北本市で相続が発生したら?「配偶者の税額軽減」の手続きと税理士への相談

長年連れ添った人生のパートナーとのお別れは、言葉では言い表せないほどの深い悲しみを伴うものです。精神的な辛さを抱えたまま、お葬式の手配や役所での手続きに追われ、心身ともに疲弊してしまうご遺族は少なくありません。
そのような中で、残された配偶者の方が特に強い不安を抱くのが「これからの生活資金」と「住まい」についてです。「今まで二人で暮らしてきた北本市の自宅に、このまま住み続けられるのだろうか」「老後のために蓄えてきた預貯金を相続したら、多額の相続税がかかって今後の生活が立ち行かなくなるのではないか」と考える方が多くいらっしゃいます。
しかし、ご安心ください。日本の法律では、残された配偶者のその後の生活を保障し、財産を形成してきた内助の功に配慮するため、相続税を大幅に免除する大変有利な制度が用意されています。それが「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」です。今回は、残されたご家族にとって心強い味方となるこの特例の仕組みと、注意すべきポイントについて分かりやすく解説します。
最低1億6,000万円まで非課税に?「配偶者の税額軽減」の基本ルール
「配偶者の税額軽減」とは、亡くなった方(被相続人)の配偶者が遺産を引き継ぐ場合、一定の金額までは相続税が全くかからないという特例です。具体的には、以下の「どちらか金額が大きい方」までは相続税が無税となります。
(1)1億6,000万円
(2)配偶者の法定相続分(法律で定められた遺産の取り分)
【参考】
No.4158配偶者の税額の軽減|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
具体的なシミュレーション例
例えば、亡くなった夫の遺産総額が1億5,000万円だったとします。妻がその全額を相続したとしても、非課税枠である(1)の1億6,000万円以下に収まるため、妻が支払うべき相続税はゼロになります。
また、もし遺産総額が4億円あり、妻の法定相続分が半分(2億円)であった場合、(2)のルールが適用されます。この場合、1億6,000万円を超えていても、法定相続分である2億円までは相続税がかかりません。
このように、ほとんどの一般的なご家庭において、配偶者が相続する財産には相続税がかからない仕組みになっています。
特例のメリットと知っておくべき「落とし穴」(二次相続の罠)
この特例を使えば、「配偶者にはとりあえず税金がかからないから安心」と思われがちです。しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。それが、将来必ずやってくる「二次相続(にじそうぞく)」の問題です。
二次相続とは、今回財産を相続した配偶者が将来亡くなり、その子どもたちが財産を引き継ぐときの相続を指します。今回の相続(一次相続)で「税金がゼロになるから」と配偶者がすべての財産を相続してしまうと、将来の二次相続の際に、子どもたちへ莫大な相続税の負担がのしかかるという点には注意が必要です。
なぜ二次相続で税金が高くなるのか?
二次相続では、以下の理由から相続税が跳ね上がる傾向にあります。
- 残された子どもたちには「配偶者の税額軽減(1億6,000万円の枠)」が使えない。
- 法定相続人の数が一次相続の時より1人減るため、相続税がかからないラインである「基礎控除」の額が少なくなってしまう。
- 配偶者自身が元々持っていた財産に、今回相続した財産が上乗せされるため、適用される税率が高くなる。
目先の税金だけを減らすのではなく、「今回の相続」と「将来の相続」のトータルで家族全体が支払う税金がいくらになるのかを綿密にシミュレーションし、遺産分割協議を進めることが極めて重要です。
【参考】
実家の相続トラブルを防ぐ!お盆休みの帰省前に進める生前対策
https://souzoku-sanguu.com/2026/07/15/1455/
税金がゼロでも必要?特例を受けるための具体的な「手続き」
「うちの場合は1億6,000万円以下だから、放っておいても税金はゼロになる」というわけではありません。配偶者の税額軽減の適用を受けるためには、厳格な手続きのルールが存在します。
申告期限と遺産分割協議書の作成
この特例を適用して相続税をゼロにするためには、相続が開始したこと(亡くなったこと)を知った日の翌日から「10ヶ月以内」に、税務署へ相続税申告書を提出しなければなりません。さらに、その期限までに誰がどの財産を引き継ぐかを相続人全員で話し合う「遺産分割協議」を完了させ、全員の実印を押した「遺産分割協議書」を添付する必要があります。
もし親族間でもめてしまい、10ヶ月の期限内に遺産分割協議がまとまらなかった場合、原則としてこの特例は利用できず、多額の税金を一旦納めなければならない事態に陥ってしまいます(※救済措置として「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する方法もあります)。
まとめ|申告漏れを防ぐため北本市の相続専門税理士に相談を
今回は、残された配偶者の生活を守る「配偶者の税額軽減」の仕組みと、将来の二次相続を見据えた遺産の分け方の重要性について解説しました。この特例はご遺族にとって非常に大きなメリットがありますが、正しい財産の評価や、漏れのない申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。特に、将来の子どもたちの負担まで計算した上で最適なバランスを導き出すのは、一般の方には非常に困難です。
【参考】
【7月の路線価発表前に知る】北本市の土地・実家の相続税評価と税理士への相談タイミング
https://souzoku-sanguu.com/2026/07/01/1443/
「申告期限が迫っているけれど、どんな手続きから始めればいいのか分からない」「我が家のケースで相続税申告は必要なの?」という疑問が浮かぶかもしれません。そのようなお悩みを抱えている方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、北本市周辺の皆様を中心に、経験豊富な税理士が親身にサポートさせていただきます。初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。
よくある質問
Q:相続税が0円になる場合でも、必ず税務署への申告が必要ですか?
A:はい、必ず必要です。配偶者の税額軽減は「税務署へ申告書を提出すること」が適用の条件となっています。申告期限(10ヶ月以内)までに申告を行わないと特例が利用できず、本来かからなかったはずの多額の相続税が課される恐れがあるためご注意ください。
Q:内縁の妻(事実婚)や離婚した元配偶者も「配偶者の税額軽減」を使えますか?
A:いいえ、使えません。この特例が適用されるのは法律上の戸籍に基づく「婚姻関係にある配偶者」のみです。事実婚や内縁関係、元配偶者には適用されないため、生前贈与や遺言書の作成など、生前のうちから別の税金対策を進めておく必要があります。
Q:申告期限(10ヶ月)までに遺産分割協議がまとまらない場合はどうすればよいですか?
A:申告期限内に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて一旦申告を行います。その後3年以内に遺産分割が整えば、分割成立から4ヶ月以内に「更正の請求」の手続きをすることで、後から配偶者の税額軽減の適用を受けて税金の還付を受けることが可能です。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。