民法では血液関係がなくても親と子の関係になれる「養子縁組制度」があります。

養子は法的には養親の「子供」ですが、相続手続きにおいて「実子」と比較してどのような立ち位置になるのか、またかかってくる相続税がどうなるのか、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

今回はそんな養子と相続手続きの関係についてご紹介いたします。

 

民法における養子縁組の種類

養子縁組制度は2種類に分かれます。二つの違いは主に養子縁組後の実親との関係によります。
 

(1)普通養子縁組

 
世間一般で言われる、養子縁組はこちらの制度になります。

普通養子縁組では、成立すると養親と養子の間に親子関係が認められます。そして、「養子と実の両親との親子関係はそのまま」となります。

つまり、養子には養親と実親、二つの親子関係ができるのです。そうなれば、養子は養親と実親どちらの相続においても法定相続人となることができます。

 

(2)特別養子縁組

 
特別養子縁組が普通養子縁組と違う点は、養子と実親との親子関係が無くなることです。

実親との親子関係を無くすことには、子供を保護する目的があります。虐待や育児放棄など実親に問題がある場合に、この制度は使われます。

なお、実親との親子関係が無くなるので、養子は実親が死亡した場合には法定相続人になれません。

 

法定相続人となった養子は実子と同じ権利を持つ

相続において養子は、実子と全く同じ権利を持ちます。養子であっても法律上は親子関係が認められているからです。

相続では法定相続人になれる順位が決まっていますが、養子は相続順位や法定相続分も実子と同じで、普通養子縁組でも特別養子縁組でも違いはありません

○法定相続人の順位
第一順位:死亡した人の実子・養子
第二順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
第三順位:死亡した人の兄弟姉妹
(配偶者は必ず法定相続人となります。)

 
このように相続では、実子と養子は同じ扱いになりますが、既に述べたように、養子縁組の種類によっては特徴が少し異なる点に注意しましょう。

 

養子を利用した節税効果

(1)基礎控除額が高くなる

 
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人」で計算される基礎控除額が設定されています。相続財産総額がこの金額を超えないのであれば、相続税は生じません。

この基礎控除額は、法定相続人数に応じて高くなります。養子は実子と同じく法定相続人としてカウントされるので、養子縁組によって養子が増えれば、基礎控除額も増えて相続税負担が少なくなります。

 

(2)死亡保険金の非課税額が上がる

 
死亡保険金及び死亡退職金は本人(被相続人)の死亡後に対象者にお金が支払われるため、「みなし相続財産」として相続財産と同じく相続税が課税されます。

しかし、死亡保険金及び死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」で算出する非課税枠が特別に設けられています。

この非課税枠も法定相続人の数で金額が増えます。よって、養子人数によっては、非課税額が増えてお得になります。

 

法定相続人になれる養子の人数は決まっている

前述したように、法定相続人の数が多いほど基礎控除額や死亡保険金の非課税額は高くなります。よって、養子縁組を活用して法定相続人を増やせば、節税になります。

しかし、養子縁組による節税については「実子がいる場合は1人」「実子がいない場合は2人まで」と法定相続人としてカウントできる人数が決まっています

これは相続税法における取り決めです。養子は全員が法定相続人になれますが、控除額計算で算入できる人数には制限があるのです。(民法における養子縁組制度の人数に制限はありません。)

カウントできる人数を制限しないと、基礎控除額や死亡保険金の非課税枠を無限に増やせてしまうからです。

 

その他の注意点

(1)他の相続人とのトラブルになりやすい

養子を増やせば、法定相続人が増えます。そうなると、各相続人の取り分は減ってしまうので、相続人同士で争いになる可能性も出てきます。

養子縁組を利用する場合、他の相続人としっかりと話し合うなど、十分な配慮もするべきです。

 

(2)死亡直前の養子は認められない可能性がある

相続税法に規定された「相続税の不当減少」の観点から、相続税目的での養子縁組は税務署から認められない可能性もあります。

どのケースが認められないのか、細かい定義はありませんが、被相続人が亡くなる直前に急いで養子縁組をし、法定相続人を増やすようなやり方であれば、認められない可能性が高いと言えます

 

まとめ

遺産相続における養子の扱いについて解説しました。

養子は実子と同じ扱いですが、基礎控除や非課税枠の計算に組み込める人数に制限があります。また、実子との間でトラブルになる可能性もある点にも注意が必要です。

相続で養子がいる場合、不明点や困ったことがあれば、相続の専門家に相談しましょう。

 

 


 
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年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます
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遺言では遺言内容を実行に移すための「執行者」を指名できます。執行者は遺言者の家族が指名されるケースが多いですが、遺言者の友人や税理士等の士業に依頼しても問題ありません。

遺言執行者になった場合、相続財産の調査や相続財産目録の作成、その他遺言内容に従って預貯金の解約、相続財産の名義変更などをします。

執行者の手続きはたくさんあるので、多くの時間を取られますし、手続きに慣れていない人が多く、負担も大きいと言えます。
このような理由から、遺言執行者になりたくないと考える人は一定数います

 

遺言執行者とは

遺言執行者とは遺言内容を実現する役割を持つ方です。預金口座や不動産の名義変更、財産の分配等、多くの手続きを担当します。

遺言執行者は相続において単独での手続きが可能なため、非協力的な相続人がいても、手続きがストップすることはありません。

遺言執行者は遺言書で指定されていなくても問題ありません。遺言執行者が指定されていない、指定された遺言執行者が亡くなっている場合、家庭裁判所で選任してもらえます。

 

遺言執行者の辞退は自由にできる

遺言書の中で遺言執行者に指定されている場合、指定された方は本人の意思で就任するかどうか決められます。

つまり、就任は強制ではないのです。就任は本人の都合で自由に辞退できます。「仕事が忙しい」、「手続きによる負担を避けたい」といった単純な理由で引き受けなくても良いのです。辞退によるペナルティも、もちろんありません。

なお、執行者を辞退する場合、その旨を相続関係者に必ず書面で伝えましょう。口頭や電話での連絡は、「言った・言わない」でトラブルになる可能性が高いからです。

 

遺言執行者を一度引き受けてしまうと面倒

遺言執行者は就任前であれば、簡単に辞退できます。しかし、一度就任を引き受けると面倒です。就任後に辞めることは「辞任」となりますが、この辞任は正当な事由が必要で、可否の判断も家庭裁判所がするからです。

正当な事由に該当するのは、「病気」や「怪我」「長期出張」等です。つまり、手続きが面倒だからという理由で、辞任は成立しません

辞任と辞退ではハードルが違う点に留意するべきです

よって、執行者に指定された場合、就任については慎重に検討しておきましょう。手続きが無理な場合は、遠慮なく相続人に伝えてください。

なお、相続人側は執行者就任予定の方に、就任決定の催告が可能です。就任予定者がいつまでも承諾の意思を示さないのであれば、相続手続きに遅れが生じるからです。

もし、期間内に回答がない場合、就職を承諾したものとみなします。

 

遺言執行者は誰にすべきか

遺言執行者は未成年や破産者でなければ誰でも指名できます。

相続人と遺言執行者が同一であっても法律上問題はありません。相続制度について定める民法には、遺言執行者に選任可能な人物は明記されておらず、第1009条に遺言執行者になることができない人として、未成年者・破産者が挙げられているだけだからです。

よって、相続人と顔見知りでない第三者を遺言執行者に指定する場合、トラブル防止のためにも、未成年・破産者でない事を確認できる書類を持たせるべきです。破産者かどうかは、本籍地管轄の市区町村役場が発行する身分証明書を見れば証明されます。

なお、国家資格士業の場合、未成年者および破産者は登録ができないので、税理士や行政書士等であれば、執行者の欠格要件を自動的にクリアします。

また、相続実績が多い専門家であれば、執行者の手続き業務も経験豊富なためスムーズにこなせるでしょう。

執行者になれば、相続人への進捗報告や、相続財産目録作成等、多くの手続きがあります。慣れていない方であれば、時間もかかります。そういった点から、経験豊富な専門家を執行者に選ぶことは理に適っています。

専門家に頼むと報酬はかかりますが、相続税の申告の代行など他の手続きもお願いできるため、メリットもあります。

 

遺言執行者の業務は他の人に委任可能

前述したように遺言執行者は一度引き受けてしまうと辞任が難しくなります。

しかし、執行者の職務を第三者に委任することは問題ありません。現行法では特別な事由がなくても委任できるようになりました。

つまり、遺言執行者の業務が難しいと感じたら、他の相続人に手伝ってもらったり、相続の専門家にサポートを依頼しても良いのです。

なお、業務の全部を委任しても良いですし、一部だけ頼んでも問題ありません。業務の委任については、他の相続人からの許可は不要です。

 

まとめ

遺言執行者は相続人と同一でも良いですし、友人や法人を選んでも問題ありません。

ただし、遺言執行者は遺言者の代理として様々な手続きを行うので、平日時間が取れない方や、慣れていない方を選ぶとデメリットがあります。選ばれた方は、難しいと感じれば辞退しても構いません。

遺言執行者については、専門家の選任も検討しましょう。報酬はかかるものの、知識と経験があるので、業務を素早く終わらせることができます。また他の手続きも合わせて依頼できるので、相続がスムーズに行くメリットがあります。

 

 


 
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「遺言書」が存在しない相続では、遺産の配分・分割方法は相続人全員参加の遺産分割協議で話し合います。

スムーズにいけば、各相続人の取り分は、「法定相続分」によって決まります。しかし、誰がどの遺産を取得するのか等、細かい部分を決める段階で揉める可能性はあります。

遺産分割を円滑かつ円満に進めるには、やはり遺言書があった方が良いと言えます。遺言書があるから遺族同士の争いが絶対に起きないとも言えませんが、財産配分等の手続き自体はかなりスムーズになるでしょう。

遺言書は故人の最期の意思であり、相続では強い効力を持つためです。

この遺言書は遺言者様が高齢になられてから、作成の検討をするケースが多いです。しかし、遺言はできるだけ早めに書いておく方が、メリットもあって良いのです

 

早いうちに遺言を作るメリット

早期に遺言書を作るメリットは以下の二点です。

遺言を書こうとしても、病気にかかってしまう、交通事故に遭う、自然災害などに巻き込まれてしまう場合もあります。そこで、運悪く命を落としてしまうと、遺言を残すことができません。

人生では何が起きるか予測できないので、万が一のことを考えて、遺言を書いておくのです。遺言書を残しておけば、ご自身の意思をご家族に残せるでしょう。

また、遺言書は意思能力・判断能力がある状態でなければ書けません。

例えば、加齢を原因とした認知症や脳の病気等で遺言能力が著しく低下してしまうと、その状態で書いた遺言は無効となる可能性が高くなります。(遺言能力の有無は、医師の医学的判断を尊重しつつ、最終的には裁判官の法的判断で決められます。)

身体的な不自由でも遺言作成はできますが、意思能力・判断能力がないと遺言は書けないのです。このようなリスクもあるので、遺言は早めに作成しておいた方が安心と言えます。

 

遺言書は15歳から書ける

遺言作成は民法961条で「15歳」から可能とされています。遺言作成には遺言能力が必要ですが、民法ではその能力が備わるのが15歳となっているのです。

よって、成人でなくても遺言を残せるのです。

海外派遣等、危険な地域で仕事をされる方は、若い時から遺言を残すケースがあるようです。

 

遺言書は撤回・変更が自由にできる

遺言書を何回も書きたくないという理由で、作成を渋る方がいます。

しかし、遺言書は作成した後で何度でも書き直せますし、撤回や変更も簡単にできます。遺言書は日付が新しいものが優先されるので、考えや財産・家族状況が変われば、その時に書き直せば、撤回・変更が完了します。
 

 

最適な遺言を選択すること

ここまで読んだ方は、遺言書の早期作成のメリットが分かったかと思います。遺言を作る気になった場合、作成の前にご自身に合った遺言書の種類を押さえておく必要があります。

遺言書も三つの種類があり、作成ルールも異なります。また、それぞれにメリットとデメリットもあります。

代表的な遺言書は「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」です。

自筆証書遺言は、お一人で作成可能ですが、形式の不備で無効となる場合や、保管による問題で紛失する可能性が高いのです。第三者に不備を確認してもらうことは大丈夫ですが、本文の代筆はNGです。(財産目録のみ可。)

公正証書遺言は、公正役場で公証人が遺言者と内容を話し合った上で作成するので、不備は起こりません。原本も公正役場にて保管されるので、紛失や変造といった怖れもありません。

ただし、作成の費用がかかること、証人2人を用意する手間もあります。

秘密証書遺言は遺言内容を秘密にしたうえで存在のみを公証役場で証明してもらいます。パソコンでの作成や代筆が可能なメリットがありますが、作成費用が必要、証人2人を用意する手間もかかる上、保管は自身で行うため紛失リスクが高くなります。

また、公証人による内容確認もないので無効になる怖れもあります。(秘密証書遺言ははっきり言ってデメリットだらけです。)

このように各遺言書にはそれぞれの特性がありますので、それらを理解した上で最適なものを選ぶべきなのです。きちんとした人であれば、自筆証書遺言でも良いですが、それ以外の方は、自筆証書遺言の保管制度を利用したり、公正証書遺言を選択したりしましょう。

 

遺言書作成で迷った場合は専門家を頼る

遺言作成で迷った場合は、専門の税理士へサポートを依頼しましょう。

サポートを受けることで、無効のリスクを無くすことができます。ご自身で作成すると、間違いが多くなり、それによって形式不備となるリスクが生じます。専門家に内容と形式をチェックしてもらえば、誤りも無くなります。

なお、税理士のすべてが相続専門とは限りません。よって、税理士に遺言作成を依頼する場合は、相続担当件数が多い税理士を選びましょう。

税理士は税金のプロなので、相続税対策の方法も多く知っています。遺言書作成とセットで相談すれば、節税を見据えた遺言作成をサポートしてもらえます。

納税額はできる限り抑えたいという方が多いと思いますが、相続専門の税理士に依頼することで、相続で生じる税額を安くすることができます。

 

 


 
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生前贈与とは、「生きている間に特定の誰かに財産を渡すこと」です。渡す相手は誰でも良く、配偶者や子供や孫はもちろん、友人等でも構いません。

生きている間に財産の一部を移動させれば、自身の死後に相続で引き継がれる遺産も減ります。この仕組みのため、生前贈与は相続税の節税対策として活用されます。

ただし、生前贈与でも、贈与額が一定額を超えると税金が課税されてしまいます。贈与税は相続税と比較して課税率が異なりますが、場合によっては多額の税金を支払うこともあります。

なお、贈与財産は「特例贈与財産」と「一般贈与財産」の2種類に分けられます。どちらになるかは、受贈者と贈与者の関係によって変わりますが、特例贈与財産の方は税率が低く、贈与税負担が軽くなる特徴があります

 

贈与財産は2種類に分かれる

生前贈与によって取引される財産は「特例贈与財産」と「一般贈与財産」の二つに分けられます。

特例贈与財産とは、贈与者が受贈者の親や祖父母などの直系尊属であり、受贈者が18歳以上である場合に取引される贈与財産です。つまり、両親や祖父母などから18歳以上の子供や孫に贈与された財産は特例贈与財産となります。

贈与者と受贈者の条件を詳しく書くと以下の通りです。

 
一般贈与財産とは特例贈与財産以外の贈与財産を指します。よって、前述の贈与者・受贈者の条件に該当しない財産は全て、一般贈与財産です。

特例贈与財産と一般贈与財産では税率が異なります。特例贈与財産の方が、税率が低いため贈与税の負担が軽くなります。

特例贈与財産および一般贈与財産の税率は以下です。

贈与税

 

贈与税の計算方法

贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間にもらった贈与財産の合計金額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残額に贈与税の税率を掛けて計算します。

前述のように贈与財産は2種類あります。よって、年間に父親と叔父から贈与を受けた場合では、贈与税の税率が変わるので、正しい税率をかけて計算しなくてはなりません。
 
■父親と叔父からそれぞれ500万円ずつ贈与された場合の贈与税計算例

贈与に一般贈与財産と特例贈与財産が混同している場合、まずは、すべて一般贈与財産もしくは特例贈与財産として受け取った場合の贈与税額を計算します。そして、贈与財産の割合に応じて税額を決定します。

 

贈与税がかかるボーダーラインは同じ

贈与税の申告と納付義務があるのは、受贈者側です。そして、個人が年間110万円を超える財産をもらった場合、贈与税が発生するので、申告と納付が必要になります。

特例贈与財産と一般贈与財産では税率が異なりますが、贈与税が発生するボーダーラインは一緒です

父親と叔父からそれぞれ100万円ずつ贈与された場合には、合計額が200万円となるので、前述した計算に基づいて税額を算出しなければなりません。

 

生前贈与の課税方式の種類

生前贈与は一般的な暦年課税の方式の他にも、特殊なものがあるので注意しましょう。
 

(1)暦年課税

 
一般的な課税制度であり、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された資産に対して贈与税が課税されます。110万円までは非課税であり、110万円を超えれば金額に応じて贈与税が課されます。

暦年課税をうまく利用して、年間に110万円ずつ生前贈与されれば、無税で財産移転が可能です。

 

(2)相続時精算課税

 
この課税方式は受贈者が選択することになっています。利用する場合、贈与金額に関わらず贈与税の申告書と相続時精算課税選択届書を税務署に提出しなければなりません。書類の提出がないと、制度適用されず、暦年課税方式での課税となります。

なお、贈与者は60歳以上の父母もしくは祖父母、受贈者は18歳以上の子供や孫でなければなりません。厳しい条件ですが、贈与税が合計2,500万円分まで非課税になります。

2,500万円を超えた場合にかかる贈与税は一律で20%となります。

この課税方式は非課税額が大きくお得に見えますが、贈与者が亡くなった時に贈与財産は相続財産と合計され、相続税が課税されます。つまり、税金の支払いを相続時にまで延ばしているに過ぎません。

なお、同制度は2024年1月から、年間110万円の基礎控除が認められています。この基礎控除枠は前述の特別控除枠(2,500万円)の対象外であり、相続時にも加算されません。

 

特例贈与財産として申告するには

特例贈与財産の贈与税申告書を提出する際には「贈与者と受贈者の関係を証明する書類」も添える必要があります

受贈者と贈与者が親子の関係であるなら、受贈者の戸籍謄本もしくは抄本を添えれば大丈夫です。贈与者が祖父母の場合、受贈者の戸籍謄本のみでは情報が不足するので、受贈者の親の戸籍謄本も必要になります。

戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場で取得しましょう。親の戸籍謄本の取得には委任状などは不要です。

 

 


 
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相続 の際に税額を左右するのが名義預金です。相続税の税務調査でも特に確認されやすい項目です。

子供や孫のために良かれと思ってやったことが、相続税という税金となって遺族の負担となってしまうのは避けたいもの。

今回は相続における名義預金について、注意点をいくつか解説したいと思います。

 

名義預金とは

名義預金は、実際の持ち主と口座名義が異なる預金を指します。

両親や祖父母が息子・孫の名前で口座を作ったり、夫婦でもパートナーの収入をご自身の名義で預金したりするケースが該当します。

名義預金は相続では度々問題になります。というのも、名義預金は「名義人の財産ではなく、持ち主の財産」とみなされるからです。つまり、相続では被相続人の財産とされて、相続税の対象となるわけです。

税務署も名義預金には目を光らせているので、注意が必要です。

 

どうして名義預金は相続税の課税対象になのか

両親が子供の名前で口座を作ってお金を入金する場合、そのお金は「生前の贈与金として渡した」という認識でしょう。生前贈与であれば、毎年の受贈者1人あたりの贈与額は110万円まで贈与税がかかりません。よって、その金額の範囲内で毎年入金していけば、預金は無税で子供の財産となるはずです。

しかし、相続税課税対象の財産は、財産の名義ではなく、「実際の財産の所有者が誰か」で判断されます

このような場合では、子供はもらったはずのお金を自由に使えないので、実質的には親がお金の持ち主です。別名義の口座でお金を管理しているだけです。

預金口座の実際の所有者が親であるならば、その親が亡くなった場合、口座内のお金は相続財産として引き継がれます。そのため、相続税の課税対象となるのです

 

名義預金であるかの判断基準

(1)財産の資金源はどこか

被相続人の財産による預金は「被相続人の財産」と見なされます。

専業主婦の方が数千万円もの預金をもっていた場合は、間違いなく名義預金の疑いをかけられます。税務調査では、資金の出所が必ず確認されることになるでしょう。

 

(2)通帳や印鑑の管理が被相続人

被相続人が通帳や印鑑、カードなどを管理している場合、口座の名義人は自由にお金を下ろせません。その状態にあった場合、名義預金とみなされます。

相続開始時点で名義人がお金を管理していなかったのであれば、口座のお金は相続財産として、相続税の課税対象になります。

 

(3)名義人が口座の存在を知らなかった

両親や祖父母が子供や孫に知らせることなく、口座を開設し、入金している場合もありますが、これも名義預金となります。

 

名義預金を避けるために

(1)贈与の成立条件を理解する

名義預金を避けるためには贈与の成立条件を理解しておく必要があります。

先にも述べたように、両親や祖父母が子供や孫の名前で口座を作ってお金を入金する場合、そのお金は「生前贈与として渡したお金」という認識でしょう。

生前贈与であれば、毎年の受贈者1人あたりの贈与額は110万円まで贈与税がかかりません。一気に高額のお金を入金すると贈与税がかかりますが、1年ごとに控除額の範囲内のお金を入金していけば、無税で子供の財産にできます。

この生前贈与は契約ということに注意が必要です。契約行為のため、成立する条件があるのです。

名義預金では、上記が満たされていません。通帳や印鑑の管理が口座名義の本人ではありませんし、口座の存在を知らない場合もあります。

そのためにその口座のお金は「贈与によって渡されたお金ではない」とされるのです。

 

(2)贈与の際には契約書を作成する

口座にあるお金が贈与によって渡されたお金だということを税務署に証明するために、贈与契約書を必ず作成しましょう。

毎年、お金を渡すのであれば、その度に作成しましょう。

契約書の書式は決まっていませんので、自由に作って良いですが、「誰が誰に」、「いつ」、「どんな財産を」、「どんな方法で渡したのか」を記載します。他にも贈与の条件があれば、記載しましょう。

最後に、双方の合意の証として、契約書に実印と署名をしましょう。

 

(3)受贈者が通帳や印鑑の保有管理を行う

贈与された財産は受贈者側が自由に使える状態にないといけません。そのため、通帳や印鑑は受贈者側が管理すること。

なお、口座のお金が長い間手付かずの場合、実質の所有者は贈与した側ではないかと税務署から疑われる可能性があります。

よって、生前贈与で渡すお金は受贈者が頻繁に使用する口座に振り込む方が良いと言えるでしょう。

 

(4)贈与税を支払って証拠を残す

税務署に対して贈与の証拠を残すという意味では、贈与税を支払う方法もあります。

非課税枠110万円を少しだけ超える贈与であれば、贈与税の少額で済みます。その少額の贈与税の申告と納税を持って、生前贈与の証拠とするのです。

なお、贈与税の申告書提出の際には贈与契約書のコピーを添付しましょう。贈与契約書が生前贈与の際に作成されたものであると証明することになるからです。
 
相続税
 

まとめ

名義預金は相続でも問題となる部分です。

祖父母や親としては、「あげたお金」が相続税の対象となってしまいます。名義預金を避けるためには、生前贈与の仕組みを理解し、財産の移転がきちんとできるようにしておきます。

相続で税務署から名義預金を疑われても、贈与の証拠を出せるのであれば問題ありません。

 

 


 
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個人間でされる贈与については、1年の内に受贈者が受け取る金額の合計が110万円を超えると贈与税が生じます。例えば、受増額合計が200万円なら超過分の90万円に、300万円なら190万円にそれぞれ贈与税が課税されます。

贈与税の基準は受贈側なので、複数人からもらった場合は、もらった分のお金を基に贈与税を計算します。両親から100万円ずつもらったのであれば、合計額は200万円ですので、超過分の90万円に贈与税が課税されます。

贈与税の注意点としては、渡された財産以外にも課税される点です。例として、「借金を帳消しにされる」ケースがあります。

債権者の権利放棄によって、債務者の債務が免除されることを「債務免除」といいます。債務免除が起こると、本来債権者へ弁済されるお金と同価格の利益を債務者が得たことになります。

そのため、「借金と同額のお金が贈与された」という理屈で、贈与税が課税されるのです

 

債務免除とは

債務免除とは、債権者が無償で債権を消滅させる行為を指します。借金返済を無しにしてくれるものです。

債権者にとっては、自身の債権を放棄する行為なので、「債権放棄」とも呼びます。一般的な取引では、負債の返済を免除する事は稀です。裁判所が命じる場合、倒産等で相手から回収見込みが無い場合、債務免除によりメリットが生じるケースでは、債務免除が実施されます。

また、親類同士であれば、債務免除が起きる可能性は高いでしょう。特に両親と子供、祖父母や孫といった関係であれば、昔に貸したお金の返済を無しにしてもらえるケースは多々あります。

ただし、債務免除は贈与税の課税対象です債権者がその債権を手放せば、債務は免除されることになりますが、本来弁済されるはずだった価額分と同じ利益を債務者側が得ることになるからです

このような仕組みから、債務免除は「贈与行為と同じ」とみなされ、贈与税が課税されてしまうのです

なお、債務免除以外にも、「債務引き受け」や「債務弁済」も課税対象になります。
 

■債務引き受けの例
父親が、息子の負っていた借金や住宅ローンを引き受けた。

■債務弁済の例
父親が息子が友人から借りていたお金を代わりに返した。 滞納していた光熱費を肩代わりした。

 

債務免除はみなし贈与

贈与は贈与者と受贈者の双方の合意を持って成立します。合意のない一方的なものは契約では無いので贈与と認められません。

しかし、それは民法上の話であって、相続税法ではどちらかの認識がない贈与であっても、特定のケースでは「みなし贈与」として贈与税が課税されます

通常の生前贈与とみなし贈与の特徴は以下の通り。

この仕組みから考えると、債務免除はみなし贈与に該当し、贈与税課税の対象です。

 

債務免除でも課税されないケースもある

債務免除はみなし贈与に該当するため、贈与税課税の対象です。しかしながら、課税されないケースもあります。

例えば、債務者本人の弁済が困難な状態の場合で

のいずれかに該当する場合、みなし贈与として課税されません。

ただし、課税対象から外れるのは、「債務者の体調、経済状況から明らかに弁済が困難だとされる部分」だけとなります

債権者が法人で個人に対して債務免除をした場合も非課税です。これは、法人からの贈与で取得した財産価額は贈与税の課税価額に算入しないと相続税法で決まっているからです。

 

まとめ

債務免除はみなし贈与に該当するため、贈与税課税の対象です。生前贈与にはこのような例外も存在するので、十分注意しましょう。

生前贈与はうまく活用すれば、相続税対策として活用することができますが、制度内容をよく理解していないと想定外の税金を支払うことにもなると言うわけです。

贈与を利用した相続税対策を行う場合、失敗しないためには、一度、税理士へ相談されることを強くお勧めいたします。

 

 


 
相続手続き・相続税対策・遺言書作成・生前贈与など、相続に関するお悩みは(株)FP財産総合研究所までご相談ください。

年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます
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お電話での対応は[048-592-5533] 受付時間9:00〜18:00です。
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相続において、もし相続人が一人だけだった場合は、その方が手続きをします。しかし、相続人が数名いる場合、各相続人が協力して手続きを進めていく必要があります。

とは言っても、各相続人は大抵の場合、違う地域に住んでいます。特に遠方に住んでいると、レスポンスが遅くなる可能性が出てきます。

手続きの中には期限付きのものもあるので、先延ばしにしてしまうと大きなリスクとなります。よって、可能な限り、取り掛かれるものから早めに手をつけたいところです。

実は、相続手続きの中には相続人単独でできるものもあります。ここで言う単独でできるものとは、他の相続人の許可が不要なものです。

よって、動ける人がそれらの手続きを進めたほうが良いのです。

 

単独でできる相続の手続きその1:遺言書の確認

遺言書があるかないかで手続きは大きく変わります。そのため、相続ではまず故人が遺言書を残していないか確認しなければなりません。

この遺言の確認については他の相続人の同意を得る必要はありません。ただし、遺言書は形式によって、探し方も異なります。
 

(1)公正証書遺言・秘密証書遺言の場合

 
公正証書遺言・秘密証書遺言の場合、作成の過程で公証役場を通します。そのため、「遺言検索システム」で照会が可能です。

遺言検索システムは、全国の公証役場で利用できます。基本的に相続人であればシステムを使えますが、遺言者との関係を証明する以下の書類が必要です。

代理人であってもシステムを利用できますが、その場合、先ほどの書類に加えて相続人の実印で押印した委任状等が必要となるので注意しましょう。

検索した結果、公正証書遺言があると分かったときには、内容を確認しましょう。内容の確認は原本が保管されている公証役場にて手続きをします。(郵送での請求も可能です。)

なお、公正証書遺言は原本が役場に保管されていますが、秘密証書遺言は、原本が遺言者の管理となります。つまり、秘密証書遺言はシステムによって遺言書の有無だけの確認となります

原本は遺言者の自宅などから直接探し出さなければなりません。原本が見つからなければ、内容がわからず、遺言書の効力も生じません

 

(2)自筆証書遺言で法務局の保管制度を利用している場合

 
自筆証書遺言では、法務局で原本を保管できます。遺言者がその保管制度を利用していた場合は、法務局に行きましょう。

相続人や受遺者であれば相続開始後に全国の遺言書保管所にてモニターで遺言書の閲覧が可能です。ただし、原本閲覧は遺言書が保管されている遺言書保管所だけです。

閲覧請求には以下の書類を用意します。

相続人や受遺者が遺言書の閲覧をした場合、遺言書保管所の方から他の相続人に遺言書を保管している旨を連絡してくれます。

遺言者が保管制度を利用していたかどうかが不明でも、請求をすれば遺言書保管の有無は分かります。証明書の請求は全国の遺言書保管所で可能です。

 

(3)自筆証書遺言を自己保管している場合

 
自筆証書遺言で保管制度を利用していない場合、遺言書は遺言者本人が管理しています。その場合、実物を見つけ出す以外に方法がありません。

自宅に置いている場合もあれば、知人に預けている場合もあります。当然ですが、原本が見つからなければ、遺言書の効力は生じません

 

単独でできる相続の手続きその2:財産調査

財産調査は、相続財産の引き継ぎ方法を選択する上でも、相続税の申告においても重要な作業です。

相続人が知らない財産は意外と多いのです。銀行口座はもちろん、不動産、有価証券、生命保険や損害保険、車、他人に貸し借りしたお金についてまで、調べなければなりません。

この相続財産の調査は相続人単独でできます。

財産調査にあたり、最低限必要な書類は以下です。

遺産全容を明らかにする財産調査はとても重要です。しかし、時間も手間もかかるため、早急に取り掛かりましょう。時間が取れない場合は、専門家に任せましょう。

 

単独でできる相続の手続きその3:相続放棄

相続放棄は相続権を手放すことです。相続権がなくなるので財産取得はできません。

相続では全てのケースでプラスの財産が上回るわけではありません。被相続人が生前に多額の借金を抱えていた場合、そのまま財産を引き継いでしまうと相続人が返済に苦しむことになります。

そのようなケースにおいて、相続放棄が選択される場合もあります。

相続放棄については、各相続人が自分の意思で選択の判断をするので、他相続人の許可は不要です。

相続放棄をする場合、以下の書類を用意し、家庭裁判所に申し立てをします。

相続放棄は、自身が相続開始を知ってからから3ヶ月以内にしなければなりません(熟慮期間内)。

「財産調査が進んでいない」といった、相応の理由がある場合には、期間延長の申請も可能ですが、原則として期限を過ぎないように注意しましょう。

 

まとめ

相続人が単独でできる手続きはご紹介したように三つあります。相続の手続きには期限付きのものもあるので、できることから取りかかった方が良いでしょう。

ただし、故人の葬儀や法要で忙しく、なかなか手続きに取り掛かれない場合もあります。そんな方は、相続専門の税理士に手続きを代行してもらうことを検討しましょう。

報酬はかかってしまいますが、手続きを放置するとリスクが大きくなります。

また、相続のプロが手続きをした方が、相続人本人の負担もありませんし、手続き上のミスも起こりません。特に相続税の申告はミスをすると追徴課税となってしまうので、税理士に代行を頼んだ方が安心です。

なお、相続税の代理申告は税理士の専業ですので注意しましょう。

 

 


 
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相続人が受け継ぐ故人の財産は「遺産」や「相続財産」と呼ばれますが、どこまでが遺産の範囲なのかご存知でしょうか。被相続人の預貯金や現金、不動産はもちろん遺産ですが、借金といったマイナスの財産も遺産に含まれます。

相続財産とは、被相続人が亡くなった時点で所有していたものだけでなく、権利義務も対象だからです。借金は債権者にお金を返す義務があり、これも相続人に引き継がれるのです。

要するに、経済的な価値があるものは大方相続財産に含まれると考えれば良いでしょう。

相続財産の把握は、分割協議を進めるだけでなく、相続税申告の点でも大切です。ですから、何が相続財産に該当するのか、しっかりと理解しておきましょう。

 

相続の対象となる財産

(1)プラスの相続財産

※会員権については規約に「会員死亡時に失効する」との記載がある場合、相続対象になりません。

 

(2)マイナスの相続財産

被相続人の借金やローンも、マイナスの財産として相続人が引き受けます。

相続税額を算出する過程として、まず遺産総額から「基礎控除」を引きます。そして、被相続人に借金などの「債務」があった場合は、これも差し引きます。遺産総額が減れば、相続税額も減るので当然ながら税負担が軽減されます。

この仕組みは「債務控除」と言います。

債務控除に当てはまるものとしては、「相続時に存在」かつ、「確実と認められるもの」に限定されます。わかりやすいもので言えば、被相続人の借金やローンがありますが、支払われていない税金や、光熱費も対象となります。

債務控除は以下のコラムで詳しく解説していますので、一読ください。

★参考記事:債務は相続財産から控除可能 債務控除の対象とそうでないもの

 

相続財産に該当しないものとは

(1)遺族給付

 
遺族給付は、被相続人と一定の関係がある人に対して給付されるものです。これは遺族が受け取るものであり、「固有の権利」であるため、相続財産には含まれません。

遺族給付には遺族基礎年金、遺族厚生年金などがあります。

 

(2)賃貸物件の家賃

 
被相続人の財産に賃貸物件がある場合、相続時やその後も賃料が発生します。これら相続財産から発生した収益は相続財産には含まれません。

ただし、「誰が受け取るのか」については遺産分割協議の中で取り決めることが多いです。

 

(3)株式の配当

 
株式の配当も相続財産から発生した収益になるので遺産ではありません。配当については遺産分割協議の中で取り分を決めます。もし、相続人の一人が独占しているような場合には、訴訟で返還を請求することも可能です。

 

(4)一身専属的な権利・義務

 
故人の一身専属な権利・義務は相続財産とはなりません。一身専属的な権利・義務は、その本人のみに認められた特別なもののため、他の方への譲渡・相続はできないからです。

下記のものが当てはまります。

 

相続財産であっても、分割の対象にならないものとは

相続財産なのに遺産分割の対象とならない財産は以下の通りです。

(1)債務

 
被相続人の債務については、遺産分割の対象にはなりません。

各相続人が法定相続分に応じて相続し、相続後はそれぞれが債権者に対して返済義務を負うことになります。

ただし、相続人全員の合意がある場合、遺産分割協議で一部の相続人に相続債務を負担させることもできます。

 

(2)生命保険金

 
生命保険金は契約や約款で受取人が指定されており、支払われるお金は受取人固有のものなので、遺産分割の対象にはなりません。

ただし、受取人未指定の場合や受取人が被相続人だった場合は、遺産分割の対象となります。

 

(3)可分債権

 
可分債権とは、その性質上、分割可能な債権です。

貸金債権や過払い金などの不当利得債権、事故における損害賠償債権などがあります。

いずれも法定相続分に従って相続するので、各自が法定相続分に相当する割合について請求することが可能です。よって、遺産分割の対象とはなりません。

 

まとめ

相続の手続きを進めるとき、何が相続財産かわからないと遺産分割協議はおろか、相続税申告の準備もできません。

今回紹介したように、何が相続財産に該当するか、分割対象となる財産は何なのかをきっちりと押さえておきましょう。

ご自身だけでは難しいと判断された場合は、相続専門の税理士のサポートを受けることをおすすめします。負担なく、相続税の申告も可能となります。

申告の間違いはもちろん、節税アドバイスも受けられるので、是非お気軽にご相談ください。

 

 


 
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金の値上がりを受けて、資産運用や財産の分散を目的として、金を購入する方がいます。

金や純金は価値のあるものであり、相続税の課税対象です。よって、故人の財産に含まれているのであれば、個別に評価額を計算し、申告と納付をしなければなりません。

では、金の相続税の計算方法はどのようになるのか。また、金を相続税対策に利用することの注意点についても解説いたします。

 

相続税の課税対象となる金

金というとゴールドバーが思い浮かびやすいですが、金貨や、仏像、時計、金印など、様々なものがあります。これらは、金の製造業者や、貴金属を取り扱う店舗で購入できます。また、純金積み立てと言って毎月一定額を積み立てる投資もあります。

これらは、相続時に全てが相続税の課税対象になります

金はそれ自体が価値のあるものですから、どんな形をしていても相続税の課税対象に含まれるのです。

 

仏像仏具であっても課税対象

仏像や仏具などは「祭祀財産」とされ、相続財産ではありません。そのため、相続税対象でもありません。

祭祀とは、神や祖先を祀ることで、その祭祀に関する財産のことを祭祀財産と言います。祖先を祀るもしくは礼拝用に供されるためのもので、仏壇や仏像、神棚、位牌等があります。(基本的に祭祀に必要であるもの全てが当てはまります。)

しかし、注意したいのは、祭祀財産が「その価値が社会通念上認められるもの」に限られる点です

つまり、金でできていると相続税の課税対象となります。純金製の高価なものについては、祭祀財産ではなく、投資用の財産であると税務署が判断します。

 

金の相続税評価とは

相続税評価額の計算方法は、以下の通りです。
金の相続税評価額 = 相続開始日の業者買取価格(税込) × 保有g数

金地金の買取価格は1gあたりの金額で公表されています。買取価格は金の買取専門業者に連絡するか、ホームページを参考にしましょう。

なお、買取価格とは「業者の買取価格」であって、業者から一般消費者に売る価格(小売価格)ではないので注意してください。

骨董品となる金の美術品、アンティーク金貨は、「骨董品としての価値」を相続開始時の時価で評価します。そのため、専門の買い取り業者に直接査定をしてもらう方が良いでしょう。

なお、複数の業者に査定してもらった場合、納税者の判断で採用する買取業者価格を選択しても構いません。

 

金は節税対策に向いている?

金は安定資産として価値の保存に優れていますが、節税の観点から言えば効果はあまりありません。

ただし、不動産と違って換金性には優れているので、遺産分割には適しています。あらかじめ金地金を小分けにして相続人の数ずつ用意しておくことも可能です。

 

金を隠すことは不可能

「金は預金と違って、税務署にバレない」と思っている方は要注意です。

金は価値が高いことから、しばしば脱税の道具にもされるので、税務署も丹念な調査をしています。金が必ず税務署に見つかる理由は以下の通りです。
 

(1)購入時の取引記録

 
現在の日本では、法律によって、金の購入時に本人確認及び売買を記録することが業者に義務付けられています。

この取引記録の法定保存期間は7年です。よって、期間内に税務署が金の販売業者に対して調査すれば、購入の事実が出ます

 

(2)売却時の記録

 
取引価格が200万円を超える金地金や金貨の売買が行われると、取引業者から税務署に支払調書と呼ばれる書類が提出されます。

そのため、支払調書から売買関係者が明らかになります

また、200万円以下でも、業者は「古物営業法」規定に準じて本人確認と取引の記録をしているので、支払調書が提出されなくても、記録は残っているのです。

つまり、購入時の金の所有が見つからなかったとしても、その金を売却する際に発覚することになります。

 

まとめ

金の相続税の計算方法について述べました。金は相続税対策にはあまり向いていないと言えます。よって、節税としては別の方法を取るべきです。

なお、財産隠しは絶対にしないこと。

税務署サイドは、被相続人および相続人のすべての金融機関の履歴を調べます。よって、相続税の申告内容が少しでも怪しいと感じたら、毎月のお金の流れを細かくチェックし、使途不明金の詳細を調べます。

申告書に記載がないような入出金を見つければ、税務調査がされます。そこで財産隠しが指摘されれば、厳しいペナルティーが課せられます。

そのため、もし金や純金が相続財産にある場合は、必ず評価額を算出し、正しく相続税申告をしてください。

 

 


 
相続手続き・相続税対策・遺言書作成・生前贈与など、相続に関するお悩みは(株)FP財産総合研究所までご相談ください。

年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます
初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。

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