遺産の中に「マンション」が含まれているケースは増えています。かつて「相続不動産」といえば戸建てのイメージが一般的でしたが、現在は都心部を中心にマンションの相続が主流になりつつあります。

マンションの相続は戸建てとはルールが少々異なります。加えて高層マンションについては2024年からの新ルールがあるため、通常の低階層のマンションよりは税金が高額になる可能性があります。

マンションを相続したら必ず相続税がかかるのか

「マンションを相続したら、相続税を払わなきゃいけない」とお考えの方もいますが、マンションがあるからといって、必ずしも相続税がかかるわけではありません。

なぜなら、相続税には「基礎控除」という仕組みがあるからです。
相続税の「基礎控除」とは、どんな相続でも使える非課税の枠であり、3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)で算出します。

例えば、お父様が亡くなり、相続人がお母様とお子さん2人の合計3人だった場合、基礎控除額は「4,800万円」となります。

もし、亡くなった方の遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税は1円もかかりませんし、税務署への申告も不要です。

これまでのマンション評価の仕組み

マンションは預貯金と違って、相続での価値を「評価」しなければなりません。評価額は、大きく分けて「建物」と「土地」の2つを合計して計算します。

(1)建物(専有部)の評価

建物の評価は簡単で、毎年4月〜5月ごろに市役所から送られてくる「固定資産税の納税通知書(課税明細書)」に書かれています。

記載されている「固定資産税評価額」という金額が、そのまま相続税の評価額になります。

(2)土地(敷地)の評価

マンションは一棟の建物をみんなで分けて使っています。土地も同じで、マンションが建っている大きな敷地を、住戸の広さに応じて少しずつ持ち合っています。これを「敷地権」と言います。

土地評価は、以下のステップで計算します。
敷地全体の価値を出す:道路ごとに決められた「路線価」を使って、土地全体の値段を計算します。
自分の持ち分をかける:全体の価値に、自分の部屋が持っている「敷地権の割合」を掛けます。

これまでの「タワマン節税」は使えなくなった

マンションは以前は節税に使われることがありました。いわゆる「タワマン節税」です。

例えば、タワーマンションの「2階」と「50階」の部屋があったとします。前述の計算方法を見ればわかりますが、「床面積が同じなら、相続税の評価額はほぼ同じ」になります。

しかし、実際に売却する場合はどうでしょうか。50階の方が眺望も良く、市場価値も高いので、圧倒的に高く売れてしまいます。

この「市場で売れる価格」は高いのに、「税金の計算上の価値」は低いという仕組みを利用して、現金でタワマンを買い、相続税を大幅に安く済ませる手法があったのです。

しかしながら、この不公平感をなくすために2024年から「区分所有補正」という新ルールが導入されました。これは「市場価格と評価額が離れすぎている場合は、評価額を引き上げる」という仕組みです。

新ルール「区分所有補正」で計算はどう変わったのか

新しいルールでは、これまでの計算結果に「補正率」を掛け算することになります。

新しい評価額=(これまでの建物評価+これまでの土地評価)×区分所有補正率

この「補正率」は、以下の4つの要素から複雑な計算式で算出されます。
・築年数(新しいほど評価が上がる)
・総階数(タワーマンションなど高い建物ほど評価が上がる)
・自分の部屋が何階か(上層階ほど評価が上がる)
・敷地の持分比率(土地に対して建物が豪華なほど評価が上がる)

この制度で特に影響が大きいのは、以下のようなケースです。
・都心のタワーマンションの高層階:評価額が1.5倍〜2倍近くに跳ね上がるケースもあります。
・築浅の分譲マンション:タワマンでなくても、市場価値が高い物件は軒並み評価額がアップします。

マンション相続で損をしないためのアドバイス

区分所有補正の登場により、マンションの評価は複雑化しました。そのため、ご自身で計算した金額が、後から税務署に指摘されるケースも増えました。

よって、マンションの相続をしたら、専門家に相談し、適正な評価額を算出してもらった方が良いでしょう。専門の税理士であれば、節税方法についても詳しく教えてもらえます。

相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。「まだ先だ」と思っていても、遺産分割協議が難航したり、名義変更の手続きに時間がかかったりすると、あっという間に期限が来ます。

そのため、相談も早めにしておきましょう。

まとめ

マンションの相続は現在では「単なる不動産の引き継ぎ」から「複雑な税務判断が必要なタスク」へと変わりました。

ご自身で「大丈夫だろう」と判断せず、一度専門家に現状を整理してもらうことをおすすめします。「相続税がかかるのか?」といった素朴な疑問からで構いません。まずは、お気軽にご相談ください。

 

 


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