紙・ペン・印鑑さえあれば、1人で作成できる「自筆証書遺言書」。費用もかからず、手軽に作成できるメリットがありますが、反面、一定の要件を満たさないと形式不備となり効力が無効になってしまいます。

また、自宅で保管する際に紛失したり、第三者が内容を改ざんするリスクも出てきます。

自筆証書遺言のこのような部分を解消するため、法務局では「自筆証書遺言書保管制度」をスタートさせています。

同制度では全国にある「遺言書保管所」で自筆証書遺言書を保管してくれます。

 

自筆証書遺言書保管制度とは

冒頭でも述べましたが、自筆証書遺言書保管制度は遺言書における保管の問題を解消してくれる制度です。各地方にある法務局で手続きをすれば、遺言書の原本と画像データを保存してくれます。

相続人は遺言者の死後に初めて遺言書の閲覧が可能となります。
逆に言えば、遺言者が生きている間は遺言書を閲覧できませんから、内容を知られることはありません。

 

自筆証書遺言書保管制度のメリットとデメリット

(1)メリット

  • 紛失の心配が無くなる
  • 第三者に遺言を偽造・改ざんされない
  • 担当者が遺言書の形式不備をチェックしてくれる
  • 遺言者死亡時の閲覧手続きが簡単
  • 検認手続きが不要となる

最大のメリットは紛失や偽造・改ざんのリスクが無くなることです。自筆証書遺言書における最も悩ましい部分が解消されることは非常に良いと言えます。また、法務局の担当者が遺言の形式チェックを行うので、形式不備による遺言書無効も起こりません。

相続人が遺言書を閲覧できるのは、遺言者死亡後です。閲覧だけでなく、写しの交付を請求することも可能です。

相続人の一人が遺言書情報証明書の交付を請求したり、原本の閲覧をした場合、他の相続人にも遺言書保管の事実が通知されます。このように、遺言者だけでなく、相続人にとっても利便性のある制度と言えるでしょう。

裁判所での検認手続きも不要になる点も相続人側にとっては良い点と言えるでしょう。

 

(2)デメリット

  • 申請手数料3,900円が必要
  • 代理申請ができない
  • 申請は遺言書保管所でしかできない
  • 遺言者死後、遺言書保管の事実は相続人に通知されない
  • 法務局の担当者は内容確認まではしない

申請は遺言者本人が遺言保管所で行います。出張サービスはしていませんので、必ず窓口に行く必要があります

また、遺言者が亡くなっても法務局から遺族に遺言書保管の事実を連絡することはありません。なので、遺言書が生前に遺言保管をしていることを相続人に伝えておくか、相続人が遺言保管所に問い合わせなければ、遺言発見がしにくくなります。なお、相続人の一人が遺言書の閲覧や写しの請求を行った場合は、他の相続人にも保管の通知がなされます。

これも注意点になりますが、法務局職員は遺言の様式はチェックするものの、内容にはノータッチです。なので、財産情報が正しく書かれているか、遺留分を侵害していないかといったことは作成者の自己責任です。

 

申請の流れ

(1)遺言書の作成

遺言は自筆証書遺言書作成のルールに従いますが、保管制度を利用する場合は、下記の要件も満たさなければなりません。

  • 用紙はA4用
  • 用紙の上下左右に一定の余白が必要
  • 複数ページになる場合はページ番号を記載
  • 片面記載であること

データ化することが前提なので、ホッチキス留めなどはNGです。

★参考:法務省HP 遺言書の様式等についての注意事項

 

(2)管轄の法務局を調べる

  • 遺言者の住所地を管轄する法務局
  • 遺言者の本籍地を管轄する法務局
  • 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局

法務局は上記三つより選択します。

全国の法務局が遺言保管をしているわけではないので、手続きができるのか事前に専用サイトで調べておきましょう。

★参考:法務省HP 遺言書保管所一覧

 

(3)書類準備・予約

  • 自筆証書遺言書(原本)
  • 保管申請書
  • 住民票(本籍の記載があって3ヶ月以内に発行したもの)
  • 本人確認書類(免許証など写真付き公的身分証)
  • 手数料(3,900円の収入印紙)

保管申請書は法務省のHPよりダウンロードできます。手書きでもパソコン入力でも構いません。

★参考:法務省HP 自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等

 
書類が揃ったら、申請予約を取ります。専用のHPか、法務局へ直接電話して予約を取りましょう。(予約なしでの手続きは受け付けていません。)

★参考:法務局手続案内予約サービス

 

(4)申請を行う

申請は予約した法務局の窓口で、遺言者本人が行います。

手数料は収入印紙を手数料納付用紙に貼って提出します。法務局の多くは印紙売り場を設けているので、もし買い忘れても大丈夫です。

書類不備がなければ、当日中に「遺言書保管証」が交付されます。なお、保管された遺言書は、相続開始まで遺言者しか閲覧できません。

 

まとめ

遺言書は自身の死後に財産分割を円滑にさせる大切な書類です。苦労して作ったものでも、きちんと遺族に届かなければ意味がありません。

紛失などのリスクを回避するなら公正証書遺言を作成するか、当記事で説明いたしました自筆証書遺言書保管制度を利用しましょう。

 

 


 
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