相続では絶対に必須となる戸籍謄本 取り寄せる方法とは

相続手続きでは、ほとんどの場合で「戸籍謄本」の提出が求められます。この戸籍謄本は、戸籍に記載された家族全員の情報を証明する重要な書類です。
税務署や金融機関、法務局は手続きの中で正確な相続関係を確認しなければなりません。故人との戸籍上のつながりを明確にするため、戸籍謄本は相続手続きにおいて、欠かせない書類となります。
なお、現在では「戸籍謄本」は「戸籍全部事項証明書」という名称で扱われる場合が多いですが、この2つは本質的には同じものです。
戸籍謄本は、紙の原本を証明書として発行したものであり、戸籍全部事項証明書は電子化された戸籍データを基に出力されたものです。ほとんどの自治体で戸籍のデジタル化が進んでいるため、現在では後者が主流となっています。
相続手続きで必要な戸籍謄本とは?
相続手続きでは、主に以下の2種類の戸籍謄本が必要となります。
(1)被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本は、誰が法定相続人なのかを証明するために欠かせない資料です。
民法では、法定相続人の範囲を被相続人の配偶者、子、直系尊属(故人の親など)、および兄弟姉妹に限定しています。また、これらの親族の間には相続順位も定められています。
被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどることで、結婚歴や子どもの有無など、家族関係が明らかになります。相続順位で最優先(相続順位が1位)となる子どもが存在する場合、親や兄弟姉妹には相続権が発生しないため、すべての親族を明らかにするために、被相続人の詳細な戸籍情報が必要なのです。
なお、法定相続人になれるのは戸籍上の親族に限られるため、婚姻関係のない愛人や認知されていない子どもは相続権を持ちません。
(2)相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本は、その人が生存しているかどうかを確認するために必要です。たとえば、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得しただけでは、子どもが存在する事実は分かりますが、その子どもが存命であるかどうかはわかりません。
そのため、相続人それぞれについて、最新の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得することが求められます。これにより、相続人の存命が確定し、遺産分割協議やその他の手続きが進められます。
ただし、場合によってはこの書類が不要となるケースもあります。
戸籍謄本の有効期限について
不動産の名義変更(相続登記)においては、戸籍謄本の有効期限は特に設けられていません。
しかし、金融機関で行う故人名義の口座変更手続きなどでは、戸籍謄本に有効期限が設けられている場合があります。これは金融機関ごとに異なりますが、通常、発行日から6か月以内のものが求められることが多いです。
そのため、相続手続きが始まったら、すべての戸籍謄本を新たに取得しておくことをおすすめします。これにより、どの手続きにおいても問題なく書類を提出できる状態となります。
戸籍謄本が必要な主な相続手続き
以下は、相続手続きにおいて「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」および「相続人全員の戸籍謄本」が必要となる主な場面です。
- 相続人の調査および確定
- 遺言書の検認
- 相続税の申告
- 相続放棄や限定承認の申し立て
- 相続不動産の名義変更(相続登記)
- 預貯金や有価証券の名義変更および払い戻し
これらの手続きの中でも、特に注意が必要なのは「相続税の申告」と「相続放棄」です。どちらも期限が設けられているため、早めの対応が求められます。
また、相続人が多数いる場合や遠方に住んでいる場合には、書類の収集に時間がかかることもあるため、計画的に進めましょう。
戸籍謄本を取得する方法
戸籍謄本は、被相続人または相続人の本籍地を管轄する市区町村役場で取得できます。市区町村役場の窓口に直接出向いてもよいですし、郵送での請求も可能です。
なお、本籍地は現住所と異なる場合が多いため、事前に確認しておく必要があります。
本籍地が不明な場合には、本籍地の記載がある住民票(被相続人であれば住民票除票)の写しを取得して確認するとよいでしょう。
面倒な場合は専門家に依頼しましょう
仕事が忙しい方や戸籍の取り寄せに時間を割くことが難しい方は、相続の専門家に依頼してください。
税理士や司法書士に依頼すれば、戸籍の取り寄せだけでなく、相続税申告や口座の不動産名義変更などの手続きまで一括してサポートしてもらうことも可能です。
特に、被相続人が複数回結婚している場合や、相続人が遠方に散在している場合には、戸籍の収集が非常に煩雑になることがあります。
このようなケースでは専門家に依頼することで手間を省き、スムーズに相続手続きを進めることができます。
まとめ
戸籍謄本の収集は、相続手続きにおけるスタート地点です。相続では欠かせない書類です。
ただし、相続人が多い場合や、複雑な家族関係がある場合には、必要な戸籍謄本の数も膨大になることがあります。
また、場合によっては知らない親族との連絡が必要になるなど、戸籍の収集以外の課題も生じることがあります。
こうした手間を軽減するためにも、相続の専門家に相談することをおすすめします。相続税申告といった期限付きのものに間に合わせるためにも、早めの対応をしましょう。
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平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。