相続では、遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」、税金の計算と納付を行う「相続税申告」、実家や土地の「不動産名義変更(相続登記)」など、やるべきことが山のようにあります。

通夜・葬儀の後に、これらの手続きをこなしていくのはかなりの負担となります。しかし、被相続人となる方が生前に準備をしておけば、残されるご家族=相続人の負担を軽くすることができます

今回は、ご家族が相続の手続きや税金負担で苦労しないように、生前のうちにできる「相続対策」を解説いたします。

 

遺産分割の負担を減らす

(1)「遺言書」の作成

 
相続で最も避けたいのは、相続人同士が争うことです。分割協議がまとまらずに長期化すると、かなりの負担となります。

揉めないための最も有効な方法は、「遺言書」です。遺言書に「誰に・どの財産を・どれくらい渡すか」をはっきりと書き残しておけば、ご遺族がゼロから話し合いをする必要がなくなります

また、不動産や自社株など「公平な分割が難しい財産」がある場合も、遺言書で分割方法を指定しておけばスムーズです。

ただし、遺言内容には配慮が必要です。例えば、「長男にすべてを譲る」といった極端に偏った内容だと、他の相続人の「遺留分(遺産を最低限もらえる権利)」を侵害してしまい、揉めるきっかけとなります。ご遺族が納得できるような、不公平感のない内容を心がけましょう。

 

(2)財産の全体像がわかる「一覧表」を作る

 
ご遺族が苦労するのは財産調査です。どこにどんな財産があるのか分からなければ、調査に時間がかかります。

そこで、生前のうちに預金口座(銀行名や支店名)、自宅や土地などの不動産、株式や投資信託、加入している生命保険などを、リストアップしておきましょう。プラスの財産だけでなく、住宅ローンやカードの未払い金など「マイナスの財産(借金)」も記載しておきます。

このリストがあるだけで、ご遺族の手間と時間を大幅に省くことができます。

 

(3)分けにくい財産は「分けやすく」しておく

 
財産の多くが不動産のケースは、揉めやすいパターンです。

これは、「不動産が1円単位で分けることができない」ためです。もし誰も住む予定のない不動産や、活用していない土地がある場合は、生前に売却して「現金化」しておくのも一つの手です

現金であれば1円単位で公平に分けることができるため、ご遺族を悩ませることはありません。

 

税金の不安を減らす

(1)時間を味方につける「生前贈与」の活用

 
遺産額によっては、残されたご家族に相続税の支払いが生じる可能性があります。これらの税金負担を減らすためには、生前からの対策が欠かせません。

相続税対策でベターなものは「生前贈与」です。生前贈与では、1人につき年間110万円までの贈与であれば、受け取った側に贈与税がかかりません。(暦年贈与課税)

この仕組みを使って、ご家族に毎年少しずつ財産を移していけば、相続財産そのものを減らすことができ、結果として相続税の負担を抑えることができます

生前贈与では、「住宅取得等資金の贈与」や、「教育資金の一括贈与」など、特定条件を満たせば多額の非課税枠が使える制度もありますので、状況に合わせて検討してみましょう。

 

(2)お墓や仏壇の「生前購入」で節税

 
お墓や仏壇は祭祀財産となり、相続税がかかりません。

そのため、生前にご自身のお金で購入しておけば、購入した代金分だけ相続で課税される財産が減ります

なお、ローンでお墓を買ってしまうと、その借入金は相続財産から差し引くことができません。相続税には「プラスの財産が非課税なら、それに関連するマイナスの財産も引けない」というルールがあるからです。よって、現金の一括払いで購入するのがポイントです。

 

(3)すぐに現金が用意できる「生命保険」

 
生命保険の死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」という特別な非課税枠が用意されています。例えば、配偶者と子ども2人が相続人であれば、1,500万円までの保険金には税金がかかりません。

そして、生命保険のメリットとして、受取人が直接請求できる、比較的早く現金を受け取れる点があります。故人の銀行口座は「凍結」されるため、ご遺族でも簡単にお金を引き出せません。

その点、生命保険は素早く現金を受け取れますから、当面の生活費や葬儀費用、相続税の支払い(納税資金)等、大いに役立ちます

 

相続の事務負担を減らすコツ

(1)デジタル遺品(ネット資産)の情報をまとめておく

 
近年、相続で多くの方が悩まれているのが「デジタル遺品の処理」です。ネット証券やネット銀行、スマートフォンの有料アプリなどは、通帳や明細書が郵送されてこないため、ご家族がその存在に気づけないことが多々あります。

財産一覧表を作成する際は、これらのオンラインサービスの存在とともに、ログイン用のIDやパスワードを安全な方法でご家族に伝わるように準備しておきましょう

 

(2)相続の「専門家」を頼る道を用意する

 
相続税計算や申告書の作成、法務局での不動産の名義変更(相続登記)は、専門的な知識がないと非常に難しく、ミスがあると後からペナルティ(追徴課税)を受けるリスクもあります。

ご遺族の負担を軽くするには、「困ったときは、あの税理士さんに相談してね」と、信頼できる専門家を生前から見つけておくことです

専門家への報酬はかかりますが、ご遺族が安心して日常生活を取り戻せることを考えれば、それ以上の価値があると言えるでしょう。

 

まとめ

「まだ元気だから、相続なんて先の話」と思いがちですが、いざという時は突然やってくるかもしれません。残されるご家族の負担を考えて、準備はできる限り早く始めることが大切です。

生前対策等、ご自身の状況に合わせて何から始めるべきか迷われたら、ぜひ一度、弊所へお気軽にご相談ください。専門家として、最適なプランをご提案させていただきます。

 

 


 
相続手続き・相続税対策・遺言書作成・生前贈与など、相続に関するお悩みは(株)FP財産総合研究所までご相談ください。

年に数回、北本市役所にて税務相談員を受け持っている経験豊富な税理士が対応させていただきます
初回の相談は無料なので、是非ご利用ください。

お電話での対応は[048-592-5533] 受付時間9:00〜18:00です。
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相続に不動産が含まれる場合、その不動産の名義変更が必要になります。

「とりあえず亡くなった親の名義のままでいい」「手続きが難しそうだから落ち着いてから」等と考えて放置してしまう方が非常に多くいらっしゃいます。

2024年に法改正があり、今まで個人の自由だった相続登記は「義務」へと変わりました。そのため、相続登記については早めに完了しなければなりません

そもそも、不動産は名義変更をしないままでいると、将来的にリスクを抱えることになります

 

そもそも「相続登記」とは?なぜ必要なのか?

不動産(土地や建物)には、所有者権等の情報を記録している国のデータベースがあります。これを「登記」と呼びます。相続登記は、持ち主が亡くなったときに、その記録を亡くなった方から新しい所有者(相続人)へと書き換える手続きのことです。

「家族間で誰が引き継ぐか決まっているから、わざわざ変えなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、登記とは、世の中のすべての人に対して所有者を公表するためのものです。

そのため、亡くなった方の名前のままにしておくと、見知らぬ第三者から不当な主張をされたときに、法的に対抗(自分の権利を守ること)ができなくなってしまいます

資産をしっかり守るためにも、名義を変えることは欠かせないのです。

 

相続登記をしない4つの大きなデメリット

(1)不動産を処理したくてもできない

 
遺産で引き継いだ実家に誰も住まない場合、売却したり、誰かに貸して家賃収入を得たりすることを考えるでしょう。しかし、不動産を売買する際、不動産会社や買い手は必ず登記簿を確認します。

もし、売ろうとしているあなたの名前と、登記簿上の名前(亡くなった親名義)が違っていたら、「本当にこの人が持ち主なのか?」「後から親戚間でトラブルになるのでは?」と警戒され、取引をしてくれません。

名義変更が終わっていない不動産は社会的な信用が低く、いざというときに現金化することも活用することもできないのです

 

(2)時間が経つほど関係者が増えて手続きが複雑になる

 
例えば、親が亡くなり、子どもたちで実家を相続したとします。名義変更をサボっている間に、その子どもたちも亡くなってしまうと、相続する権利はさらにその子ども(孫やひ孫)へと引き継がれていきます。

年月が経てば経つほど権利を持つ人は枝分かれして増え続け、数十人に膨れ上がることも珍しくありません。

いざ手続きをしようと思ったときには、会ったこともない遠い親戚全員を探し出し、実印と印鑑証明書をもらわなければならず、膨大な時間と労力がかかってしまいます。

 

(3)固定資産税の押し付け合いと、延滞税の発生リスク

 
不動産を持っていると毎年「固定資産税」がかかります。名義を放置しておくと、市役所などは相続人のうちの誰か一人(代表者)に納税通知書を送ります。

名義が曖昧なままだと、「誰がこの税金を払うのか」で親族間で揉めやすくなります。

また、不動産の管理に全く関わっていない親戚の家に通知書が届いてしまうと、連絡が遅れて納期限を過ぎてしまうこともあります。支払いが遅れれば、「延滞税」というペナルティが上乗せされ、無駄な出費が増えます。

 

(4)他の親戚の借金が原因で、不動産を差し押さえられてしまうことも

 
もし相続人の中に、借金の返済が滞っている人がいたら要注意です。家族の話し合いで「自分が実家を相続する」と決まっていても、登記をしていなければ世間には伝わりません。

すると、借金をしている兄弟の債権者(お金を貸している人)が、「この家の一部は借金をしている兄弟のものだ!」と主張し、その持分を勝手に差し押さえてしまう可能性があります。登記さえしっかり済ませていれば防げるトラブルです。

 

相続登記の手続きパターン

相続登記は、亡くなった方が「遺言書」を残していたかどうかで、手続きの進め方が変わります。
 

(1)遺言書が見つかった場合

 
遺言書がある場合、基本的にはその意思が最優先されます。

 

(2)遺言書がない場合

 
遺言書がない場合は、誰が不動産を引き継ぐのかを家族全員で話し合い(遺産分割協議)をして決めます。

 

現在では相続登記が義務となっている

2024年(令和6年)4月1日から「相続登記の義務化」がスタートしました。主なルールは以下の通りです。

義務でありペナルティもある以上、手続きは必ず完了しなければなりません。

 

まとめ

不動産の相続登記の放置は、説明したようにデメリットが多く、注意が必要です。思わぬトラブルに巻き込まれたり、過料の対象にもなります。

とはいえ、戸籍をさかのぼって集めたり、専門的な書類を作成したりするのは、一般の方にとって非常に時間と手間がかかる大変な作業です。

もし、相続登記の手続きで悩んだら、遠慮せず専門家に相談してください。早めに行動を起こすことで、リスクを解消できます。

 

 


 
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相続が発生し、いざ相続税の申告……となったとき。「少しでも納税額を抑えたい」と多くの方が考えるでしょう。

通常であれば、適用可能な控除制度の利用等で税金対策をします。しかし、中にはわざと財産を隠したり、少ない金額で申告をしようとする方がいます。

相続税の申告において、意図的な財産隠しは高確率で税務署に見つかり、加算税の対象となります。場合によっては、最も重いペナルティである重加算税を課される可能性もあります。

今回は重加算税の恐ろしさと、ペナルティを受けないための正しい対策について、わかりやすく解説します。

 

相続税の申告期限

まず、相続税の申告期限についてですが、「相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

この「相続の開始を知った」というのは、該当の相続人が「被相続人の死亡と自身が相続人であるという事実を認識したこと」です。

多くの場合、この2つの事実を同時に認識することになるため、実務上は「被相続人の死亡日=相続開始を知った日」となるケースがほとんどです。

ただし、長い間音信不通で遠方に住んでいたり、長期の海外旅行に出かけている場合、連絡が取れないケースがあるので、被相続人の死亡日と相続開始を知った日がずれる場合があります。

もし、相続税の申告が必要な状態で申告期限を破ったり、少ない金額で申告をすると、ペナルティーとして加算税が課されます。重加算税はこの加算税の中で最も重いものとなっています。

 

重加算税とは

重加算税は、本来納める税金に追加で払う税金であり、その税率は35%〜40%という非常に重いものとなっています

重加算税の税率は以下のとおりです。

重加算税は、過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されるもので、意図的に財産を隠匿・仮装した悪質なケースに適用されます

 

重加算税が適用されるケースとは

(1)預貯金・現金の隠匿

 
被相続人が家族や親族の名義を借りて預金していた、いわゆる「名義預金」の存在を知りながら、意図的に相続財産から除外して申告した場合。

亡くなる直前に被相続人の口座から多額の現金を引き出し、それを自宅の金庫などに隠して「葬儀費用に使った」などと嘘の説明をした場合。

過去に解約した口座の履歴から、隠し持っている別の資産が発覚するのを恐れ、通帳を破棄したり隠したりした場合。

 

(2)書類や証拠の偽造・加工

 
実際には存在しない借用書を作成し、債務があるように見せかけて、課税対象額を不当に減らした場合。

生前贈与の契約書の日付を遡って作成したり、贈与が成立していないのに成立したように装ったりした場合。

被相続人が営んでいた事業の売上を少なく見せるための裏帳簿を作成し、それをもとに相続財産(事業資産)を過小に評価した場合。

これらのように客観的な事実を「作り替える」行為は、言い逃れのできない「仮装」とみなされます。

 

(3)税務調査時の不適切な対応

 
税務調査において、虚偽の答弁をする。例えば、調査官から「他にも口座はありませんか?」と問われ、存在を知っているにもかかわらず「一切ありません」と否定するケース。

調査官に特定の部屋や金庫の中を見せるのを拒んだり、調査中にこっそり書類を処分しようとするケース。

これらは税務調査時の不適切な対応として、重加算税適用の一因になる場合があります。

 

なぜ税務署に「隠し財産」がバレるのか?

「家族しか知らないはずのタンス預金が、なぜ税務署にバレるの?」と疑問に思うかもしれません。

税務署は職権で「亡くなった方やその家族の過去10年分以上の銀行口座の履歴」を調べることができます。どこの銀行から、いつ、いくら引き出されたのか。そして、そのお金が家族の口座に移動していないか。税務署はお金の流れを把握できるのです。

税務調査が行われるとき、調査官はすでに「どこに、いくら隠しているか」の目星をつけてからやってきます。「黙っていればバレない」という考えは、通用しないのです。

 

重加算税という最悪の事態を回避するために

「故意に隠したわけではないけれど、あとから申告していない通帳が見つかった!」という場合はどうすればよいのでしょうか。

一番の対策は、税務署から指摘(税務調査の連絡)を受ける前に、自ら「修正申告」を行うことです。

税務署から言われる前に自主的に間違いを正して申告・納税をすれば、重加算税はもちろん、うっかりミスのペナルティである過少申告加算税すら免除される可能性があります(ただし、ケースにより異なりますので注意しましょう)。

 

延滞税にも注意

延滞税とは、納付が遅れた相続税に対して法定納期限の翌日から課税される税金です。年率課税なので、納税が後になればなるほど、税率が高くなってしまいます。

たとえば、令和8年の場合、「申告期限から2か月以内は年2.8%」「申告期限から2か月経過以降は年9.1%」です。

※延滞税の税率は原則として、納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合、2ヶ月以後については「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となる。令和8年1月1日以降の特例基準割合は1.8%となっている。

よって、重加算税に加えて延滞税の支払いも出てくるのです。

 

まとめ

相続税の申告は、一生に一度あるかないかの大きな出来事です。ご自身で判断して「これくらいなら大丈夫だろう」と財産を除外してしまうと、後から取り返しのつかない重いペナルティ(重加算税)を背負うことになりかねません。

正しい財産の評価や、漏れのない申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。「自分は申告しないといけないのか」「財産の評価方法がわからない」等、少しでも不安に思ったら、一人で悩まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。

あなたとご家族の大切な財産を守るため、サポートいたします。

 

 


 
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ご家族が亡くなられた際、残された財産は配偶者やお子さんといった「法定相続人」に引き継がれるのが一般的なルールです。

しかし、遺言書を残しておけば、法定相続人のご友人やお世話になった方、あるいはボランティア団体などにも財産を譲ることができます。

このように、遺言によって指定した相手に財産を譲ることを「遺贈」と呼びます。財産を受け取る人(受遺者)は自由に選べるため、とても便利です。

しかし、ここで一つ疑問が浮かびます。「もし、遺言書で財産を譲ると指定した相手が、自分より先に亡くなってしまったら、その遺産はどうなるの?」ということです。

今回は、そんな「もしも」の時の遺産の行方と、事前の対策について解説します。

 

遺言より先に相手が亡くなると「無効」になる

結論から言うと、財産を受け取る予定だった人(受遺者)が、遺言を作ったご本人よりも先に亡くなっていた場合、その部分の遺贈は「無効」になってしまいます

遺言書は、本人が亡くなった瞬間に初めて効力を発揮するものです。そのため、いざ効力が発生したときに「受け取るはずの相手」がすでに存在しなければ、その指定自体がなかったことになってしまうのです。

 

遺贈には「代襲相続」が使えない

通常の相続であれば、本来財産をもらうはずだったお子さんが先に亡くなっていた場合、そのお子さん=被相続人のお孫さんが代わりに引き継ぐ「代襲相続」という仕組みがあります。

しかし、遺贈にはこの代襲相続のルールが適用されません。たとえば「友人Aさんに財産を譲る」と書いていてAさんが先に亡くなった場合、その財産がAさんの子どもに自動的に引き継がれることはないのです。

行き場を失った財産は「最初から遺言書に書かれていなかったもの」として扱われます。結果として、残された法定相続人全員で「遺産分割協議」という話し合いを行い、分配を決めることになります。

 

もしものための「予備的遺言」

受遺者不在による対策としては、「予備的遺言」を入れておくと良いでしょう。

これは、「もし指定した人が先に亡くなっていたら、代わりにこの人に譲る」という第2の候補を決めておく方法です。

【遺言書への記載例】
第〇条:遺言者は、下記の財産を、友人Aに遺贈する。
第△条:遺言者は、友人Aが遺言者より先に死亡したときは、上記の財産をAの長男Bに遺贈する。

 

遺言書がないと、思わぬトラブルも…

遺言書は遺族トラブルを避ける効果があります。

もし遺言書が一切なく、ご家族間での話し合いで遺産分割を決める場合、予想外のトラブルに発展することがあります。

たとえば、今まで全く交流のなかった親戚や、お父様の前の奥様のお子さんなどが相続人として話し合いに参加してくるケースです。特に「お子さんのいらっしゃらないご夫婦」の場合、配偶者だけでなく亡くなった方の親やご兄弟にも相続権が発生するため、ご夫婦の財産をスムーズに分けられないことが少なくありません。

「うちは家族の仲が良いから大丈夫」と思っていても、相続がトラブルに発展してしまうことはどのケースにも起こり得ます。残された人たちの負担を減らすためにも、遺言書の作成は非常に有効です。

作成する際は、公証役場で作る「公正証書遺言」が最も確実でおすすめです。原本が安全に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。ご自身で手書きで作成する「自筆証書遺言」を選ぶ場合でも、法務局で預かってもらえる「保管制度」を利用すると安心です。

 

まとめ

財産を受け取る予定だった人(受遺者)が遺言者より先に死亡していた場合、その部分の遺言は効力を失います。

受遺者の子どもが代わりに受け取ることはできず、その財産は法定相続人全員での話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めることになります。

受遺者不在の対策としては「予備的遺言」が有効です。第2の候補を遺言書に記載しておくことでトラブルを防げます。

遺言書の作成は、細かいルールが決まっているため専門的な知識が必要です。「自分の場合はどう書けばいい?」「将来トラブルにならないか心配」などのお悩みがありましたら、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 


 
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ご家族に大切な財産を残したい場合は、「遺言書」の作成がお勧めです。絶対ではないものの、遺言書の効力は強く、遺産の分配やその他の事項にはついて遺言者本人の意思が反映されるからです。

また、生前での財産譲渡が可能な「生前贈与」も良いでしょう。年間110万円までであれば非課税となりますし、渡す相手も自由に選べます。

そして、「生前贈与」と「遺言」の間のような、少し特殊な方法もあります。それが今回解説する「死因贈与」です。

これは、贈与者の死後に財産が移動する仕組みです。「それって遺贈では?」と思われるかもしれませんが、遺贈と死因贈与は異なります。

 

死因贈与とは

死因贈与には「贈与」という言葉が入っていますが、実際に財産が移動するのは、贈与者が亡くなったタイミングです。贈与者の死後の財産移転なので、受贈者が取得する財産には相続税が課税されます

贈与という名前ですが、税金の計算では「相続」と同じ扱いを受ける、と覚えておいてください。

なお、死因贈与には贈与者と受贈者の事前の合意(契約行為)が必要です。ここは通常の贈与と同じです。

 

死因贈与の種類

(1)負担付死因贈与

 
贈与条件として、贈与者が存命中に受贈者へ何らかの負担を課します。

例えば「贈与者が生きている間の身の回りの世話をする」といったような契約内容であれば、負担付死因贈与となります。

 

(2)始期付所有権移転仮登記

 
譲渡財産が不動産の場合、贈与者の承諾があれば「始期付所有権移転仮登記」を受贈者が単独で申請できます。仮登記すれば、不動産が勝手に売却されるのを防ぐ事ができます。

ただし、死因贈与契約書を公正証書で作成することと、証書の中に「仮登記申請ついての贈与者の承諾」と「受贈者を死因贈与契約の執行者に指定する旨」を記載する必要があります。

 

通常の生前贈与との違い

生前贈与も死因贈与も契約は贈与者が存命の時です。しかし、財産の移転については死因贈与は贈与者が亡くなった時です。

そして、き生前贈与では原則として「贈与税」がかかりますが、死因贈与では「相続税」がかかります。

 

遺贈との違い

「遺言書で『〇〇に財産を譲る』と書くこと(遺贈)」と、「死因贈与」は何が違うのでしょうか。

最も違うのは契約行為の有無です。遺贈ならば、相手の合意は不要で、あげる側が一方的に書けば成立します。極端な話、もらう人がその事実を知らなくても遺言書は有効です。(実際に財産をもらうかどうかは受贈者の自由です。)

対して、死因贈与は贈与なので二人の合意が必要です。両者の約束がないと成立しません。

また、遺贈は遺言者の判断で、その内容をいつでも自由に撤回(変更)できますが、死因贈与はお互いの契約なので、一方的な都合だけで取り消せません。

 

死因贈与のメリットとデメリット

(1)メリット

 
死因贈与のメリットとして、「私の介護を最期までしてくれたら、自宅をあげる」というような約束事を盛り込めることです。

遺言書の場合、一方的に書き直すことができるため、介護をする側からすると「一生懸命介護をしたのに、知らない間に遺言書が書き換えられて、財産がもらえなかった」というリスクがあります。

しかし、死因贈与契約であれば、お互いの約束ですので、勝手に取り消すことはできません。介護をする側(もらう側)にとっても、「約束が守られる」という安心感があるため、献身的に尽くすことができるのです。

 

(2)デメリット

 
渡す財産の中に「土地」や「建物」がある場合は注意が必要です

不動産の名義を変更する際にかかる税金(登録免許税や不動産取得税)が、遺贈に比べて高くなる傾向があります

これは、登記や不動産取得に関する「地方税・流通税」では、死因贈与はあくまで「贈与(契約)」として扱われ、「相続」という特別扱いを受けられないからです。

登録免許税では登記の原因が「相続」の場合、税率は固定資産税評価額の0.4%(相続人以外への遺贈の場合は2%)ですが、登記の原因が「贈与」の場合、税率は固定資産税評価額の2.0%になります。

よって、死因贈与の受贈者が相続人だった場合、登録免許税の差が5倍になるのです。

 

まとめ

死因贈与は、「最後まで面倒を見てほしい」「確実にこの人に財産を渡したい」という強い想いがある場合に、有効な選択肢です。

「介護」と「財産承継」をセットで考えたい場合には、遺言書よりも適しているケースがあります。

「自分の場合は、遺言書がいいの?それとも死因贈与がいいの?」そう迷われた際は、ぜひ一度、相続の専門家にご相談ください。

 

 


 
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遺産の中に不動産が含まれるケースは非常に多いですが、現金と違って分割が難しく、名義変更が必要、控除制度の条件が複雑ということから、悩まれる方もたくさんいらっしゃいます。

そんな不動産ですが、中には「抵当権」がついている場合もあります。

抵当権とは住宅ローンなどで家や土地を担保にお金を借りる際に設定される権利で、返済が滞った場合、債権者がその不動産を競売にかけて残債を回収する仕組みです。

こう聞くと、「抵当権がついている家は、借金まみれなのか」「相続したら、その借金も払わないといけないのか」等々、心配になります。

今回は、抵当権付き不動産を相続する際のポイントや、相続税評価への影響について解説していきます。

 

抵当権とは

冒頭でも触れましたが、まずは抵当権について説明いたします。

家を買ったり、建てたりするとき、まとまったお金が必要なため、多くの方はローンという形で金融機関からお金を借ります。

金融機関側は「返済が滞った時」を考えて対策をしますが、その一つが抵当権です。万が一、約束通りにお金が返せないときは、担保である土地や建物を売りに出して、その売上金から優先的に貸したお金を回収させる約束を交わします。この権利が「抵当権」と呼びます。

金融機関側にとっての「保険」のようなものだとイメージしてください。

抵当権があっても、きちんと返済が続いていれば、該当の不動産には住み続けることができます。しかし、返済が滞れば、銀行は抵当権を実行し、その不動産を競売(強制売却)にかけることができてしまうのです

 

抵当権がついた不動産も相続の対象

相続において、抵当権がついた不動産であっても、問題なく相続できます。しかし、その不動産を相続すると抵当権も引き継がれます

相続では、現預金や不動産といった「もらえる財産(プラス)」だけでなく、借金などの「払わなければならない財産(マイナス)」もすべて引き継ぐのが原則です。

抵当権付きの不動産を相続するということは、セットになっている「借金の返済義務」も一緒に引き継ぐということです。

もし、相続人がその借金を返済できなくなれば、抵当権が行使され、不動産が売られます

 

誰の借金なのかを確認すること

多くの場合、不動産の持ち主である被相続人が自分の借金のために、自分の不動産に抵当権を設定しています。この場合は、相続人が借金をそのまま引き継ぎます。

しかし、稀に「他人の借金のために、自分の不動産を担保として提供している」ケースがあります。

この場合、相続人が借金を返済する義務はありません。ですが、不動産に抵当権がついている事実は変わりません。

もし、債務者が借金を返せなくなれば、相続した不動産を持っていかれてしまうリスクは残ります。「借金は相続しないが、担保のリスクは相続する」という、複雑な状態になります。

 

「借金があるから、相続税評価額は安くなる」の勘違い

抵当権がついている不動産は相続で、どう評価するのでしょうか。

実は抵当権がついているかどうかは、不動産評価額に一切影響しません。相続税を計算する際、土地や建物の価値(評価額)は、国が定めたルールに従って計算されますが、「借金があるかどうか」という要素は、その土地が持つ本来の価値に影響しないからです。

よって、従来通り、土地の評価方法は「路線価方式」か「倍率方式」のどちらか。

建物の評価は「固定資産税評価額」のままとなります。

 

「債務控除」で税金を減らす

不動産の評価額自体は下がりませんが、相続税全体の計算をする際には「債務控除」という仕組みが使えます。

これは、「相続したプラスの財産の総額」から「引き継いだマイナスの財産(借金)」を差し引いて計算するというルールです。

例えば、不動産の価値が5,000万円で残っている借金が2,000万円の場合、不動産の評価は5,000万円のままですが、そこから借金の2,000万円を引いた「3,000万円」に対して課税されることになります。結果として、借金がある分だけ相続税の負担は軽くなります。

「不動産評価が下がる」のではなく、「全体の財産から借金を引いてくれる」と覚えるとわかりやすいでしょう。

 

抵当権を消すには

抵当権を消すには、以下の2つのステップが必要です。

 

ステップ1:借金の完済

まずは残っているローンを全額返済します。被相続人の借金であれば、引き継いだ相続人が返済します。団体信用生命保険などに加入していた場合は、その保険金でローンが完済されるケースも多いので、確認してみましょう。

不動産が「他人の借金の担保」になっていた場合は、債務者が完済するのを待つか、あるいは不動産を守るために相続人が借金を肩代わりして返済し、後からその知人にお金を請求する方法もあります。

 

ステップ2:抵当権抹消登記の申請

完済すると、抵当権を消すための書類が金融機関から送られてきます。この書類を持って法務局に行き、「抵当権抹消登記」という手続きをして、登記簿から抵当権の記載が消えます。

この手続きは自動的には行われませんので、完済したら速やかに抹消登記を行いましょう

 

借金が多すぎる場合は「相続放棄」も選択肢に

財産調査の結果、「残っている借金の方がプラス資産より多い」ということがわかったら、相続放棄を検討しましょう。

放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がないので、借金の返済義務から逃れることができます。

ただし、相続放棄は被相続人が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。期限を過ぎると、自動的に借金を背負うことになってしまいます。

なお、手続き前に、故人の預金を使ったり、不動産の名義を変えたり、家を取り壊したりすると、「相続を認めた(単純承認)」とみなされ、相続放棄ができなくなります。

 

まとめ

抵当権付きの不動産相続は通常の不動産と同じく相続できますし、相続税評価自体も同じです。しかし、「借金」という要素があるので、相続税申告額や相続後の扱いは異なります。

また、相続するかどうかも慎重な判断が求められます。

しっかりと財産調査を行い、相続後の負担がどれほどのものになるのか見極めましょう。不安な場合は、遠慮せずに専門家にご相談ください。

 

 


 
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「遺産の相続」というと、配偶者や子供といった故人と近しい親族だけの話だと思われがちです。しかし、実は親族でない方にも遺産を渡すことはできるのです

法的な婚姻関係にないパートナーや、老後の世話をしてくれた友人、あるいは慈善団体など、血縁を超えた相手に財産を渡すこと。これを可能にするのが「遺言」であり、そこで指定された財産の受取人を「受遺者(じゅいしゃ)」と呼びます。

今回は、この「受遺者」の仕組みと知っておきたいリスクについて解説します。

 

実は誰でもなれる受遺者

通常、民法で定められた「法定相続人」にしか遺産を受け取る権利はありません。どれだけ故人と親密であっても法定相続人になれるのは血族のみだからです。

しかし、故人が生前に遺言書を作成し、「〇〇に財産を遺贈(いぞう)する」と書き残すことで、血族でなくとも「遺産をもらえる権利」が発生します。

受遺者になるための資格制限はありません。友人や知人はもちろん、子供の配偶者、内縁の妻・夫、さらには法人(会社やNPO団体など)であっても受遺者として指定することが可能です。

 

受遺者として指定されても遺産をもらえない場合がある

受遺者であっても、「相続欠格事由」に該当してしまうと、その権利を失います。具体的には相続における秩序を乱すような行為で、以下のようなものになります。

 

受遺者には「2つのタイプ」がある

(1)特定受遺者:「指定された財産だけ」をもらう人

 
「〇〇銀行の預金をAに遺贈する」「自宅の土地建物をBに遺贈する」といったように、具体的な財産を指定して受け取る人を指します。

特定受遺者の最大の利点(受遺者本人にとって)は「リスクが低い」ことです。あくまで指定されたプラスの財産を受け取るだけなので、故人に借金があったとしても、原則として返済義務を負うことはありません。

また、他の相続人と話し合う「遺産分割協議」に参加する必要がないため、精神的な負担も軽く済みます。「財産はいらない」と思った場合の手続きも簡単で、相続人等にその旨を伝えるだけで完了します。これはいつでも可能で、期限もありません。

 

(2)包括受遺者:指定された割合を受け取る人

 
「遺産の3分の1をDに遺贈する」といったように、財産の具体的な中身ではなく「割合」で指定された人を指します。

民法上、包括受遺者は「相続人と同一の権利義務を有する」と定義されています。これは非常に重い意味を持ちます。

まず、プラスの財産だけでなく、借金や未払金などの「マイナスの財産」も指定された割合に応じて引き継がなければなりません。さらに、具体的にどの財産をもらうかが決まっていないため、親族である法定相続人たちの中に混ざり、「遺産分割協議」に参加して合意を得る必要があります。全くの部外者が親族会議に参加するため、感情的な対立を生むケースも少なくありません。

また、受遺者としての権利を放棄する場合、相続人と同じ厳格なルールが適用され、自己のために相続があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをする必要があります。これを過ぎると、「借金を含めて財産を引き継ぐことにした」とみなされます。

 

「相続人」と「受遺者」の決定的な違い

遺産を受け取る立場であっても、相続人と受遺者では法的な違いがあります。
 

(1)代襲相続がない

 
代襲相続とは法定相続人(例えば子供)が親より先に亡くなっていた場合、その権利は孫へと引き継がれる制度です。受遺者にはこの制度が適用されません。

もし、遺言で指名されていた受遺者が、遺言者よりも先に亡くなってしまった場合、その遺言部分は無効となり、受遺者の子供が権利を引き継ぐこともありません。

受遺者の子供に権利を継がせたい場合は、遺言者が遺言書に「もしAが先に死亡していた場合は、Aの妻Bに遺贈する」といった予備的な指定をしておく必要があります。

 

(2)受遺者には「2割加算」ルールがある

 
財産を受け取れば当然「相続税」を払う可能性がありますが、受遺者が被相続人の「配偶者」や「一親等の血族(子供・親)」以外である場合、相続税額が2割増しになります。

兄弟姉妹が相続する場合や、孫(養子縁組なし)が遺贈を受ける場合、そして全くの他人が受遺者となる場合は、この「2割加算」の対象です。通常の相続よりもキャッシュアウトが多くなるため、納税資金の確保には注意が必要です。

 

(3)遺留分侵害のリスク

 
兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限の遺産取り分が保障される「遺留分」があります。もし、「愛人に全財産を遺贈する」といった極端な遺言がなされた場合、残された家族は受遺者に対して「遺留分侵害額請求」をすることができます。

これにより、受遺者は後から金銭での支払いを求められる可能性があります。

 

まとめ

遺言を活用した「受遺者」への遺贈は、家族の形にとらわれない財産承継の手段です。恩人への感謝を形にしたり、事実婚のパートナーの生活を守るために有効です。

ただし、「包括受遺者」として指定された場合は、借金の承継や遺産分割協議への参加といった負担も生じるので注意です。また、相続税の2割加算や遺留分トラブルといった金銭的なリスクも潜んでいます。

「もらえるからラッキー」と安易に考えるのではなく、財産の内容と自身の立場(特定か包括か)を正しく理解し、相続税対策も含めて専門家の助言を仰ぐことが、円満な承継への鍵となります。

 

 


 
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いざ相続が発生したとき、「誰が相続人になるのか」を知っていますか?

「長男がすべて遺産を継ぐのが当たり前」「介護など、面倒を見た妻が多くもらえるはず」といった慣習や事情は通用しません。民法では、誰が権利を持つのかが明確にルール化されているからです。

誰が相続人になるのか、その規定と範囲は非常に重要ですので、しっかりと押さえておくべきです

 

そもそも「相続人」とは誰のことか

相続の話をするとき、必ず出てくる言葉があります。「被相続人」と「相続人」です。

被相続人(ひそうぞくにん)とは亡くなられた方のことです。財産を「遺す側」の人です。
対して、相続人(そうぞくにん)とは財産を「受け継ぐ側」の人です。

民法では、人が亡くなった瞬間、その方の財産(プラスの財産も、借金などのマイナスの財産も)を引き継ぐ方が自動的に決まります。これを「法定相続人」と呼びます。

遺言書がない場合、この法定相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰がどの遺産をどれだけ貰うかを決めることになります。逆に言えば、法定相続人以外は、話し合いに参加する資格すらありません。(相続権を持ちません。)

なお、似た言葉に「推定相続人」があります。これは「相続が起きた際に相続人になる予定の人」を指します。まだ被相続人が存命の場合に使います。

相続時にはその人が亡くなっている可能性や、何らかの行為が原因で相続権を失う場合もあるため、あくまで「推定」という言葉が使われます。

 

配偶者は常に相続人

誰が相続人になるかを考える際、真っ先に見るべきは「配偶者(夫・妻)」の有無です。配偶者は、必ず法定相続人になります。

子供がいようが、被相続人の両親が存命であろうが、配偶者の相続権が消えることはありません。ただし、ここで言う配偶者とは、役所に婚姻届を出している「法律上の夫・妻」に限られます。

配偶者以外の親族(血族)には順位があり、配偶者と組み合わせて「誰が・どれだけ」もらえるかが決まります。

 

相続人の「順位」と「法定相続分」

配偶者以外の親族は、以下の順位に従って相続人になります。上の順位の人が一人でもいれば、下の順位の人には権利が回りません。
 

【第1順位】子供(直系卑属)

子供がいれば、子供が最優先です。
組み合わせ:配偶者+子供
法定相続分(取り分の目安): 配偶者1/2、子供1/2 (子供が複数いる場合は、1/2を人数分で割ります)
<代襲相続>もし、相続発生時に子供がすでに亡くなっていた場合はどうなるでしょうか?その場合、その子供(被相続人から見た「孫」)が代わりに相続権を引き継ぎます。これを代襲相続と言います。
 

【第2順位】親(直系尊属)

第1順位である子供や孫が誰もいない場合に限り、親に権利が回ってきます。
組み合わせ:配偶者+親
法定相続分(取り分の目安):配偶者2/3、親1/3
両親ともに亡くなっている場合、祖父母が健在であれば祖父母が相続人となります。
 

【第3順位】兄弟姉妹

子供(孫)もおらず、親(祖父母)もすでに他界している場合、ここで初めて兄弟姉妹が登場します。
組み合わせ:配偶者+兄弟姉妹
法定相続分(取り分の目安):配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
<兄弟姉妹の代襲相続>兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子供である「甥(おい)・姪(めい)」が代襲して相続人になります。ただし、兄弟姉妹の場合は「一代限り」というルールがあり、甥や姪も亡くなっている場合、その子供までは権利が引き継がれません。

 

間違いやすい4つのケース

(1)離婚した「元配偶者」と、その「子供」

 
離婚届が受理された時点で、他人となりますから、元妻・元夫には一切の相続権はありません。親同士が離婚しても「親子の血縁」は切れません。そのため、前妻・前夫との間の子供は、第1順位の法定相続人として権利を持ち続けます。

再婚した今の家族からすれば「会ったこともない人」かもしれませんが、法的には今の子供と全く同等の権利を持っています。ここを無視して遺産分けをすることは不可能です。

 

(2)事実婚・内縁関係のパートナー

 
長年連れ添い、周囲から夫婦として認められていても、婚姻届を出していなければ「配偶者」とは認められません。このようなパートナーに財産を残したい場合は、「遺言書」を書くしか方法がありません。

何の対策もしなければ、財産はすべて故人の親族に渡ってしまいます。

 

(3)養子縁組をした子供

 
養子縁組をすると、法律上は実子と同じ扱いになります。しかし、「節税のために養子を増やす」ことを防ぐため、相続税の基礎控除(非課税枠)の計算に入れられる養子の人数には制限があります。

実子がいる場合:養子は1人までカウント
実子がいない場合:養子は2人までカウント

 

(4)お腹の中にいる赤ちゃん(胎児)

 
民法では「胎児はすでに生まれたものとみなす」という規定があります。つまり、無事に生まれてくれば、その赤ちゃんは相続人となります。遺産分割協議は、赤ちゃんが無事に生まれるのを待ってから行う必要があります。

 

「戸籍収集」の重要性

相続手続きを行う際には、「相続人の確定」を客観的に証明しなければなりません。相続人は自己申告ではなく、戸籍を使って証明します。

もし、遺産分割協議が終わった後に「実は認知された子供がいた」と判明したらどうなるでしょうか?原則として協議はやり直しとなり、泥沼のトラブルに発展しかねません。

そうならないためにも、戸籍による「相続人の確定」は重要事項です。

一つ一つの戸籍をパズルのように繋ぎ合わせ、「隠れた相続人」がいないことを証明して初めて、手続きが進められるのです。

 

まとめ

相続人の範囲は、民法によって厳格に決められています。

「誰が相続人か」を特定することは、相続手続きのスタート地点であり、最も重要な土台です。ご自身の家族構成で誰が相続人になるのか、どれくらいの取り分(法定相続分)があるのかをしっかりと把握しておきましょう。

相続手続きに少しでも不安がある場合は、早めに税理士や司法書士などの専門家へ相談することをお勧めします。正しい知識で、大切な財産と家族の絆を守りましょう。

 

 


 
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相続では被相続人の夫もしくは妻である配偶者が、最も優遇される存在です

他の親族は被相続人との関係性から法定相続人になれる順番が決まっています。しかし、配偶者は被相続人に最も近い関係者として、必ず法定相続人になれます。

加えて、配偶者には相続税を大幅に減らす控除制度もあるため、ほぼ無税で相続財産を取得することができます。

ただし、安易に「今回の相続税がゼロになるから」という理由だけで、配偶者がすべての財産を相続してしまうと、結果としてご家族全体で大きな損をしてしまうかもしれません

相続税対策では「次の相続」を考えることも大切だからです。

 

相続における配偶者の手厚い優遇措置

日本の民法や相続税法では、故人(被相続人)の財産形成に貢献し、また、残された生活を保障するという観点から、配偶者は非常に手厚く保護されています。
 

(1)常に「相続人」になる権利

 
まず、配偶者は常に法定相続人となります。子供(第一順位)やご両親(第二順位)、兄弟姉妹(第三順位)がいるかどうかに関わらず、配偶者様は必ず遺産を受け取る権利を持っています。(他の家族は順位に従って法定相続人になります。)

また、法律で定められた相続分の目安である「法定相続分」においても、配偶者は優遇されています。

相続人が配偶者と子の場合:配偶者1/2、子1/2
相続人が配偶者と親の場合:配偶者2/3、親1/3
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

このように、他の相続人と比べても多くの割合が認められています。

 

(2)控除額が大きい「配偶者の税額軽減」制度

 
相続税の計算において、配偶者には非常に強力な優遇措置があります。それが「配偶者の税額軽減」という制度です。

これは、配偶者が相続した財産のうち、「1億6千万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のうち、どちらか多い金額までは、相続税がかからないというものです。

例えば、遺産総額が5億円あっても、配偶者が法定相続分である2億5千万円(1/2)を相続すれば、その2億5千万円全額に対して相続税はかかりません。遺産総額が1億6千万円以下であれば、すべての財産を配偶者が相続しても相続税はゼロになります。

この制度があるため、「配偶者が相続する限り、相続税の心配はほとんどない」と言われることも多いのです。

 

(3)配偶者居住権(2020年施行)

 
自宅の権利を「所有権」と「居住権(住む権利)」に分けて考えることで、配偶者が自宅に住み続けながら、他の財産(預貯金など)も相続しやすくする「配偶者居住権」という制度です。

これも配偶者の生活を守るための優遇措置の一つです。

 

「配偶者の税額軽減」の落とし穴

手厚い優遇措置があるため、「今回の相続(一次相続)では、ひとまず配偶者がすべての財産を相続して、相続税をゼロにするのが一番良いのでは?」と考えるのは自然なことです。

確かに、残された配偶者様の当面の生活を考えれば、できるだけ多くの財産を確保したいというお気持ちはよくわかります。

しかし、ここには大きな「落とし穴」が潜んでいます。それは、「二次相続」の問題です。

「二次相続」とは、その次に起こる相続(例えば、その後お母様が亡くなったケース)を指します。もし、一次相続で「配偶者の税額軽減」を最大限に使い、子供には財産をほとんど相続させなかった場合、どのようなことが起こるでしょうか。

二次相続では、以下の理由により、相続税の負担が非常に重くなる可能性が高いのです。
 

(1)相続人が減り、基礎控除が減る

 
相続税の基礎控除(「これまでは税金がかからない」というライン)は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

一次相続(父死亡時)の相続人は、母・子A・子Bの「3人」だったとします。基礎控除は3,000万+(600万×3人)=4,800万円です。
二次相続(母死亡時)の相続人は、子A・子Bの「2人」になります。基礎控除は3,000万+(600万×2人)=4,200万円となり、基礎控除の枠が減ってしまいます。

 

(2)「配偶者の税額軽減」が使えない

 
二次相続では、当然ながら「配偶者」は存在しません(相続人はお子様だけです)。したがって、一次相続であれほど強力だった「配偶者の税額軽減」(1億6千万円まで非課税)という最大の優遇措置が、一切使えません。

 

(3)相続財産が集中し、税率が上がる

 
一次相続で財産が分散されず、お母様に集中した結果、二次相続の対象となる財産額が非常に大きくなります。相続税は、財産額が多ければ多いほど税率が上がる「累進課税」を採用しています(最高税率55%)。

財産が集中した結果、非常に高い税率が適用され、一次相続で「ゼロ」だった反動が、すべて二次相続でお子様たちにのしかかってくるのです。

 

まとめ

ご家族の状況は様々です。「残された配偶者の年齢」「配偶者固有の財産状況」「お子様たちの生活状況」など、多くの要因を考慮する必要があります。二次相続までに財産が大きく変動する可能性もあります。

ただ、安易に「今回の相続税がゼロになるから」という理由だけで、配偶者がすべての財産を相続してしまうと、結果としてご家族全体で大きな損をしてしまうかもしれません。

相続税は、どの財産を誰がどれだけ相続するかによって、将来の税額が大きく変わるものです。どうやれば、節税できるのかはご自身で判断せずに、相続に強い税理士に相談してください。

大切なのは、目先の一次相続だけでなく、その先の二次相続まで見据えた「遺産分割」を行うことです。専門家のシミュレーションを受けながら、ご家族にとって最も良い形での相続を実現しましょう。

 

 


 
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