被相続人(亡くなった方)の銀行口座は、死亡届が提出された時点で凍結されます。これは、不正な引き出しや遺産分割のトラブルを防ぐための措置ですが、相続人にとっては生活資金や葬儀費用の確保が難しくなることもあります。

そのため、速やかに銀行口座の凍結解除手続きを進めることが重要です。本コラムでは、銀行口座の凍結解除にかかる期間や手続き方法について詳しく解説します。

 

口座が凍結されるのはトラブル防止のため

相続時に被相続人の口座が凍結されることには、きちんとした理由があります。

口座の預貯金は相続財産であり、遺産分割が終わるまで相続人同士の共同所有物です遺族が自由に引き出せる状態だと、トラブルが起きる可能性があります。そのため、凍結されるのです

銀行側は口座名義人が亡くなったことを知ると、被相続人(以下「亡くなった人」)の預金口座を凍結します。親族が銀行に連絡して凍結となる場合もあれば、銀行担当者が新聞の訃報欄を見たり、葬儀を知ったときに、親族に確認をとって口座を凍結するケースもあります。(銀行は勝手に凍結しません。)

 

銀行口座の凍結解除にかかる期間

凍結解除にかかる期間は、銀行や相続の状況によって異なりますが、通常は書類を提出してから、1~2週間程度です。

なお、相続人が複数いる場合や、遺産分割協議が必要な場合は、さらに時間がかかることが予想されます

 

期間が長引く要因

(1)必要書類の準備に時間がかかる

 
銀行ごとに必要書類が異なるため、相続人が書類を揃えるのに時間がかかることがあります。

 

(2)相続人の確定に時間がかかる

 
戸籍謄本を取り寄せる必要があり、遠方の市区町村役場から取り寄せる場合は時間がかかることがあります。

 

(3)遺産分割協議が必要な場合

 
相続人が複数いる場合、遺産分割協議書を作成し、全員の同意が必要となるため、協議が長引くことがあります。

 

(4)銀行の処理に時間がかかる

 
銀行の審査や手続きの処理に時間がかかることもあり、特に繁忙期などでは対応が遅れることもあります。

 

銀行口座の凍結解除の手続き方法

(1)必要書類の準備

 
銀行によって必要な書類は異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。

    ○遺言書がある場合

  • 遺言書(検認済証明書あり)
  • 遺言者の戸籍謄本
  • 遺言執行者の印鑑証明書
  • 遺言執行者の実印を押印した払戻依頼書
  • 通帳及びキャッシュカード

    ○遺言書がない場合

  • 遺産分割協議書(法定相続人全員の署名押印があるもの)
  • 被相続人の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の実印が押印された銀行所定の用紙(相続届)
  • 通帳及びキャッシュカード

 

(2)銀行への届出

 
必要書類が揃ったら、被相続人が口座を持っていた銀行の窓口に提出します。銀行によっては、郵送での対応が可能な場合もあります。

 

(3)銀行による審査

 
提出された書類を銀行が確認し、相続人の権利を認定します。書類に不備がある場合は、書類の修正や追加の書類を求められることがあります。

 

(4)口座の解約・名義変更

 
銀行の審査が完了すると、口座の凍結が解除され、相続人への払い戻しや名義変更が行われます。具体的な方法としては、

    口座解約:被相続人の口座を解約し、相続人の指定口座に資金を振り込む。
    名義変更:相続人が口座を引き継ぐ形で名義を変更する(銀行によって対応が異なります)。

 

銀行口座の凍結解除をスムーズに進めるためのポイント

(1)早めに必要書類を準備する

 
相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書など、取得に時間がかかる書類は早めに手配することが重要です。

 

(2)遺産分割協議を早めに進める

 
相続人が複数いて遺言書がない場合は、遺産分割協議書が必要です。よって、分割協議を早めに行い、全員の合意を得ることがスムーズな手続きにつながります。

 

(3)銀行の対応状況を確認する

 
銀行によって必要書類や手続きが異なるため、事前に銀行に問い合わせて確認しておくとスムーズに進められます。

 

(4)専門家に相談する

 
相続手続きに不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することで、手続きが迅速に進められます。

 

まとめ

銀行口座の凍結解除には書類提出から通常1~2週間程度ですが、書類集めが難航して1か月かかる場合もあります。分割協議が長引けば、さらに時間がかかることもあります。

遺産分割協議が必要な場合は、事前にしっかりと話し合いをしておくことが重要です。

相続手続きは複雑で時間がかかるため、場合によっては専門家の力を借りることも検討しながら進めるとよいでしょう。

 

 


 
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