相続財産の中には現金・預貯金だけでなく、被相続人の住宅や別荘地等の不動産が含まれる場合もあります。

相続税算出における不動産評価は買った時の価格でもなければ、相続開始時の時価となるわけでもありません。
土地と不動産それぞれの評価方法について、本コラムでご説明いたします。

 

土地の相続税評価方法

相続財産に土地がある場合、相続税評価方法としては「路線価方式」と「倍率方式」の二つのどちらかになります。

基本的には路線価方式を採用し、路線価が設定されていない土地については倍率方式を使います
 

(1)路線価方式

 
路線価は、国税庁が決めた土地価格であり、相続や贈与で取得した土地の評価に適用します。毎年1月1日に価格が更新され、8月頃にHP内で公表されています。

この方式による相続税評価額は以下の数式で算出します。

相続時の土地評価額=正面路線価×奥行価格補正率×土地の面積

 
路線価が40万円、奥行価格補正率が1.0、面積が500㎡の土地なら40万円×1.0×500㎡=2億円となります。

 

(2)倍率方式

 
路線価が設定されていない土地もあります。その際は倍率方式によって価格を算出します。

倍率方式による相続税評価額算出は以下の通りです。

相続時の土地評価額=固定資産税評価額×倍率

 
固定資産税評価額が1,000万円で、倍率が1.2の土地なら1,000万円×1.2=1,200万です。

路線価と評価倍率は国税庁公式HPから確認しましょう。

★参考:国税庁HP 路線価図・評価倍率表

 

建物の相続税評価方法

建物の相続税額評価は固定資産税評価額を基に、建物の「利用状況」によって設定された利率をかけます。利用状況とは個人利用なのか、人に貸していたかに分かれます。

各計算式は以下の通りです。

  • 個人利用…固定資産税評価額×1.0
  • 第三者に貸していた…固定資産税評価額×(1-借家権割合)
  • 賃貸アパート・マンションとして運用していた…固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

 
相続不動産が被相続人の住宅であったなら、相続税評価額は固定資産税評価額とイコールになります。別荘の場合も同様です。

固定資産税評価額は4月ごろに各市区町村役場から送付される納税通知書を見ましょう。通知書を失くした場合は、役所にある固定資産税台帳で価格を調べましょう。

貸していた場合や、賃貸物件として運用していたなら、借家権割合や賃貸割合によって評価額は下がります。

借家権とは「賃借人として建物を利用する権利」であり、割合は全国一律で30%です。賃貸割合とは「貸し出されている部屋の床面積の割合」です。多く貸し出されているなら、その分、安くなります。(そもそも、借家権割合が30%もあるので、個人利用でないなら固定資産税評価額よりも3割は価格が下がります。)

注意点としては、無償で貸している場合は個人利用と同じ扱いになることです。賃料をもらっていたとしても、固定資産税程度しか払われていない場合も同様となります。

 

建設中の建物の評価方法

建設中の建物は固定資産税評価額が決まっていないので、相続開始までの費用原価を基に評価額を計算します。

建築中の建物の相続税評価額=建物の費用原価×0.7

 
建物の費用原価は以下の通りになります。
建物の費用原価=請負金額×工事進捗率
 
工事進捗率の確認は工事担当の建設会社から「進捗率証明書」を発行してもらいましょう。

 

土地・不動産共に相続税評価額は時価よりも安い

不動産の時価とは、実際の取引における価格ですが、相続税評価額は時価よりも低いものとなります

土地であれば、路線価方式および倍率方式で算出した価格はおよそ20~30%は安くなります。建物の場合でも、固定資産税評価額は課税目的の不動産評価ですから、時価よりも低い価格設定がされています。

このように土地・不動産共に相続税評価額は時価よりも低くなります。そのために、この仕組みを利用した相続税対策もあります。

具体的には、現金や預貯金を不動産に変えておく方法です。現金を不動産に変えるので、多少の手間や売却リスクは生じますが、「小規模宅地等の特例」等の控除制度も使えるので、上手く活用すれば、大幅に税金を安くすることも可能です。

 

まとめ

相続不動産の評価方法について解説いたしました。

相続不動産の評価はご自身でもできますが、できれば専門の税理士に依頼しましょう。というのも、税理士に不動産評価を依頼することで、煩雑さもなくせますし、自身で評価するよりも評価額が下がる可能性もあります。

というのも、土地評価には価値を下げる減価補正に関する取扱いが規定されているからです。(不整形地や敷地内に高低差がある土地は通常の土地よりも減額となります。)

税理士に相談することで、節税対策もできますので、是非検討してください。

 

 


 
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