相続では親が住んでいた家を相続するケースがあります。

遺族の誰かがその家に住まない場合は「空き家」となってしまいます。空き家のまま放置してしまうと、固定資産税もかかりますし、他にも様々な問題が発生します

特に老朽化した家は、倒壊の危険性や、周囲環境への悪影響も大きいため、放置することは避けなければなりません

実際、日本の国内には利用されていない空き家が多くあり、社会問題にもなっています。

こういった状況から、国は相続や遺贈によって取得した空き家を売却する際に、一定条件を満たせば「譲渡所得から最大3,000万円を控除できる」特例制度を設けています。

相続で取得した空き家を持て余している方、売却を検討している方にとっては、ぜひ活用したい制度です。

 

空き家を放置することで起きる問題

空き家は管理が不十分であることが多く、建物やその周辺の環境の劣化が進みやすいと言えます。よって、以下のようなリスクを持っています。

上記のようなリスクを避けるため、空き家の活用・処分については早めに検討しなければなりません。選択肢としては以下のようなものがあります。

この中で、売却を考える場合、「空き家特例」を利用することで、大幅な節税も可能となります

 

空き家特例とは?最大3,000万円が控除される制度

空き家特例は、相続や遺贈で取得した被相続人が住んでいた空き家やその土地を一定期間内に売却すれば、譲渡所得額から最大3,000万円を控除できる制度です。

制度を利用する場合、空き家の要件、売却時の状況要件を満たさなければなりません。

譲渡所得は次の計算式で求められます。
譲渡取得=譲渡価格(収入金額)−必要経費(取得費+譲渡費用)−特別控除額

もし、不動産の取得費が不明な場合、譲渡価額の5%を概算取得費としても問題ありません。

 

空き家特例の要件

(1)家屋の要件

この特例はその名前の通り「空き家となった相続不動産」の処理を促すための制度です。よって、適用可能な家屋は、故人が一人で暮らしていた住宅だけとなります。

 

(2)譲渡する際の要件

特例対象となる家屋は売却金額が1億円を超えないものだけです。売却が複数回の場合や複数の相続人で売る場合、各売却金額の合算で判定します。

 

その他のポイント

(1)被相続人が老人ホームに入所していた場合

被相続人が老人ホームに入所していた場合も条件付きで制度利用ができます。

 

(2)リフォームの必要はあるのか

特例対象となる不動産は1981(昭和56)年5月31日以前に建てられたものです。

これは旧耐震基準で建築されたものであり、現在の基準を満たしません。

以前の制度ではそのまま売却しても特例適用にならず、売主側が耐震補強もしくは更地にして売却する必要がありました。

ですが、令和6年の改正で、「売却時点で耐震リフォームや解体が済んでいなくても、譲渡後の翌年2月15日までに買主側が処置を完了すればOK」というルールになりました。

この変更は解体費用を出せない相続人にとって、空き家を売却しやすくなったと言えます。

 

(3)制度利用の期限日

空き家特例は元々、令和5年12月31日で終了でしたが、4年間延長することになりました。

よって、令和9年12月31日まで適用が出来るようになっています。

 

(4)3人以上の相続人が譲渡する場合は控除額が減額

複数相続人が譲渡をしても、各々で特例の適用が可能です。

しかし、3人以上の相続人で譲渡する場合、各々2,000万円までが控除の上限となります。

 

確定申告の際の注意点

この特例を使って不動産を売却した場合、確定申告時にはさまざまな書類の提出が必要です。たとえば、被相続人が一人で住んでいたことを証明する書類や、耐震改修の証明書、建物の登記事項証明書などです。

申告ミスや書類の不備があると、特例が適用されないこともあるため、不安がある場合は税理士に相談して申告を依頼することをお勧めします。

 

まとめ

空き家をそのままにしておくと様々な問題を抱えることとなります。早めに対処することも大事ですが、適切な制度を活用して、大切な相続財産を無駄なく活かしましょう。

 

 


 
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相続税には、一定の条件を満たすことで大きな節税が可能となる「小規模宅地等の特例」という制度があります。この制度を利用すれば、相続する土地の評価額を最大80%まで減額することができ、非常に大きな節税効果を得ることが可能です。

たとえば、評価額が1億円である土地でも、この特例を適用すれば評価額は2,000万円まで圧縮されるので、相続税の負担が大幅に軽減されます。ただし、減額幅が大きい反面、同制度を利用するための要件は細かく定められています。誰でもが安易に使えるわけではないのです。

小規模宅地等の特例が創られた目的は、故人(被相続人)の自宅や営んでいた事業に関する土地に高額な相続税が課されることで、生活を共にしていた相続人が住まいを失ったり、事業を継続できなくなるような事態を避けるためです。

遺族の生活を守る観点から設けられた制度ですから、対象となる土地の利用状況や相続人の関係性・居住状況などによって適用可否が判断されるのです。

なお、この特例の対象となるのはあくまで「土地」のみであり、建物部分には適用されない点には注意が必要です。

 

小規模宅地等の特例は故人が老人ホームに入所していても適用可能

小規模宅地等の特例では「特定居住用宅地(居住用に使っていた宅地)」で申請する場合、前提条件として「故人もしくは生計を一にする親族が住んでいた土地」でなければなりません。

しかし、故人が老人ホームで最期を迎えられる場合があります。近年では多いケースですが、このような場合も特例が適用できるかどうか気になりますよね。

実は故人が老人ホームに入所されていても、一定要件を満たせば小規模宅地等の特例が使えるのです

まずは故人の条件についてです。

老人ホームへ入所していたのであれば、本人が要介護・要支援認定を受けていなければなりません。健康な状態で入居していても、特例の適用は受けられないのです。

入所する老人ホームも「老人福祉法や介護保険法に規定される施設」でなければなりません。無許可営業の老人ホームですと適用外となってしまいます。

そして、老人ホーム入所後に、空き家になった自宅を事業地や賃貸用として利用していないことが条件となります。これは、土地を事業用や貸付用にしてしまうと、特定居住用宅地として認められなくなるからです。特例の適用は可能ですが、減額率や適用範囲が変わってくるので注意しましょう。

 

小規模宅地等の特例が使える具体的なケース例

故人の適用条件が該当したら、次は実際の適用例を見てみましょう。

制度が適用されるかどうかは、被相続人や相続人の居住状況・関係性によって異なります。以下に代表的な4つのケースをご紹介します。

ケース①:配偶者が自宅に住み続けている場合
夫が老人ホームに入所し、妻が引き続き自宅に住み続けていたケースです。

→配偶者が土地を相続する場合、特例は無条件で適用可能です。しかも、配偶者には「相続後も引き続き住み続ける」という条件はありません。つまり、生前中に一緒に住んでいなくてもOKですし、相続後に自宅をすぐに売却しても問題ありません。

ケース②:同居していた子供が相続する場合
父が老人ホームに入所し、子供がそのまま自宅に住み続けていたケースです。

→子供が自宅を引き継ぎ、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月)まで居住を継続していれば適用可能です。

ケース③:夫婦ともに施設に入所していたが、自宅は空き家
夫婦そろって施設に入所し、自宅が空き家となっていた場合でも、配偶者が相続すれば特例の対象になります。

ケース④:別居していた子供=「家なき子」が相続する場合
親が施設に入り、自宅が空き家となった。別居していた子供がその空き家を相続するケースです。

→相続人が「家なき子特例」に該当すれば、特例の適用が可能です。

 
「家なき子特例」とは?
以下の条件を満たす相続人が対象です。

 

自宅を賃貸物件にしていた場合、減額率が変化

故人が老人ホームに入所した後、自宅を第三者に貸していた場合、特定居住用宅地等ではなく、貸付事業用宅地として、小規模宅地等の特例を使うことができます。
ただし、貸付事業用宅地等だと、土地200㎡まで評価額が50%減額となります。また、貸す期間は3年以上となります。

 

入所していた場合の添付書類

故人が老人ホームに入所していたら、特例適用のために、小規模宅地等の特例適用の添付書類に加えて、以下の書類も添付して提出します。

 

まとめ

小規模宅地等の特例は故人が老人ホームに入所していても適用されます。

ただし適用される条件として、要介護認定または要支援認定を受けていたこと、認可された老人ホーム(福祉施設等)に入所していたことに加えて、相続人の要件も満たす必要があります。

要件についてもっと知りたい方は、専門の税理士に相談してください。

 

 


 
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故人の財産には、土地が含まれる場合が多いです。件数としては「自宅が建てられている土地」が最も多いですが、中には「賃貸用のアパートの土地」や、「事業用の土地」の場合もあります。

土地は、車や貴金属と比較すると高額になりやすいので、相続税が生じる可能性も高くなります。そのため、覚えておきたい制度が「小規模宅地等の特例」です。

同制度は、相続する土地の評価額を80%もおさえることができます

 

小規模宅地等の特例の概要

相続が発生すると、遺産の総額次第で相続税が生じる場合があります。特に不動産、なかでも土地は高額になりやすいので、相続税額も大きくなりがちです。

そんな中、相続税の軽減に大きな効果を発揮するのが「小規模宅地等の特例」です。

この特例は、一定の条件を満たすことで、「相続税の対象となる土地の評価額を最大80%まで減額できる」制度です。評価額が下がるということは、支払うべき相続税そのものも大きく減るということになり、節税となります。

ケースバイケースですが、土地を相続すると、数百万円〜数千万円という高額な税金が発生することがあります。もし、相続人自身の財産が少なく、かつ故人の遺産に現金・預貯金がなければ、相続税を払うためにその土地を手放さなければならなくなる場合もありえます。

故人の自宅に一緒に住んでいた配偶者や子供がいる場合は、住む場所がなくなる可能性もあります。そういったことを防ぐために、被相続人が所有していた一部の土地については、一定条件を満たす限り、相続税評価額の大幅な減額が認められているのです。

ただし、この制度を適用するには土地の種類や使用状況、相続人の関係性や居住実態など、さまざまな細かい要件をクリアしなければなりません

 

適用される土地の要件

(1)対象の土地

 
小規模宅地等の特例で対象となる土地は、主に以下の3種類に分けられます。

このうち、遺産の中に最も多いのが「特定居住用宅地」です。事業用地や賃貸用の土地を持っている方は少ないですが、自宅の建っている土地を持つ方は多いからです。

なお、別荘やセカンドハウスのような一時的に使用されていた土地は、小規模宅地等の特例の対象にはなりません。

また、対象の土地であっても相続が始まってから相続税の申告期限(10カ月)までの間にその土地を売却してしまうと、適用不可となります。特例を活用するのであれば、その期間中に引き続き該当地を利用する必要があるということです。

 

(2)面積と評価額の減額率

 
前述した対象となる土地の面積には、それぞれ上限が定められています。

面積が上限を超えれば、上限面積分だけ評価額が減になります。

例えば、500㎡の居住用宅地が1億円で評価されていた場合、減額の対象となるのは上限の330㎡までです。

1億円-1億円÷500㎡×330㎡×0.8=4,720万円
と、評価額は約4,720万円まで下がることになります。全体として80%減とはなりませんが、それでもかなりの減額になります。

日本の一般的な戸建て住宅は、土地の広さが130㎡前後のケースが多く、一般家庭であれば、この上限に収まることがほとんどです。

貸付用の土地は減額率が低くお得感がないように見えますが、そもそも賃貸物件は相続時の評価計算方法自体に控除があるので、バランスが取れているとも言えます。

 

取得者の要件(特定居住用宅地の場合)

特定居住用宅地の場合、取得者(その土地を引き継ぐ相続人・受遺者)に以下の要件があります。

 

(1)配偶者

 
被相続人の配偶者が土地を取得する場合、特別な条件はなく、無条件で特例の適用を受けることができます。

生前に別居していた場合でも問題ありません。さらに、相続後にすぐ売却しても特例の適用が外れることはありません。

 

(2)同居親族

 
被相続人と一緒に住んでいた親族が相続する場合は、相続税の申告期限まで引き続きその土地に住み続ける必要があります。

この場合の同居の定義は、単なる住民票の一致ではなく、実際の生活拠点が同じであったかどうかが判断されます。

極端な例ですが、亡くなる直前の数日間だけ同居していたとしても、「その実態が確認できれば」特例の対象になります。ただし、相続後の10カ月間はそのまま住み続けなければなりません。

亡くなる前の居住期間は決まっていないものの、相続開始後の10ヶ月間はそこに住み続けなければいけないという点には注意です。

 

(3)その他の親族(家なき子特例)

 
被相続人と同居していなかった親族でも、特例を受けられる場合があります。いわゆる「家なき子特例」と呼ばれるもので、次のような条件をすべて満たす必要があります。

同居している他の相続人がいないという要件から、配偶者のいない故人が、一人で自宅に住んでいたような場合が該当します。

こちらの場合でも、相続開始後の10ヶ月間は該当の家に住み続けなければなりません。

 

小規模宅地等の特例では申告義務がある

特例を使う場合、たとえ相続税が発生しないケースでも、税務署に申告を行う必要があります。

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、これ以下であれば通常は申告不要ですが、小規模宅地等の特例を受けたい場合は、控除の有無にかかわらず必ず申告が必要になります。

手続きが漏れてしまうと、特例の適用が認められず、結果として高額な追徴課税を受ける可能性もあるため、注意が必要です。

 

まとめ

小規模宅地等の特例は、非常に効果的な相続税対策ですが、適用にはさまざまな条件があります。

土地の利用目的や取得者の属性など、細かい部分まで把握していないと正しく活用できません。

適切に利用すれば数百万円単位の節税も可能になるため、土地の相続が関わる場合は、できるだけ早いうちから、専門の税理士に相談することをおすすめします。

 

 


 
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相続では、現金や不動産だけでなく、著作権やゴルフ会員権などの「権利」も財産として扱われ、相続税の対象となります。その権利には「電話加入権」もあります。

現在ではスマホの普及で固定電話も少なくなり、故人の財産の中に電話加入権が含まれるケースは稀ですが、電話加入権がある場合は、承継・中止の手続きと、申告のための相続税評価をしなければなりません。

相続税評価について、電話加入権は一般動産に含まれるので、原則的には個別評価となります。

ただし、現在では家庭用財産にまとめて一括で評価することとなっています

 

電話加入権とは

電話加入権は、NTT(NTT東日本またはNTT西日本)のアナログ回線と契約する権利です。契約により回線が引きこまれれば、他の利用者と通話できる仕組みになっています。

なお、施設設置負担金というものがありますが、これは電話加入権と同じ意味を持ちます。施設負担金とは、加入者回線の建設費用の一部を前払い的に負担する仕組みです。負担金となっているものの、利用者の間での売買取引ができるため、「権利」ともされているのです。

戦後復興時より電話回線の普及が進んだため、電話加入権の所有者は日本全国にいます。

 

電話加入権は相続財産

電話加入権は相続財産となります。ただし、相続財産となるのは、その回線を引き続き使用する場合です

引き継ぐ場合は相続財産として、相続税の課税対象になります。評価方法について、以前では以下の方法で価額を算出していました。

 
しかしながら、現在ではこれらの評価方法は廃止されています。なぜなら、近年では、電話加入権の取引相場が存在せず、国税庁の定める標準価格も10年以上、1500円(全国一律価格)から変わっていないからです。

要するに電話加入権をわざわざ個別評価する必要はないというわけです

そのため、電話加入権は、基本的に1500円とし、他の家庭用財産に含めて一括評価します
 

★参考:国税庁HP

 
なお、加入権の取引が盛んだった頃は、「100番のような呼称しやすい番号」、「4989番などの嫌がる人が多い番号」などが「特殊番号」とされており、売買実例や精通者意見価格等を参考に評価していましたが、これも現在では廃止されています。

 

相続開始後の手続き

故人の自宅に電話がある場合、NTTに問い合わせるか、請求書を確認しましょう。加入権の有無が明確になったら、その権利を引き継ぐか、解約するかを選択します。
 

(1)承継の場合

 
法定相続人が電話加入権を引き継ぐ場合(同じ回線を引き続き使う場合)、NTTへ名義変更の手続きをします。

申請書に加え、相続人の本人確認書類、故人の死亡診断書、戸籍謄本などが必要ですが、手数料は発生しません。

詳しい手続きは、NTT東日本の公式サイト等で確認ください。

★参考:NTT東日本 名義変更のお手続きについて

 

(2)解約の場合

 
電話回線の利用が不要であれば、手続きにより権利を抹消します。

解約手続きでも本人確認書類や死亡診断書などが必要となりますが、解約後は回線使用料や工事費の負担はなくなります。

 

(3)一時利用停止の場合

 
電話加入権の権利を保有したい場合、利用停止という選択もあります。

この方法では、権利は持ったまま最大10年間の利用停止が認められます。5年ごとに更新が必要ですが、利用停止中は使用料が発生しません。

 

相続税申告書への記載方法

電話加入権を相続するのであれば、少額であっても申告します。ただし、前述したように近年における標準価格は全国で1500円ですから、ほかの家庭用財産と一緒に、まとめて費用を計上することが一般的です。

なお、電話加入権自体は安いですが、他の家財を含めて考えるのであれば、評価額は10~50万円程度になります。前回のコラムでも説明しましたが、家財一式として一括で計上する場合、その金額は点数や内容によって変えるべきです。

 

まとめ

電話加入権は、相続財産の中でも少額であり、引き継ぎや抹消の手続きも決して難しくありません。ただし、相続財産である以上、手続きは忘れないようにしましょう。

 

 


 
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人が亡くなれば、その方が所有していた預金、有価証券、不動産、車などの資産は相続財産として、配偶者や子供に相続されます。

上記以外についても同様で、例えば、家具や家電製品、衣服等々、これらのものも相続財産に含まれます。

相続財産である以上、その合計額によって相続税が発生する場合があります。よって、原則的には相続税計算のために遺産を一つずつ評価しなくてはなりません。

ただし、衣服や家電製品までも個別評価すると、とても手間がかかります。品数が多い場合は相続税の申告が間に合わなくなってしまうでしょう。

このような点から、相続では、衣服など一般的に経済的価値が低いとされるものについては、一式でまとめて良いことになっています

 

故人の衣服は家庭用財産に含まれる

相続財産には以下のものが含まれます。

この中で衣服は動産に該当します。そのため、基本的には相続財産となります。

そして、家にある一般動産の総称は家庭用財産と言います。
家庭用財産は衣服の他に家具、家電、楽器、貴金属、自動車、骨董品などが含まれます。
 

 

家庭用財産は相続税の課税対象

家庭用財産も相続税の課税対象です。そのため、一品ごとに評価をしなければなりません。

評価方法は以下の二つです。

ただし、上記の評価をするかどうかは、一般的に経済的価値が低いかどうかで分けます。価値の低いものは「家財道具一式」としてまとめて評価をします。

価値のボーダーは「5万円」です。これは国税庁のHPにも記述があります。

「一般動産の価額は原則として、1個又は1組ごとに評価する。ただし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個又は1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価することができる。」

★参考:国税庁HP

 

故人の衣服はどれも5万円以下の評価になることが多いので、「家財道具一式」としてまとめて評価をしても良いのです。ただし、少額だから計上しなくていいという訳ではないので注意しましょう。

 

ブランド品や着物に注意

一般的な衣服は5万円以下の評価となることが多いですが、ブランド品や高級着物は換金価値が高いため、5万円以上の評価になる場合があります。

この場合、専門業者に査定を依頼し、適正価格で評価しましょう。

 

一括計上はいくらぐらいにすべきか

前述した通り、故人の衣服は5万円をボーダーとして一括評価して良いことになっています。

では、いくらとするべきか。

家財道具一式で考えると、衣服の他にも、家具や家電が含まれます。それを考慮すると、評価額は10~50万円が妥当となります。金額は点数や内容によって変えましょう。

故人が1人暮らしで、所有物も多くない場合は10万円とし、高級家具を多く揃えていた場合であれば30万円〜50万円と多めに申告しましょう。

多くする理由は、税務署からの指摘を回避するためです。申告で本来よりも少ない金額で計上してしまうと、後に加算税を取られる恐れがあるからです。

国税局も家庭用財産の計上漏れに関して、軽視していないので注意が必要です

 

まとめ

家庭用財産は少額で価値の低いものがほとんどであり、不動産等ほど評価が複雑ではありませんが、適切な金額を設定することが重要です。判断が難しい場合は、税理士に相談することをおすすめします。

 

 


 
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相続手続きは、被相続人の財産を引き継ぐために必要なものであり、多くの場合、金融機関での名義変更や不動産登記など様々な手続きが発生します。

その際、相続人は戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類を何度も提出する必要があり、手続きの煩雑さが問題となることがあります。

こうした相続手続きの負担軽減のために、2017年より「法定相続情報証明制度」が導入されました。同制度の概要や手続きの流れ、メリット・デメリットについて解説します。

 

法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、被相続人と法定相続人の関係を示す「法定相続情報一覧図」を法務局に提出し、認証してもらう制度です。一覧図の写しを取得すれば、金融機関や登記手続きなどで戸籍謄本の代わりに利用できます。

従来の相続手続きでは、各機関ごとに戸籍謄本を提出する必要がありましたが、本制度を利用することで、戸籍謄本の提出が不要となり、手続きが簡略化されます。

 

手続きの流れ

(1)必要書類の準備

 
以下の書類を準備し、管轄の法務局に提出します。

被相続人と、戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図「=法定相続情報一覧図」は相続人側で作成します。

書き方は法務局のWebページ「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」を参考にします。

★参考記事:法務局ページ 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例

 

(2)法務局への申請

 
必要書類を管轄の法務局に提出します。申請は無料で行うことができ、郵送での申請も可能です。

 

(3)法定相続情報一覧図の認証

 
法務局が提出された書類を審査し、問題がなければ「法定相続情報一覧図」に認証を付与します。

認証された一覧図の写しは複数枚取得することができ、各手続きに使用することができます。

 

法定相続情報証明制度のメリット

(1)相続手続きの簡素化

 
これまでの相続手続きでは、銀行や法務局、不動産会社などに個別に戸籍謄本を提出しなければなりませんでした。

本制度を利用すれば、法定相続情報一覧図の写しを各機関に提出するだけで済むため、手続きを大幅に簡素化できます

戸籍の束をわざわざ持参する必要がなくなるのです。

 

(2)複数機関での利用が可能

 
取得した法定相続情報一覧図の写しは、銀行や証券会社、不動産登記など、さまざまな手続きで利用可能です

資料も1枚で済みます。法務局で必要な枚数を複数交付してもらっても、資料が嵩張ることはないでしょう。

 

(3)無料で利用できる

 
本制度は、法務局への申請費用がかからず、手数料なしで利用できるため、経済的な負担が少ない点も大きなメリットです。

なお、申出をして証明書を発行してもらった場合、その後5年間は再発行を申請できます。

 

(4)相続登記の促進

 
本制度により、相続関係の証明が容易になり、相続登記がスムーズに進むことが期待されています。特に、不動産の名義変更が迅速に行えるため、相続登記の未了によるトラブルを防ぐことができます。

 

法定相続情報証明制度のデメリット

(1)一覧図の作成に時間がかかる

 
登記所で認証をしてもらうには、申出人本人が「法定相続情報一覧図」を作成しなければなりません。法定相続情報一覧図には作成方法が決められています。

よって、正確に作成しなければならず、どうしても手間はかかってしまいます。

 

(2)認証には一定の時間がかかる

 
法務局の審査には時間がかかることがあり、通常1週間から10日程度の期間が必要です。相続手続きを急ぐ場合は、従来の方法で戸籍謄本を直接提出するほうが早い場合もあります。

 

(3)一部の金融機関で利用できない場合がある

 
多くの金融機関では法定相続情報証明制度を受け入れていますが、一部の機関では独自の手続きが必要となることがあります。利用前に各機関へ確認することが重要です。

 

(4)再発行は申出人のみ

 
法定相続情報証明書の申出後、一定期間であれば再発行が可能です。

ただし、再発行できるのは「当初の申出人本人のみ」だけです。他の相続人は証明書の再交付をうけられないので注意しましょう。

 

まとめ

法定相続情報証明制度は、相続手続きを効率化し、相続人の負担を軽減するために設けられた便利な制度です。無料で利用でき、複数の機関で同じ書類を使い回せる点が大きなメリットです。

しかし、一覧図の作成に手間がかかる点、認証に時間がかかる点、一部の金融機関で利用できない可能性があることにも注意が必要です。

相続手続きをスムーズに進めるためには、本制度を上手に活用しつつ、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

 

 


 
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被相続人(亡くなった方)の銀行口座は、死亡届が提出された時点で凍結されます。これは、不正な引き出しや遺産分割のトラブルを防ぐための措置ですが、相続人にとっては生活資金や葬儀費用の確保が難しくなることもあります。

そのため、速やかに銀行口座の凍結解除手続きを進めることが重要です。本コラムでは、銀行口座の凍結解除にかかる期間や手続き方法について詳しく解説します。

 

口座が凍結されるのはトラブル防止のため

相続時に被相続人の口座が凍結されることには、きちんとした理由があります。

口座の預貯金は相続財産であり、遺産分割が終わるまで相続人同士の共同所有物です遺族が自由に引き出せる状態だと、トラブルが起きる可能性があります。そのため、凍結されるのです

銀行側は口座名義人が亡くなったことを知ると、被相続人(以下「亡くなった人」)の預金口座を凍結します。親族が銀行に連絡して凍結となる場合もあれば、銀行担当者が新聞の訃報欄を見たり、葬儀を知ったときに、親族に確認をとって口座を凍結するケースもあります。(銀行は勝手に凍結しません。)

 

銀行口座の凍結解除にかかる期間

凍結解除にかかる期間は、銀行や相続の状況によって異なりますが、通常は書類を提出してから、1~2週間程度です。

なお、相続人が複数いる場合や、遺産分割協議が必要な場合は、さらに時間がかかることが予想されます

 

期間が長引く要因

(1)必要書類の準備に時間がかかる

 
銀行ごとに必要書類が異なるため、相続人が書類を揃えるのに時間がかかることがあります。

 

(2)相続人の確定に時間がかかる

 
戸籍謄本を取り寄せる必要があり、遠方の市区町村役場から取り寄せる場合は時間がかかることがあります。

 

(3)遺産分割協議が必要な場合

 
相続人が複数いる場合、遺産分割協議書を作成し、全員の同意が必要となるため、協議が長引くことがあります。

 

(4)銀行の処理に時間がかかる

 
銀行の審査や手続きの処理に時間がかかることもあり、特に繁忙期などでは対応が遅れることもあります。

 

銀行口座の凍結解除の手続き方法

(1)必要書類の準備

 
銀行によって必要な書類は異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。

 

(2)銀行への届出

 
必要書類が揃ったら、被相続人が口座を持っていた銀行の窓口に提出します。銀行によっては、郵送での対応が可能な場合もあります。

 

(3)銀行による審査

 
提出された書類を銀行が確認し、相続人の権利を認定します。書類に不備がある場合は、書類の修正や追加の書類を求められることがあります。

 

(4)口座の解約・名義変更

 
銀行の審査が完了すると、口座の凍結が解除され、相続人への払い戻しや名義変更が行われます。具体的な方法としては、

 

銀行口座の凍結解除をスムーズに進めるためのポイント

(1)早めに必要書類を準備する

 
相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書など、取得に時間がかかる書類は早めに手配することが重要です。

 

(2)遺産分割協議を早めに進める

 
相続人が複数いて遺言書がない場合は、遺産分割協議書が必要です。よって、分割協議を早めに行い、全員の合意を得ることがスムーズな手続きにつながります。

 

(3)銀行の対応状況を確認する

 
銀行によって必要書類や手続きが異なるため、事前に銀行に問い合わせて確認しておくとスムーズに進められます。

 

(4)専門家に相談する

 
相続手続きに不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することで、手続きが迅速に進められます。

 

まとめ

銀行口座の凍結解除には書類提出から通常1~2週間程度ですが、書類集めが難航して1か月かかる場合もあります。分割協議が長引けば、さらに時間がかかることもあります。

遺産分割協議が必要な場合は、事前にしっかりと話し合いをしておくことが重要です。

相続手続きは複雑で時間がかかるため、場合によっては専門家の力を借りることも検討しながら進めるとよいでしょう。

 

 


 
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相続手続きでは、ほとんどの場合で「戸籍謄本」の提出が求められます。この戸籍謄本は、戸籍に記載された家族全員の情報を証明する重要な書類です。

税務署や金融機関、法務局は手続きの中で正確な相続関係を確認しなければなりません。故人との戸籍上のつながりを明確にするため、戸籍謄本は相続手続きにおいて、欠かせない書類となります

なお、現在では「戸籍謄本」は「戸籍全部事項証明書」という名称で扱われる場合が多いですが、この2つは本質的には同じものです。

戸籍謄本は、紙の原本を証明書として発行したものであり、戸籍全部事項証明書は電子化された戸籍データを基に出力されたものです。ほとんどの自治体で戸籍のデジタル化が進んでいるため、現在では後者が主流となっています。

 

相続手続きで必要な戸籍謄本とは?

相続手続きでは、主に以下の2種類の戸籍謄本が必要となります。

 

(1)被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

 
被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本は、誰が法定相続人なのかを証明するために欠かせない資料です。

民法では、法定相続人の範囲を被相続人の配偶者、子、直系尊属(故人の親など)、および兄弟姉妹に限定しています。また、これらの親族の間には相続順位も定められています。

被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどることで、結婚歴や子どもの有無など、家族関係が明らかになります。相続順位で最優先(相続順位が1位)となる子どもが存在する場合、親や兄弟姉妹には相続権が発生しないため、すべての親族を明らかにするために、被相続人の詳細な戸籍情報が必要なのです。

なお、法定相続人になれるのは戸籍上の親族に限られるため、婚姻関係のない愛人や認知されていない子どもは相続権を持ちません。

 

(2)相続人全員の戸籍謄本

 
相続人全員の戸籍謄本は、その人が生存しているかどうかを確認するために必要です。たとえば、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得しただけでは、子どもが存在する事実は分かりますが、その子どもが存命であるかどうかはわかりません。

そのため、相続人それぞれについて、最新の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得することが求められます。これにより、相続人の存命が確定し、遺産分割協議やその他の手続きが進められます。

ただし、場合によってはこの書類が不要となるケースもあります。

 

戸籍謄本の有効期限について

不動産の名義変更(相続登記)においては、戸籍謄本の有効期限は特に設けられていません。

しかし、金融機関で行う故人名義の口座変更手続きなどでは、戸籍謄本に有効期限が設けられている場合があります。これは金融機関ごとに異なりますが、通常、発行日から6か月以内のものが求められることが多いです。

そのため、相続手続きが始まったら、すべての戸籍謄本を新たに取得しておくことをおすすめします。これにより、どの手続きにおいても問題なく書類を提出できる状態となります。

 

戸籍謄本が必要な主な相続手続き

以下は、相続手続きにおいて「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」および「相続人全員の戸籍謄本」が必要となる主な場面です。

 
これらの手続きの中でも、特に注意が必要なのは「相続税の申告」と「相続放棄」です。どちらも期限が設けられているため、早めの対応が求められます。

また、相続人が多数いる場合や遠方に住んでいる場合には、書類の収集に時間がかかることもあるため、計画的に進めましょう。

 

戸籍謄本を取得する方法

戸籍謄本は、被相続人または相続人の本籍地を管轄する市区町村役場で取得できます。市区町村役場の窓口に直接出向いてもよいですし、郵送での請求も可能です。

なお、本籍地は現住所と異なる場合が多いため、事前に確認しておく必要があります。

本籍地が不明な場合には、本籍地の記載がある住民票(被相続人であれば住民票除票)の写しを取得して確認するとよいでしょう。

 

面倒な場合は専門家に依頼しましょう

仕事が忙しい方や戸籍の取り寄せに時間を割くことが難しい方は、相続の専門家に依頼してください。

税理士や司法書士に依頼すれば、戸籍の取り寄せだけでなく、相続税申告や口座の不動産名義変更などの手続きまで一括してサポートしてもらうことも可能です。

特に、被相続人が複数回結婚している場合や、相続人が遠方に散在している場合には、戸籍の収集が非常に煩雑になることがあります。

このようなケースでは専門家に依頼することで手間を省き、スムーズに相続手続きを進めることができます。

 

まとめ

戸籍謄本の収集は、相続手続きにおけるスタート地点です。相続では欠かせない書類です。

ただし、相続人が多い場合や、複雑な家族関係がある場合には、必要な戸籍謄本の数も膨大になることがあります。

また、場合によっては知らない親族との連絡が必要になるなど、戸籍の収集以外の課題も生じることがあります。

こうした手間を軽減するためにも、相続の専門家に相談することをおすすめします。相続税申告といった期限付きのものに間に合わせるためにも、早めの対応をしましょう。

 

 


 
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被相続人の子供であれば、相続において法定相続人となり、相続権を持つことになります。

これは、まだ母親のお腹の中にいる状態=「胎児」の場合であっても、同様に適用されます

本コラムでは、胎児の相続権における法的なルール、相続での手続き方法、注意点について詳しく解説していきます。

 

どうして、胎児は相続権を持てるのか

通常、相続権を持つためには「相続開始時点(被相続人の死亡時点)で該当人が存在していること」が条件です。これは「同時存在の原則」と呼ばれます。

しかし、この事項に則ると、被相続人が亡くなった直後に生まれた子供については相続権が認められません。同じ子供であるにも関わらず他の子供と同様の権利がないのは、かなりの不公平と言えるでしょう。

この不公平を解消するため、民法第886条では胎児について「すでに生まれたものとみなす」と規定されています。このルールにより、胎児にも相続権が例外的に認められるのです。

ただし、胎児の相続権は出生が条件となります。つまり、無事に生まれてくれば相続人となります。死産であった場合、相続権は認められません。

 

胎児は無事生まれれば相続人となれる

預貯金や不動産・有価証券など、これの財産の持ち主になる=権利能力を有するには出生していなければなりません。

胎児は原則的にはまだ出生していないので、権利能力を有しませんが、相続については、民法886条で「既に生まれたものとみなす」という規定があり、例外的に相続権を持つことが認められています

ただし、先程も述べたように死産となった場合には、残念ながら相続権を持てません。民法でも胎児が生まれてこなかった場合には相続権が適用されないものと規定されています。

 

胎児は代襲相続権も持つ

胎児には、通常の相続だけでなく代襲相続の権利も認められています

代襲相続とは、本来相続人となるべき人が被相続人の死亡時点で既に亡くなっている場合に、その人の子供が代わりに相続することをいいます。

例えば、被相続人である祖父が亡くなり、その相続人である父親がすでに死亡している場合、胎児は「父親の代襲相続人として」祖父の財産を相続できるのです。

この代襲相続についても、胎児が無事に生まれることが前提となります。死産の場合には代襲相続は適用されません。

 

胎児がいる場合の相続手続きはどうするのか

(1)遺産分割協議

 
胎児は、遺産分割協議に参加することができません。そのため、生まれるまで協議を待つ必要がありますが、出生後、胎児は未成年者のため、法律行為ができません。

よって、家庭裁判所に申立てを行い、特別代理人を選任した上で協議を進めます。なお、胎児がいる状態(生まれる前)に遺産分割協議をしても、全員の合意が得られないものとして無効となります。

 

(2)相続放棄

 
相続放棄とは相続権を手放すことです。

もし、親と胎児の両方が相続放棄を選択する場合は、親が代理人として手続き可能です。

しかし、胎児のみの場合、特別代理人を選任し、手続きを進める必要があります。(これは親と胎児で利益相反が起こるためです。)

相続放棄は期限が決まっているため、手続きには速やかな対応が求められます。

 

(3)相続税の申告

 
胎児がいる場合、相続税の申告には特別な注意が必要です。

民法上は胎児が相続人として扱われますが、相続税法では出生していなければ法定相続人に含めません。そのため、相続税申告時に胎児がまだ生まれていない場合、一旦、胎児を除いた状態で申告を行い、出生後の4か月以内に修正申告をする必要があります。

相続税の基礎控除額は法定相続人の人数によって変動するため、胎児の有無が税額に大きく影響することがあります。

つまり、相続税申告の前に出生していれば、相続人に含めて相続税を算出し、そうでなければ生まれたあとに申告をやり直します。

 

(4)相続登記の場合

 
胎児が相続する不動産については、出生前でも登記が可能です。

ただし、胎児が死産の場合には相続が成立しないため、再度名義変更の手続きが必要となります。

 

胎児を含む相続手続きでの実務上のポイント

胎児がいる相続は手続きが複雑化しやすいため、以下のポイントを押さえることが重要です。
 

(1)法的な手続き

胎児がいる場合、特別代理人の選任や修正申告など、通常よりも手続きに手間がかかります。これらの手続きには専門知識が求められるため、事前に相続の専門家や税理士に相談しておくとスムーズです。

 

(2)相続税の計算

胎児が出生することで基礎控除額や税額が変わるので、申告をやり直すケースが生じます。

よって、余裕を持ったスケジュールで対応しましょう。

 

まとめ

胎児にも相続権が認められていますが、その権利は出生が条件とされています。特に相続税の申告や遺産分割協議においては、胎児がいることで手続きが複雑化するため注意が必要です。

また、胎児が相続人として認められるケースでは、法律的な手続きと税務的な対応が密接に関わるため、専門家のサポートを受けるようにした方が良いでしょう。

 

 


 
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