ご自身の老後やご家族の将来を考える中で、「自分が元気なうちに子どもや孫へ財産を少しずつ移して、できるだけ相続税の負担を軽くしてあげたい」とお考えになる方は非常に増えています。
暦年贈与の「年間110万円まで非課税」という仕組みは、長年にわたり最も手軽で効果的な節税手法として活用されてきました。しかし、税制改正によって生前贈与を取り巻くルールが大きく様変わりしたことをご存知でしょうか。
2024年(令和6年)1月1日以降に行われた贈与から、相続発生時に生前贈与を遺産へ足し戻す「持ち戻し(生前贈与加算)」の対象期間が、従来の「3年間」から段階的に「最大7年間」へと大幅に延長されました。
【参考】
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
制度改正を知らないまま昔通りのやり方で生前贈与を続けていると、「節税対策をしていたはずが、まったく節税になっていなかった」「後から想定外の相続税が発生してしまった」という事態に陥るリスクがあります。
今回は、最新ルールである「7年持ち戻し」の仕組みと、法改正後も損をしないための賢い生前対策・手続きについて分かりやすく解説します。
2024年改正で何が変わった?生前贈与「7年ルール」の基礎知識
まずは、今回の法改正によって生前贈与のルールがどう変更されたのか、基本構造を把握しておきましょう。
暦年贈与の「持ち戻し(生前贈与加算)」とは?
生前贈与の基本である暦年贈与は、1年間(1月1日〜12月31日)にあげた財産の合計が110万円以下であれば、贈与税がかからないという制度です。
【参考】
生前贈与とは【相続税対策】
https://souzoku-sanguu.com/2022/06/01/358/
しかし、亡くなる直前に駆け込みで大量の財産を家族に贈与し、意図的に相続税を免れる行為を防ぐために法律上のストッパーが用意されています。これが「生前贈与加算(持ち戻し)」というルールです。亡くなった方から一定期間内に贈与された財産は、相続が発生した際に「最初から相続で引き継いだもの」とみなし、相続税の計算対象(遺産総額)に足し戻さなければなりません。
「3年」から「7年」への段階的拡大のルール
2023年までの旧ルールでは、持ち戻しの対象となる期間は「死亡前3年以内」でした。これが2024年1月1日以降の贈与からは、以下のように段階的に延長され、最終的に「死亡前7年以内」まで引き上げられます。
| 相続が発生した時期 | 相続財産に加算される期間 | 概要 |
|---|---|---|
| 2023年12月31日まで | 死亡前 3年間 | 従来のルールが適用 |
| 2024年1月1日以降 | 死亡前 最大7年間 | 2027年以降に段階的に延長され最大7年に |
※延長された4年間(過去4〜7年目の期間)に贈与された財産については、合計100万円までは持ち戻し対象から除外される経過措置も設けられています。
この改正により、「高齢になって体調を崩してから、慌てて毎年110万円ずつ子どもに贈与を開始する」という手法は、直前7年分がほぼすべて相続税の計算に連戻されてしまうため、以前のような高い節税メリットを得にくくなりました。
新しくなった「相続時精算課税制度」の活用とメリット
「持ち戻しが7年に伸びたなら、生前贈与での節税はもう無理なのか」と諦める必要はありません。国は暦年贈与の制限を厳しくした一方で、もう一つの贈与方式である「相続時精算課税制度」の利便性を大幅に向上させました。
【参考】
相続時精算課税制度は相続税対策になるのか【生前贈与】
https://souzoku-sanguu.com/2022/06/15/347/
(1)年間110万円までの「基礎控除」が新設!
かつての相続時精算課税制度は、「2,500万円まで非課税で贈与できる代わりに、一度選ぶと110万円の非課税枠が消滅し、将来全額が相続税の対象になる」という使い勝手の悪さがあり、選択する人が少ない制度でした。
しかし2024年改正によって、相続時精算課税制度の中に「年110万円までの基礎控除枠」が新しく設置されました。
(2)「年110万円以下」なら持ち戻しゼロ&申告不要
新制度のもとでは、相続時精算課税を選んだ後でも、年110万円以下の贈与であれば「7年持ち戻し」の対象から完全に除外されます。つまり、亡くなる前日に行われた贈与であっても、年110万円以下なら相続税の課税対象になりません。
さらに、年110万円以下の贈与であれば税務署への贈与税申告も不要です。
若い時期から計画的に資産を渡したい場合は「暦年贈与」、高齢期に入ってから安全確実に非課税で資産を移したい場合は「新しい相続時精算課税制度」といったように、状況に応じた制度選択が成功の鍵を握ります。
北本市で進める正しい生前贈与の手続きと注意すべき「落とし穴」
改正後の生前贈与を活用して確実に節税成果を上げるためには、税務署から後日否認されないための正しい手続きと証拠管理が必要です。
(1)名義預金と判定されるリスク(契約書がないケース)
親が子どもや孫の名義で銀行口座を開設し、親の資金から毎年110万円を振り込んで「贈与完了」と思い込んでいるケースが多発しています。
しかし、通帳や印鑑を親が管理しており、子ども自身が自由に使えない状態にあると、税務署からは「名義預金(形を変えた親の財産)」とみなされてしまいます。名義預金と判定された場合、過去何年分もの合計額がそのまま相続財産と判定され、重いペナルティ(加算税・延滞税)が課されることになります。
対策として、贈与を行うたびに書面で「贈与契約書」を作成し、互いに合意の上でお金を渡したという法的な手続きと記録を残すことが不可欠です。
(2)受取人が「孫」であれば持ち戻しの対象外
7年持ち戻しルールの対象となるのは、原則として「相続や遺贈によって財産を取得する人(配偶者や子どもなどの法定相続人)」です。
遺言書などで遺産を渡さない限り、法定相続人ではない「孫」や「子の配偶者」に対する生前贈与は、原則として7年持ち戻しの対象になりません。そのため、「孫への都度贈与」「結婚・子育て資金の一括贈与(令和9年3月31日まで)」などを上手く組み合わせる手続きを行えば、法改正後であっても大きな節税効果を維持することが可能です。
【参考】
扶養義務者からの「都度の贈与」は非課税になる 仕組みと注意点を解説
https://souzoku-sanguu.com/2025/06/18/1103/
まとめ|税制改正に合わせた最適な生前贈与は、北本市の相続専門税理士へご相談を
今回は、2024年より施行された生前贈与の「7年持ち戻しルール」と、刷新された「相続時精算課税制度」の活用法、失敗しないための手続きについて解説しました。
生前贈与は単に「親から子へお金を移す」だけの手続きではありません。「誰に対して」「いつ」「どの制度を選択し」「どのように証拠を残して渡すか」によって、将来ご家族が負担する相続税額が大きく変わってきます。
間違った知識や自己判断で手続きを進めてしまうと、将来の税務調査で否認され、大きなペナルティが発生する危険性もあります。
「自分の場合は暦年贈与と相続時精算課税のどちらを選ぶべきか」「過去の贈与が名義預金と疑われないか確認したい」「法的に有効な贈与契約書を作成したい」など、疑問や不安を感じている方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が親身に対応させていただきます。初回の相談は無料となっておりますので、どうぞ安心してご利用ください。
よくある質問
Q:2023年以前に贈与した分も、7年持ち戻しの対象になりますか?
A:なりません。7年ルールの対象は2024年1月1日以降の贈与のみで、それ以前の贈与は従来どおり3年ルールです。また、加算される期間は「相続が発生した日」で決まり、2026年中の相続であれば3年、2031年1月1日以降の相続で完全に7年となります。
Q:持ち戻された贈与について、すでに払った贈与税は二重取りされませんか?
A:されません。加算された贈与財産に課された贈与税は「贈与税額控除」として相続税から差し引けます。ただし控除しきれなかった分は原則として還付されないため、高額な贈与税を払ってまで駆け込み贈与をするのは慎重に判断すべきです。
Q:年110万円以下の贈与でも、相続時精算課税を使うのに手続きは必要ですか?
A:初回のみ必要です。贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に「相続時精算課税選択届出書」を税務署へ提出します。この届出を出していないと暦年課税のままとなり、7年持ち戻しの対象になってしまうため、最初の年の手続きが最も重要です。
Q:相続時精算課税を選ぶと、暦年贈与の110万円枠はもう一切使えませんか?
A:使えなくなるのは「その贈与者からの贈与」だけです。父について相続時精算課税を選んでも、母からの贈与は暦年課税を継続できます。贈与者ごとに選択できるため、父母で制度を使い分けるという設計も可能です。
Q:孫に贈与すれば、必ず持ち戻しの対象外になりますか?
A:原則は対象外ですが、例外があります。孫が代襲相続人になっている場合、遺言で財産を受け取る場合、生命保険金の受取人になっている場合は持ち戻しの対象です。また孫が相続財産を取得すると相続税額が2割加算されるため、事前の確認が欠かせません。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
身内の方が亡くなられた直後は、葬儀の手配や役所への届出、各種名義変更や預貯金口座の凍結解除など、想定以上に膨大な手続きが押し寄せてきます。心身ともに疲弊する中で「何から手を付ければいいのか分からない」と途方に暮れてしまうご遺族は少なくありません。
相続に関連する手続きとして広く知られているのは、亡くなった日から「10ヶ月以内」に行う相続税の申告や、義務化された不動産の相続登記です。しかし、これらの手続きよりもずっと前に、非常に短い期限で対処しなければならない重要な税務手続きが存在します。それが、亡くなった方の確定申告にあたる「準確定申告」です。
準確定申告の提出期限は、「相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内」と定められています。うっかり忘れて放置してしまうと、思わぬ追徴課税が発生する恐れがあります。
【参考】
No.2022納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
今回は、北本市周辺で相続に直面されているご遺族に向けて、準確定申告の基本ルールから対象となる方の条件、手続きで陥りがちな注意点までを分かりやすく解説します。
亡くなった親の確定申告が必要?「準確定申告」の基本ルール
まずは、準確定申告とはどのような制度であり、通常の確定申告と何が異なるのか、基本ルールを確認しておきましょう。
準確定申告とは?通常の確定申告との違い
個人が納める所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告・納税する仕組みになっています。
しかし、年の途中で名義人が亡くなった場合、本人が確定申告を行うことは不可能です。そこで、亡くなった方(被相続人)の代わりに、相続人全員が「その年の1月1日から死亡した日までの所得」を計算し、代わりに申告と納税を行う手続きが「準確定申告」です。
期限は「4ヶ月以内」!遅れた場合のペナルティ
準確定申告において最も意識しなければならないのが「4ヶ月」という法定期限です。相続税申告の「10ヶ月」と比べても半分以下の時間しかありません。四十九日の法要や法的な遺産整理に追われていると、4ヶ月という期間は驚くほどあっという間に過ぎ去ってしまいます。
【参考】
北本市で相続が発生したら?「配偶者の税額軽減」の手続きと税理士への相談
https://souzoku-sanguu.com/2026/09/02/1478/
正当な理由がなくこの期限を過ぎてしまうと、本来納めるべき税金に加えて無申告加算税や延滞税といった重いペナルティ(加算税・延滞税)が科されてしまいますので、早めの着手が不可欠となります。
どんな人に必要?準確定申告が必要なケースとメリット
亡くなった方全員が必ず準確定申告を行わなければならないわけではありません。しかし、特定の収入があった場合や、逆に「税金が戻ってくる(還付される)」ケースでは手続きが必要になります。
(1)準確定申告が必要となる主なケース
- 個人事業(自営業や農業)を営んでいた、またはアパートや駐車場などの不動産収入(不動産所得)があった場合
- 生前に自宅・土地などの不動産や株式を売却し、譲渡益(譲渡所得)が出ていた場合
- 公的年金等による収入が年間400万円を超えていた場合
- 給与収入が年間2,000万円を超えていた、または2ヶ所以上から給与をもらっていた場合
北本市や周辺地域では、先祖代々の土地やアパートをお持ちの方、あるいは生前に所有不動産を整理・売却された高齢者の方も多く、準確定申告が必要となる割合は比較的高いと言えます。
(2)還付金が受け取れるメリットがあるケース
準確定申告は、税金を納めるためだけの制度ではありません。払いすぎていた税金を取り戻す「還付申告」としての側面もあります。
- 生前に高額な医療費を支払っていた場合(医療費控除)
- 年金や給与から所得税が源泉徴収(天引き)されており、年途中の死亡により年末調整を受けられなかった場合
亡くなる直前に病気の治療や長期入院があり、高額な医療費を負担していたケースでは、医療費控除を適用して準確定申告を行うことで、納め過ぎていた所得税が還付金として相続人に戻ってくる大きなメリットが得られます。
北本市での具体的な手続き手順と注意すべき「落とし穴」
ご自身で準確定申告の手続きを進めようとする場合、いくつか知っておくべき実務上の「落とし穴」が存在します。
落とし穴1:相続人「全員」の連名と捺印が必要
準確定申告書は、原則として法定相続人全員が連名で署名・捺印して提出しなければなりません。「代表して長男である自分が勝手に提出しておこう」ということはできません。遠方に住んでいる相続人がいたり、遺産分割協議で意見が対立して連絡が取りにくくなっていたりすると、署名が集まらずに4ヶ月の期限を過ぎてしまうリスクが高まります。
※なお、他の相続人と意見が合わず連署できない場合は、他の相続人の氏名を付記して各相続人が単独で申告書を提出することも法律上認められています(その場合、申告内容を他の相続人へ通知する義務が生じます)。
落とし穴2:医療費控除における「支払日」の判定
医療費控除を申請する際、「誰がいつ支払ったか」という日付が非常に厳格に審査されます。亡くなった本人の財産から生前に支払われた医療費は準確定申告の控除対象になります。しかし、亡くなった後に親族が代わりに支払った病院代や未払い医療費は、準確定申告の医療費控除に含めることができません(※支払った親族自身の確定申告で控除するか、相続税申告の債務控除として計上することになります)。
この区別を誤ると、税務調査で指摘を受け、追徴課税が発生する原因となります。
落とし穴3:受け取った還付金は「相続財産」になる
準確定申告の返還手続きによって口座に振り込まれた還付金は、申請した相続人個人のポケットマネーになるわけではありません。亡くなった方の「相続財産(プラスの遺産)」に組み入れられます。したがって、のちほど行う「遺産分割協議」の対象として他の相続人と分け合う必要があり、遺産総額によっては相続税の課税対象にも含まれてくるという点に注意が必要です。
まとめ|準確定申告と相続税申告の連携は、北本市の相続専門税理士へご相談を
今回は、ご家族が亡くなった際に直面する「準確定申告(4ヶ月以内)」の基本ルールや申告の注意点について解説しました。
準確定申告は「4ヶ月」という短い期限の中で、故人の所得や医療費の領収書を正確に集め、相続人全員の同意を得て提出しなければならないハードルの高い手続きです。さらに、ここで確定させた数値や未納分・還付金は、その後に控える「10ヶ月以内の相続税申告」や「遺産分割協議」にそのまま影響を及ぼします。
不慣れな申告でミスをしてしまうと、後から税務署よりペナルティ(加算税・延滞税)を科されるリスクもあります。
「申告に必要な書類や領収書の集め方が分からない」「4ヶ月の期限が迫っていて対応しきれない」「相続税申告も発生するのかまとめて確認したい」など、疑問や不安をお持ちの方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が親身に対応させていただきます。初回の相談は無料となっておりますので、どうぞ安心してご利用ください。
よくある質問
Q:亡くなった親が「年金受給者」だけだった場合でも、準確定申告は必要ですか?
A:公的年金等の収入が年間400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下であれば申告不要です。ただし、生前に高額な医療費を支払っていた場合は、医療費控除を適用して準確定申告を行うことで源泉徴収された税金が戻る(還付を受ける)可能性があります。
Q:相続放棄をする予定ですが、準確定申告の書類に署名・捺印しても問題ありませんか?
A:注意が必要です。準確定申告で税金を納めたり還付金を受領・消費する行為が「単純承認(遺産を処分した行為)」とみなされ、相続放棄ができなくなるリスクがあります。相続放棄を検討されている場合は、申告前に必ず税理士や弁護士にご相談ください。
Q:北本市に住む私が相続人ですが、準確定申告書はどこ(どの税務署)に提出しますか?
A:相続人の自宅近くの税務署ではなく、「亡くなった方(被相続人)の死亡当時の納税地を管轄する税務署」に提出します。例えば被相続人が北本市にお住まいだった場合は、管轄の税務署(大宮税務署等)が提出先となります。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
「自分が元気なうちに、少しでも多くの子どもたちへ財産を残してあげたいけれど、税金でたくさん引かれてしまうのは避けたい」——ご自身の将来や老後について考える中で、このような思いを抱える方は非常に多くいらっしゃいます。
北本市にお住まいの方からも、「現金でそのまま持っておくのが一番安心だと思っていたけれど、相続税がかかると聞いて不安になった」「生前贈与も難しそうだし、何か良い対策はないだろうか」というお悩みをよく伺います。
【参考】
実家の相続トラブルを防ぐ!お盆休みの帰省前に進める生前対策
https://souzoku-sanguu.com/2026/07/15/1455/
ご自身の財産をどう守り、どう引き継ぐかは、残されるご家族の人生を左右する大切なテーマです。数ある「生前対策」の中でも、手続きが比較的シンプルでありながら、確実で強力な節税効果を得られる方法があるということをご存知でしょうか?それが、「生命保険(死亡保険金)」の活用です。今回は、現金で残すよりも圧倒的に有利になる「生命保険の非課税枠」の仕組みと、注意点について分かりやすく解説します。
現金で残すよりお得?「生命保険の非課税枠」の基本ルール
一般的に、亡くなった方(被相続人)が掛けていた生命保険の死亡保険金は、残されたご家族が受け取った時点で「みなし相続財産」と呼ばれ、相続税の計算対象に含まれます。しかし、ご家族の生活保障という生命保険の性質に配慮して、一定の金額までは相続税が全くかからない特別な枠が法律で用意されています。これが「生命保険の非課税枠」です。
非課税枠の計算方法
この非課税枠は、以下のシンプルな計算式で求められます。
【計算式】500万円×法定相続人の数=生命保険の非課税限度額
【参考】
No.4114相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
ここでいう「法定相続人」とは、配偶者や子どもなど、法律で定められた遺産を受け継ぐ権利のある人のことです。例えば、お父様が亡くなり、残された法定相続人がお母様と子ども2人(合計3人)だったとします。この場合、「500万円×3人=1,500万円」が非課税枠となります。
もし1,500万円をそのまま「銀行の預貯金(現金)」として残して亡くなった場合、その全額が相続税の課税対象となってしまいます。しかし、生前に同じ1,500万円を「生命保険」という形に換えておけば、この1,500万円には相続税が1円もかからないのです。
ただ現金の置き場所を変えるだけで、これだけの節税効果を生み出すことができます。
生命保険を活用する3つのメリットと知っておくべき「落とし穴」
生命保険を使った対策は、税金が安くなる以外にも、残されるご遺族にとって非常に大きなメリットをもたらします。
(1) すぐに現金が受け取れる(口座凍結対策)
人が亡くなると、故人名義の銀行口座は即座に凍結され、遺産分割協議が完了するまで原則としてお金が引き出せなくなります。しかし、生命保険金は「受取人固有の財産」とされるため、受取人が保険会社へ請求手続きを行えば、数日〜1週間程度で指定口座に振り込まれます。お葬式の費用や当面の生活費の支払いに直結する、非常に心強い資金となります。
【参考】
認知症による「口座凍結」を防ぐ!新しい生前対策「家族信託」とは
https://souzoku-sanguu.com/2026/05/20/1388/
(2) 遺産分割協議の対象外になる(争族対策)
先述の通り、生命保険金は受取人固有の財産となるため、親族全員で行う「遺産分割協議」の対象から外れます。「同居して介護をしてくれた長女に保険金を残す」とあらかじめ受取人を指定しておくことで、他の兄弟の同意を得ることなく、確実に意中の相手へ財産を渡すことができます。
しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。この強力な「非課税枠」を使えるのは、保険金の受取人が「法定相続人」である場合のみです。例えば、「可愛い孫に財産を残したい」と考え、受取人を法定相続人ではない「孫」に指定してしまうと、500万円×人数の非課税枠は一切使えなくなってしまうという点には注意が必要です。
保険金の受け取りから相続税申告までの具体的な「手続き」
生前に生命保険に加入し、いざ相続が発生した場合、ご遺族が行うべき手続きの流れは以下のようになります。
請求漏れと申告漏れに注意
- 保険金の請求手続き:死亡保険金は、保険会社が勝手に振り込んでくれるわけではありません。受取人に指定されている方が、保険会社へ直接連絡を取り、死亡診断書や戸籍謄本などを提出して請求を行う必要があります。
- 相続税申告への記載:「保険金は非課税枠に収まっているから、税務署には何も言わなくていい」というわけではありません。遺産総額が相続税の「基礎控除」を超える場合は、受け取った保険金額と非課税枠の計算内容を正確に相続税申告書に記載して提出しなければなりません。
この申告から漏れてしまうと、後日税務署の調査が入り、本来納めるべき税金に加えて重いペナルティ(加算税・延滞税)が科されてしまう恐れがあります。
まとめ|正しい生前対策の第一歩は、北本市の相続専門税理士へご相談を
今回は、最も身近で確実な生前対策である「生命保険の非課税枠」の活用法と、そのメリットや注意点について解説しました。生命保険は現金を非課税で残せる素晴らしい仕組みですが、ご自身の財産状況や家族構成に合わせて「誰を受取人にすべきか」「非課税枠を最大限活かすにはどうすればいいか」を正確に見極める必要があります。正しい財産の評価や、漏れのない申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。
「うちの場合は相続税がかかるのだろうか?」「元気な今からできる一番効果的な対策を教えてほしい」という疑問が浮かぶかもしれません。一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が親身に対応させていただきます。初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。
よくある質問
Q:相続放棄をした人がいる場合、非課税枠の計算に使う「法定相続人の数」はどうなりますか?
A:相続放棄をした人がいても、非課税枠の計算(500万円×人数)においては「放棄がなかったものとした場合の人数」で計算します。ただし、相続放棄をした人自身が受取人の場合は非課税枠を適用できず、受け取った全額が課税対象となるため注意が必要です。
Q:生命保険金を受け取った場合、相続税以外の税金(所得税や贈与税)がかかることはありますか?
A:はい。「契約者(保険料負担者)・被保険者・受取人」の関係で変わります。契約者と被保険者が同じ(父・父・子)なら相続税ですが、契約者が受取人自身(子・父・子)なら所得税、三者が全て異なる(母・父・子)なら贈与税が課され、非課税枠(500万円×人数)は使えません。
Q:特定の子だけに生命保険金を残した場合、他の相続人から「ずるい」と遺産分割で揉めることはありませんか?
A:生命保険金は原則として受取人固有の財産であり遺産分割の対象外ですが、他の遺産に比べてあまりに高額な場合(遺産の大部分を占める等)は「特別受益」として持ち戻しの対象とされる判例リスクがあります。特定の親族に残す場合は、事前の全体のバランス設計が重要です。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
長年連れ添った人生のパートナーとのお別れは、言葉では言い表せないほどの深い悲しみを伴うものです。精神的な辛さを抱えたまま、お葬式の手配や役所での手続きに追われ、心身ともに疲弊してしまうご遺族は少なくありません。
そのような中で、残された配偶者の方が特に強い不安を抱くのが「これからの生活資金」と「住まい」についてです。「今まで二人で暮らしてきた北本市の自宅に、このまま住み続けられるのだろうか」「老後のために蓄えてきた預貯金を相続したら、多額の相続税がかかって今後の生活が立ち行かなくなるのではないか」と考える方が多くいらっしゃいます。
しかし、ご安心ください。日本の法律では、残された配偶者のその後の生活を保障し、財産を形成してきた内助の功に配慮するため、相続税を大幅に免除する大変有利な制度が用意されています。それが「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」です。今回は、残されたご家族にとって心強い味方となるこの特例の仕組みと、注意すべきポイントについて分かりやすく解説します。
最低1億6,000万円まで非課税に?「配偶者の税額軽減」の基本ルール
「配偶者の税額軽減」とは、亡くなった方(被相続人)の配偶者が遺産を引き継ぐ場合、一定の金額までは相続税が全くかからないという特例です。具体的には、以下の「どちらか金額が大きい方」までは相続税が無税となります。
(1)1億6,000万円
(2)配偶者の法定相続分(法律で定められた遺産の取り分)
【参考】
No.4158配偶者の税額の軽減|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
具体的なシミュレーション例
例えば、亡くなった夫の遺産総額が1億5,000万円だったとします。妻がその全額を相続したとしても、非課税枠である(1)の1億6,000万円以下に収まるため、妻が支払うべき相続税はゼロになります。
また、もし遺産総額が4億円あり、妻の法定相続分が半分(2億円)であった場合、(2)のルールが適用されます。この場合、1億6,000万円を超えていても、法定相続分である2億円までは相続税がかかりません。
このように、ほとんどの一般的なご家庭において、配偶者が相続する財産には相続税がかからない仕組みになっています。
特例のメリットと知っておくべき「落とし穴」(二次相続の罠)
この特例を使えば、「配偶者にはとりあえず税金がかからないから安心」と思われがちです。しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。それが、将来必ずやってくる「二次相続(にじそうぞく)」の問題です。
二次相続とは、今回財産を相続した配偶者が将来亡くなり、その子どもたちが財産を引き継ぐときの相続を指します。今回の相続(一次相続)で「税金がゼロになるから」と配偶者がすべての財産を相続してしまうと、将来の二次相続の際に、子どもたちへ莫大な相続税の負担がのしかかるという点には注意が必要です。
なぜ二次相続で税金が高くなるのか?
二次相続では、以下の理由から相続税が跳ね上がる傾向にあります。
- 残された子どもたちには「配偶者の税額軽減(1億6,000万円の枠)」が使えない。
- 法定相続人の数が一次相続の時より1人減るため、相続税がかからないラインである「基礎控除」の額が少なくなってしまう。
- 配偶者自身が元々持っていた財産に、今回相続した財産が上乗せされるため、適用される税率が高くなる。
目先の税金だけを減らすのではなく、「今回の相続」と「将来の相続」のトータルで家族全体が支払う税金がいくらになるのかを綿密にシミュレーションし、遺産分割協議を進めることが極めて重要です。
【参考】
実家の相続トラブルを防ぐ!お盆休みの帰省前に進める生前対策
https://souzoku-sanguu.com/2026/07/15/1455/
税金がゼロでも必要?特例を受けるための具体的な「手続き」
「うちの場合は1億6,000万円以下だから、放っておいても税金はゼロになる」というわけではありません。配偶者の税額軽減の適用を受けるためには、厳格な手続きのルールが存在します。
申告期限と遺産分割協議書の作成
この特例を適用して相続税をゼロにするためには、相続が開始したこと(亡くなったこと)を知った日の翌日から「10ヶ月以内」に、税務署へ相続税申告書を提出しなければなりません。さらに、その期限までに誰がどの財産を引き継ぐかを相続人全員で話し合う「遺産分割協議」を完了させ、全員の実印を押した「遺産分割協議書」を添付する必要があります。
もし親族間でもめてしまい、10ヶ月の期限内に遺産分割協議がまとまらなかった場合、原則としてこの特例は利用できず、多額の税金を一旦納めなければならない事態に陥ってしまいます(※救済措置として「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する方法もあります)。
まとめ|申告漏れを防ぐため北本市の相続専門税理士に相談を
今回は、残された配偶者の生活を守る「配偶者の税額軽減」の仕組みと、将来の二次相続を見据えた遺産の分け方の重要性について解説しました。この特例はご遺族にとって非常に大きなメリットがありますが、正しい財産の評価や、漏れのない申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。特に、将来の子どもたちの負担まで計算した上で最適なバランスを導き出すのは、一般の方には非常に困難です。
【参考】
【7月の路線価発表前に知る】北本市の土地・実家の相続税評価と税理士への相談タイミング
https://souzoku-sanguu.com/2026/07/01/1443/
「申告期限が迫っているけれど、どんな手続きから始めればいいのか分からない」「我が家のケースで相続税申告は必要なの?」という疑問が浮かぶかもしれません。そのようなお悩みを抱えている方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、北本市周辺の皆様を中心に、経験豊富な税理士が親身にサポートさせていただきます。初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。
よくある質問
Q:相続税が0円になる場合でも、必ず税務署への申告が必要ですか?
A:はい、必ず必要です。配偶者の税額軽減は「税務署へ申告書を提出すること」が適用の条件となっています。申告期限(10ヶ月以内)までに申告を行わないと特例が利用できず、本来かからなかったはずの多額の相続税が課される恐れがあるためご注意ください。
Q:内縁の妻(事実婚)や離婚した元配偶者も「配偶者の税額軽減」を使えますか?
A:いいえ、使えません。この特例が適用されるのは法律上の戸籍に基づく「婚姻関係にある配偶者」のみです。事実婚や内縁関係、元配偶者には適用されないため、生前贈与や遺言書の作成など、生前のうちから別の税金対策を進めておく必要があります。
Q:申告期限(10ヶ月)までに遺産分割協議がまとまらない場合はどうすればよいですか?
A:申告期限内に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて一旦申告を行います。その後3年以内に遺産分割が整えば、分割成立から4ヶ月以内に「更正の請求」の手続きをすることで、後から配偶者の税額軽減の適用を受けて税金の還付を受けることが可能です。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
「家族が亡くなり、悲しみに暮れる間もなく、慌ただしい中で葬儀の準備や役所の手続きに追われている……」今まさに、そのような大変なシチュエーションに直面し、不安を感じていらっしゃる方は多くいらっしゃいます。何から手をつければいいのか分からず、一人で不安を抱え込んでしまいがちですよね。
そんな中で、多くのご遺族が直面するのが「亡くなった親の銀行口座が凍結されてしまい、お金が一切引き出せなくなった」というトラブルです。「親の財産なのだから、いざとなれば家族が代わりに引き出して葬儀費用に充てればいい」と考える方が多くいらっしゃいますが、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。
銀行口座が凍結されると、葬儀費用や当面の生活費、さらには実家の光熱費の引き落としまでストップしてしまいます。「手元の現金だけでは足りないけれど、どうすればいいの?」という疑問が浮かぶかもしれません。
そこで今回は、遺産分割協議が成立する前であっても、一定の金額を凍結口座から引き出すことができる「預貯金の仮払い制度」について分かりやすく解説します。北本市周辺にお住まいの皆様が、もしもの時に慌てず安心して手続きを進めるためのヒントにしていただければ幸いです。
銀行口座はなぜ凍結される?知っておきたい相続の基本ルール
そもそも、なぜ人が亡くなると銀行口座が凍結されてしまうのでしょうか。まずはその基本的な仕組みについて確認しておきましょう。
人が亡くなると、その方の遺産(預貯金、不動産など)は、亡くなった瞬間に相続人全員の「共有財産」になります。これを誰がどのように分けるかを決めるのが「遺産分割協議」です。銀行などの金融機関は、遺産の分け方が正式に決まるまでの間、一部の相続人が勝手にお金を引き出して使い込んでしまうといったトラブルを防ぐために、口座を「凍結」して一切の取引を停止させます。
【参考】
認知症による「口座凍結」を防ぐ!新しい生前対策「家族信託」とは
https://souzoku-sanguu.com/2026/05/20/1388/
一度口座が凍結されてしまうと、窓口やATMでの現金の引き出しはもちろん、公共料金(電気・ガス・水道)の自動引き落としもできなくなってしまいます。遺産分割協議は、原則として「法定相続人全員」が参加し、全員が納得して合意しなければ成立しません。もし一人でも反対する人がいたり、話し合いが長引いたりすると、何ヶ月もお口座からお金を動かせなくなってしまうのです。
【参考】
遺産は誰のもの?「相続人」となる人とは[法定相続人の順位と範囲]
https://souzoku-sanguu.com/2026/01/07/1280/
遺産分割前にお金が下ろせる!「預貯金の仮払い制度」の仕組み
このように、口座凍結によって残された家族が葬儀費用の支払いや日々の生活費に困窮してしまう事態を防ぐために新設されたのが「預貯金の仮払い制度」です。
この制度を利用すれば、遺産分割協議の成立を待たなくても、また、他の兄弟などの同意を得られなくても、各相続人が「単独で」一定額までの払い戻しを銀行に請求することができます。利用する方法は、主に「金融機関の窓口で直接請求する方法」となります。
窓口で直接引き出せる上限額は、以下の計算式によって決まります。
【計算式】死亡時の預貯金残高×3分の1×請求する相続人の法定相続分
【参考】
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)|法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
ただし、この計算で出た金額がいくら高くても、「1つの金融機関につき最大150万円まで」という制限ルールがあります。
【具体的なシミュレーション例】
- 亡くなった父親のA銀行の口座に900万円の預金がある。
- 相続人は子ども2人(長男・次男)のケース(法定相続分は各2分の1)。
- 長男が単独で仮払い手続きを行う場合:
900万円×1/3×1/2=150万円となります。長男はA銀行の窓口から150万円を単独で引き出すことができます。もしA銀行に1,800万円あったとしても、「150万円まで」の制限があるため、引き出せるのは150万円となります。
仮払い制度のメリットと潜んでいる「落とし穴」
仮払い制度には大きなメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。
(1)他の相続人の同意が不要
連絡が取れない兄弟がいても、自分一人の判断で「手続き」を進められます。手元の貯金を切り崩すことなく、親の財産からスムーズに葬儀費用などを支払うことができます。
(2)「相続を認めた(単純承認)」とみなされるリスク
引き出したお金を葬儀費用などの正当な用途以外(自分のために使ってしまうなど)に利用すると、法律上「すべての遺産を引き継ぐことを承認した(単純承認)」とみなされてしまいます。もし、亡くなった親に後から多額の借金があることが分かったとしても、もう「相続放棄」ができなくなってしまうという大きな落とし穴があります。
(3)親族間トラブルの種になる
無断でお金を引き出したことで、他の兄弟から「遺産を勝手に使い込んだ」と疑われ、その後の話し合いが泥沼化してしまうケースがあります。利用する際は必ず領収書を保管し、他の相続人へ事前に伝えておくという点には注意が必要です。
まとめ|一人で抱え込まず、まずは北本市の相続専門の税理士までご相談ください
今回は、ご家族が亡くなった際の大切な「手続き」の一つである、銀行口座の凍結と「預貯金の仮払い制度」について解説しました。
仮払い制度を正しく使えば、葬儀費用の支払いの不安を解消できる大きなメリットがあります。しかし、引き出す金額の計算や必要書類の収集を怠ると、親族間でのトラブルに発展したり、後々の相続税申告の際に税務署から厳しくチェックされたりするリスクもあります。
引き出した預貯金も含めて、亡くなった方の財産の全体像を正しく評価・把握し、漏れのない相続税申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。
【参考】
相続税申告代行にかかる税理士費用はいくら?【税理士の選び方も解説】
https://souzoku-sanguu.com/2025/11/19/1235/
「親の口座が止まってしまい、何から手をつけていいか分からない」「自分のケースで相続税はかかるの?」など、疑問や不安を抱えている方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が親身に対応させていただきます。初回の相談は無料となっておりますので、どうぞ安心してご利用ください。
よくある質問
Q:仮払い制度の手続きに必要な書類は何ですか?事前に準備できますか?
A:通常、被相続人の除籍謄本(または死亡診断書の写し)、相続関係を証明する戸籍
謄本、申請する相続人の印鑑証明書・本人確認書類が必要です。必要書類は金融機関
により異なるため、事前に取引銀行の窓口またはホームページで確認することをお勧めします。
Q:口座が凍結されるのはいつですか?死亡届を提出した直後ですか?
A:口座凍結は死亡届の提出と直接連動しているわけではなく、金融機関が口座名義人の死亡を把握した時点で行われます。ご遺族や親族が銀行窓口での手続き時に伝えた場合や、訃報広告等で金融機関が知った時点で凍結されることが多いです。
Q:相続放棄を検討している場合、仮払い制度を使っても大丈夫ですか?
A:制度上は利用可能ですが、引き出したお金を生活費や葬儀費用以外の目的で消費した
場合、「法定単純承認(民法921条)」とみなされ相続放棄ができなくなる可能性が
あります。相続放棄の申述期限は「知った日から3か月以内」ですので、検討中の方は
必ず先に専門家へご相談ください。
Q:複数の銀行に口座がある場合、それぞれの銀行で仮払いの申請ができますか?
A:はい、複数の金融機関それぞれで申請が可能です。「1金融機関あたり150万円まで」
という上限はあくまで銀行ごとの制限ですので、A銀行で150万円・B銀行でも別途
計算した上限額まで単独で申請することができます。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
「親が高齢になってきたけれど今後の実家の管理はどうしよう……」と不安に思っていませんか?とはいえ、親に対して「相続」や「家の処分」といったシビアな話題はなかなか切り出しにくいものです。
そこでおすすめなのが、ご家族やご親戚が北本市の実家に集まる「お盆休み」です。全員が顔を合わせるお盆のタイミングを活かせば、将来の相続で困らないための「実家の片付け(生前整理)」について、自然な流れで話し合いをスタートできます。
特に、親が亡くなった後に誰も住まなくなる実家が「空き家」になってしまうケースが増えています。実は、空き家を売却する際にかかる税金を劇的に安く抑えることができる大変有利な特例が存在するのですが、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいるのです。
今回は、お盆休みの帰省をチャンスに変えるために、今のうちに知っておきたい実家の相続と「空き家特例」の仕組みを分かりやすく解説します。
なぜお盆の片付けが重要?空き家相続の基本ルール
そもそも、なぜ親が元気なうちから、実家の片付けや方針についての話し合いを進めておく必要があるのでしょうか。その理由は、不動産の相続における独特なルールの難しさにあります。
1.分けにくい「実家」は最もトラブルになりやすい
日本の相続において、親族間で最も揉めやすい財産が「実家(不動産)」です。現金であれば1円単位で分けることができますが、土地や建物は簡単に切り分けることができません。「財産のほとんどが北本市の実家で、きれいに分け合える現金が少ない」というケースは非常に多くあります。実家を誰が引き継ぐのか、誰も住まないなら売却して現金で分けるのか、といった方針を曖昧にしたまま放置すると、将来の「遺産分割協議」がまとまらず、トラブルに発展してしまいます。
【参考】
相続で残されるご家族の負担を減らすには【生前のうちの相続準備】
https://souzoku-sanguu.com/2026/04/15/1355/
2.空き家を売却すると多額の税金がかかる?
将来、相続した実家を売却して現金で分けようと考えた場合、不動産が売れた利益(譲渡所得)に対して、所得税や住民税が課されることになります。
特に、親が何十年も前に購入した古い家などの場合、当時の購入価格が証明できる書類が残っていないケースが多く、その場合は売却代金のほとんどが利益とみなされ、結果として数百万円〜数千万円もの重い税金がかかってしまうことがあるのです。
賢く節税!「空き家を相続したときの3,000万円特別控除」とは
こうした相続空き家の増加を防ぎ、スムーズな実家の売却を後押しするために国が設けているのが、「空き家を相続したときの3,000万円特別控除」という制度です。
この特例は、一人暮らしをしていた親が亡くなり、空き家となった北本市の実家(土地・建物)を相続した人が、一定の要件を満たしてその家を売却した場合、売却益から最大3,000万円までを差し引く(控除する)ことができるという大変有利な制度です。正しく適用することで、売却益にかかってしまう税金が「ゼロ」になる可能性があり、非常に大きなメリットが得られます。
【参考】
No.3306被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
ただし、利用するためには以下のような厳しい要件をすべてクリアしなければなりません。
- 亡くなった方が、亡くなる直前までその家で「一人暮らし」をしていたこと
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物(古い家)であること
- 相続が始まってから「3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却すること
- 売却代金の総額が1億円以下であること
ここに注意!片付けの有無が明暗を分ける「特例の落とし穴」
一見すると「古い実家を期限内に売れば安くなる」と思われがちです。しかし、実際の不動産実務においては、一般の方が見落としがちな大変恐ろしい「落とし穴」が潜んでいます。それこそが「実家の片付け」の進み具合なのです。
(1)「耐震基準を満たすか」または「解体して更地にするか」の選択
この特例を使うためには、古い建物的まま売る場合、その建物が現在の「耐震基準」を満たしていることを証明しなければなりません。しかし、古い建物を今の基準に適合させるための改修工事には莫大な費用がかかります。そのため、実務上は建物を解体して「更地にしてから土地を売却する」という方法を取るケースが圧倒的に多くなっています。
(2)片付けを後回しにすると「期限」に間に合わない
ここに最大の落とし穴があります。実家を解体して更地にするためには、家の中にある大量の荷物や家具、思い出の品(遺品)をすべて綺麗に片付けなければなりません。「亡くなってから、ゆっくり時間をかけて整理すればいい」と考えている方が多くいらっしゃいますが、いざ相続が始まると、法的な「手続き」や書類集めに追われ、実家の片付けは驚くほど後回しになってしまいます。気がつけば法定期限である3年が迫り、慌てて業者を手配しようとしても繁忙期には予約が取れず、特例の適用を諦めざるを得なくなった、という失敗事例が後を絶ちません。生前のうちから親と一緒に少しずつ片付けを進めておくことが、実は一番の安全策なのです。
まとめ|お盆の話し合いを活かすために、北本市の相続専門税理士へご相談ください
今回は、お盆休みの帰省を控えたこの時期にぜひ考えておきたい、実家の片付けと、相続した空き家の税金を抑える「3,000万円特別控除」の活用法について解説しました。
生前のうちから実家の片付けや将来の方針について家族で話し合っておくことは、将来の親族間トラブルを防ぎ、大幅な節税特例を確実に適用するための「一番の近道」となります。
ただし、この空き家特例や、実家の土地の評価額を下げる「小規模宅地等の特例」が使えるかどうかといった判断は、非常に緻密な税務の設計と経験が必要です。判断を誤ると、後から税務署の調査が入り、本来の税金に加えて「加算税」や「延滞税」といった重いペナルティ(加算税・延滞税)が科されてしまうリスクがあります。
【参考】
【7月の路線価発表前に知る】北本市の土地・実家の相続税評価と税理士への相談タイミング
https://souzoku-sanguu.com/2026/07/01/1443/
「うちの実家は空き家特例の対象になるのだろうか?」「生前対策を進めたいけれど、正しい方法を知りたい」とお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます。初回の相談は無料なので、せっかくのお盆の機会を最大限に活かすためにも、帰省前の今のうちにぜひお気軽にご利用ください。
よくある質問
Q:2024年に空き家特例の制度が改正されたと聞きました。何が変わりましたか?
A:2024年1月1日以降の売却から2点変わりました。①相続人が3人以上の場合の控除上限が3,000万円から2,000万円に引き下げ。②以前は売主が解体・耐震改修する必要がありましたが、買主が売買後に解体または耐震改修を行う場合でも特例を適用できるようになりました。
Q:「空き家特例」と「小規模宅地等の特例」は、両方同時に使えますか?
A:制度の場面が異なるため、原則として同時に活用できます。「空き家特例」は相続後に
売却した際の譲渡所得税を軽減し、「小規模宅地等の特例」は相続税の計算時に土地評価額を最大80%下げます。ただし要件が複雑なため、専門家との設計が不可欠です。
Q:親が亡くなる前に老人ホームや病院に入っていた場合、空き家特例は使えませんか?
A:入居後に実家が空き家になっていた場合でも、一定の要件を満たせば特例を適用できる制度(国税庁No.3307)があります。ただし要件が別途定められているため、老人ホームに入居していたケースは必ず専門家にご確認ください。
Q:実家を売らずに賃貸に出す場合、後から空き家特例は使えますか?
A:使えません。相続の開始後から売却までの間に事業用・貸付用・居住用として使用した場合は、空き家特例の適用対象外となります。将来売却して特例を使いたい場合は、相続後から売却まで一切の賃貸使用を避ける必要があります。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
「最近、親が高齢になってきて、これからの暮らしや実家の管理をどうしようか迷っている…」
「自分が元気なうちに、子どもたちに財産のことを伝えておいたほうがいいのかな?」
このようなお悩みを抱えている方は多くいらっしゃいます。しかし、日常生活の中でいきなり「相続」や「お墓」「お金」の話を切り出すのは、少しハードルが高いと感じてしまいますよね。
そこでおすすめなのが、夏にやってくる「お盆休み」です。お盆は、普段は離れて暮らしているご家族や親戚が北本市の実家に集まる絶好の機会です。全員の顔が揃うタイミングだからこそ、将来の相続手続きで家族が困らないための「生前対策」について、自然な形で話し合いを始めることができます。
「まだ元気だから、相続なんて先の話」と考える方が多くいらっしゃいますが、いざという時は突然やってくるかもしれません。何の準備もしないまま相続を迎えてしまうと、親族間でトラブルが起きたり、複雑な手続きに追われて大変な思いをしたりすることになります。
今回は、お盆休みの帰省をチャンスに変えるために、今のうちに準備しておくべき生前対策の進め方と、揉めないためのポイントを分かりやすく解説します。
なぜ生前対策が必要?家族で話し合うべき理由
そもそも、なぜ親が元気なうちから生前対策について話し合っておく必要があるのでしょうか。その理由は、日本の相続における基本的なルールと、遺された家族にかかる負担にあります。
相続手続きは全員の合意が原則
人が亡くなると、その方の遺産(預貯金、不動産、有価証券など)は一時的に相続人全員の共有財産になります。これを誰がどのように分けるかを決めるのが「遺産分割協議」です。
この遺産分割協議は、原則として「法定相続人全員」が参加し、全員が実印を押し、納得して合意しなければ成立しません。もし一人でも反対する人がいたり、連絡が取れない親族がいたりすると、手続きは完全にストップしてしまいます。銀行口座は凍結されてお金が引き出せなくなり、実家の名義変更(相続登記)もできなくなってしまうのです。
生前に準備しておくべき3つの基本対策
こうした事態を防ぐために、生前のうちに家族で共有し、準備しておきたい主な対策は以下の3つです。
- 財産の全体像がわかる「一覧表(財産目録)」の作成
- 誰にどの財産を渡すかを明確にする「遺言書」の作成
- 認知症による口座凍結を防ぐ「家族信託」などの検討
【参考】
自筆証書遺言書保管制度(法務省民事局)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
相続で残されるご家族の負担を減らすには【生前のうちの相続準備】
https://souzoku-sanguu.com/2026/04/15/1355/
認知症による「口座凍結」を防ぐ!新しい生前対策「家族信託」とは
https://souzoku-sanguu.com/2026/05/20/1388/
これらを「親が元気で、しっかりとした判断能力があるうち」に進めておくことが、残されるご家族の負担を減らすための大原則となります。
事前準備をしておく具体的なメリット
お盆の前に、少しずつ準備を進めておくことには多くのメリットが得られます。
財産調査の手間が劇的に減る
ご遺族が相続のときに一番苦労するのは、「どこに、どんな財産(銀行口座や不動産など)があるのか分からない」という点です。生前のうちに親と一緒に、通帳や不動産の権利書を確認し、ノートにリストアップ(一覧表を作成)しておくだけで、将来のご家族の手間と時間を大幅に省くことができます。ネット銀行やネット証券などの「デジタル遺品」も同様です。
【参考】
財産目録を相続で必ず作るべき理由とは
https://souzoku-sanguu.com/2025/10/01/1201/
分けにくい財産である実家の処理方針が決まる
「財産のほとんどが北本市の実家で、分け合える現金が少ない」というケースは、最も揉めやすいパターンです。お盆の集まりで、「将来、この家には誰が住むのか」「誰も住まないなら売却して現金で分けるか」といった本音を話し合っておくことで、将来の親族間トラブルを未然に防ぐことができます。
話し合いにおける注意点と潜んでいる落とし穴
せっかくお盆に家族が集まっても、進め方を間違えると逆効果になってしまう点には注意が必要です。
いきなりお金や遺産の話をするのはNG
子ども側からいきなり「お父さん、亡くなった後の遺産はどうするの?」と切り出すと、親御さんは「自分が死ぬのを待っているのか」と不快な気持ちになってしまうかもしれません。まずは「最近、北本市でも高齢者を狙った詐欺が多いみたいだけど、口座の管理は大丈夫?」「実家の片付け(生前整理)を少しずつ手伝うよ」といった、親を思いやる優しい言葉からスタートするのがポイントです。
遺言書を勝手に作らせようとしない
「揉めないために遺言書を書いて!」と無理に迫るのも禁物です。遺言書は、法律で定められた厳格なルールに従って本人の意思で作らなければ無効になってしまいます。また、特定の子供にだけ有利な内容の遺言書を書かせようとすると、他の兄弟との間で大きなトラブルに発展します。
まとめ
今回は、お盆休みの帰省を控えたこの時期に考えておきたい、実家の相続トラブルを防ぐための生前対策の進め方について解説しました。
生前のうちに「財産の一覧表」を作ったり、家族の意向を確認しておくことで、将来のトラブルや手続きの負担を大きく減らせます。ただし、切り出し方や対策の選び方を間違えると、家族関係にひびが入る落とし穴もあります。
「うちの場合は、遺言書と家族信託のどちらがいいのだろう?」「生前贈与を進めたいけれど、相続税がかからない正しい方法を知りたい」など、具体的な対策に進むためには、専門的な知識が不可欠です。せっかくのお盆の機会を活かすためにも、帰省する前の今のうちに、一度相続の専門家に相談して「我が家に必要な対策」を整理しておくことをおすすめします。
一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます。初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。
よくある質問
Q:お盆の帰省で相続の話を切り出すとき、親が嫌がらないよう始めるコツはありますか?
A:「遺産の話」ではなく「高齢者詐欺対策」「家の片付けを手伝う」など、親を思いやる話題から始めるのがポイントです。子どもから一方的に話を進めると親が警戒するため、まず親の意向を聞く姿勢を大切にしてください。
Q:遺言書と家族信託は、どちらを先に検討すればよいですか?
A:目的によって異なります。「亡くなった後の財産の分け方を指定したい」なら遺言書、「認知症など判断能力が低下したときの財産管理を事前に備えたい」なら家族信託が有効です。両方必要なケースも多く、状況に応じて専門家に相談して判断することを推奨します。
Q:相続登記(不動産の名義変更)は、いつまでにしなければいけませんか?
A:2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要です。過去の未登記不動産も2027年3月31日までに対応が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科されます。
Q:財産目録は、自分たちで作れますか?それとも専門家に頼むべきですか?
A:書式は自由で自分で作ることも可能ですが、銀行口座・不動産・株式・ネット資産(デジタル遺品)など漏れなく記載することが重要です。相続税申告が必要な場合は正確性が求められるため、専門家(税理士)が作成または確認する形をとると安心です。
Q:親が認知症になってから遺言書を書いてもらうことはできますか?
A:遺言書の作成には「遺言能力(意思能力)」が必要であり、認知症が進んで判断能力を失った後に作成した遺言は無効になる可能性が高いです。「まだ元気なうち」に作成することが非常に重要で、これが生前対策を早めに始める最大の理由の一つです。
相続手続き・相続税対策・遺言書作成・生前贈与など、相続に関するお悩みは(株)FP財産総合研究所までご相談ください。
年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます。
初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。
お電話での対応は[048-592-5533]受付時間9:00〜18:00です。
メールは[https://souzoku-sanguu.com/#contact]まで24時間受付中。

平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
ご家族が亡くなり、慌ただしい中で相続の手続きを進めていると、「我が家にはどれくらいの財産があるのだろう?」「相続税はかかるのかな?」という疑問が浮かぶかもしれません。特に、財産の中に「実家の土地」や「北本市内の不動産」が含まれている場合、その価値をどのように計算すればいいのか分からず、不安を感じてしまう方が多くいらっしゃいます。
実は、土地の相続税を計算する上で非常に重要な基準となる「路線価(ろせんか)」が、毎年7月1日に国税庁から新しく発表されます。「ニュースで名前は聞いたことがあるけれど、自分の実家とどう関係するの?」と思われる方も多いですよね。
土地は現金や預貯金とは異なり、1円単位でパッと金額が分からないため、手続きを後回しにしてしまいがちです。しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。正しい知識を持たずに放置したり、間違った方法で計算してしまったりすると、後から思わぬペナルティを受けてしまうこともあるのです。
今回は、間もなく発表される「路線価」の基本的な仕組みから、北本市周辺の土地や実家を相続する際の評価方法、阻害要因をなくして損をしないために知っておきたい専門家(税理士)への相談タイミングまで、分かりやすく丁寧に解説します。
路線価とは?土地の相続税評価の基本ルール
まずは、土地の相続税を計算するときの基本的なルールについて解説します。
土地の価値には、実際に売り買いされるときの「時価(実勢価格)」のほかに、税金を計算するために国が定めた独自の基準がいくつか存在します。その中で、相続税や贈与税を計算するときにベースとなるのが「相続税路線価」です。
路線価の基本的な意味
路線価とは、簡単に言うと「道路につけられた1平方メートルあたりの価格」のことです。その道路に面している土地は、原則としてすべてその路線価を基準にして、全体の価値(相続税評価額)を計算することになります。
一般的に、この路線価は時価(実際に売れる価格)の「約8割」を目安に設定されており、毎年7月1日に、その年の1月1日時点の価格が公表されます。国税庁のウェブサイトにある「路線価図」を使えば誰でも無料で閲覧することができます。
【参考】
財産評価基準書路線価図・評価倍率表(国税庁)
https://www.rosenka.nta.go.jp/
北本市内の土地はどう評価される?
北本市内の市街地や駅周辺の道路には、細かくこの路線価が設定されています。一方で、駅から少し離れた地域や農地が広がるエリアなどでは、道路に路線価がついていないケースもあります。
このように路線価が設定されていない地域では、「倍率方式(ばいりつほうしき)」という別のルールを使って計算します。倍率方式では、毎年5月頃に市役所から送られてくる固定資産税の「納税通知書」に記載されている「固定資産税評価額」に、国が定めた一定の倍率を掛け合わせて評価額を求めます。
「我が家の土地はどちらの方法で計算するのだろう?」と迷われたときは、ご自身で判断せずに相続専門の税理士まで確認することをおすすめします。
土地の相続税評価におけるメリット
一見すると「路線価に面積(平方メートル)を掛けるだけで簡単そう」と思われがちです。しかし、実際の土地の評価はそれほど単純ではありません。実は、土地の形状や周囲の環境に応じて、路線価から一定の金額を「差し引く(減額する)」ことができるルールがたくさん用意されています。これを適切に使うことで、相続税の負担を大きく抑えられるというメリットがあります。
具体的には、以下のような土地は評価額を下げられる可能性が非常に高いです。
- 土地の形が歪(いびつ)である不整形地
- 道路に接している間口が狭い、または奥行きが長すぎる土地
- 土地の中に「私道(自分や特定の人が使う道路)」が含まれているケース
- 近くに線路や墓地があり、騒音や心理的なマイナス要因がある場所
- 土地の面積が非常に広い(地積規模の大きな宅地の評価)
これらの減額ルールを適用することで、最初の計算よりも土地の価値が2割〜3割も下がり、結果として相続税が基礎控除以下になって申告が不要になったり、納税額が数百万円も安くなったりすることがあります。
知っておくべき注意点と土地相続の落とし穴
一方で、一般の方がご自身だけで土地を評価しようとする場合には、以下のようなデメリットや「落とし穴」に注意しなければなりません。
特例の適用の有無に関する判断の難しさ
亡くなった方が住んでいた実家の土地を、配偶者や同居していた子どもが引き継ぐ場合、土地の評価額を最大80%も減額できる「小規模宅地等の特例」という大変有利な制度があります。しかし、この特例を使うためには「誰が相続するか」「その後に住み続けるか」など、細かい要件をすべてクリアしなければなりません。
【参考】
土地を相続する際におさえておきたい「小規模宅地等の特例」とは
https://souzoku-sanguu.com/2025/05/07/1072/
No.4124相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
間違えた場合の税務署からのペナルティ
「よく分からないから、とりあえず固定資産税の金額で申告しておこう」「減額ルールを適当に使って安く申告しよう」と考えてしまうのは厳禁です。税務署は不動産の価値を非常に厳しくチェックしています。もし税務調査で「評価が間違っている」と指摘されると、本来の税金に加えて「加算税」や「延滞税」といった重いペナルティ(加算税・延滞税)が科されてしまいます。
【参考】
相続税で一番怖いペナルティで「重加算税」とは【追加負担35〜40%】
https://souzoku-sanguu.com/2026/03/18/1325/
まとめ
今回は、7月1日に発表される「路線価」と、北本市の実家や土地を相続する際の基本ルール、注意点について解説しました。
土地の形や特例(小規模宅地等の特例など)を正しく適用すれば、税金を大きく減らせるメリットがあります。しかし、判断を誤ると税務署から指摘を受け、ペナルティが発生するリスクがあります。特に「小規模宅地等の特例」が使えるかどうか、また歪な形の土地をどのように評価するかは、専門的な知識と経験が不可欠であり、一般の方が一人で判断するのは非常に困難です。だからこそ、路線価が発表されるこの時期に、早めに専門家へ相談することが大切となります。
「親が北本市に土地を持っているけれど、相続税がかかるか心配」「実家の評価額を正しく知りたい」とお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所では、年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます。初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。
よくある質問
Q:路線価が設定されていない土地は、相続税の計算ができないのですか?
A:路線価のない地域では「倍率方式」を使います。固定資産税評価額に国が定めた倍率を掛けて評価額を算出するため、路線価がなくても相続税は計算できます。どちらの方式を使うかは国税庁の路線価図で確認できます。
Q:小規模宅地等の特例は、同居していない子どもでも使えますか?
A:原則として同居が要件ですが、配偶者や同居親族がいない場合に限り、「家なき子特例」として別居の子どもが適用できるケースがあります。ただし過去3年間の持ち家の有無など細かい要件があり、専門家への確認が必要です。
Q:路線価を自分で調べて相続税の概算を出してもいいですか?
A:国税庁の路線価図は誰でも無料で閲覧でき、目安の計算は可能です。ただし土地の形状・特例・減額ルールの適用を誤ると申告ミスになるため、概算はあくまで参考程度にとどめ、正式申告は専門家に依頼することを強く推奨します。
Q:相続税申告を期限後に行うと、どんなペナルティが発生しますか?
A:法定申告期限(相続開始から10か月)を過ぎると無申告加算税(原則15〜20%)が課され、さらに延滞税も発生します。財産を意図的に隠した場合は重加算税(35〜40%)が適用されることもあります。
Q:税理士に相談するなら、路線価が発表される7月より前がよいですか?
A:路線価発表(例年7月1日)前でも相続税の概算や特例適用の見通しは立てられます。相続開始から10か月が法定期限であることを考えると、できるだけ早く、遅くとも発表後すみやかに相談することが重要です。
相続手続き・相続税対策・遺言書作成・生前贈与など、相続に関するお悩みは(株)FP財産総合研究所までご相談ください。
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平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。
遺産の中に「マンション」が含まれているケースは増えています。かつて「相続不動産」といえば戸建てのイメージが一般的でしたが、現在は都心部を中心にマンションの相続が主流になりつつあります。
マンションの相続は戸建てとはルールが少々異なります。加えて高層マンションについては2024年からの新ルールがあるため、通常の低階層のマンションよりは税金が高額になる可能性があります。
マンションを相続したら必ず相続税がかかるのか
「マンションを相続したら、相続税を払わなきゃいけない」とお考えの方もいますが、マンションがあるからといって、必ずしも相続税がかかるわけではありません。
なぜなら、相続税には「基礎控除」という仕組みがあるからです。
相続税の「基礎控除」とは、どんな相続でも使える非課税の枠であり、3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)で算出します。
例えば、お父様が亡くなり、相続人がお母様とお子さん2人の合計3人だった場合、基礎控除額は「4,800万円」となります。
もし、亡くなった方の遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税は1円もかかりませんし、税務署への申告も不要です。
これまでのマンション評価の仕組み
マンションは預貯金と違って、相続での価値を「評価」しなければなりません。評価額は、大きく分けて「建物」と「土地」の2つを合計して計算します。
(1)建物(専有部)の評価
建物の評価は簡単で、毎年4月〜5月ごろに市役所から送られてくる「固定資産税の納税通知書(課税明細書)」に書かれています。
記載されている「固定資産税評価額」という金額が、そのまま相続税の評価額になります。
(2)土地(敷地)の評価
マンションは一棟の建物をみんなで分けて使っています。土地も同じで、マンションが建っている大きな敷地を、住戸の広さに応じて少しずつ持ち合っています。これを「敷地権」と言います。
土地評価は、以下のステップで計算します。
敷地全体の価値を出す:道路ごとに決められた「路線価」を使って、土地全体の値段を計算します。
自分の持ち分をかける:全体の価値に、自分の部屋が持っている「敷地権の割合」を掛けます。
これまでの「タワマン節税」は使えなくなった
マンションは以前は節税に使われることがありました。いわゆる「タワマン節税」です。
例えば、タワーマンションの「2階」と「50階」の部屋があったとします。前述の計算方法を見ればわかりますが、「床面積が同じなら、相続税の評価額はほぼ同じ」になります。
しかし、実際に売却する場合はどうでしょうか。50階の方が眺望も良く、市場価値も高いので、圧倒的に高く売れてしまいます。
この「市場で売れる価格」は高いのに、「税金の計算上の価値」は低いという仕組みを利用して、現金でタワマンを買い、相続税を大幅に安く済ませる手法があったのです。
しかしながら、この不公平感をなくすために2024年から「区分所有補正」という新ルールが導入されました。これは「市場価格と評価額が離れすぎている場合は、評価額を引き上げる」という仕組みです。
新ルール「区分所有補正」で計算はどう変わったのか
新しいルールでは、これまでの計算結果に「補正率」を掛け算することになります。
新しい評価額=(これまでの建物評価+これまでの土地評価)×区分所有補正率
この「補正率」は、以下の4つの要素から複雑な計算式で算出されます。
・築年数(新しいほど評価が上がる)
・総階数(タワーマンションなど高い建物ほど評価が上がる)
・自分の部屋が何階か(上層階ほど評価が上がる)
・敷地の持分比率(土地に対して建物が豪華なほど評価が上がる)
この制度で特に影響が大きいのは、以下のようなケースです。
・都心のタワーマンションの高層階:評価額が1.5倍〜2倍近くに跳ね上がるケースもあります。
・築浅の分譲マンション:タワマンでなくても、市場価値が高い物件は軒並み評価額がアップします。
マンション相続で損をしないためのアドバイス
区分所有補正の登場により、マンションの評価は複雑化しました。そのため、ご自身で計算した金額が、後から税務署に指摘されるケースも増えました。
よって、マンションの相続をしたら、専門家に相談し、適正な評価額を算出してもらった方が良いでしょう。専門の税理士であれば、節税方法についても詳しく教えてもらえます。
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。「まだ先だ」と思っていても、遺産分割協議が難航したり、名義変更の手続きに時間がかかったりすると、あっという間に期限が来ます。
そのため、相談も早めにしておきましょう。
まとめ
マンションの相続は現在では「単なる不動産の引き継ぎ」から「複雑な税務判断が必要なタスク」へと変わりました。
ご自身で「大丈夫だろう」と判断せず、一度専門家に現状を整理してもらうことをおすすめします。「相続税がかかるのか?」といった素朴な疑問からで構いません。まずは、お気軽にご相談ください。
相続手続き・相続税対策・遺言書作成・生前贈与など、相続に関するお悩みは(株)FP財産総合研究所までご相談ください。
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平成4年税理士試験合格。平成11年社会保険労務士試験合格。
さいたま市内の会計事務所に勤務後、現在地にて事務所開設。
平成20年㈱FP財産総合研究所を設立、令和元年不動産鑑定業者登録。
税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP1級技能士などの資格経験を生かして、主に資産運用・不動産の有効活用・相続対策等の相談を不動産業者、資産家から多数受けています。年間2回ほど北本市役所にて税務相談員を担当させていただいております。