相続が発生し、いざ相続税の申告……となったとき。「少しでも納税額を抑えたい」と多くの方が考えるでしょう。

通常であれば、適用可能な控除制度の利用等で税金対策をします。しかし、中にはわざと財産を隠したり、少ない金額で申告をしようとする方がいます。

相続税の申告において、意図的な財産隠しは高確率で税務署に見つかり、加算税の対象となります。場合によっては、最も重いペナルティである重加算税を課される可能性もあります。

今回は重加算税の恐ろしさと、ペナルティを受けないための正しい対策について、わかりやすく解説します。

 

相続税の申告期限

まず、相続税の申告期限についてですが、「相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

この「相続の開始を知った」というのは、該当の相続人が「被相続人の死亡と自身が相続人であるという事実を認識したこと」です。

多くの場合、この2つの事実を同時に認識することになるため、実務上は「被相続人の死亡日=相続開始を知った日」となるケースがほとんどです。

ただし、長い間音信不通で遠方に住んでいたり、長期の海外旅行に出かけている場合、連絡が取れないケースがあるので、被相続人の死亡日と相続開始を知った日がずれる場合があります。

もし、相続税の申告が必要な状態で申告期限を破ったり、少ない金額で申告をすると、ペナルティーとして加算税が課されます。重加算税はこの加算税の中で最も重いものとなっています。

 

重加算税とは

重加算税は、本来納める税金に追加で払う税金であり、その税率は35%〜40%という非常に重いものとなっています

重加算税の税率は以下のとおりです。

    期限までに申告書を提出し、納税していた場合:35%
    無申告の場合:40%

重加算税は、過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されるもので、意図的に財産を隠匿・仮装した悪質なケースに適用されます

 

重加算税が適用されるケースとは

(1)預貯金・現金の隠匿

 
被相続人が家族や親族の名義を借りて預金していた、いわゆる「名義預金」の存在を知りながら、意図的に相続財産から除外して申告した場合。

亡くなる直前に被相続人の口座から多額の現金を引き出し、それを自宅の金庫などに隠して「葬儀費用に使った」などと嘘の説明をした場合。

過去に解約した口座の履歴から、隠し持っている別の資産が発覚するのを恐れ、通帳を破棄したり隠したりした場合。

 

(2)書類や証拠の偽造・加工

 
実際には存在しない借用書を作成し、債務があるように見せかけて、課税対象額を不当に減らした場合。

生前贈与の契約書の日付を遡って作成したり、贈与が成立していないのに成立したように装ったりした場合。

被相続人が営んでいた事業の売上を少なく見せるための裏帳簿を作成し、それをもとに相続財産(事業資産)を過小に評価した場合。

これらのように客観的な事実を「作り替える」行為は、言い逃れのできない「仮装」とみなされます。

 

(3)税務調査時の不適切な対応

 
税務調査において、虚偽の答弁をする。例えば、調査官から「他にも口座はありませんか?」と問われ、存在を知っているにもかかわらず「一切ありません」と否定するケース。

調査官に特定の部屋や金庫の中を見せるのを拒んだり、調査中にこっそり書類を処分しようとするケース。

これらは税務調査時の不適切な対応として、重加算税適用の一因になる場合があります。

 

なぜ税務署に「隠し財産」がバレるのか?

「家族しか知らないはずのタンス預金が、なぜ税務署にバレるの?」と疑問に思うかもしれません。

税務署は職権で「亡くなった方やその家族の過去10年分以上の銀行口座の履歴」を調べることができます。どこの銀行から、いつ、いくら引き出されたのか。そして、そのお金が家族の口座に移動していないか。税務署はお金の流れを把握できるのです。

税務調査が行われるとき、調査官はすでに「どこに、いくら隠しているか」の目星をつけてからやってきます。「黙っていればバレない」という考えは、通用しないのです。

 

重加算税という最悪の事態を回避するために

「故意に隠したわけではないけれど、あとから申告していない通帳が見つかった!」という場合はどうすればよいのでしょうか。

一番の対策は、税務署から指摘(税務調査の連絡)を受ける前に、自ら「修正申告」を行うことです。

税務署から言われる前に自主的に間違いを正して申告・納税をすれば、重加算税はもちろん、うっかりミスのペナルティである過少申告加算税すら免除される可能性があります(ただし、ケースにより異なりますので注意しましょう)。

 

延滞税にも注意

延滞税とは、納付が遅れた相続税に対して法定納期限の翌日から課税される税金です。年率課税なので、納税が後になればなるほど、税率が高くなってしまいます。

たとえば、令和8年の場合、「申告期限から2か月以内は年2.8%」「申告期限から2か月経過以降は年9.1%」です。

※延滞税の税率は原則として、納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合、2ヶ月以後については「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となる。令和8年1月1日以降の特例基準割合は1.8%となっている。

よって、重加算税に加えて延滞税の支払いも出てくるのです。

 

まとめ

相続税の申告は、一生に一度あるかないかの大きな出来事です。ご自身で判断して「これくらいなら大丈夫だろう」と財産を除外してしまうと、後から取り返しのつかない重いペナルティ(重加算税)を背負うことになりかねません。

正しい財産の評価や、漏れのない申告書を作成するためには、専門的な知識が不可欠です。「自分は申告しないといけないのか」「財産の評価方法がわからない」等、少しでも不安に思ったら、一人で悩まず、まずは相続の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。

あなたとご家族の大切な財産を守るため、サポートいたします。

 

 


 
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