生前贈与とは、「生きている間に特定の誰かに財産を渡すこと」です。渡す相手は誰でも良く、配偶者や子供や孫はもちろん、友人等でも構いません。

生きている間に財産の一部を移動させれば、自身の死後に相続で引き継がれる遺産も減ります。この仕組みのため、生前贈与は相続税の節税対策として活用されます。

ただし、生前贈与でも、贈与額が一定額を超えると税金が課税されてしまいます。贈与税は相続税と比較して課税率が異なりますが、場合によっては多額の税金を支払うこともあります。

なお、贈与財産は「特例贈与財産」と「一般贈与財産」の2種類に分けられます。どちらになるかは、受贈者と贈与者の関係によって変わりますが、特例贈与財産の方は税率が低く、贈与税負担が軽くなる特徴があります

 

贈与財産は2種類に分かれる

生前贈与によって取引される財産は「特例贈与財産」と「一般贈与財産」の二つに分けられます。

特例贈与財産とは、贈与者が受贈者の親や祖父母などの直系尊属であり、受贈者が18歳以上である場合に取引される贈与財産です。つまり、両親や祖父母などから18歳以上の子供や孫に贈与された財産は特例贈与財産となります。

贈与者と受贈者の条件を詳しく書くと以下の通りです。

 
一般贈与財産とは特例贈与財産以外の贈与財産を指します。よって、前述の贈与者・受贈者の条件に該当しない財産は全て、一般贈与財産です。

特例贈与財産と一般贈与財産では税率が異なります。特例贈与財産の方が、税率が低いため贈与税の負担が軽くなります。

特例贈与財産および一般贈与財産の税率は以下です。

贈与税

 

贈与税の計算方法

贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間にもらった贈与財産の合計金額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残額に贈与税の税率を掛けて計算します。

前述のように贈与財産は2種類あります。よって、年間に父親と叔父から贈与を受けた場合では、贈与税の税率が変わるので、正しい税率をかけて計算しなくてはなりません。
 
■父親と叔父からそれぞれ500万円ずつ贈与された場合の贈与税計算例

贈与に一般贈与財産と特例贈与財産が混同している場合、まずは、すべて一般贈与財産もしくは特例贈与財産として受け取った場合の贈与税額を計算します。そして、贈与財産の割合に応じて税額を決定します。

 

贈与税がかかるボーダーラインは同じ

贈与税の申告と納付義務があるのは、受贈者側です。そして、個人が年間110万円を超える財産をもらった場合、贈与税が発生するので、申告と納付が必要になります。

特例贈与財産と一般贈与財産では税率が異なりますが、贈与税が発生するボーダーラインは一緒です

父親と叔父からそれぞれ100万円ずつ贈与された場合には、合計額が200万円となるので、前述した計算に基づいて税額を算出しなければなりません。

 

生前贈与の課税方式の種類

生前贈与は一般的な暦年課税の方式の他にも、特殊なものがあるので注意しましょう。
 

(1)暦年課税

 
一般的な課税制度であり、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された資産に対して贈与税が課税されます。110万円までは非課税であり、110万円を超えれば金額に応じて贈与税が課されます。

暦年課税をうまく利用して、年間に110万円ずつ生前贈与されれば、無税で財産移転が可能です。

 

(2)相続時精算課税

 
この課税方式は受贈者が選択することになっています。利用する場合、贈与金額に関わらず贈与税の申告書と相続時精算課税選択届書を税務署に提出しなければなりません。書類の提出がないと、制度適用されず、暦年課税方式での課税となります。

なお、贈与者は60歳以上の父母もしくは祖父母、受贈者は18歳以上の子供や孫でなければなりません。厳しい条件ですが、贈与税が合計2,500万円分まで非課税になります。

2,500万円を超えた場合にかかる贈与税は一律で20%となります。

この課税方式は非課税額が大きくお得に見えますが、贈与者が亡くなった時に贈与財産は相続財産と合計され、相続税が課税されます。つまり、税金の支払いを相続時にまで延ばしているに過ぎません。

なお、同制度は2024年1月から、年間110万円の基礎控除が認められています。この基礎控除枠は前述の特別控除枠(2,500万円)の対象外であり、相続時にも加算されません。

 

特例贈与財産として申告するには

特例贈与財産の贈与税申告書を提出する際には「贈与者と受贈者の関係を証明する書類」も添える必要があります

受贈者と贈与者が親子の関係であるなら、受贈者の戸籍謄本もしくは抄本を添えれば大丈夫です。贈与者が祖父母の場合、受贈者の戸籍謄本のみでは情報が不足するので、受贈者の親の戸籍謄本も必要になります。

戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場で取得しましょう。親の戸籍謄本の取得には委任状などは不要です。

 

 


 
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相続 の際に税額を左右するのが名義預金です。相続税の税務調査でも特に確認されやすい項目です。

子供や孫のために良かれと思ってやったことが、相続税という税金となって遺族の負担となってしまうのは避けたいもの。

今回は相続における名義預金について、注意点をいくつか解説したいと思います。

 

名義預金とは

名義預金は、実際の持ち主と口座名義が異なる預金を指します。

両親や祖父母が息子・孫の名前で口座を作ったり、夫婦でもパートナーの収入をご自身の名義で預金したりするケースが該当します。

名義預金は相続では度々問題になります。というのも、名義預金は「名義人の財産ではなく、持ち主の財産」とみなされるからです。つまり、相続では被相続人の財産とされて、相続税の対象となるわけです。

税務署も名義預金には目を光らせているので、注意が必要です。

 

どうして名義預金は相続税の課税対象になのか

両親が子供の名前で口座を作ってお金を入金する場合、そのお金は「生前の贈与金として渡した」という認識でしょう。生前贈与であれば、毎年の受贈者1人あたりの贈与額は110万円まで贈与税がかかりません。よって、その金額の範囲内で毎年入金していけば、預金は無税で子供の財産となるはずです。

しかし、相続税課税対象の財産は、財産の名義ではなく、「実際の財産の所有者が誰か」で判断されます

このような場合では、子供はもらったはずのお金を自由に使えないので、実質的には親がお金の持ち主です。別名義の口座でお金を管理しているだけです。

預金口座の実際の所有者が親であるならば、その親が亡くなった場合、口座内のお金は相続財産として引き継がれます。そのため、相続税の課税対象となるのです

 

名義預金であるかの判断基準

(1)財産の資金源はどこか

被相続人の財産による預金は「被相続人の財産」と見なされます。

専業主婦の方が数千万円もの預金をもっていた場合は、間違いなく名義預金の疑いをかけられます。税務調査では、資金の出所が必ず確認されることになるでしょう。

 

(2)通帳や印鑑の管理が被相続人

被相続人が通帳や印鑑、カードなどを管理している場合、口座の名義人は自由にお金を下ろせません。その状態にあった場合、名義預金とみなされます。

相続開始時点で名義人がお金を管理していなかったのであれば、口座のお金は相続財産として、相続税の課税対象になります。

 

(3)名義人が口座の存在を知らなかった

両親や祖父母が子供や孫に知らせることなく、口座を開設し、入金している場合もありますが、これも名義預金となります。

 

名義預金を避けるために

(1)贈与の成立条件を理解する

名義預金を避けるためには贈与の成立条件を理解しておく必要があります。

先にも述べたように、両親や祖父母が子供や孫の名前で口座を作ってお金を入金する場合、そのお金は「生前贈与として渡したお金」という認識でしょう。

生前贈与であれば、毎年の受贈者1人あたりの贈与額は110万円まで贈与税がかかりません。一気に高額のお金を入金すると贈与税がかかりますが、1年ごとに控除額の範囲内のお金を入金していけば、無税で子供の財産にできます。

この生前贈与は契約ということに注意が必要です。契約行為のため、成立する条件があるのです。

名義預金では、上記が満たされていません。通帳や印鑑の管理が口座名義の本人ではありませんし、口座の存在を知らない場合もあります。

そのためにその口座のお金は「贈与によって渡されたお金ではない」とされるのです。

 

(2)贈与の際には契約書を作成する

口座にあるお金が贈与によって渡されたお金だということを税務署に証明するために、贈与契約書を必ず作成しましょう。

毎年、お金を渡すのであれば、その度に作成しましょう。

契約書の書式は決まっていませんので、自由に作って良いですが、「誰が誰に」、「いつ」、「どんな財産を」、「どんな方法で渡したのか」を記載します。他にも贈与の条件があれば、記載しましょう。

最後に、双方の合意の証として、契約書に実印と署名をしましょう。

 

(3)受贈者が通帳や印鑑の保有管理を行う

贈与された財産は受贈者側が自由に使える状態にないといけません。そのため、通帳や印鑑は受贈者側が管理すること。

なお、口座のお金が長い間手付かずの場合、実質の所有者は贈与した側ではないかと税務署から疑われる可能性があります。

よって、生前贈与で渡すお金は受贈者が頻繁に使用する口座に振り込む方が良いと言えるでしょう。

 

(4)贈与税を支払って証拠を残す

税務署に対して贈与の証拠を残すという意味では、贈与税を支払う方法もあります。

非課税枠110万円を少しだけ超える贈与であれば、贈与税の少額で済みます。その少額の贈与税の申告と納税を持って、生前贈与の証拠とするのです。

なお、贈与税の申告書提出の際には贈与契約書のコピーを添付しましょう。贈与契約書が生前贈与の際に作成されたものであると証明することになるからです。
 
相続税
 

まとめ

名義預金は相続でも問題となる部分です。

祖父母や親としては、「あげたお金」が相続税の対象となってしまいます。名義預金を避けるためには、生前贈与の仕組みを理解し、財産の移転がきちんとできるようにしておきます。

相続で税務署から名義預金を疑われても、贈与の証拠を出せるのであれば問題ありません。

 

 


 
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個人間でされる贈与については、1年の内に受贈者が受け取る金額の合計が110万円を超えると贈与税が生じます。例えば、受増額合計が200万円なら超過分の90万円に、300万円なら190万円にそれぞれ贈与税が課税されます。

贈与税の基準は受贈側なので、複数人からもらった場合は、もらった分のお金を基に贈与税を計算します。両親から100万円ずつもらったのであれば、合計額は200万円ですので、超過分の90万円に贈与税が課税されます。

贈与税の注意点としては、渡された財産以外にも課税される点です。例として、「借金を帳消しにされる」ケースがあります。

債権者の権利放棄によって、債務者の債務が免除されることを「債務免除」といいます。債務免除が起こると、本来債権者へ弁済されるお金と同価格の利益を債務者が得たことになります。

そのため、「借金と同額のお金が贈与された」という理屈で、贈与税が課税されるのです

 

債務免除とは

債務免除とは、債権者が無償で債権を消滅させる行為を指します。借金返済を無しにしてくれるものです。

債権者にとっては、自身の債権を放棄する行為なので、「債権放棄」とも呼びます。一般的な取引では、負債の返済を免除する事は稀です。裁判所が命じる場合、倒産等で相手から回収見込みが無い場合、債務免除によりメリットが生じるケースでは、債務免除が実施されます。

また、親類同士であれば、債務免除が起きる可能性は高いでしょう。特に両親と子供、祖父母や孫といった関係であれば、昔に貸したお金の返済を無しにしてもらえるケースは多々あります。

ただし、債務免除は贈与税の課税対象です債権者がその債権を手放せば、債務は免除されることになりますが、本来弁済されるはずだった価額分と同じ利益を債務者側が得ることになるからです

このような仕組みから、債務免除は「贈与行為と同じ」とみなされ、贈与税が課税されてしまうのです

なお、債務免除以外にも、「債務引き受け」や「債務弁済」も課税対象になります。
 

■債務引き受けの例
父親が、息子の負っていた借金や住宅ローンを引き受けた。

■債務弁済の例
父親が息子が友人から借りていたお金を代わりに返した。 滞納していた光熱費を肩代わりした。

 

債務免除はみなし贈与

贈与は贈与者と受贈者の双方の合意を持って成立します。合意のない一方的なものは契約では無いので贈与と認められません。

しかし、それは民法上の話であって、相続税法ではどちらかの認識がない贈与であっても、特定のケースでは「みなし贈与」として贈与税が課税されます

通常の生前贈与とみなし贈与の特徴は以下の通り。

この仕組みから考えると、債務免除はみなし贈与に該当し、贈与税課税の対象です。

 

債務免除でも課税されないケースもある

債務免除はみなし贈与に該当するため、贈与税課税の対象です。しかしながら、課税されないケースもあります。

例えば、債務者本人の弁済が困難な状態の場合で

のいずれかに該当する場合、みなし贈与として課税されません。

ただし、課税対象から外れるのは、「債務者の体調、経済状況から明らかに弁済が困難だとされる部分」だけとなります

債権者が法人で個人に対して債務免除をした場合も非課税です。これは、法人からの贈与で取得した財産価額は贈与税の課税価額に算入しないと相続税法で決まっているからです。

 

まとめ

債務免除はみなし贈与に該当するため、贈与税課税の対象です。生前贈与にはこのような例外も存在するので、十分注意しましょう。

生前贈与はうまく活用すれば、相続税対策として活用することができますが、制度内容をよく理解していないと想定外の税金を支払うことにもなると言うわけです。

贈与を利用した相続税対策を行う場合、失敗しないためには、一度、税理士へ相談されることを強くお勧めいたします。

 

 


 
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相続において、もし相続人が一人だけだった場合は、その方が手続きをします。しかし、相続人が数名いる場合、各相続人が協力して手続きを進めていく必要があります。

とは言っても、各相続人は大抵の場合、違う地域に住んでいます。特に遠方に住んでいると、レスポンスが遅くなる可能性が出てきます。

手続きの中には期限付きのものもあるので、先延ばしにしてしまうと大きなリスクとなります。よって、可能な限り、取り掛かれるものから早めに手をつけたいところです。

実は、相続手続きの中には相続人単独でできるものもあります。ここで言う単独でできるものとは、他の相続人の許可が不要なものです。

よって、動ける人がそれらの手続きを進めたほうが良いのです。

 

単独でできる相続の手続きその1:遺言書の確認

遺言書があるかないかで手続きは大きく変わります。そのため、相続ではまず故人が遺言書を残していないか確認しなければなりません。

この遺言の確認については他の相続人の同意を得る必要はありません。ただし、遺言書は形式によって、探し方も異なります。
 

(1)公正証書遺言・秘密証書遺言の場合

 
公正証書遺言・秘密証書遺言の場合、作成の過程で公証役場を通します。そのため、「遺言検索システム」で照会が可能です。

遺言検索システムは、全国の公証役場で利用できます。基本的に相続人であればシステムを使えますが、遺言者との関係を証明する以下の書類が必要です。

代理人であってもシステムを利用できますが、その場合、先ほどの書類に加えて相続人の実印で押印した委任状等が必要となるので注意しましょう。

検索した結果、公正証書遺言があると分かったときには、内容を確認しましょう。内容の確認は原本が保管されている公証役場にて手続きをします。(郵送での請求も可能です。)

なお、公正証書遺言は原本が役場に保管されていますが、秘密証書遺言は、原本が遺言者の管理となります。つまり、秘密証書遺言はシステムによって遺言書の有無だけの確認となります

原本は遺言者の自宅などから直接探し出さなければなりません。原本が見つからなければ、内容がわからず、遺言書の効力も生じません

 

(2)自筆証書遺言で法務局の保管制度を利用している場合

 
自筆証書遺言では、法務局で原本を保管できます。遺言者がその保管制度を利用していた場合は、法務局に行きましょう。

相続人や受遺者であれば相続開始後に全国の遺言書保管所にてモニターで遺言書の閲覧が可能です。ただし、原本閲覧は遺言書が保管されている遺言書保管所だけです。

閲覧請求には以下の書類を用意します。

相続人や受遺者が遺言書の閲覧をした場合、遺言書保管所の方から他の相続人に遺言書を保管している旨を連絡してくれます。

遺言者が保管制度を利用していたかどうかが不明でも、請求をすれば遺言書保管の有無は分かります。証明書の請求は全国の遺言書保管所で可能です。

 

(3)自筆証書遺言を自己保管している場合

 
自筆証書遺言で保管制度を利用していない場合、遺言書は遺言者本人が管理しています。その場合、実物を見つけ出す以外に方法がありません。

自宅に置いている場合もあれば、知人に預けている場合もあります。当然ですが、原本が見つからなければ、遺言書の効力は生じません

 

単独でできる相続の手続きその2:財産調査

財産調査は、相続財産の引き継ぎ方法を選択する上でも、相続税の申告においても重要な作業です。

相続人が知らない財産は意外と多いのです。銀行口座はもちろん、不動産、有価証券、生命保険や損害保険、車、他人に貸し借りしたお金についてまで、調べなければなりません。

この相続財産の調査は相続人単独でできます。

財産調査にあたり、最低限必要な書類は以下です。

遺産全容を明らかにする財産調査はとても重要です。しかし、時間も手間もかかるため、早急に取り掛かりましょう。時間が取れない場合は、専門家に任せましょう。

 

単独でできる相続の手続きその3:相続放棄

相続放棄は相続権を手放すことです。相続権がなくなるので財産取得はできません。

相続では全てのケースでプラスの財産が上回るわけではありません。被相続人が生前に多額の借金を抱えていた場合、そのまま財産を引き継いでしまうと相続人が返済に苦しむことになります。

そのようなケースにおいて、相続放棄が選択される場合もあります。

相続放棄については、各相続人が自分の意思で選択の判断をするので、他相続人の許可は不要です。

相続放棄をする場合、以下の書類を用意し、家庭裁判所に申し立てをします。

相続放棄は、自身が相続開始を知ってからから3ヶ月以内にしなければなりません(熟慮期間内)。

「財産調査が進んでいない」といった、相応の理由がある場合には、期間延長の申請も可能ですが、原則として期限を過ぎないように注意しましょう。

 

まとめ

相続人が単独でできる手続きはご紹介したように三つあります。相続の手続きには期限付きのものもあるので、できることから取りかかった方が良いでしょう。

ただし、故人の葬儀や法要で忙しく、なかなか手続きに取り掛かれない場合もあります。そんな方は、相続専門の税理士に手続きを代行してもらうことを検討しましょう。

報酬はかかってしまいますが、手続きを放置するとリスクが大きくなります。

また、相続のプロが手続きをした方が、相続人本人の負担もありませんし、手続き上のミスも起こりません。特に相続税の申告はミスをすると追徴課税となってしまうので、税理士に代行を頼んだ方が安心です。

なお、相続税の代理申告は税理士の専業ですので注意しましょう。

 

 


 
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相続人が受け継ぐ故人の財産は「遺産」や「相続財産」と呼ばれますが、どこまでが遺産の範囲なのかご存知でしょうか。被相続人の預貯金や現金、不動産はもちろん遺産ですが、借金といったマイナスの財産も遺産に含まれます。

相続財産とは、被相続人が亡くなった時点で所有していたものだけでなく、権利義務も対象だからです。借金は債権者にお金を返す義務があり、これも相続人に引き継がれるのです。

要するに、経済的な価値があるものは大方相続財産に含まれると考えれば良いでしょう。

相続財産の把握は、分割協議を進めるだけでなく、相続税申告の点でも大切です。ですから、何が相続財産に該当するのか、しっかりと理解しておきましょう。

 

相続の対象となる財産

(1)プラスの相続財産

※会員権については規約に「会員死亡時に失効する」との記載がある場合、相続対象になりません。

 

(2)マイナスの相続財産

被相続人の借金やローンも、マイナスの財産として相続人が引き受けます。

相続税額を算出する過程として、まず遺産総額から「基礎控除」を引きます。そして、被相続人に借金などの「債務」があった場合は、これも差し引きます。遺産総額が減れば、相続税額も減るので当然ながら税負担が軽減されます。

この仕組みは「債務控除」と言います。

債務控除に当てはまるものとしては、「相続時に存在」かつ、「確実と認められるもの」に限定されます。わかりやすいもので言えば、被相続人の借金やローンがありますが、支払われていない税金や、光熱費も対象となります。

債務控除は以下のコラムで詳しく解説していますので、一読ください。

★参考記事:債務は相続財産から控除可能 債務控除の対象とそうでないもの

 

相続財産に該当しないものとは

(1)遺族給付

 
遺族給付は、被相続人と一定の関係がある人に対して給付されるものです。これは遺族が受け取るものであり、「固有の権利」であるため、相続財産には含まれません。

遺族給付には遺族基礎年金、遺族厚生年金などがあります。

 

(2)賃貸物件の家賃

 
被相続人の財産に賃貸物件がある場合、相続時やその後も賃料が発生します。これら相続財産から発生した収益は相続財産には含まれません。

ただし、「誰が受け取るのか」については遺産分割協議の中で取り決めることが多いです。

 

(3)株式の配当

 
株式の配当も相続財産から発生した収益になるので遺産ではありません。配当については遺産分割協議の中で取り分を決めます。もし、相続人の一人が独占しているような場合には、訴訟で返還を請求することも可能です。

 

(4)一身専属的な権利・義務

 
故人の一身専属な権利・義務は相続財産とはなりません。一身専属的な権利・義務は、その本人のみに認められた特別なもののため、他の方への譲渡・相続はできないからです。

下記のものが当てはまります。

 

相続財産であっても、分割の対象にならないものとは

相続財産なのに遺産分割の対象とならない財産は以下の通りです。

(1)債務

 
被相続人の債務については、遺産分割の対象にはなりません。

各相続人が法定相続分に応じて相続し、相続後はそれぞれが債権者に対して返済義務を負うことになります。

ただし、相続人全員の合意がある場合、遺産分割協議で一部の相続人に相続債務を負担させることもできます。

 

(2)生命保険金

 
生命保険金は契約や約款で受取人が指定されており、支払われるお金は受取人固有のものなので、遺産分割の対象にはなりません。

ただし、受取人未指定の場合や受取人が被相続人だった場合は、遺産分割の対象となります。

 

(3)可分債権

 
可分債権とは、その性質上、分割可能な債権です。

貸金債権や過払い金などの不当利得債権、事故における損害賠償債権などがあります。

いずれも法定相続分に従って相続するので、各自が法定相続分に相当する割合について請求することが可能です。よって、遺産分割の対象とはなりません。

 

まとめ

相続の手続きを進めるとき、何が相続財産かわからないと遺産分割協議はおろか、相続税申告の準備もできません。

今回紹介したように、何が相続財産に該当するか、分割対象となる財産は何なのかをきっちりと押さえておきましょう。

ご自身だけでは難しいと判断された場合は、相続専門の税理士のサポートを受けることをおすすめします。負担なく、相続税の申告も可能となります。

申告の間違いはもちろん、節税アドバイスも受けられるので、是非お気軽にご相談ください。

 

 


 
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金の値上がりを受けて、資産運用や財産の分散を目的として、金を購入する方がいます。

金や純金は価値のあるものであり、相続税の課税対象です。よって、故人の財産に含まれているのであれば、個別に評価額を計算し、申告と納付をしなければなりません。

では、金の相続税の計算方法はどのようになるのか。また、金を相続税対策に利用することの注意点についても解説いたします。

 

相続税の課税対象となる金

金というとゴールドバーが思い浮かびやすいですが、金貨や、仏像、時計、金印など、様々なものがあります。これらは、金の製造業者や、貴金属を取り扱う店舗で購入できます。また、純金積み立てと言って毎月一定額を積み立てる投資もあります。

これらは、相続時に全てが相続税の課税対象になります

金はそれ自体が価値のあるものですから、どんな形をしていても相続税の課税対象に含まれるのです。

 

仏像仏具であっても課税対象

仏像や仏具などは「祭祀財産」とされ、相続財産ではありません。そのため、相続税対象でもありません。

祭祀とは、神や祖先を祀ることで、その祭祀に関する財産のことを祭祀財産と言います。祖先を祀るもしくは礼拝用に供されるためのもので、仏壇や仏像、神棚、位牌等があります。(基本的に祭祀に必要であるもの全てが当てはまります。)

しかし、注意したいのは、祭祀財産が「その価値が社会通念上認められるもの」に限られる点です

つまり、金でできていると相続税の課税対象となります。純金製の高価なものについては、祭祀財産ではなく、投資用の財産であると税務署が判断します。

 

金の相続税評価とは

相続税評価額の計算方法は、以下の通りです。
金の相続税評価額 = 相続開始日の業者買取価格(税込) × 保有g数

金地金の買取価格は1gあたりの金額で公表されています。買取価格は金の買取専門業者に連絡するか、ホームページを参考にしましょう。

なお、買取価格とは「業者の買取価格」であって、業者から一般消費者に売る価格(小売価格)ではないので注意してください。

骨董品となる金の美術品、アンティーク金貨は、「骨董品としての価値」を相続開始時の時価で評価します。そのため、専門の買い取り業者に直接査定をしてもらう方が良いでしょう。

なお、複数の業者に査定してもらった場合、納税者の判断で採用する買取業者価格を選択しても構いません。

 

金は節税対策に向いている?

金は安定資産として価値の保存に優れていますが、節税の観点から言えば効果はあまりありません。

ただし、不動産と違って換金性には優れているので、遺産分割には適しています。あらかじめ金地金を小分けにして相続人の数ずつ用意しておくことも可能です。

 

金を隠すことは不可能

「金は預金と違って、税務署にバレない」と思っている方は要注意です。

金は価値が高いことから、しばしば脱税の道具にもされるので、税務署も丹念な調査をしています。金が必ず税務署に見つかる理由は以下の通りです。
 

(1)購入時の取引記録

 
現在の日本では、法律によって、金の購入時に本人確認及び売買を記録することが業者に義務付けられています。

この取引記録の法定保存期間は7年です。よって、期間内に税務署が金の販売業者に対して調査すれば、購入の事実が出ます

 

(2)売却時の記録

 
取引価格が200万円を超える金地金や金貨の売買が行われると、取引業者から税務署に支払調書と呼ばれる書類が提出されます。

そのため、支払調書から売買関係者が明らかになります

また、200万円以下でも、業者は「古物営業法」規定に準じて本人確認と取引の記録をしているので、支払調書が提出されなくても、記録は残っているのです。

つまり、購入時の金の所有が見つからなかったとしても、その金を売却する際に発覚することになります。

 

まとめ

金の相続税の計算方法について述べました。金は相続税対策にはあまり向いていないと言えます。よって、節税としては別の方法を取るべきです。

なお、財産隠しは絶対にしないこと。

税務署サイドは、被相続人および相続人のすべての金融機関の履歴を調べます。よって、相続税の申告内容が少しでも怪しいと感じたら、毎月のお金の流れを細かくチェックし、使途不明金の詳細を調べます。

申告書に記載がないような入出金を見つければ、税務調査がされます。そこで財産隠しが指摘されれば、厳しいペナルティーが課せられます。

そのため、もし金や純金が相続財産にある場合は、必ず評価額を算出し、正しく相続税申告をしてください。

 

 


 
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相続で財産を取得したら、その財産額に応じて相続税額を算出し、申告と納付をしなければなりません。

相続税の申告は、連名で提出できますが、納付の方は原則として相続人ごとにします。そのため、相続財産を取得する方はその支払い方法について理解しておく必要があります。

 

相続税を支払わなければならないケース

相続税は基本的に「取得した遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えた場合」に生じます

「基礎控除」とは、一定の金額まで、税金の支払いが免れるボーダーラインです。遺産の総額からこの基礎控除額を差し引いた財産にのみ相続税が課税されるのです。遺産総額が基礎控除内におさまっていれば、相続税は払わなくて良いのです。

基礎控除は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の数式で算出します。

なお、遺産総額が基礎控除額を上回った場合でも、相続税が0円となるケースがあります。相続では要件を満たすことで利用できる基礎控除以外の控除制度があるからです。

ただし、それらの特例を利用する場合、申告は必要となります。(利用要件に申告が必須となっているからです。)

 

納付の期限は相続税の申告と同じ

相続税の納付期限は申告と同じです。相続人が相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

10ヶ月となると長そうな気もしますが、相続では、被相続人の通夜・葬儀、戸籍の収集、相続財産の調査、準確定申告など、やることがたくさんあります。それらに気を取られて期限を破らないように注意してください

納付が遅れると、「延滞税」というペナルティーが生じ、本来よりも高い税金を払うことになります

なお、多くの場合、相続税の納付は申告の後にされますが、納付を先にしても構いません。期限内であれば、納付のタイミングはいつでも良いのです。

ご自身が払う税額がしっかりと計算できていて、問題ないのであれば、申告書の提出前に相続税を払っても大丈夫です。

 

納付は現金での一括納付が原則

相続税は原則として、納付書と共に、現金一括で支払うことになっています。

支払いは税務署でも良いですし、銀行、信用金庫などの金融機関でも可能です。なお、税額が少額であるなら、コンビニで支払うこともできます。

 

相続税はまとめて支払っても良い(注意事項あり)

冒頭でも説明しましたが、相続税の納付は原則として、相続財産を取得した相続人もしくは遺言によって財産を受け取る受遺者本人が納付します。

ただし、相続税を相続人の代表者がまとめて支払うことも問題はありません。各相続人がそれぞれ払うのは面倒だからという便宜上の理由で、代表の相続人が納付期限内に立替払いをしても良いのです。

相続税を支払わない相続人がいれば、他の相続人にその分の相続税の納付義務が生じます。これは連帯納付義務と言いますが、それを回避するため、該当の相続人には相続税分を差し引いた預金を渡して、相続人代表者がその人の分の相続税もまとめて払うケースもあります。

なお、相続税を立替で払う場合、清算は速やかにすることが重要です放置していると、「相続税を肩代わりしてあげた」と税務署に判断され、「みなし贈与」として贈与税が課されてしまいます

 

納付書について

相続税の納付では納付書が必須です。各相続人で納付書を作成します。

納付書は税務署の窓口に直接出向いて取得します。税務署の窓口にて相続税の支払いである旨と管轄の税務署、納付手段を伝えれば、専用の納付書がもらえます。

納付書は全国どこの税務署でも配布しています。

なお、インターネットを利用したクレジットカードでの支払いであれば、納付書の作成は不要となります。

 

相続税の納付手段

(1)金融機関での支払い

 
地方銀行や信用金庫、郵便局などの金融機関で支払いが可能です。

たまにですが、支払いに対応していない場合もあるので、電話で該当の金融機関に確認してから手続きをしましょう。

 

(2)税務署での支払い

 
税務署の窓口でも納付できますが、相続税の申告書を提出する税務署に限られます。つまり、被相続人の住所地を所轄する税務署のみです。

 

(3)コンビニでの支払い

 
コンビニでも納付が可能です。ただし、その場合は納付額が30万円以下となります。
事前に納付書を税務署に持っていき、バーコード付の納付書を発行してもらいましょう。

 

(4)インターネット利用

 
平成29年よりインターネットを利用したクレジットカードでの納税が可能となりました。

自宅で納付ができるので便利ですが、納税額が1,000万円未満に限られること、領収証書は発行されない、決済手数料が生じるといったデメリットがあります。

利用する場合、「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし手続きをします。

★参考:国税クレジットカードお支払サイト

 

まとめ

相続税の納付は原則として相続人ごとにします。

納付書を作成の上、金融機関や税務署で納付をしましょう。少額であればコンビニでも納付は可能です。

 

 


 
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相続では、遺産はいったん相続人全員の共有となります。相続人間で遺産を分けるためには、遺産分割の方法を決めなくてはいけません。遺産分割の方法は四つありますが、それぞれの方法にはメリットもデメリットもあるため、どの方法にするかは慎重に検討しましょう。

前回のコラムでは現物分割と代償分割は前編で解説しましたので、本件では「換価分割」「共有分割」の二つの方法について解説します。

★参考記事:遺産の分割方法とは 各分割方法の違いとは 前編【 現物分割・代償分割 】

 

換価分割

換価分割とは財産を一度売却し、その売ったお金を相続人間で分割する方法です

財産がお金に換えられるので、公平な分割方法と言えます。また、現金が手に入るため、納税の資金を確保できるメリットもあります。相続税は原則として現金納付なので、相続する財産が不動産等に偏っていて、現金が少ない場合に便利です。

また、活用する予定のない土地や建物を相続した場合、固定資産税や維持管理費がかかります。使わない以上、それらは無駄な負担金になりますから、換価分割によって処分してしまう方が良いとも言えます。

 

(1)メリット

 

 
換価分割は財産を現金化するため、相続税の納税資金として活用することもできます。

相続税の納付は現金での納付が原則です。例えば、相続財産の中身が土地や建物しかなく、遺族の方に十分な資金がない場合、相続税の支払いが遺族にとって大きな負担になるケースもあります。

その点、換価分割は分割過程で現金化されるので、そのお金を納税資金にできます。

また、財産を現金化するので、分配は1円単位で可能です。よって、公平性のある分配方法とも言えるでしょう。

 

(2)デメリット

 

 
換価分割では、財産を一度売却しなければならないので、そのまま残すことはできません。住宅や形見の品など、売りたくないものは換価分割すべきではありません。

なお、売るにしても売却価格が希望値で売れる保証もありません。駅から遠かったり、使い勝手の悪い土地であれば、売値も下がります。

また、相続税の納付期限までに売れない場合もあります。そうなれば、納税資金が確保できない可能性もあります。

加えて、注意したい点として、不動産の売却については、手数料などの諸々の費用がかかりますし、税金が課される可能性もあります。

不動産は売却価格から利益がでれば課税所得として所得税の対象になるからです。譲渡所得税が生じれば、換価後の現金を受け取った相続人全員が確定申告をする必要があり、同時に住民税も増額となります。

 

共有分割

相続における共有分割とは、故人の土地や建物を複数の相続人で共同所有する(共有名義とする)方法です。

法定相続分に応じ、それぞれの持分を決めて、名義変更(相続登記)をするのが基本のパターンです。例えば、相続人が長男と次男の2人なら、それぞれ2分の1ずつの共有名義とします。
 

(1)メリット

 

 
共有分割におけるメリットは公平性です。不動産は分割が難しい財産ですが、共有すれば平等な遺産分割となります。また、換価分割とは違って、該当の財産を売らずに残せることも大きなメリットです。

取得する不動産が賃貸用の物件であれば、家賃収入についても持分に応じて平等に分配が可能です。

 

(2)デメリット

 

 
通常では相続が起きる度に、遺産は分割されていきます。不動産で考えると、その所有の権利も細かく分配されていきます。となれば、権利関係者が増えて、内容が複雑になってしまいます。

例えば、一次相続で長男と次男が土地を半分ずつ共有したとします。その後、どちらかが亡くなると配偶者や次世代の子供達(被相続人にとって孫)で持分を分割することになります。それが数回繰り返されれば、共有者が増えていきます。

共有者は多ければ多いほど、権利関係を複雑なものにしてしまいます。
不動産の売却には名義者全員の同意が必要になりますが、関係者の数が多いと、まとまらずにトラブルに発展しやすいのです。

自身の持ち分を売却する「一部売却」も可能ですが。不動産全部を売却するよりも、土地利用などがしにくくなるので、買い手が見つけにくいという欠点があります。そして、売却が成立しても相場より安くなりやすいのです。

分割の後に、単独所有に変更したくても、その際には結局共同所有者全員の同意を得なければなりません。そうなれば、遺産分割協議をやり直すことにもなるので、相当な手間です。

共有分割はデメリットの部分が大きいので、基本的には選択せずにほかの分割方法を検討することをお勧めします

 

まとめ

2部に渡って、遺産相続における分割方法を解説いたしました。

どの分割方法が最適なのかは、相続人の人数や家族構成、他の遺産状況によるので、不安な方は相続手続きの専門家にご相談してください。

専門の税理士であれば、相続税の節税対策や代理申告も可能ですから、色々と便利です。

 

 


 
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相続において、遺産を分割する場合、現金であれば自由に好きな配分で分けられます。(法定相続分に従っても良いし、遺産分割協議で配分を決めることも出来ます。)

しかし、遺産のなかに不動産や自動車などの動産があると話が違います。これらは現金と違って物理的に分けられないからです。特に不動産は一個当たりの価値が高く、遺産価値において高い割合を占めす場合が多いので、処分や分割を巡って相続人間で揉めやすくなります。

実は不動産であっても公平に分けられる方法はあります。分割方法は遺言書が無ければ、相続人同士での遺産分割協議によって決められます。

今回は、相続手続きにおける遺産分割の方法についてご紹介します。是非、参考にしてください。
なお、本コラムは前編と後編の2部にしてあります。

 

現物分割

現物分割は「そのまま」の状態で遺産を相続する方法です。例えば、遺産に自宅と別荘と預貯金金があるのなら、配偶者が自宅を、長男は別荘を、次男は現金を相続する場合が該当します。

また、他にも土地を分筆して、各相続人に相続させる場合も該当します。分筆とは、登記簿上の一つの土地を複数に分割して登記する手続きです。(分筆された土地をそのまま引き継げば、相続人の単独所有となり、活用も売却も自由にできます。)

現物分割は、とても明解かつ簡単ですが、現物分割された財産が他のものと価値が釣り合わないことが多いので、不公平が生じやすいと言えます。
 

(1)メリット

 
現物分割のメリットについては以下の二点があります。

 
例えば、現物分割で不動産を相続すれば、基本的にその名義人は相続人単独のものとなるので遺産分割協議後の名義変更の手続きも簡単になります。名義変更後の売却処分も、相続人の自由にできます。

また、不動産等は財産評価の方法が複数あるので、評価額でトラブルに発展しやすいと言えます。それを考慮すると、現物分割は不動産をそのまま取得するので、評価額を厳密に決める必要性も薄く、トラブル発生率も低いのです。

 

(2)デメリット

 

 
現物分割は、公平な分配がしにくいというデメリットがあります。不動産自体は価値が高く、それ以外の遺産で同額を揃えようとすると大変です。そもそも、同じ程度の財産が揃っているというケースも少ないでしょう。

そのため、相続人間で完全な平等分配を目指すのであれば、現物分割は向いていません。

また、現物分割で土地を分筆した場合、土地の価値が下がってしまう可能性があります。分筆によって土地が細分化されると、用途が限られたり、道路に面しない片側の土地の価値が下がることがあるからです。

評価額が下がると売却額も少なくなってしまいます。

 

代償分割

代償分割は特定の相続人に法定相続分を超える遺産を相続させ、超過分の代替として他の相続人に金銭等を渡す方法です。不動産は母親が引き継ぎ、子供には相続分を母親が後に現金で払うというケースです。

細かい調整ができるので、最終的に相続人全員が同額に近い財産を得ることになります。

不公平感はありませんが、相続後に金銭を支払う相続人にある程度の資力が求められます。支払いが遅れると他の相続人から支払いを求める訴訟を起こされるリスクもあります。
 

(1)メリット

 

 
代償分割を利用すると、該当の財産を相続した方が、他の相続人に法定相続分に応じたお金を払うので不公平感は小さくなります。

相続人間での不満がなければ、円滑に遺産分割を進められます。
同じ公平性のある分割方法に換価分割があります。これは不動産を売却し、そのお金を分割する方法です。

しかし、売却が前提なので、不動産は手元から失われます。「父親が住んでいた家なので、できれば売りたくない」といった場合は、代償分割が良いでしょう。

 

(2)デメリット

 

 
代償分割の1番のネックとなるのが、不動産を相続する相続人に代償金を支払う資力が必求められることです。

他の相続人に代償金を支払えない場合は、代償分割の利用ができません。
また、対象財産の評価をどうするかも問題になります。

代償金を支払う相続人は低く見積もるために相続税評価と同じにしたいところですが、代償金を受け取る相続人は高く見積もりたいので、時価を採用したいでしょう。そのため、評価額の決定で揉める可能性があります。

なお、代償分割の際、支払う代償金額が多すぎると代償金を受け取った相続人に「贈与税」が発生する可能性があります。

相続によって取得する金額よりも、他の相続人に支払う代償金が高くならないように注意する必要があります。

また、遺産分割協議書に代償分割である記載もしておきましょう。(遺産分割協議書に代償分割の記載がなければ、税務署が贈与と判断する可能性があります。)

 

まとめ

遺産相続における分割方法について、解説いたしました。

次回は今回の続きとして、残りの二つの分割方法について述べていきます。

 

 


 
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