本来遺産を取得するはずの相続人が不慮の事故や病気によって亡くなっているケースもあります。そのような場合、その相続人の子どもが代わりに遺産を相続することになります。

これは「代襲相続」といわれる制度ですが、相続人が亡くなる他にも、一定の事情で生じる制度です。言い換えれば、条件を満たさなければ代襲相続は起きません。

 

代襲相続とは

本来、相続権を持つはずだった方(推定相続人)が死亡等によって相続権を失くしている場合、その相続人に代わって相続権を割り当てられる制度を「代襲相続」と言います。

例えば、被相続人の子供がすでに死亡している場合、遺産の取得権はその子供の子供(=被相続人にとって孫に当たる人物)が承継することになります。

代襲相続が起きた場合、代襲相続人の財産取得分(法定相続分)は、代襲される被代襲相続人と同じです。例えば、元々の相続人が被相続人の妻・長男の二人で長男が死亡していたケースを考えると、代襲相続人として長男の子供(被相続人の孫)が受け取る相続財産分は2分の1となります。

配偶者と子どもの法定相続分
配偶者:1/2
子ども:1/2(代襲相続者も同じ1/2)

 

代襲相続の要件

(1)相続人が相続権を失っている

 
代襲相続の要件の一つに、本来の相続人が一定の理由で相続権を失っていることがあります。これは、「死亡」だけでなく、「相続欠格や相続廃除」であった場合にも認められます。

相続欠格は欠格事由に該当して相続権を失うことであり、相続廃除は被相続人の意思によって相続人の権利を剥奪する制度です。

 

(2)被代襲者が被相続人の子どもや兄弟姉妹

 
被代襲者になれるのは、被相続人の子どもや兄弟姉妹の関係にあたる相続人です。配偶者や父母等の直系尊属が亡くなっていても代襲相続は起こりません。

 

(3)代襲者が被代襲者の直系卑属である

 
代襲者は被代襲者の子供です。なお、被代襲者が被相続人の子どもなら、代襲相続は何代に渡って行えます。

例えば、子どもの子ども(=被相続人の孫)も亡くなっていた場合、被相続人のひ孫が代襲相続することとなります。これは「再代襲」と言われ、代襲相続と同じ条件で相続が行われます。

ただし、再代襲ができるのは、被代襲者が被相続人の子どもの場合に限られます。兄弟姉妹が被代襲者の場合、代襲相続は兄弟姉妹の子どもである被相続人の甥や姪までとなります。

 

代襲相続における注意点

(1)相続放棄では代襲相続不可

 
相続放棄とは、相続人自ら相続権を手放す行為です。相続放棄すれば最初から相続権を持たなかったことになるので、代襲相続も生じません

なお、相続権は次の順位の方に移ります。

 

(2)法定相続人の人数が増える場合もある

 
被代襲者に子どもが複数いる場合、法定相続人が増えます

法定相続人が増えれば、相続税の基礎控除額や死亡保険金の非課税限度額を算出する上での法定相続人数も増えます。相続税の申告を間違えないように注意しましょう。

 

(3)養子縁組との関係

 
養子縁組が行われていた場合、被相続人の養子も被代襲者になります。ただし、養子の子どもが代襲者になるかどうかは、その出生時期が縁組の前か後かで変わってきます。

養子の子が養子縁組前に生まれていたなら、養親とは親族関係とならないので代襲相続人になりません

 

まとめ

代襲相続が起きると、主に被相続人の孫やひ孫、甥・姪が相続人となります。相続分は代襲相続が起きる前と変わりません。

しかし、被代襲者に子どもが複数いる場合は法定相続人が増えます。

法定相続人が増えれば、相続税の基礎控除額や死亡保険金の非課税限度額も変わります。これらは相続税の申告額に影響するので、注意しましょう。

代襲相続が発生する場合は、誰が相続人になるかを事前に把握しておきましょう。

 

 


 
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相続にも様々なケースがあります。中には、幼いお子さんを残して亡くなる方もいるでしょう。

そのような場合、残されるお子さんの今後の生活も気がかりですが、何より相続税も心配になります。子供の将来を考えたときに、1円でも多くの財産を残してあげたいと思うのが親心でしょう。

相続税では、遺族の生活を保障する観点から、いくつかの優遇制度が設けられています。その中に「未成年者控除」という、未成年者が相続人となる場合に、その方が払う相続税が減額となる仕組みがあります。

 

相続税の未成年者控除とは

相続における未成年者控除とは、未成年者である相続人が遺産を取得する際に相続税が減額される制度です

控除額は「相続人が満18歳になるまでの年数×10万円」で計算します。

控除が適用されるのは基本的には未成年者が払う相続税のみですが、もし該当相続人の相続税が控除額を下回る場合、その差し引いた金額を未成年者の「扶養義務者」が払う相続税からも減額することも可能です。

例えば、成年者の兄と未成年者の弟の計2名が法定相続人となった場合、弟の未成年者控除のうち差し引けなかった残額がある場合、兄の相続税額から控除することができます。

 

控除の適用要件

未成年者控除が適用されるには以下の要件全てを満たす必要があります。

 
相続人の年齢については、財産取得時に18歳の誕生日を迎えていなければ未成年者控除の適用が可能です。

なお、以前では成年者の年齢は20歳でしたが、現在では民法改正法によって成人年齢が18歳となっているので、適用年齢が下がっています

また、母親のお腹の中にいる胎児についても、無事に生まれてきたことを条件に未成年者控除の適用が認められます。この場合、控除額は満額の180万円となります。

 

控除額の計算方法

未成年者控除は以下の順番で計算していきます。

①未成年者の相続税額からの控除
②未成年者の扶養義務者の相続税額からの控除

 
数式から見てもわかるように相続人の年齢が若ければ若いほど控除額は大きくなっていきます。もし、18歳に達するまでの年数が1年未満や1年未満の端数があるときには、これを1年として計算します。(端数は切り上げとなります。)
 

【計算例】
相続人が未成年者(6歳)の弟と成年者の兄の2人で、それぞれの相続税額が100万円の場合

①未成年者の控除額については(18歳−6歳)×10万円=120万円となるので
未成年者の相続税額は控除額を差し引き100万円−120万円=▲20万円となり
相続税はかからない計算となります。

未成年者控除額が相続税額を上回る場合は、扶養者に当たる相続人の相続税額からも控除できるので、成年者の兄が弟の扶養義務者の場合は②の未成年者の扶養義務者の相続税額からの控除は▲20万円となり
兄の相続税額100万円-20万円=80万円となります。

 

未成年者が相続する場合の注意点

未成年者は原則として法律行為を行えません

相続における遺産分割や相続放棄も法律行為に当たるので、原則、未成年者は代理人を立てて遺産分割協議等に参加することになります。

この代理人は「法定代理人」と「特別代理人」の2つがあります。

法定代理人は未成年者に代わって法律行為をする方を指します。基本的には親等が代理人になりますが、親も相続人だと「利益相反行為(一方の利益が生じると自身が代理した者に不利益が生じること)」となり法定代理人にはなれません。

よって、その場合は法定代理人ではなく、家庭裁判所への手続きで選任する特別代理人を立てる必要があります。

 

まとめ

相続人が未成年者の場合、優遇措置として相続税額が控除される制度を利用できます。

扶養義務者の申告額も減額できるので、覚えておきましょう。

 

 


 
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故人の財産である預貯金や不動産は相続財産として相続人が取得し、相続税の課税対象となります。

しかし、故人から直接継承したものではなくても、制度上「相続財産と同様」とみなされ、相続税計算の対象とされるものが存在します。このような財産は「みなし相続財産」と言います。

民法では、みなし相続財産は相続財産ではありません。
しかしながら、「被相続人の死亡により相続人のものになる」という部分から、税法上で通常の相続財産と変わりないとされるのです

 

みなし相続財産も相続税申告が必要

税法上で相続財産となるので、みなし相続財産にも相続税が課税されます
そのため、相続税計算をして、基礎控除額を超える場合は、税務署へ申告と納付をしなければなりません。

相続税の計算では、法定相続人の人数に応じて基礎控除を差し引くことができます。
基礎控除の計算式は次の通りです。「相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人数

法定相続人が妻と子ども2人が法定相続人となる場合には、基礎控除として「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」を相続財産から差し引けることになります。

相続税の基礎控除を差し引いた課税遺産額が0円以下なら申告は不要です。
もし、申告が必要な場合は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に納付と合わせて手続きを完了させます

 

主なみなし相続財産の例

みなし相続財産に当たる主なものは以下になります。

 

(1)死亡保険金および死亡退職金

 
被保険者が死亡すると保険会社から支払われる死亡保険金はみなし相続財産として相続税がかかります。
勤務先から支払われる死亡退職金も同様です。

ただし、これらのお金には特別に非課税枠が設定されています

非課税となる金額は「相続で取得した死亡退職金や保険金−500万円×法定相続人数」の算式で計算します。

死亡退職金が1500万円で法定相続人が3名の場合は、課税金額は0円となります。
1,500万円−(500万円×3)=0万円

死亡保険金については、過去のコラムでも説明していますので、参考にしてください。

★参考記事:相続放棄しても受け取り可能 相続における死亡保険金の扱い

 

(2)信託受益権

 
銀行や信託会社などにお金を預けて、運用させることが信託であり、信託受益権は、信託財産から生じた利益を受け取る権利です。

遺言で信託がされた場合、信託を委託した人以外の相続人が、利益を受け取る場合に相続税が発生し、権利の評価方法は、国税庁の通達によって定められています。

 

(3)低額の譲受

 
低額譲受は、個人から資産を低い価額で譲り受けることを指します。

例えば被相続人が生前に、所有する不動産を相続人に本来の価格(この場合は時価)よりも、著しく低い金額で譲った場合、相続人が利益を受けたものとみなされ、相続税の対象になります。

時価4,000万円の不動産を1,000万円で譲り受けた場合には、3,000万円が、相続財産となります。

 

(4)債務の免除

 
相続人が被相続人に対して負っていた借金などを、遺言で全額免除もしくは大幅に減額してもらった場合が該当します。
相続人にとっては、免除してもらった金額分の利益を被相続人から受け取ったようなものであり、税金が課されるのです。

ただし、ケースによっては債務免除が遺贈によるものではないとされ、課税対象にならない場合もあります。

 

(5)定期金

 
生命保険会社の個人年金等の掛け金を被相続人本人が支払っていて、受取人を相続人に設定していた場合も、みなし相続財産されます。

相続開始時に年金の給付がされていなくても、相続税は課税されます。

 

まとめ

みなし相続財産について解説しました。
民法上は相続財産ではありませんが、相続税の課税対象になるので注意が必要です。

ただし、死亡保険金や死亡退職金には一定の非課税枠も設けられているため、活用方法によっては節税に繋げることもできます。

節税につなげたい場合は専門知識を持った是非、相続専門の税理士に相談してください。
経験豊富な税理士であれば、手続きもスムーズに進むので安心です。

 

 


 
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相続によって財産を取得した場合、相続税額に応じて申告と納付をします。

もし、期限までに手続きをしないと加算税という罰則を科せられます。申告しない場合は、「無申告加算税」が科せられ、納税額の50万円までの部分に15%、50万円を超えた部分に20%の税率をかけた罰金を払うことになります。

加算税を支払わなくても良いように、期限は守らなければなりません。

しかし、ケースによってはどうしても期限を守れない場合もあるでしょう。そのような場合、一定の条件に該当していると、例外的に申告の期限延長が認められます

 

申告期限の延長は基本できない

相続税の申告期限は、相続人が相続開始を知った日の翌日から「10か月以内」です。(厳密には相続開始日=被相続人が亡くなった日ではありません。)

もし、11月10日に相続開始の事実を知った場合は、翌年の9月10日が申告期限になります。

なお、相続税額の納付についても同じ日です。申告と同様に期限を破れば、こちらもペナルティとして延滞税が生じるので注意しましょう。

相続税の申告期限は基本的に延長が認められません。延長を簡単に認めてしまえば、様々なケースで延長の申し出が発生し、申告期限もバラバラとなります。そうなれば公平性も無くなるでしょう。

「財産調査に時間がかかっている」「遺産分割協議が完了していない」「他の相続人との連携が上手くいっておらず書類が集まっていない」など、申告期限に間に合わない理由には様々なものがあります。

しかしながら、これらの理由では、延長は認められないのです。手続きが未完了のまま期限が過ぎると、冒頭で述べたように、ペナルティの税金を負担することになります。

 

間に合わない場合の対処

申告期限の延長は基本できないので、財産調査や遺産分割協議が未完了の場合は、以下の方法で対処します。
 

(1)申告期限内に一旦、概算申告を行う

 
財産調査が終わっていない場合、正しい相続税評価額もわかりません。
このような場合、とりあえず期限内に多めの金額で申告と納付をします。

多めの金額で期限内に申告と納付を済ませておけば、過少申告加算税や延滞税もかかりません

多めに支払った税金については、後に相続財産が確定された際に還付請求すれば、返してもらえます。

 

(2)申告期限後3年以内の分割見込書で未分割申告

 
遺産分割協議が完了していない場合には、一旦、財産を法定相続分で分割したとして未分割の相続税申告書を作成し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して税務署に申告します。

後に遺産分割が確定したら改めて還付請求や修正申告をして、相続税額を調整します。

「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、申告期限から3年以内に遺産分割が決着すれば、各種の相続税控除の特例も使えるようになります

 

例外的に申告期限を延長できる場合も

相続税申告は例外的に、最大で2ヶ月間の延長にできるケースもあります。
 

(1)相続人の異動があった

 
相続人の異動とは、相続人の人数が変更されることです。

相続人数が変わるのは、相続人本人の問題行為で相続廃除や相続欠格となって相続権を失ったり、生死不明で失踪宣告を受けた場合などです。

また、母親のお腹にいる胎児は相続権が認められています。
そのため、相続人に胎児がいる場合は、生まれたときから2ヶ月の延長が認められます。

 

(2)遺留分の侵害額請求があった

 
遺留分は、法定相続人に認められ、最低限の遺産を取得する権利です。

遺留分について調停や訴訟が行われている場合、相続税申告の有無が確定できませんし、遺留分が認められると、各相続人の申告内容も変わるため、申告期限が延長されます。

 

(3)遺贈に係る遺言書が見つかった

 
遺言書では法定相続人以外にも遺産を取得させることができます。

申告期限の直前になって遺言書がみつかり、相続人とは別の第三者の方へ遺贈する旨の記載があった場合、各相続人が負担する相続税額も変わり、申告書の作成もやり直さなければなりません。

また、受遺者についても期限内の申告手続きは難しいとみなされ、申告期限の延長が認められます。

 

まとめ

相続税申告期限の延長は基本できませんが、例外的に延長が認められる場合もあります。

ただし、相続廃除や欠格によって相続人数が変動するケースや、遺贈に係る遺言書が申告の直前になって見つかるケースはそんなにありません。
そのため、延長を前提に考えず、あくまで期限内に手続きを終えましょう。

申告期限に間に合わなくなりそうな場合は、専門の税理士に相談してください。
専門の税理士であれば、正確かつ素早く手続きを完了できるからです。

相続税の申告期限は10か月ありますが、決して十分な時間ではありません。
特に、自分で相続税申告を行う方は、しっかりスケジュールを調整して進めていかなければ難しいでしょう。

安全に手続きを終えるなら、税理士に相談されることをおすすめします。

 

 


 
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遺言書にもいくつかの種類がありますが、その中でも確実に遺言を残す方法として、広く利用されているのが「 公正証書遺言 」です。

この公正証書遺言は、個人(もしくは法人)からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成するため、書き損じや抜け漏れなど、不備による無効のリスクがありません
加えて原本も、役場に保管されるので、紛失も防げます

このような点から、安全に遺言書を残せるので、多くの方が利用するのです。
なお、公正証書遺言は、作成時に二人の証人を必要としますが、証人は家族や友人など誰でもなれる訳ではありません。

 

公正証書遺言とは

自筆証書遺言は自筆(一部、PCで作成可能)で作成しますが、公正証書遺言は、公証役場にて公証人に作成を代行してもらいます。
※公証役場とは、法務省管轄の役所で、公正証書の作成、私文書の認証を行います。全都道府県に置かれています。

公正証書遺言の特徴は以下の通りです。

 
公正証書遺言最大のメリットは公証人が作成するので、不備による遺言書無効のリスクが無くなる他、原本が公証役場で保管されるので、紛失や第三者による文書改ざんの心配も不要です。
加えて、相続開始後の検認も不要です

遺言書の検認は、全ての相続人に遺言書の存在と内容を認知させる手続きで、偽造や変造防止の目的があります。
(遺言書が有効か無効かを判断するものではありません。)

良い部分が目立つ公正証書遺言ですが、デメリットもあります。
それは作成に手間がかかることです

公証役場へ突然行ってもその日のうちに遺言を作ってくれることはありません。
事前にどういった内容の遺言にするのか等、打ち合わせをしておかなくてはなりません。

また、証人を用意しなくてはならないので、その分の手間もかかってしまいます
加えて、作成費用もかかります。費用は遺言書に記載する財産の合計額によって変わります。

 

作成の流れ

作成は以下の流れを組みます。

 

(1)証人2名の選定

 
公証役場での遺言書作成には、2名の証人の立ち合いが必要です。

証人は、遺言が間違いなく本人のものであること、遺言者の意思と正常な判断のもとで作られていることを証明する役割があります。
(相続開始後に、裁判で有効な遺言であることの証言を求められることもあります。)

そのため、事前に証人を集めておきましょう。

ただし、以下の人は証人になれません。

 
遺言者の配偶者やその子供は、公正証書遺言の証人になれません。
これは証人が相続において、利害関係の無い第三者でなくてはならないからです。

遺言者の親類はほとんど証人になれないと考えましょう。
もし、ご自身の周りに証人になれそうな人がいない場合は、士業や公証人役場に依頼して証人となってもらうことも可能です。

 

(2)公証人との打ち合わせ

 
証人が用意できたら、公証人と遺言書の内容について事前に打ち合わせを行います。

打ち合わせには、以下の資料等が必要になります。

 

(3)遺言者の本人確認、口述と意思確認

 
本人確認には印鑑登録証明書と実印を用います。

意思確認は遺言者が遺言書内容を口述で読み上げた後に行います。

 

(4)遺言者と証人2名の署名捺印

 
遺言者が署名と実印での捺印した後、証人2名が署名および捺印します。
障害等で遺言者による自書が不可能な場合には、公証人に代筆してもらうこともできます。(その場合は打ち合わせの段階で了承を得ておきましょう。)

 

(5)公証人の署名および捺印

 
公証人も署名捺印をすれば遺言書は完成です。

 

(6)遺言書の完成・保管

 
完成した公正証書遺言は三つ作成されます。一つは原本となり、公証役場に保管されます。
残りは正本および謄本として遺言者のものとなります。(遺言者の希望で増やしてもらうこともできます。)

遺言者が亡くなって相続が開始されたら、相続人が最寄りの公証役場で遺言書の内容を確認し、相続手続きをおこないます。

 

まとめ

遺言書の中でも確実に遺言を残す方法として、広く利用されているのが「公正証書遺言」です。

メリットの多い、公正証書遺言ですが、作成に手間がかかるので注意しましょう。
また、証人は誰でも良いわけではないことにも留意しましょう。

 

 


 
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被保険者の死後に遺族に支払われる 死亡保険金 には一定の非課税枠が設けられているので、これを利用した相続税対策が可能です。

このページでは死亡保険金を利用した相続税対策の仕組みやメリットについてもご紹介いたします。

 

死亡保険金はみなし相続財産

保険金とは、被保険者に死亡や入院、通院といった対象事柄が生じた際に、保険金が支払われるサービスです。
保険金の支払い先は契約者が設定した受取人です。

保険金の中でも、被保険者が亡くなった後に支払われるものが「死亡保険金」です。

死亡保険金は本来、相続財産ではありません。
しかし、契約者の死によって金銭が取得される部分が通常の相続財産と同じであるとされ、「みなし相続財産」として、相続税が課税されます。

みなし相続財産は民法では相続財産扱いではないものの、相続税法上で相続財産とされるのです
みなし相続財産に当たる主なものは死亡退職金や死亡保険金以外にも信託受益権、低額の譲受、債務の免除、定期金などがあります。

 

死亡保険金の非課税枠

死亡保険金が他のみなし相続財産と違う点は、一定の非課税枠が設けられている所です
これは死亡保険金や死亡退職金のみが持っている特別な部分です。

非課税金額は以下の数式で算出されます。

死亡保険金の非課税額=500万円×法定相続人

 
例えば、夫婦2人と子ども2人の4人家族がいたとします。
夫が亡くなった後、妻が2,000万円の保険金を得た場合、死亡保険金の非課税額は500万円×3人=1,500万円となり、元々の保険金2,000万円から差し引けば、課税対象額は500万円となります。

 

死亡保険金を活用するメリット

(1)受取人だけで手続きができる

 
前述した通り、死亡保険金は通常の相続財産ではないので、分割の対象ではありません。

また、受取人固有の財産なので、受取人のみでの支払い手続きが可能で、他の相続人の合意を得る必要もありません。

 

(2)遺留分を侵害しない

 
法定相続人が最低限の相続財産を取得する権利を「遺留分」といいます。

先ほども述べましたが、死亡保険金はそもそも分割するものでもないので、遺留分の対象外です。
よって、その保険金額に対して侵害請求を受けることはありません。

 

(3)相続放棄しても受け取れる

 
死亡保険金は受取人本人が相続放棄していても受け取ることができます。
(これも通常の相続財産ではないという理由からです。)

加えて、非課税額についても影響はなく、一部の人が相続放棄をしていても数式の法定相続人数に含んで計算しても良いのです。
例えば、夫婦2人と子ども2人の4人家族で、子供の一人が相続放棄しても、非課税枠は500万円×3人=1,500万円から変わりません。

ただし、相続放棄した人が保険金の受取人だった場合は、非課税枠自体が使えなくなってしまいます。

 

(4)口座凍結の心配もなく早期に受け取れる

 
相続開始すると、被相続人の銀行口座は凍結されますが、死亡保険金は1週間程度で問題なく受け取りが可能です。

口座の凍結を解除するには多くの時間と手間が必要になります。
また、相続財産内容によっては、多額の相続税がかかり、納付額(現金)を用意することが困難なケースもあります。

その点、早期に資金を受け取れる死亡保険金はメリットがあります。
通夜や葬儀の準備も安心して行うことができます。

 

保険料負担者の設定によって税金が変わる

死亡保険金には、被保険者、保険料負担者、保険金受取人の三者の関係によってさまざまな契約形態があります。

契約形態によって、死亡保険金に相続税ではなく贈与税や所得税が課税され、相続税対策として機能しない場合もあります。

もし、保険料を被相続人以外が負担していた場合、以下のように課税される税金の種類が変わります。
課される税金が相続税でなくなると、非課税枠も利用できなくなってしまいます。


※以下は父親が被相続人で、妻と子が相続人の場合を想定しています。

死亡保険金の非課税枠を活用するのであれば、契約形態については十分に注意してください。

 

まとめ

相続における節税対策に絶対的な正解はありません。相続時の家族状況や遺産内容によって、取るべき手段が変わってくるからです。

確実な節税をしたいのであれば、専門の税理士に相談することがベストです。
節税対策はもちろん、相続税の申告も代行できるので、安心です。

 

 


 
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相続税対策として活用される「生前贈与」。
しかし、前回のコラムで述べた通り、生前贈与の非課税枠は将来的に使用できなくなる可能性があります。

★参考記事:暦年贈与は使えなくなる?今後の生前贈与対策について

 
そのため、生前贈与の利用は早めにするべきです。
ただし、やり方を間違えると税務署から贈与を否認されて、相続税が課税されてしまう怖れもあります。
 
生前贈与には成立要件があり、以下のポイントを意識しておかなくてはなりません。

贈与は契約行為ですので、受け取る側が贈与について知らなかったり、了承していなければ無効となります。
必ずお互いの合意の上で行わなければなりません

また、受け取った財産は受贈者が自由に利用できるようにしておきます。
例えば、贈与金を管理する口座の通帳も印鑑も親が持っていて、子供がおろせないといった状況では、その口座は実質的には親のものと見なされます。

親のものであれば、贈与はなかったものとなり、相続時に相続税の対象となります

 

対策1:贈与の度に契約書を作成

お互いの合意があれば贈与は成立するので、原則として契約書は不要です。
では何のために契約書を用意するかというと、贈与者が亡くなった時に、客観的に贈与があった事実を証明するためです

贈与者がいなくても、証拠の書類があれば、税務署も贈与を否定できません。
よって、贈与の度に契約書を作成しましょう。

なお、贈与契約書の書式は決まっていません。
しかし、以下の項目は書類に記載した方が良いでしょう。

 
実印でなくとも贈与契約書は有効ですが、信頼性が高まるので契約書には実印を押印することを推奨します。
また、確定日付を取ることも良いでしょう。

確定日付とは変更のできない確定した日付のことで、その日にその証書が存在していたことを証明するためのものです。
確定日付は一件について700円にて公証人役場で押してもらうことができるので、可能な場合は手続きをしましょう。

 

対策2:毎年同額の贈与は避ける

毎年同じ額を渡していると定期贈与とみなされるリスクがあります。

定期贈与とは毎年一定の金額を贈与することがあらかじめ決まっている贈与です。
(1,000万円を100万円ずつに分けて10年間贈与するという取り決めで、贈与を行った場合などが該当します。)

暦年課税方式では年間110万円まで非課税となります。
しかし、毎年同じ110万円を同じ日に贈与し続けると定期贈与の契約関係があると見なされて課税対象となる場合があります。

よって、贈与を行う日程や金額については、できる限り変更してください。

 

対策3:受贈者側が通帳や印鑑の管理を行う

贈与の成立要件として、贈与した財産は受贈者が自由に使えなければなりません。

そのため、預貯金を子供や孫に贈与する場合、通帳や印鑑は受贈者側で管理しましょう。
もちろん口座の名義も受贈者のものにしてください。

 

対策4:通帳の運用は受贈者が行うこと

受贈者名義の口座にお金が振り込まれても、そのお金が長い間手付かずの場合、実質の所有者は贈与側ではないかと疑われる場合があります。

そのため、生前贈与を行う際には、受贈者が現在運用している口座に振り込む方が良いと言えるでしょう。
受贈者が頻繁に引き落としや預金を行う口座であれば、贈与者の管理を疑われることもありません。

 

対策5:あえて納税を行い証拠を残す

毎年の非課税枠110万円をわざと超える金額の贈与を行って、少額の贈与税を納税することも一つの対策です。
贈与税申告の手間と支払いは発生しますが、税務署に対して贈与の証拠を残すことになるからです。

ただし、贈与税の申告と納税を行ったからといって、絶対的に生前贈与が認められるわけでもありません。
前述した成立要件が守られていない場合は、贈与が否認されます。

この方法は、あくまで対策の一つであるということです。

なお、贈与税の申告書提出の際には贈与契約書のコピーを添付しましょう。
贈与契約書が生前贈与の際に作成されたものであるという証明になります。

 

まとめ

生前贈与を税務署に否認されない方法について解説いたしました。
生前贈与は相続税対策として取り組みやすい手段ですが、無効になってしまうケースも少なくありません。

もし、生前贈与が否認されると、多額の相続税が課税されてしまうので、かえって損をすることになってしまいます。
合意はあったか、受贈側が自由に使えるのか、何よりその行為が贈与であったか証明できるのか、諸々の要件をクリアするために正しい方法で行いましょう。

 

 


 
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– 生前贈与 は今後使えなくなるのか –

生前贈与はその年の1月1日から12月31日までに贈与で得た金額の合計が110万円以下の場合、非課税となる制度です。

1年ごとに非課税枠が更新されるので、相続税対策として多くの方に利用されています。
しかし、近年ではその生前贈与の非課税枠が「使用できなくなる」と言われています。

きっかけは、2020年に発表された税制改正大綱。
その中で、相続税と贈与税の仕組みの見直しが言及されたことに拠ります

続く2021年度の税制改正でも明確な見直し案が盛り込まれなかったものの、贈与税にはしっかりと触れられており、いつ具体的な改正に踏みこんでもおかしくないといった状況です。

 

生前贈与とは

まず生前贈与という制度を、今一度おさらいしておきましょう。

生前贈与とは、贈与者の存命の内に財産を特定の誰かに渡すことです。
渡すのは配偶者や子供だけでなく、友人や会社の同僚等、贈与者が好きに選べます。

財産の一部を生前に移動させておけば、相続時の財産総額も減るので、相続税の節税になるわけです。
しかし、生前贈与も一定の金額を超えれば、税金が課されてしまいます

生前贈与は贈与税の課税方式によって以下の2つに分かれます。
 

(1)年間110万円まで非課税の暦年贈与

 
1月1日~12月31日まで年間の贈与合計額が110万円以内なら、贈与税は非課税です。
これは「暦年贈与」もしくは「暦年課税制度」とも呼ばれます。

110万円を超える場合は贈与税が課税され、受贈者が翌年の2月1日から3月15日までの間に申告と納付を行います。

 

(2)相続時精算課税

 
相続時精算課税は60歳以上の両親や祖父母から18歳以上(成年者)の子や孫へ贈与を行う場合に適用できます。
合計2,500万円まで贈与税が非課税になります。(超過分には一律20%の贈与税が課税となります。)

非課税額が大きいですが、相続の際に贈与財産に対して相続税が課税されます。
(贈与税が支払われている場合、その分は相続税額から差し引かれます。)

この課税方式は、税金支払いを相続時に先送りしているだけの面もあり、節税対策として扱うにはデメリットが大きいと言えます

★参考記事:相続時精算課税制度は相続税対策になるのか【 生前贈与 】

 

生前贈与に関する動きとは

生前贈与制度が変わると言われるようになったのは、2020年に発表された「税制改正大綱」にある文章が記載されていたことに始まります。(文章は要約しています。)

 

“諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税することで、意図的な税負担の回避を防止している”

“このような諸外国の制度を参考に、今後は相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から格差の固定化防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める”

 
この文章をもっと簡易的にすると、「将来的に納税者の格差をもっと無くしたいので、贈与税・相続税の課税を見直す」という内容になります。

日本以外の国を見てみると、資産を移動させるタイミングに関係なく、一定期間の相続や贈与に関しては累積課税できる制度があり、税負担の回避をできる限り防止する仕組みが設けられています。

例えば、ヨーロッパのフランスでは、生前贈与加算(相続開始前の一定期間の贈与を相続税課税価格に加算する規定)の年数が10年以上とされています。

また、アメリカでは、遺産課税方式を採用しています。これは、過去全ての贈与額合計額が相続時に課税対象となります。
要するにアメリカは生前贈与による非課税枠を設けていません。

「諸外国の制度を参考にする」と税制改正大綱の中で述べているため、「生前贈与加算年数の変更(3年よりも期間を広げる)」もしくは「生前贈与の年間非課税枠を無くす」という措置が取られる可能性が高いと言えます。

「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する」というのは、相続で財産を渡しても、贈与で財産を渡しても、かかる税金の額を同じにするということで、生前贈与での節税効果を無くすことになります。

 

節税を考えるなら早めの対策を

あくまで今は検討段階ですから、いつ生前贈与制度がなくなるかはわかりません。
ただし、早ければ2022年の年末に具体案が発表されて、翌年に新制度が実施される可能性もあります。

そのため、生前贈与による節税をお考えの方は、早めに行動するべきでしょう。
できれば、相続税専門の税理士への相談をお勧めいたします。

 

まとめ

相続税と贈与税の一体化の具体的な内容も、始まる時期についても未だ不明確です。
本コラムの内容は、あくまで予想ですので、その点はご留意ください。

ただし、相続税と贈与税が一体化されていく方向は確実なので、法律の改正を見据えて、早い段階から対策を行うことは大切です。

 

 


 
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– 相続税 と 贈与税 はどちらがお得か –

贈与税は個人間でお金や不動産、株式といった財産を譲渡した場合に生じる税金です。
申告と納付は財産をもらう側が行います。

1年ごとに110万円までという基礎控除が設定されていますが、贈与税の税率は高めになっています。そのため支払うと損と思われる方が多く、相続税対策に生前贈与を用いる場合は出来る限り、非課税枠内におさめる方が良いと考えられがちです。

確かに贈与税の税率は高いですが、贈与税を支払うことが損かと言えば、そうでもありません。むしろ、贈与税をあえて支払った方が相続税と合わせたトータルの税額が安くなる場合もあるのです。

 

相続税とは

相続税は相続財産をもとにかけられる税金です。
支払い義務があるのは財産を取得した相続人や受遺者です。

相続税には基礎控除「3,000万+法定相続人×600万円」があります。これは贈与税の控除よりも高額です。

よって、相続人が2人で、それぞれ1,000万円ずつ相続する場合、基礎控除以下なので相続税はかかりません。しかし、被相続人の生前に、それぞれ1000万円ずつ贈与によって金銭を得た場合は、一人当たり約231万円の贈与税がかかります。

こうした理由から相続税の方が得だといわれます。

なお、相続税申告には期限があり、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内」に行う必要があります。(納付に関しても同様です。)

たとえば1月1日に被相続人が亡くなって、相続人が即日亡くなったことを知った場合、期限はその年の1月1日(土日祝の場合は、その翌日)となります。

10ヶ月と聞くと長い期間のように見えますが、葬儀や法事、そのほかの手続き、遺産分割協議なども考えると実はほとんど余裕がありません。そのため、早期に準備を進めるべきです。

 

贈与税とは

生前贈与とは、生前に財産を特定の誰かに渡す行為です。渡す相手は配偶者や子供や孫の他に、友人等でも構いません。

生前のうちにある程度の財産を移譲しておけば、相続遺産も減るので、相続税の節税になります。ただし、一定の金額を超えた場合は、贈与税が課税されます。

贈与税は相続税とは課税率が異なり、場合によっては多額の税金を支払うことになります。
そのため、生前贈与を節税対策に用いる場合は、想定される相続税と贈与税を実際に算出し、贈与する金額・回数(年数)を調整した方が良いと言えます

なお、贈与税申告の期限は、贈与がされた翌年の2月1日〜3月15日の間です。納付期限も同じで、どちらも贈与を受けた方(受贈者)が行います。

 

贈与税と相続税

相続税贈与税

贈与税と相続税の税率は上記の通りです。単純に税率だけを比較すると、贈与税の方が遥かに高いことがわかります。

ただし、『税率が高いからと言って贈与税を払う方が損』ということにはなりません。相続税と贈与税では、前提となる考え方がまったく違うからです。

 

生前贈与は一括贈与が前提ではない

相続税と贈与税は、財産を取得した際にかかる点は同じですが、前提条件は異なります。被相続人の死亡後に財産を一括取得するのが相続ですが、生前贈与は財産を小分けにして渡すことが前提であり、そのために年間の非課税枠も設けられているのです。

よって、贈与税が相続税と比較して損か得かという議論は、単純な税率ではなく、贈与ごとの負担率を見なければなりません

以下は、特例贈与(祖父母や父母などの直系尊属から20歳以上の子どもや孫への贈与等)に該当しない一般の贈与に対する実効税率です。
 

贈与金額110万円  →税額0万円(実効税率0.0%)
贈与金額200万円  →税額9万円(実効税率4.5%)
贈与金額300万円  →税額19万円(実効税率6.3%)
贈与金額500万円  →税額53万円(実効税率10.6%)
贈与金額1,000万円 →税額231万円(実効税率23.1%)
贈与金額2,000万円 →税額720万円(実効税率36.0%)
贈与金額3,000万円 →税額1,220万円(実効税率40.7%)
贈与金額5,000万円 →税額2,220万円(実効税率44.4%)
贈与金額10,000万円 →税額4,720万円(実効税率47.2%)

 
こうしてみると、小分けされた金額への負担税率はそこまで高くないことがわかると思います。相続税の最低税率は10%ですが、それを超えるのは500万程度の贈与を行った場合です。

つまり、相続時に基礎控除を超えて相続税がかかる場合は、贈与税をある程度支払って財産を移動させた方が得になるケースもあるということになります。

 

税金を安くするにはケースごとの対応が必要

前提条件と負担率を考慮すれば、贈与税を支払った方が得になるケースもあるということがわかりました。ただし、相続税の税率も財産額によって変わってくるので、全てのケースに当てはまるわけではありません。

税金を少しでも安くしたいのであれば、相続税率よりも低い贈与税率に相当する金額(分岐点)を算出して、贈与の計画を立てるべきです。

ご自身でシミュレートするのが大変な場合は、専門である税理士に相談することをお勧めいたします。

 

まとめ

税率が高めに設定されてある贈与税ですが、支払ったら損というわけでもありません。

生前贈与を節税対策に用いる場合は、想定される相続税と贈与税を実際に算出し、贈与する金額・回数(年数)を調整していけば、トータルの税金は安くなるのです。

実際のシミュレーションは専門である税理士に、是非相談してください。

 

 


 
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