相続人の確定のために、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を取得します。しかし、兄弟姉妹が法定相続人になる場合、先の戸籍謄本に加えて、被相続人の両親の戸籍謄本も取得しなければなりません。

これは、兄弟姉妹と被相続人の関係を明らかにし、尚且つ先の順位の方がいないことを証明する必要があるからです。

このように、通常の相続での戸籍収集と比較して、兄弟姉妹が相続人となる相続では、戸籍収集の量が多く、手続きも煩雑となるので注意しましょう。

手続きが煩雑になるということは、相続手続き完了までに多大な時間がかかるということです。不安な場合は、専門家に手続きを代行してもらった方が良いでしょう。

 

まとめ

相続は一人の人生でそう何度も経験するものではありません。そのため、多くの方が手続きに慣れておらず、想像していたよりも多くの時間がかかってしまいます。

相続手続きには期限付のものも多く、時間をかけすぎたために期限を破ってしまうケースもあります。特に相続税の申告は遅れてしまうと、追徴課税というペナルティを受けることになります。

よって、出来る限り専門家に相談をして、手続きを代行してもらった方が良いでしょう。

 

 


 
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相続で取得した土地が「遠方にある」「管理が大変」といった理由で不要になることがあります。売却しようにも、いつ売れるかわからないという問題もあるでしょう。

そのような場合に、土地を国へ寄付できる制度が利用できます。

本コラムでは2023年度より始まった「相続土地国庫帰属制度」について解説します。

 

相続土地国庫帰属制度とは

(1)概要

 
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈によって取得した土地を国庫に返還する制度です。土地であれば無条件で引き取ってくれるわけではありません。当然ながら、寄付できる土地には条件が定められています

諸々の条件をクリアした上で、その土地管理に要する10年分の費用を負担しなければなりません。審査も緩くはないこと、それなりの負担金があることを考慮すると、安易に利用できるものでもありません。

相続土地国庫帰属制度の施行日は2023年の4月27日であり、既に実施されている状態です。同制度の創設によって、民法における所有権放棄に関しての新たな規定は設けないこととなりました。

 

(2)申請資格者の要件

 
申請者は相続や遺贈によって、その土地の所有権(全部または一部)を取得した方です。よって、売買もしくは贈与等で土地を取得した場合には、制度の対象外となります。

また、土地を数人で共同所有している場合、共有者全員の同意を得なければ申請ができません。

 

(3)土地要件

 
国に寄付できる土地は通常管理・処分するにあたって高額の費用や労力を要しないものに限定されます

例えば、木や草が生い茂っている荒れ地、廃棄物等が散乱している土地だと、国は引き取ってくれません。そのような土地は活用するために、更地にしなければなりませんが、更地にするのにも手間と費用がかかるからです。

具体的に制度の対象にならない土地は以下の項目に該当するものです。

 
以下のものはケースごとに判断されます

 
後述の項目に該当したとしても、一つずつ整理すれば、審査に合格できる可能性はあります。

 

(4)費用

 
同制度には申請手数料と負担金がかかります。

申請手数料は、登記上の土地の個数を表す単位である1筆の土地当たり1万4000円がかかります。

法務局によって承認された後、負担金として土地の管理費用(土地に応じて金額は異なる)10年分を納付します。負担金は、宅地でも田畑でも面積に関係なく1筆20万円がベースです。森林の場合は面積に応じ算定されることになります。

 

相続土地国庫帰属制度は安易に利用できない

相続土地国庫帰属制度で国に返還できる土地は、前述したように通常管理や処分に際し、高い費用や労力が不要なものに限られます。面倒な土地の場合、国は引き取らないのです

土地は基本的には更地であることが条件です。崖地や適切な造林などが実施されていない森林などの場合、活用が難しいと判断されれば審査に通りません。

審査もすぐに終わるのではなく、半年〜1年程度の期間を要します。

加えて、10年分の管理費に相当する金額を支払う必要もあります。100m2の住宅地の場合だと、審査料と合わせて40万円程度かかります。

 

面倒な手続きは専門家に任せましょう

今回の相続土地国庫帰属制度や銀行口座の凍結解除、相続税申告もそうですが、相続手続きはどれも面倒です。担当の部署へ出向いたり、郵便で書類を送付したり、それぞれの手続きを着実に完了させていかねばなりません。

また、担当の部署ごとに、必要な書類は異なりますから、手続き方法を調べたり、必要書類を集めたり、他の相続人から署名捺印をもらったり、不備がある度にやり直したり、このようなことを重ねていくうちに負担も大きくなります。

相続人同士の連携が悪ければ、上手く進みません。そのような理由もあり、相続の手続きはできる限り専門家へ任せた方が良いでしょう。

専門家に任せることでお金はかかりますが、手続きの負担もありませんし、手続き不備によるペナルティも起こりません。

 

まとめ

相続で取得した土地の寄付は簡単ではありません。「不要な土地は寄付すれば良い」と考えるのは危険です。

いずれにせよ土地は持っているだけで税金が発生しますので、早期に処理できるように対策をしておくべきです。

 

 


 
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相続 では現金や預貯金の他に、不動産が相続財産に含まれているケースが多いです。

中にはその不動産が賃貸アパートやマンションの場合もあります。賃貸用物件は住宅とは異なり、家賃が発生します。その収入はもちろん相続財産に含まれることになります。

家賃収入は相続後に該当の不動産を引き継ぐ方のものになりますが、取得者が確定していない間に生じるものについては、扱いが変わります。

 

家賃収入については相続開始前後+遺産分割協議前後で考える

家賃収入が誰のものになるかについては、「相続開始前」「相続開始後」「遺産分割成立の前後」の3つに分けて考えます。

相続開始前であれば、その家賃収入は被相続人のものですので、相続財産として相続人全員に分配されるものと考えます。

相続開始後に発生した家賃収入について、遺産分割成立していない場合、不動産の取得者が決定していませんから、これも相続人間で分配されることになります。

遺産分割成立後で不動産の取得者が決まっている場合、取得が決定した段階から発生する家賃について取得者のものになります。

 

遺言の有無で家賃収入を受け取る人は変わる

取得者が確定しているかどうかで家賃収入の扱いが変わるため、遺言の有無によって家賃の受取人は変わると言えます。

 

(1)遺言書がある場合

 
遺言書があり、対象の賃貸物件を相続する人が決まっているのであれば、「相続開始から」発生する家賃はその相続人のものです。

なお、遺言書は法的な効力を持つ正式なものでなくてはならないので、不備があると、無効になってしまいます。

被相続人が自筆で作成する「自筆証書遺言」は不備が起こりやすいので、注意が必要です。不安な場合は、専門家に作成サポートを依頼する、また、作成不備が起こらない「公正証書遺言」を利用するなどの対策をした方が良いでしょう。

 

(2)遺言書がない場合

 
遺言書がない場合、取得者を遺産分割協議で決定します。その間に発生する家賃は不動産と共に、相続財産は相続人全員の共有財産となります。

よって、家賃収入は相続人全員のものであるため、法定相続分に応じて相続人全員が受け取ることができます。

繰り返し言いますが、取得者が受け取れるのは分割決定後に発生した家賃のみとなります。ただし、協議での取り決めがある場合は、協議前のものであっても取得者が受け取れます。

 

準確定申告を怠らないこと

準確定申告とは、亡くなった方の確定申告です。相続人が代理で、相続開始から4ヶ月以内に手続きしなければなりません。相続税申告の期限より早いので、注意が必要です。

前述したように相続開始前に発生した家賃は未収でも被相続人の所得です。そのため、一定期間(1月1日から死亡した日まで)内の所得金額及び税額を計算して、税務署に申告しなければなりません。

手続きを怠ると、納税がされていないことに課される「延滞税」と、期限内に申告されない場合に課される「無申告加算税」を負担することになります。

また、家賃収入を得る相続人にも確定申告が必要ですので、こちらも忘れずに。不動産所得が20万円以下の場合、確定申告は義務ではありませんが、税金が返ってくることもあるので、検討するべきです。

 

不動産の立ち退きには正当な理由と入居者の合意が必要

賃貸用物件を取得した際に、すぐに売却したいと考える方もいるでしょう。

しかし、借地借家法によって入居者の権利が保護されているので、住んでいる方がいる場合は、正当な理由がない限り貸主側からの解約ができないのです。

賃貸借契約時に定期借家契約をしていた場合、事前に定めた契約期間が過ぎれば解約できますが、一般的な賃貸契約の場合、貸主側からの解約を通すには以下のような正当事由が必要です。

 

相続登記も忘れずに

相続によって不動産を取得した場合は名義変更をしなければなりません。現在、罰則はありませんが、令和6年4月1日から義務化される予定で、施行日前に生じた相続についても遡って適用されるため、早めに手続きを行うべきです。

相続登記を行わないと相続した不動産の売却もできませんし、他の相続人に不動産を処分されるリスクもあります。そういった意味でも、相続登記はできる限り早くしておく必要があります。

 

まとめ

相続不動産に賃貸アパートやマンションがある場合、その家賃収入は取得者が確定しているかどうかで受取人が変わります。

また、相続開始前の一定期間内に生じた家賃については準確定申告の対象となるため、手続きを忘れないようにしましょう。

 

 


 
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