人が亡くなれば、その方が所有していた預金、有価証券、不動産、車などの資産は相続財産として、配偶者や子供に相続されます。

上記以外についても同様で、例えば、家具や家電製品、衣服等々、これらのものも相続財産に含まれます。

相続財産である以上、その合計額によって相続税が発生する場合があります。よって、原則的には相続税計算のために遺産を一つずつ評価しなくてはなりません。

ただし、衣服や家電製品までも個別評価すると、とても手間がかかります。品数が多い場合は相続税の申告が間に合わなくなってしまうでしょう。

このような点から、相続では、衣服など一般的に経済的価値が低いとされるものについては、一式でまとめて良いことになっています

 

故人の衣服は家庭用財産に含まれる

相続財産には以下のものが含まれます。

この中で衣服は動産に該当します。そのため、基本的には相続財産となります。

そして、家にある一般動産の総称は家庭用財産と言います。
家庭用財産は衣服の他に家具、家電、楽器、貴金属、自動車、骨董品などが含まれます。
 

 

家庭用財産は相続税の課税対象

家庭用財産も相続税の課税対象です。そのため、一品ごとに評価をしなければなりません。

評価方法は以下の二つです。

ただし、上記の評価をするかどうかは、一般的に経済的価値が低いかどうかで分けます。価値の低いものは「家財道具一式」としてまとめて評価をします。

価値のボーダーは「5万円」です。これは国税庁のHPにも記述があります。

「一般動産の価額は原則として、1個又は1組ごとに評価する。ただし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個又は1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価することができる。」

★参考:国税庁HP

 

故人の衣服はどれも5万円以下の評価になることが多いので、「家財道具一式」としてまとめて評価をしても良いのです。ただし、少額だから計上しなくていいという訳ではないので注意しましょう。

 

ブランド品や着物に注意

一般的な衣服は5万円以下の評価となることが多いですが、ブランド品や高級着物は換金価値が高いため、5万円以上の評価になる場合があります。

この場合、専門業者に査定を依頼し、適正価格で評価しましょう。

 

一括計上はいくらぐらいにすべきか

前述した通り、故人の衣服は5万円をボーダーとして一括評価して良いことになっています。

では、いくらとするべきか。

家財道具一式で考えると、衣服の他にも、家具や家電が含まれます。それを考慮すると、評価額は10~50万円が妥当となります。金額は点数や内容によって変えましょう。

故人が1人暮らしで、所有物も多くない場合は10万円とし、高級家具を多く揃えていた場合であれば30万円〜50万円と多めに申告しましょう。

多くする理由は、税務署からの指摘を回避するためです。申告で本来よりも少ない金額で計上してしまうと、後に加算税を取られる恐れがあるからです。

国税局も家庭用財産の計上漏れに関して、軽視していないので注意が必要です

 

まとめ

家庭用財産は少額で価値の低いものがほとんどであり、不動産等ほど評価が複雑ではありませんが、適切な金額を設定することが重要です。判断が難しい場合は、税理士に相談することをおすすめします。

 

 


 
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相続手続きは、被相続人の財産を引き継ぐために必要なものであり、多くの場合、金融機関での名義変更や不動産登記など様々な手続きが発生します。

その際、相続人は戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類を何度も提出する必要があり、手続きの煩雑さが問題となることがあります。

こうした相続手続きの負担軽減のために、2017年より「法定相続情報証明制度」が導入されました。同制度の概要や手続きの流れ、メリット・デメリットについて解説します。

 

法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、被相続人と法定相続人の関係を示す「法定相続情報一覧図」を法務局に提出し、認証してもらう制度です。一覧図の写しを取得すれば、金融機関や登記手続きなどで戸籍謄本の代わりに利用できます。

従来の相続手続きでは、各機関ごとに戸籍謄本を提出する必要がありましたが、本制度を利用することで、戸籍謄本の提出が不要となり、手続きが簡略化されます。

 

手続きの流れ

(1)必要書類の準備

 
以下の書類を準備し、管轄の法務局に提出します。

被相続人と、戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図「=法定相続情報一覧図」は相続人側で作成します。

書き方は法務局のWebページ「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」を参考にします。

★参考記事:法務局ページ 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例

 

(2)法務局への申請

 
必要書類を管轄の法務局に提出します。申請は無料で行うことができ、郵送での申請も可能です。

 

(3)法定相続情報一覧図の認証

 
法務局が提出された書類を審査し、問題がなければ「法定相続情報一覧図」に認証を付与します。

認証された一覧図の写しは複数枚取得することができ、各手続きに使用することができます。

 

法定相続情報証明制度のメリット

(1)相続手続きの簡素化

 
これまでの相続手続きでは、銀行や法務局、不動産会社などに個別に戸籍謄本を提出しなければなりませんでした。

本制度を利用すれば、法定相続情報一覧図の写しを各機関に提出するだけで済むため、手続きを大幅に簡素化できます

戸籍の束をわざわざ持参する必要がなくなるのです。

 

(2)複数機関での利用が可能

 
取得した法定相続情報一覧図の写しは、銀行や証券会社、不動産登記など、さまざまな手続きで利用可能です

資料も1枚で済みます。法務局で必要な枚数を複数交付してもらっても、資料が嵩張ることはないでしょう。

 

(3)無料で利用できる

 
本制度は、法務局への申請費用がかからず、手数料なしで利用できるため、経済的な負担が少ない点も大きなメリットです。

なお、申出をして証明書を発行してもらった場合、その後5年間は再発行を申請できます。

 

(4)相続登記の促進

 
本制度により、相続関係の証明が容易になり、相続登記がスムーズに進むことが期待されています。特に、不動産の名義変更が迅速に行えるため、相続登記の未了によるトラブルを防ぐことができます。

 

法定相続情報証明制度のデメリット

(1)一覧図の作成に時間がかかる

 
登記所で認証をしてもらうには、申出人本人が「法定相続情報一覧図」を作成しなければなりません。法定相続情報一覧図には作成方法が決められています。

よって、正確に作成しなければならず、どうしても手間はかかってしまいます。

 

(2)認証には一定の時間がかかる

 
法務局の審査には時間がかかることがあり、通常1週間から10日程度の期間が必要です。相続手続きを急ぐ場合は、従来の方法で戸籍謄本を直接提出するほうが早い場合もあります。

 

(3)一部の金融機関で利用できない場合がある

 
多くの金融機関では法定相続情報証明制度を受け入れていますが、一部の機関では独自の手続きが必要となることがあります。利用前に各機関へ確認することが重要です。

 

(4)再発行は申出人のみ

 
法定相続情報証明書の申出後、一定期間であれば再発行が可能です。

ただし、再発行できるのは「当初の申出人本人のみ」だけです。他の相続人は証明書の再交付をうけられないので注意しましょう。

 

まとめ

法定相続情報証明制度は、相続手続きを効率化し、相続人の負担を軽減するために設けられた便利な制度です。無料で利用でき、複数の機関で同じ書類を使い回せる点が大きなメリットです。

しかし、一覧図の作成に手間がかかる点、認証に時間がかかる点、一部の金融機関で利用できない可能性があることにも注意が必要です。

相続手続きをスムーズに進めるためには、本制度を上手に活用しつつ、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

 

 


 
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被相続人(亡くなった方)の銀行口座は、死亡届が提出された時点で凍結されます。これは、不正な引き出しや遺産分割のトラブルを防ぐための措置ですが、相続人にとっては生活資金や葬儀費用の確保が難しくなることもあります。

そのため、速やかに銀行口座の凍結解除手続きを進めることが重要です。本コラムでは、銀行口座の凍結解除にかかる期間や手続き方法について詳しく解説します。

 

口座が凍結されるのはトラブル防止のため

相続時に被相続人の口座が凍結されることには、きちんとした理由があります。

口座の預貯金は相続財産であり、遺産分割が終わるまで相続人同士の共同所有物です遺族が自由に引き出せる状態だと、トラブルが起きる可能性があります。そのため、凍結されるのです

銀行側は口座名義人が亡くなったことを知ると、被相続人(以下「亡くなった人」)の預金口座を凍結します。親族が銀行に連絡して凍結となる場合もあれば、銀行担当者が新聞の訃報欄を見たり、葬儀を知ったときに、親族に確認をとって口座を凍結するケースもあります。(銀行は勝手に凍結しません。)

 

銀行口座の凍結解除にかかる期間

凍結解除にかかる期間は、銀行や相続の状況によって異なりますが、通常は書類を提出してから、1~2週間程度です。

なお、相続人が複数いる場合や、遺産分割協議が必要な場合は、さらに時間がかかることが予想されます

 

期間が長引く要因

(1)必要書類の準備に時間がかかる

 
銀行ごとに必要書類が異なるため、相続人が書類を揃えるのに時間がかかることがあります。

 

(2)相続人の確定に時間がかかる

 
戸籍謄本を取り寄せる必要があり、遠方の市区町村役場から取り寄せる場合は時間がかかることがあります。

 

(3)遺産分割協議が必要な場合

 
相続人が複数いる場合、遺産分割協議書を作成し、全員の同意が必要となるため、協議が長引くことがあります。

 

(4)銀行の処理に時間がかかる

 
銀行の審査や手続きの処理に時間がかかることもあり、特に繁忙期などでは対応が遅れることもあります。

 

銀行口座の凍結解除の手続き方法

(1)必要書類の準備

 
銀行によって必要な書類は異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。

 

(2)銀行への届出

 
必要書類が揃ったら、被相続人が口座を持っていた銀行の窓口に提出します。銀行によっては、郵送での対応が可能な場合もあります。

 

(3)銀行による審査

 
提出された書類を銀行が確認し、相続人の権利を認定します。書類に不備がある場合は、書類の修正や追加の書類を求められることがあります。

 

(4)口座の解約・名義変更

 
銀行の審査が完了すると、口座の凍結が解除され、相続人への払い戻しや名義変更が行われます。具体的な方法としては、

 

銀行口座の凍結解除をスムーズに進めるためのポイント

(1)早めに必要書類を準備する

 
相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書など、取得に時間がかかる書類は早めに手配することが重要です。

 

(2)遺産分割協議を早めに進める

 
相続人が複数いて遺言書がない場合は、遺産分割協議書が必要です。よって、分割協議を早めに行い、全員の合意を得ることがスムーズな手続きにつながります。

 

(3)銀行の対応状況を確認する

 
銀行によって必要書類や手続きが異なるため、事前に銀行に問い合わせて確認しておくとスムーズに進められます。

 

(4)専門家に相談する

 
相続手続きに不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することで、手続きが迅速に進められます。

 

まとめ

銀行口座の凍結解除には書類提出から通常1~2週間程度ですが、書類集めが難航して1か月かかる場合もあります。分割協議が長引けば、さらに時間がかかることもあります。

遺産分割協議が必要な場合は、事前にしっかりと話し合いをしておくことが重要です。

相続手続きは複雑で時間がかかるため、場合によっては専門家の力を借りることも検討しながら進めるとよいでしょう。

 

 


 
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相続手続きでは、ほとんどの場合で「戸籍謄本」の提出が求められます。この戸籍謄本は、戸籍に記載された家族全員の情報を証明する重要な書類です。

税務署や金融機関、法務局は手続きの中で正確な相続関係を確認しなければなりません。故人との戸籍上のつながりを明確にするため、戸籍謄本は相続手続きにおいて、欠かせない書類となります

なお、現在では「戸籍謄本」は「戸籍全部事項証明書」という名称で扱われる場合が多いですが、この2つは本質的には同じものです。

戸籍謄本は、紙の原本を証明書として発行したものであり、戸籍全部事項証明書は電子化された戸籍データを基に出力されたものです。ほとんどの自治体で戸籍のデジタル化が進んでいるため、現在では後者が主流となっています。

 

相続手続きで必要な戸籍謄本とは?

相続手続きでは、主に以下の2種類の戸籍謄本が必要となります。

 

(1)被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

 
被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本は、誰が法定相続人なのかを証明するために欠かせない資料です。

民法では、法定相続人の範囲を被相続人の配偶者、子、直系尊属(故人の親など)、および兄弟姉妹に限定しています。また、これらの親族の間には相続順位も定められています。

被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどることで、結婚歴や子どもの有無など、家族関係が明らかになります。相続順位で最優先(相続順位が1位)となる子どもが存在する場合、親や兄弟姉妹には相続権が発生しないため、すべての親族を明らかにするために、被相続人の詳細な戸籍情報が必要なのです。

なお、法定相続人になれるのは戸籍上の親族に限られるため、婚姻関係のない愛人や認知されていない子どもは相続権を持ちません。

 

(2)相続人全員の戸籍謄本

 
相続人全員の戸籍謄本は、その人が生存しているかどうかを確認するために必要です。たとえば、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得しただけでは、子どもが存在する事実は分かりますが、その子どもが存命であるかどうかはわかりません。

そのため、相続人それぞれについて、最新の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得することが求められます。これにより、相続人の存命が確定し、遺産分割協議やその他の手続きが進められます。

ただし、場合によってはこの書類が不要となるケースもあります。

 

戸籍謄本の有効期限について

不動産の名義変更(相続登記)においては、戸籍謄本の有効期限は特に設けられていません。

しかし、金融機関で行う故人名義の口座変更手続きなどでは、戸籍謄本に有効期限が設けられている場合があります。これは金融機関ごとに異なりますが、通常、発行日から6か月以内のものが求められることが多いです。

そのため、相続手続きが始まったら、すべての戸籍謄本を新たに取得しておくことをおすすめします。これにより、どの手続きにおいても問題なく書類を提出できる状態となります。

 

戸籍謄本が必要な主な相続手続き

以下は、相続手続きにおいて「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」および「相続人全員の戸籍謄本」が必要となる主な場面です。

 
これらの手続きの中でも、特に注意が必要なのは「相続税の申告」と「相続放棄」です。どちらも期限が設けられているため、早めの対応が求められます。

また、相続人が多数いる場合や遠方に住んでいる場合には、書類の収集に時間がかかることもあるため、計画的に進めましょう。

 

戸籍謄本を取得する方法

戸籍謄本は、被相続人または相続人の本籍地を管轄する市区町村役場で取得できます。市区町村役場の窓口に直接出向いてもよいですし、郵送での請求も可能です。

なお、本籍地は現住所と異なる場合が多いため、事前に確認しておく必要があります。

本籍地が不明な場合には、本籍地の記載がある住民票(被相続人であれば住民票除票)の写しを取得して確認するとよいでしょう。

 

面倒な場合は専門家に依頼しましょう

仕事が忙しい方や戸籍の取り寄せに時間を割くことが難しい方は、相続の専門家に依頼してください。

税理士や司法書士に依頼すれば、戸籍の取り寄せだけでなく、相続税申告や口座の不動産名義変更などの手続きまで一括してサポートしてもらうことも可能です。

特に、被相続人が複数回結婚している場合や、相続人が遠方に散在している場合には、戸籍の収集が非常に煩雑になることがあります。

このようなケースでは専門家に依頼することで手間を省き、スムーズに相続手続きを進めることができます。

 

まとめ

戸籍謄本の収集は、相続手続きにおけるスタート地点です。相続では欠かせない書類です。

ただし、相続人が多い場合や、複雑な家族関係がある場合には、必要な戸籍謄本の数も膨大になることがあります。

また、場合によっては知らない親族との連絡が必要になるなど、戸籍の収集以外の課題も生じることがあります。

こうした手間を軽減するためにも、相続の専門家に相談することをおすすめします。相続税申告といった期限付きのものに間に合わせるためにも、早めの対応をしましょう。

 

 


 
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被相続人の子供であれば、相続において法定相続人となり、相続権を持つことになります。

これは、まだ母親のお腹の中にいる状態=「胎児」の場合であっても、同様に適用されます

本コラムでは、胎児の相続権における法的なルール、相続での手続き方法、注意点について詳しく解説していきます。

 

どうして、胎児は相続権を持てるのか

通常、相続権を持つためには「相続開始時点(被相続人の死亡時点)で該当人が存在していること」が条件です。これは「同時存在の原則」と呼ばれます。

しかし、この事項に則ると、被相続人が亡くなった直後に生まれた子供については相続権が認められません。同じ子供であるにも関わらず他の子供と同様の権利がないのは、かなりの不公平と言えるでしょう。

この不公平を解消するため、民法第886条では胎児について「すでに生まれたものとみなす」と規定されています。このルールにより、胎児にも相続権が例外的に認められるのです。

ただし、胎児の相続権は出生が条件となります。つまり、無事に生まれてくれば相続人となります。死産であった場合、相続権は認められません。

 

胎児は無事生まれれば相続人となれる

預貯金や不動産・有価証券など、これの財産の持ち主になる=権利能力を有するには出生していなければなりません。

胎児は原則的にはまだ出生していないので、権利能力を有しませんが、相続については、民法886条で「既に生まれたものとみなす」という規定があり、例外的に相続権を持つことが認められています

ただし、先程も述べたように死産となった場合には、残念ながら相続権を持てません。民法でも胎児が生まれてこなかった場合には相続権が適用されないものと規定されています。

 

胎児は代襲相続権も持つ

胎児には、通常の相続だけでなく代襲相続の権利も認められています

代襲相続とは、本来相続人となるべき人が被相続人の死亡時点で既に亡くなっている場合に、その人の子供が代わりに相続することをいいます。

例えば、被相続人である祖父が亡くなり、その相続人である父親がすでに死亡している場合、胎児は「父親の代襲相続人として」祖父の財産を相続できるのです。

この代襲相続についても、胎児が無事に生まれることが前提となります。死産の場合には代襲相続は適用されません。

 

胎児がいる場合の相続手続きはどうするのか

(1)遺産分割協議

 
胎児は、遺産分割協議に参加することができません。そのため、生まれるまで協議を待つ必要がありますが、出生後、胎児は未成年者のため、法律行為ができません。

よって、家庭裁判所に申立てを行い、特別代理人を選任した上で協議を進めます。なお、胎児がいる状態(生まれる前)に遺産分割協議をしても、全員の合意が得られないものとして無効となります。

 

(2)相続放棄

 
相続放棄とは相続権を手放すことです。

もし、親と胎児の両方が相続放棄を選択する場合は、親が代理人として手続き可能です。

しかし、胎児のみの場合、特別代理人を選任し、手続きを進める必要があります。(これは親と胎児で利益相反が起こるためです。)

相続放棄は期限が決まっているため、手続きには速やかな対応が求められます。

 

(3)相続税の申告

 
胎児がいる場合、相続税の申告には特別な注意が必要です。

民法上は胎児が相続人として扱われますが、相続税法では出生していなければ法定相続人に含めません。そのため、相続税申告時に胎児がまだ生まれていない場合、一旦、胎児を除いた状態で申告を行い、出生後の4か月以内に修正申告をする必要があります。

相続税の基礎控除額は法定相続人の人数によって変動するため、胎児の有無が税額に大きく影響することがあります。

つまり、相続税申告の前に出生していれば、相続人に含めて相続税を算出し、そうでなければ生まれたあとに申告をやり直します。

 

(4)相続登記の場合

 
胎児が相続する不動産については、出生前でも登記が可能です。

ただし、胎児が死産の場合には相続が成立しないため、再度名義変更の手続きが必要となります。

 

胎児を含む相続手続きでの実務上のポイント

胎児がいる相続は手続きが複雑化しやすいため、以下のポイントを押さえることが重要です。
 

(1)法的な手続き

胎児がいる場合、特別代理人の選任や修正申告など、通常よりも手続きに手間がかかります。これらの手続きには専門知識が求められるため、事前に相続の専門家や税理士に相談しておくとスムーズです。

 

(2)相続税の計算

胎児が出生することで基礎控除額や税額が変わるので、申告をやり直すケースが生じます。

よって、余裕を持ったスケジュールで対応しましょう。

 

まとめ

胎児にも相続権が認められていますが、その権利は出生が条件とされています。特に相続税の申告や遺産分割協議においては、胎児がいることで手続きが複雑化するため注意が必要です。

また、胎児が相続人として認められるケースでは、法律的な手続きと税務的な対応が密接に関わるため、専門家のサポートを受けるようにした方が良いでしょう。

 

 


 
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自身の死後の遺産について、配偶者や子供だけでなく、孫に対しても渡したいと考える方はいると思います。しかし、孫は法律の定めるところの「法定相続人」に該当しませんから、何もしなければ遺産取得は不可能です。

ただし、遺言書等のいくつかの方法を用いれば、孫に遺産を相続させることが出来ます。

本コラムでは孫に遺産を渡す方法を解説いたします。是非、参考にしてください。

 

孫に遺産を相続させる方法

(1)遺言書を作成する(遺贈)

 
民法では法定相続人の優先順位(=相続順位)が決まっています。配偶者は必ず法定相続人になり、他の血縁者は順位に従って権利を有します。

相続順位を考慮すると、被相続人に子供がいる場合、孫は法定相続人にはなれません。そうなれば、遺産の取得はできません。

しかし、法定相続人でなくても遺言書で指定すれば、遺産を受け取ることができます。遺言書によって遺産を渡すことは遺贈と言います。遺贈では特定の財産を指定して渡す「特定遺贈」や、財産の割合を指定して渡す「包括遺贈」があります。

なお、遺贈の場合、他の相続人の遺留分を超える財産を渡すことはできません。遺留分とは、法定相続人に最低限保障される遺産の取得分です。よって、遺留分を侵害するような遺言内容、例えば、遺産の全てを孫に渡すといった内容は不可能です。(ただし、法定相続人及び受遺者全ての同意があれば認められます。)

 

(2)代襲相続

 
代襲相続は本来法定相続人となる方が相続開始前に死亡等で相続権を失っている場合、その相続人の子供が代わって相続権を得る制度です。

例えば、相続開始前に、被相続人の長男がすでに死亡していると、財産取得権は長男の子ども(被相続人の孫)に移ります。代襲相続人の法定相続分は、被代襲相続人と変わりません。

代襲相続は本来の相続人が死亡している他にも、「相続欠格や相続廃除」によって相続権を失っている場合にも認められます。

ただし、相続放棄では代襲相続は起こりません。相続放棄をすれば相続権は次の順位に移るだけです。

被代襲者は、被相続人の子どもや兄弟姉妹のみです。配偶者や父母等の直系尊属が亡くなっていても代襲相続は起こりません。また、代襲者は被代襲者の子どもや孫(被相続人の孫やひ孫)になります。

なお、被代襲者が被相続人の子どもなら、代襲相続は何代でも可能です。対して、兄弟姉妹が被代襲者の場合は、代襲相続は1世代まで、つまり、被相続人の甥や姪までしか代襲相続ができません。

 

(3)死亡保険金

 
保険金は保険契約に基づいて支払われます。よって、分割対象の財産ではなく、受取人の固有の財産として扱われます。つまり、相続人でなくても受け取れるのです。遺言書での指定ももちろん不要です。

保険の新規加入や受取人設定は、簡単なので、孫に遺産を渡す方法としては手間がかかりません

ただし、死亡保険金はみなし相続財産なので、相続税の課税対象です。

 

(4)養子縁組

 
養子縁組制度を利用して、孫と養子縁組している場合、孫は実子と同じ扱いになるので「被相続人の子ども」として相続権を得ます。

法定相続分も実子と変わりません。例えば相続人が実子2人、孫が1人のケースで孫を養子にしていた場合、各相続人の法定相続分は3分の1ずつとなります。

 

相続前に孫に財産を渡す方法

相続前に財産を渡す方法として、生前贈与があります。

生前贈与とは、生きている間に財産を特定の誰かに贈ることです。財産を渡す相手は贈与者の自由ですので、孫に生前贈与をしても問題ありません。

相続手続きと比較して簡単で自由度も高いことが特徴ですが、年間に受け取る金額が110万円を超えれば贈与税が課税されてしまいます。この110万円は受贈者一人における金額です。もし、複数人から110万円ずつ贈与された場合、受贈者1人の贈与額合計が年間110万円を超えるので、超過分に贈与税が課税されます。

逆に言えば、この非課税枠をうまく利用して、年間に110万円ずつ生前贈与されれば、無税で財産移転も可能です

 

孫への相続では相続税が2割加算されてしまう

孫への相続で注意したいのは、「相続税の2割加算」です。これは、遺産取得者が配偶者や一親等の血族(被相続人の子供・親)以外の場合、相続税が2割増しになってしまうというルールです

対象者と非対象者は以下の通りとなります。

 
孫が遺産を受け取ると相続税は2割加算になります。孫を養子とした場合でも同様です。これは、2割加算をしないと、相続税の回数を1回免れる、いわゆる世代飛ばしになってしまうからです。

よって、基本的に孫が相続で遺産を受け取ると2割加算の対象になるものと覚えましょう。ただし、例外として、代襲相続の場合では対象にはなりません。

 

孫を養子にした場合の注意点

孫を養子とすると、実子と同じく遺産を受け取れますが、相続税の2割加算の対象になります。孫を養子にする場合、他にも注意点があります。それは、基礎控除の計算への影響です。

相続税では基礎控除があり控除額は以下のように計算します。
相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人の数が多ければ控除額も高くなりますが、それを無制限にすると養子制度の悪用により不当に相続税が減らせてしまいます。

よって、「実子がいる場合、養子は1人まで」・「実子がいない場合、養子は2人まで」しか、計算に算入できないというルールがあるのです

なお、民法上は養子の数には制限はなく、何人でも養子にして構いません。ですが、相続税法上では、制限があることは覚えておきましょう。

 

贈与の場合、生前贈与加算に注意

生前贈与加算とは、死亡前の一定期間内に故人から贈与を受けていた場合、相続税課税価格に贈与額を加算するものです。

これまでは亡くなる3年前までの生前贈与が加算対象でしたが、2024年からの変更で、この期間が7年間に延長されています

該当期間の贈与分は全て相続財産に加えて相続税計算をするので、相続税対策で行なった生前贈与の効果はなくなってしまいます。

なお、生前贈与の際に贈与税額を払っていれば、その分は相続税額から差し引くこととなります。

 

まとめ

孫は自動的に遺産をもらえませんが、いくつかの方法を用いれば遺産の取得ができます。ただし、代襲相続以外では相続税が2割加算になることに注意が必要です。

税金を抑えたいのであれば、やはり生前贈与が有効です。贈与金を控除額内にすれば非課税での財産譲渡ができるからです。

他の節税方法が知りたい場合は、相続専門の税理士に相談してアドバイスをもらいましょう。

 

 


 
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高齢になると、認知症にかかるリスクが高くなっていきます。認知症になれば、日常生活が困難になり、法的な手続きについても様々な問題が起こります。

そもそも、法的な手続きは、意思能力がある状態でしかできません。意思能力がなければ、法律行為の効力要件を満たさないからです。

そういった点も考慮すれば、相続において相続人の一人が認知症を患っている場合、遺産分割協議等に重大な影響を及ぼします

 

相続人が認知症のケースも多い

相続では被相続人のみならず、相続人も認知症を患っていたというケースがあります。

よくあるのは、被相続人の配偶者が認知症のケースです。冒頭でも述べたとおり、認知症リスクは年齢によって上がります。被相続人が高齢ですと、その配偶者も高齢であることが多いため、認知症を患っている場合が多くなります。

なお、認知症は40歳の初老期段階で発症することもあるので、年齢がある程度離れている配偶者や、被相続人の子供であっても、認知症にかかっている場合もあります。

 

認知症=判断能力がないわけではない

相続人が認知症を患っており判断能力に問題がある場合、遺産分割協議の参加等、法的な手続きは無効とされてしまいます

ただし、認知症と診断されていれば、判断能力が無いとも言い切れません。認知症は軽度なものから重度なものまであるからです。

よって、認知症であっても、レベルが軽度で、判断能力に問題がなければ遺産分割協議の参加もできます。判断能力の有無は、医者から診断書をもらっておくと良いでしょう。

 

相続人が認知症だった場合に起こる問題点

(1)遺産分割協議への参加ができない

 
遺言書によって財産分割の指定がない場合、遺産分割協議を開く必要があります。

協議を完了させるには相続人全員の合意を得なければなりません。よって、一部の相続人が不参加ですと、協議結果は無効となります。

また、相続人の一人が病気などで判断能力が低下している場合も同様です。判断能力がなければ、法的な手続きができないからです。遺産分割協議での合意も無効です。

遺産分割協議が完了しなければ、預貯金の凍結解除ができませんし、相続不動産の名義変更もできません。

なお、認知症の相続人に代わって他の相続人が遺産分割協議書への署名をすると私文書偽造罪に問われる可能性があります。

 

(2)相続放棄できない

 
遺産分割協議への参加同様に、判断能力がなければ、相続放棄もできません。

他の相続人が代理で申し立てをしようとしても、家庭裁判所が受理しないのです。

 

法的手続きをするには成年後見制度の利用が必要

重度の認知症を患らっている場合、自らの意思で遺産分割協議に参加することも、相続放棄をすることもできません。

手続きをするには、「成年後見制度」の利用が必須となります

成年後見制度は、認知症などで自身の財産管理が困難な方に代わって、後見人が財産管理や重要な契約などをする制度です。

 

実は問題の多い成年後見制度

(1)家族が後見人になれるわけではない

 
成年後見人になるには特別な資格は不要ですが、誰がなるかは裁判所の判断に委ねられます

親族を成年後見人候補者として希望したとしても、第三者の専門家が選任される可能性があります。近年では、親族が選任される割合は減少傾向にあります。

そして、一度選任された後見人の変更は余程の理由がない限り認められていません。

家族は裁判所から選任された後見人と長く付き合っていくことになります。

なお、家族が後見人になれたとしても、遺産分割に代理人として参加できません。後見人も相続人の場合、利益相反関係になるからです。

よって、遺産分割協議のために再び家庭裁判所に申し立てをして、特別代理人を選任しなければなりません。

 

(2)成年後見人に対する報酬も必要

 
成年後見人は裁判所が決めるため、外部の専門家が選任された場合には、報酬を払わなければなりません

これは一生涯続くので、今後収入が増える見込みがなく、貯金から医療費や生活費が毎月目減りしてしまう高齢の相続人にとってかなりの負担にもなってしまいます。

 

まとめ

相続人に重度の認知症の方がいる場合、遺産分割協議等、相続手続きができません。成年後見制度を利用すれば良いですが、同制度はデメリットも多く、問題も多いのです。

そのため、前もって遺言を用意しておいた方が良いと言えます

遺言があれば、遺産分割協議をしなくて良いので、ご家族に認知症の方がいても問題ありません。口座凍結の解除や不動産名義変更もかなり進めやすくなります。

メリットも多いので、できる限り作成しておいた方が良いのです。

 

 


 
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相続で財産を引き継いだ場合、相続財産の総額によっては相続税が生じます。相続税が生じる場合、税務署に対して相続税の申告と納付が必要です。

この相続税の申告と納付の期限は「被相続人が亡くなったこと・自信が相続人であることを知ってから10ヵ月以内(ほとんどの場合では、相続開始日と同じになります)」です。もし、期限内に手続きを済ませないと、ペナルティとして加算税や延滞税を追徴税として払うことになります

また、申告と納付が期限内であっても、その内容が間違っているケースがあります。申告した額が本来の相続税の金額よりも大きければ、納税者が税金を多く負担しただけですから、問題ありません。

しかし、少ない金額で申告してしまった場合は、申告をやり直さなくてはいけません

 

相続税申告は間違いが起こりやすい

そもそも一般の方が相続税の申告をする場合、申告内容を間違えがちです。

というのも、相続税の計算には各財産を調査し、それぞれの財産を正しく評価します。その上で、相続税額が算出されますが、一連の作業には専門知識が必要です。

逆に知識がなければ、非常に難しく、申告額に誤りが生じやすいのです。

 

やり直しが期限内であれば、訂正申告

もしも、すでに提出した申告書の間違いに気づいた場合はどうすれば良いのでしょうか。

間違いに気づいたのが申告の期限内であるなら、単純に申告書を作りなおして再提出すれば良いです

相続税法でも、申告期限内に相続税の申告書を提出した方が、さらに、同期限内に、その申告にかかる課税価額、相続税額もしくは贈与税額を修正した申告書を提出した場合、国税通則法第19条第1項の修正申告書とはせずに「期限内申告書として取り扱われる」とされています。

つまり、後に再び出した申告書であっても、「期限内に出された正しい申告書」として処理されます。よって、間違いに気づいた場合は、急いで申告を出し直した方が良いでしょう。

期限内の提出なので、もちろんペナルティはありません。

 

期限後であれば修正申告となる

もし、期限後に申告の間違いに気づいた場合、申告内容を訂正する手続きは「修正申告」となります。修正申告では、相続税の本来の納付期限を守っていないため、「過少申告加算税」と「延滞税」を負担しなければなりません

過少申告加算税の課税率は修正申告をどのタイミングでするかで異なります。
 

 
過少申告加算税は、調査の通知が来るまでに修正申告をしないと、課税されてしまいます。

延滞税は従来の納期限日から修正申告をした日(この日が修正した相続税の納期限となります)までの期間に、年「7.3%」もしくは「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合が適用されます。

2カ月を超えると、
年14.6%か「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合が適用されます。

令和6年の場合、2カ月内なら2.4%、2カ月を超えると8.7%となっています。

 

修正申告はどうすれば良いのか

修正申告の場合でも、申告書や添付書類は国税庁のホームページからダウンロードできます。
書類を正しく記入したら、速やかに税務署に提出しましょう。

修正申告書の提出は、管轄の税務署窓口に直接持って行っても良いですし、郵送や、e-Taxを利用した電子申告でも構いません。

相続税の修正申告については既に述べた通り、遅れれば遅れるほど延滞税が課せられていくシステムです。また、加算税の負担率も上がるので、早めに出しましょう。

 

相続税申告後に新たな財産が見つかった場合も対応が必要

相続税の申告後に新しい財産が発見される場合もあります。
発見された財産が高価なもので、相続税額に影響する場合には、申告と納付をやり直す必要があります。

こちらの場合も、やり直しが申告期限内であれば、新たな財産を含めたものに作成しなおした申告書を提出し、納税すれば、問題ありません。

期限後であれば、修正申告となり、調査通知前に自主的に修正申告をする場合には加算税は課されませんが、延滞税はかかります。

なお、無申告の状態で、法定期限後に修正申告をする場合、調査通知前に自主的に修正申告をしても、加算税の割合は5%となります。

 

まとめ

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内で、納付の期限も同じです。

この期限は思ったより早くやってきます。相続では必要な手続きがたくさんあるからです。

各手続きは一つ一つ時間がかかり、すぐには終わりません。よって、申告のための作業は早期に取り掛かる必要があります。

早めに手続きをしていれば、もし間違いに気づいた場合、申告期限内に申告書を提出できる可能性も高くなります。期限内であれば、ペナルティを受けることはありません。早めに手続きをするのは、このように大きなメリットがあるのです。

もし、手続きが難しいと感じるのであれば、相続税専門の税理士に手続きを代行してもらいましょう。報酬はかかりますが、余計な手間や不安がなくなるため、お勧めです。

 

 


 
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農地は不動産の一種であり、財産ですから、所有者が亡くなると、相続財産として法定相続人や受遺者に引き継がれます。

前回のコラムでも述べましたが、農地は通常の土地と同じように扱えません。農地は法律によって取り扱いに関して制約が課されているからです。農地を売却、転用する際は、その地域を管轄する農業委員会や都道府県知事に許可をもらわなければいけません。

また、不動産を相続すると、評価額に応じて相続税の申告と納付が必要です。農地も相続税が課税される対象の財産なので、評価額を計算しなければなりません。

農地には税制の特例が設けられています。具体的には「一定の金額について納税を猶予もしくは免除する」というものです。

 

農地における相続税の納税猶予の特例とは

農地については、宅地などの普通の土地とは違って特別な納税猶予の制度が認められています。(同制度は相続税における納税猶予・免除のため、控除制度とは意味合いが異なります。)

特例が適用されれば、一定期間は相続税を支払う必要がなくなります。また、条件に該当すれば猶予されていた相続税そのものの支払いが不要になる場合もあります

この特例ができた目的は、相続による農地の細分化を止める他、生活の圧迫による農業従事者の減少を防ぐためです。

「農業の後継者」は土地同様に食料供給源の大切な要素です。相続によって重い相続税を課せられると相続人は農業の継続に支障をきたします。それらを防止し、安定して農業経営ができるようにこの特例はあるのです。

農業の継承者は税金が優遇される」と覚えておきましょう。

 

どれぐらいの相続税が猶予されるのか

猶予される相続税は以下の方法で算出します。

 
各農地の相続税評価方法は以下の通りです。

 
各評価方法の細かい説明は前回のコラムで述べていますので、そちらを参照ください。

 

★参考記事:農地を相続する場合に覚えておきたいこと【農業委員会への届け出】

 
農業投資価格とは、「ずっと農業を継続する」という条件で売買が成立する土地価格のことで、価格の決定は国税局長がします。

農業投資価格は通常の宅地評価額よりかなり低く設定されます。差し引かれる金額が低くなるので、猶予される税額は農地価格の比率からしても、高くなります。

 

被相続人と相続人の適用要件

(1)被相続人の要件

 

身体障害等により農業継続ができず、農地の貸付けをする場合があります。この場合でも納税猶予は適用されます。

条件はどれか一つでも該当すれば良いです。

 

(2)相続人の要件

 

こちらについてもどれか一つでも該当すれば良いです。

 

農地の適用要件

特例の対象となる農地は、以下の通りです。

被相続人が農業をしているもしくは特定貸付を行っていることが前提条件で、上記事項いずれかに該当すれば問題ありません。

 

猶予された税金が免除されるには

相続税の納税猶予の特例では、条件次第で猶予された税金が最終的に免除されます。免除される条件は以下の通りです。

 
上記いずれかに該当すると、猶予された税金は支払いが不要です。つまり、農業を今後ずっと続けていく(もしくは後継者を見つける)のであれば、免除は確実であり、納税猶予制度はかなりお得と言えます

逆を言えば、途中で農業経営を廃止してしまうと、特例の適用がなくなります。その場合、猶予されていた税金に加えて、利子税を支払わなければならないので、かなりの損となります。

この点には注意すべきです。

 

まとめ

農地に関する相続税の納税猶予の特例は、農地特有の優遇制度です。

相続後も農業経営を続けていくのであれば、納税猶予はとても得な選択となるのでお勧めです。是非利用しましょう。

 

 


 
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