「自分が元気なうちに、少しでも多くの子どもたちへ財産を残してあげたいけれど、税金でたくさん引かれてしまうのは避けたい」——ご自身の将来や老後について考える中で、このような思いを抱える方は非常に多くいらっしゃいます。

北本市にお住まいの方からも、「現金でそのまま持っておくのが一番安心だと思っていたけれど、相続税がかかると聞いて不安になった」「生前贈与も難しそうだし、何か良い対策はないだろうか」というお悩みをよく伺います。

【参考】
実家の相続トラブルを防ぐ!お盆休みの帰省前に進める生前対策
https://souzoku-sanguu.com/2026/07/15/1455/

ご自身の財産をどう守り、どう引き継ぐかは、残されるご家族の人生を左右する大切なテーマです。数ある「生前対策」の中でも、手続きが比較的シンプルでありながら、確実で強力な節税効果を得られる方法があるということをご存知でしょうか?それが、「生命保険(死亡保険金)」の活用です。今回は、現金で残すよりも圧倒的に有利になる「生命保険の非課税枠」の仕組みと、注意点について分かりやすく解説します。

現金で残すよりお得?「生命保険の非課税枠」の基本ルール

一般的に、亡くなった方(被相続人)が掛けていた生命保険の死亡保険金は、残されたご家族が受け取った時点で「みなし相続財産」と呼ばれ、相続税の計算対象に含まれます。しかし、ご家族の生活保障という生命保険の性質に配慮して、一定の金額までは相続税が全くかからない特別な枠が法律で用意されています。これが「生命保険の非課税枠」です。

非課税枠の計算方法

 
この非課税枠は、以下のシンプルな計算式で求められます。

【計算式】500万円×法定相続人の数=生命保険の非課税限度額

【参考】
No.4114相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm

ここでいう「法定相続人」とは、配偶者や子どもなど、法律で定められた遺産を受け継ぐ権利のある人のことです。例えば、お父様が亡くなり、残された法定相続人がお母様と子ども2人(合計3人)だったとします。この場合、「500万円×3人=1,500万円」が非課税枠となります。
もし1,500万円をそのまま「銀行の預貯金(現金)」として残して亡くなった場合、その全額が相続税の課税対象となってしまいます。しかし、生前に同じ1,500万円を「生命保険」という形に換えておけば、この1,500万円には相続税が1円もかからないのです。
ただ現金の置き場所を変えるだけで、これだけの節税効果を生み出すことができます。

生命保険を活用する3つのメリットと知っておくべき「落とし穴」

生命保険を使った対策は、税金が安くなる以外にも、残されるご遺族にとって非常に大きなメリットをもたらします。

(1) すぐに現金が受け取れる(口座凍結対策)

 
人が亡くなると、故人名義の銀行口座は即座に凍結され、遺産分割協議が完了するまで原則としてお金が引き出せなくなります。しかし、生命保険金は「受取人固有の財産」とされるため、受取人が保険会社へ請求手続きを行えば、数日〜1週間程度で指定口座に振り込まれます。お葬式の費用や当面の生活費の支払いに直結する、非常に心強い資金となります。

【参考】
認知症による「口座凍結」を防ぐ!新しい生前対策「家族信託」とは
https://souzoku-sanguu.com/2026/05/20/1388/

(2) 遺産分割協議の対象外になる(争族対策)

 
先述の通り、生命保険金は受取人固有の財産となるため、親族全員で行う「遺産分割協議」の対象から外れます。「同居して介護をしてくれた長女に保険金を残す」とあらかじめ受取人を指定しておくことで、他の兄弟の同意を得ることなく、確実に意中の相手へ財産を渡すことができます。

しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。この強力な「非課税枠」を使えるのは、保険金の受取人が「法定相続人」である場合のみです。例えば、「可愛い孫に財産を残したい」と考え、受取人を法定相続人ではない「孫」に指定してしまうと、500万円×人数の非課税枠は一切使えなくなってしまうという点には注意が必要です。

保険金の受け取りから相続税申告までの具体的な「手続き」

生前に生命保険に加入し、いざ相続が発生した場合、ご遺族が行うべき手続きの流れは以下のようになります。

請求漏れと申告漏れに注意

 

  • 保険金の請求手続き:死亡保険金は、保険会社が勝手に振り込んでくれるわけではありません。受取人に指定されている方が、保険会社へ直接連絡を取り、死亡診断書や戸籍謄本などを提出して請求を行う必要があります。
  • 相続税申告への記載:「保険金は非課税枠に収まっているから、税務署には何も言わなくていい」というわけではありません。遺産総額が相続税の「基礎控除」を超える場合は、受け取った保険金額と非課税枠の計算内容を正確に相続税申告書に記載して提出しなければなりません。

この申告から漏れてしまうと、後日税務署の調査が入り、本来納めるべき税金に加えて重いペナルティ(加算税・延滞税)が科されてしまう恐れがあります。

まとめ|正しい生前対策の第一歩は、北本市の相続専門税理士へご相談を

今回は、最も身近で確実な生前対策である「生命保険の非課税枠」の活用法と、そのメリットや注意点について解説しました。生命保険は現金を非課税で残せる素晴らしい仕組みですが、ご自身の財産状況や家族構成に合わせて「誰を受取人にすべきか」「非課税枠を最大限活かすにはどうすればいいか」を正確に見極める必要があります。正しい財産の評価や、漏れのない申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。

「うちの場合は相続税がかかるのだろうか?」「元気な今からできる一番効果的な対策を教えてほしい」という疑問が浮かぶかもしれません。一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が親身に対応させていただきます。初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。

よくある質問

 

Q:相続放棄をした人がいる場合、非課税枠の計算に使う「法定相続人の数」はどうなりますか?

A:相続放棄をした人がいても、非課税枠の計算(500万円×人数)においては「放棄がなかったものとした場合の人数」で計算します。ただし、相続放棄をした人自身が受取人の場合は非課税枠を適用できず、受け取った全額が課税対象となるため注意が必要です。

Q:生命保険金を受け取った場合、相続税以外の税金(所得税や贈与税)がかかることはありますか?

A:はい。「契約者(保険料負担者)・被保険者・受取人」の関係で変わります。契約者と被保険者が同じ(父・父・子)なら相続税ですが、契約者が受取人自身(子・父・子)なら所得税、三者が全て異なる(母・父・子)なら贈与税が課され、非課税枠(500万円×人数)は使えません。

Q:特定の子だけに生命保険金を残した場合、他の相続人から「ずるい」と遺産分割で揉めることはありませんか?

A:生命保険金は原則として受取人固有の財産であり遺産分割の対象外ですが、他の遺産に比べてあまりに高額な場合(遺産の大部分を占める等)は「特別受益」として持ち戻しの対象とされる判例リスクがあります。特定の親族に残す場合は、事前の全体のバランス設計が重要です。